0 編集部が注目した重点ポイント
①バッテリー固定用テープ需要増で大規模投資を実行
欧州におけるスマートフォンなどの電子機器修理に関する規制を背景に、バッテリー固定用電気剥離テープの需要が拡大しています。同社はこの領域の更なる拡大に向け、豊橋事業所に過去最大規模となる390億円の投資を決定しており、生産体制の強化を進めています。
②核酸受託製造事業が商用化ステージへ移行
ヒューマンライフ事業内の核酸医薬受託製造において、大型疾患に関する案件が臨床段階から商用化ステージへと移行し、収益の改善が進んでいます。関連材料の需要増も見据え、生産能力を増強した国内および米国の新工場が本格稼働する予定です。
③オプトロニクス領域の戦略的事業ポートフォリオ再編
オプトロニクス事業において、LCDスマートフォン向け光学フィルムの戦略的撤退を進める一方、生成AI普及によるデータセンター向けハードディスクドライブ(HDD)の高容量化を見据え、関連する回路材料の需要増に対応する事業再編を推進中です。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 決算説明資料 P.4
売上収益(2026年3月期通期)
1兆281億円 +1.4%
営業利益(2026年3月期通期)
1,836億円 -1.1%
当期利益(2026年3月期通期)
1,335億円 -2.7%
売上収益(次期予想)
1兆650億円 +3.6%
2026年3月期通期の連結業績は、売上収益が前年同期比+1.4%増の1兆281億円、営業利益が同-1.1%減の1,836億円となりました。インダストリアルテープやヒューマンライフセグメントでの増収が寄与したものの、主力のオプトロニクス領域の減収や、約81億円のマイナスの為替影響が利益を押し下げました。しかし、為替影響を除けば実質的な増収増益を達成しています。
次期(2027年3月期)の通期予想については、売上収益1兆650億円(+3.6%)、営業利益1,930億円(+5.1%)と増収増益を見込み、投資による成長戦略の進捗状況は概ね順調であると評価できます。環境対応製品の拡販や新規生産能力の増強により、着実な業績拡大が期待されます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期 決算説明資料 P.9
インダストリアルテープ
【事業内容】接合材料、保護材料、半導体プロセス材料、自動車材料等の基盤機能材料の開発および提供を行っています。
【業績推移】売上収益は3,666億円(+4.2%)、営業利益は517億円(+12.6%)と好調に推移しました。
【注目ポイント】ハイエンドスマートフォン向けバッテリー固定用電気剥離テープや半導体プロセス材の需要が増加しています。特に電気剥離テープについては、欧州などでの修理する権利(Right to Repair)義務化の流れを受け需要が急増しており、豊橋事業所に過去最大規模となる390億円の投資を決定しました。製造技術や設備導入に関わるエンジニア人材の重要性が高まっています。
注目職種:生産技術エンジニア、設備設計担当、プロセス開発担当
オプトロニクス
【事業内容】ディスプレイ向け光学フィルム等の情報機能材料と、高精度基板やCIS(Circuit Integrated Suspension)等の回路材料を扱います。
【業績推移】売上収益は5,278億円(-2.6%)、営業利益は1,499億円(-13.4%)と減収減益でした。
【注目ポイント】収益性改善のため、LCDスマートフォン向け光学フィルムの戦略的撤退を進めました。一方で、生成AIの普及によりデータセンター向けのハードディスクドライブ(HDD)需要が増加しており、次世代技術であるHAMR(熱アシスト磁気記録)など高容量化を支えるCISの需要が堅調に推移しています。高付加価値領域へのシフトに伴う専門知見を持つ技術者の確保が急務です。
注目職種:回路設計エンジニア、材料開発エンジニア、技術営業
ヒューマンライフ
【事業内容】核酸医薬の受託製造等のライフサイエンス領域、排水処理用メンブレン(高分子分離膜)、パーソナルケア材料等を展開しています。
【業績推移】売上収益は1,437億円(+8.5%)、営業利益はマイナス50億円と前年(マイナス117億円)から大幅に改善しました。
【注目ポイント】核酸受託製造が臨床段階から商用化ステージへと移行したことで、収益構造の良化が顕著になっています。核酸材料(NittoPhase)の需要増を見据え、国内および米国の新工場が本格稼働する予定であり、ライフサイエンス領域での生産管理や品質保証に関わる専門人材のニーズが高まっています。
注目職種:品質保証(QA)、品質管理(QC)、製造管理担当者
その他
【事業内容】次世代半導体、環境ソリューション、デジタルヘルスの分野での新規事業創出を担っています。
【業績推移】売上収益は11百万円、営業利益はマイナス70億円となりました。
【注目ポイント】まだ売上規模は小さいものの、環境・人類への貢献度合いが高いとされる製品群「PlanetFlags」や「HumanFlags」の候補テーマに対して、経営資源を集中的に投入し、早期事業化を目指しています。ゼロから事業を立ち上げるアントレプレナーシップを持った人材が求められます。
注目職種:新規事業開発担当、R&Dエンジニア
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期 決算説明資料 P.18
次期においても、独自の基準で環境・人類への貢献度合いが特に高いと認められる「PlanetFlags」「Human Flags」とニッチトップ製品双方の認定基準を満たす厳選された製品(ダブル認定製品)の創出と拡大に注力します。一方で、低収益・低採算事業については構造改革を実施し、強靭な事業ポートフォリオの構築を図る方針です。
設備投資に関しては、インダストリアルテープ領域の豊橋事業所における過去最大規模の投資や、ヒューマンライフ領域での新工場稼働など、積極的な資源投下が予定されています。これに伴い、事業再構築を推進できる戦略スタッフや、高度な技術要件に対応可能なエンジニアリング人材の継続的な採用が予想されます。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
同社は独自の剥離技術などを用いて、欧州での環境規制(修理する権利)に対応する製品を展開しています。単なる部材提供にとどまらず、自らの技術が社会課題の解決にどう貢献できるかという視点が評価されます。これまでの経験を活かし、どのように持続可能な社会の実現に寄与したいかを志望動機に組み込むと説得力が増します。
面接での逆質問例
「豊橋事業所への大規模投資や、ライフサイエンス領域での新工場稼働など、生産体制が大きく変革される中で、現場のエンジニアリング体制にはどのような強化方針をお持ちでしょうか?」
「低収益事業の構造改革を進める中で、社内リソースの再配置や新規事業への人材シフトはどのように推進されているのでしょうか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
偏光板市場での圧倒的なシェアを誇る企業
偏光板市場での圧倒的なシェアを誇る企業で、内部留保の充実が安定感を支えています。新しい事業の開拓にも積極的で、既存の強固な基盤を活かして新たな挑戦を続けています。ニッチトップ戦略を駆使し、特定の市場での優位性を確保している点も魅力的です。
(30代後半・システムエンジニア・女性) [キャリコネの口コミを読む]事業ポートフォリオのバランスが課題
多様な分野で高いシェアを誇る製品群を持つ一方で、新規事業の立ち上げには苦戦しています。特に光学製品への依存度が高く、事業ポートフォリオのバランスが課題です。
(30代前半・コンサルティング営業・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 日東電工株式会社 2026年3月期 決算説明資料
- 日東電工株式会社 2026年3月期 決算短信



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