0編集部が注目した重点ポイント
①NTNとの共同持株会社設立による統合に合意する
2026年5月12日、日本精工とNTNは共同株式移転による共同持株会社の設立(2027年10月予定)に関する基本合意書を締結しました。両社の強みを結集し世界の競争力を高める構造改革を加速させる方針であり、将来にわたる業界ポジションの確立や技術開発における新たなキャリア機会が大きく広がっています。
②ステアリング事業を2025年9月に連結子会社化する
2025年9月1日にステアリング事業(NSKステアリング&コントロール等)の全株式を取得して子会社化し、当通期より独立した報告セグメントとして開示を開始しました。一時的損益の計上や黒字継続を果たしており、独立した成長セグメントへ位置づけられたことで同分野の事業再構築やエンジニアの重要性が一段と増しています。
③新中期経営計画2028を開始しROE8%以上を目指す
2027年3月期を初年度とする「中期経営計画2028」をスタートし、最終年度(2029年3月期)に営業利益750億円、ROE8%以上を目指す目標を設定しました。物量増加に頼らない体質改善やポートフォリオ変革、欧州・日本での構造改革を推進し、収益性の高い事業体質への変革を進めています。
1連結業績ハイライト
出典:日本精工 2026年3月期決算説明会 中期経営計画2028 P.6
売上高
9,116億円 +14.4%
営業利益
388億円 +36.4%
税引前利益
380億円 +51.5%
親会社当期利益
229億円 +114.8%
※一過性除く営業利益 = 452億円(前年比+24.1%)。営業利益からその他の営業収益および費用(為替差損益ほか)、構造改革関連費用、ステアリング事業の連結子会社化による一時的な損益を除いた本業の収益力を示す指標。
当期は通期実績としての公表です。売上高はステアリング事業の子会社化(売上寄与1,006億円)や関税増に対する売価転嫁(+72億円)の推進により、前年比+14.4%の増収となる9,116億円を記録しました。
利益面においても、インフレや賃金上昇、米国関税などのコスト増加要因(△127億円)があったものの、売価改善(+108億円)やコストダウン(+45億円)、生産性改善などの体質改善効果(+193億円)が大きく寄与しました。前倒しで計上した構造改革費用(94億円)を吸収し、営業利益は前年比+36.4%の388億円、親会社所有者帰属当期利益は同+114.8%の229億円となりました。公表予想に対しても上回る着地となっており、極めて順調な着地を達成しています。
2事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:日本精工 2026年3月期決算説明会 中期経営計画2028 P.32
産業機械事業
事業内容:一般産業向けの各種軸受(ベアリング)、ボールねじ等の精密機器関連製品、状態監視システム(CMS)等の製造・販売を行います。
業績推移:売上高は3,775億円(前年比4.4%増)、営業利益は126億円(同9.9%減)となりました。(※一過性除く営業利益は172億円で同8.5%増)
注目ポイント:半導体製造装置や工作機械向けを中心に中国や米国で需要が回復し、増収を確保しました。欧州構造改革費用の先行計上で減益となったものの、次世代半導体装置向けメカトロ製品や状態監視システム(CMS)をはじめとする「PLM(コト売り・補修)ビジネス」の拡大に向け、設計開発や海外拠点での営業技術体制を担う人材が強く求められています。
自動車事業
事業内容:自動車及び自動車部品メーカー向けに、各種軸受や自動変速機用部品等を製造・販売しています。
業績推移:売上高は4,033億円(前年比0.4%増)、営業利益は174億円(同18.0%増)となりました。
注目ポイント:関税コストに対する売価転嫁(+72億円)の推進や、電動ブレーキ用ボールねじ・高車重向けハブユニット軸受・eAxle用軸受といった電動化重点製品の拡大により、前年比+18.0%の増益を達成しました。国内外での生産品種・拠点の再編とともに、デジタル技術を活用した生産・販売・技術の一体となったコスト低減を進めており、電動化対応製品の設計や生産技術職の活躍機会が広がっています。
ステアリング事業
事業内容:自動車メーカー向けにステアリングシステム等を製造・販売する独立事業セグメントです。
業績推移:2025年9月1日の子会社化(当期7ヶ月分連結)により、売上高は1,006億円、営業利益は77億円となりました。(※注:前年は未連結のため単純比較不可)
注目ポイント:持分法適用関連会社から2025年9月に完全連結子会社化され、新たな事業セグメントとして立ち上がりました。連結子会社化に伴う一時的損益(+26億円)や構造改革効果により黒字化を達成しています。将来的なストラテジック・パートナー探しを見据えつつ、単体での収益体質を固めるプロジェクト管理や経営効率化を推進する人材が求められています。
3今後の見通しと採用の注目点
出典:日本精工 2026年3月期決算説明会 中期経営計画2028 P.13
2027年3月期(FY26)の通期予想は、売上高1,000,000百万円(前年比+9.7%)、営業利益42,000百万円(同+8.2%)、親会社所有者帰属当期利益24,000百万円(同+5.0%)と、ステアリング事業の通年連結(売上高1,700億円計画)や半導体製造装置向けの回復を背景に売上高1兆円の大台回復を見込んでいます。構造改革費用として90億円(欧州・日本の生産再編等)を織り込みつつ増益を目指す計画です。
また、2026年5月12日にNTNとの共同持株会社設立による経営統合に基本合意(2027年10月持株会社設立予定)したことを発表しました(本業績予想には未織り込み)。「中期経営計画2028」では最終年度(FY28)に営業利益750億円、ROE8%以上を目指し、アクチュエータやロボティクス等の「Beyond領域」への展開を加速させています。大きな変革期を迎えた同社において、データドリブン経営やAI活用、グローバル構造改革を牽引できる新たな事業機会が大きく広がるフェーズと言えます。
4求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
「中期経営計画2028」における物量頼みからの脱却や、ロボティクス・アクチュエータといったBeyond領域への挑戦に対する共感をアピールすることが大切です。また、NTNとの共同持株会社設立に向けた基本合意やステアリング事業の連結子会社化など、大規模な組織・事業変革が進む中で自らの技術や経験をどう還元できるかを具体的に述べることが好印象につながります。
面接での逆質問例
- 「2026年5月に合意されたNTNとの経営統合基本合意を受けて、現場の製品開発やグローバル生産再編において今後どのようなシナジー創出を想定されていますか?」
- 「中期経営計画2028で掲げるロボティクス事業やアクチュエータ製品などの新規技術・事業の立ち上げにおいて、中途採用者に求められるスキルや期待される役割について詳しく教えてください。」
5転職者が知っておきたい現場のリアル
※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)
- 2026年3月期決算説明会 中期経営計画2028



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