0 編集部が注目した重点ポイント
① ステアリング事業を連結子会社化し新セグメントを創設
2025年9月1日に持分法適用関連会社だったステアリング事業を連結子会社化しました。これにより当第2四半期より独立した報告セグメントとして開示を開始。事業構造の大きな転換点となっており、今後は連結ベースでの成長と収益性向上の加速、および新たな戦略的パートナー探索を並行する方針です。
② 通期業績予想を上方修正し売上高8,850億円へ
ステアリング事業の連結化影響や足元の事業環境を反映し、通期予想を売上高で1,250億円プラスの8,850億円へ修正しました。営業利益も80億円引き上げの300億円を計画。米国関税政策などの不透明感はあるものの、売価転嫁の推進と体質改善により対前年での増収増益を確実にする構えです。
③ 欧州を中心とした1,000名規模の構造改革が計画通り進捗
収益性の底上げを目指し、欧州地域を中心とした1,000名規模の人員削減を推進中です。2025年3月期末までに400名の実行を計画しており、上期時点で既に250名の削減を完了。生産拠点の再編や品種の絞り込みも進めており、2026年度には対2023年度比で90億円の利益改善効果を見込んでいます。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 2Q決算説明会 P.5
2026年3月期上期の売上高は、為替影響を除くベースで前年同期比+146億円(+3.7%)と伸長しました。利益面では、インフレや関税コスト増などの外部逆風があったものの、売価転嫁の推進や体質改善(コストダウン・生産性改善)の累計効果+86億円がこれらを上回り、大幅な増益を確保しています。
通期業績予想に対する進捗率は、修正後の売上高予想(8,850億円)に対して46.6%、営業利益予想(300億円)に対して55.0%となっており、業績は概ね順調に推移しています。下期はステアリング事業の連結収益が通期で寄与することから、さらなる上積みが期待されます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期 2Q決算説明会 P.6
産業機械事業
事業内容: 一般産業向け軸受(ベアリング)、精密機器製品(ボールねじ等)、状態監視システムなどの開発・製造・販売。
業績推移: 売上高1,808億円(+0.2%)、営業利益49億円(△11.2%)。為替影響を除くベースでは+2.7%の増収。
注目ポイント: 中国での工作機械向け軸受や、米州での半導体製造装置向け精機製品が伸長しています。成長領域である「Bearings & Beyond」戦略の一環として、AIロボティクス企業への投資や状態監視(CMS)事業の拡大に注力しており、DXや解析技術に強みを持つエンジニアの需要が高まっています。
自動車事業
事業内容: 自動車向け軸受、電動駆動ユニット(eAxle)用軸受、自動変速機用部品などの提供。
業績推移: 売上高2,012億円(+1.0%)、営業利益89億円(+38.4%)。為替を除くベースで+3.2%の増収。
注目ポイント: 中国や米州での販売が増加。特に電動車向けの電動ブレーキ用ボールねじは市場シェア50%超を目指し、インドでの現地生産体制強化を決定するなど積極投資を継続。xEV(電動車)化に対応する次世代製品の開発職や、グローバルでのサプライチェーン最適化を担う人材を求めています。
ステアリング事業
事業内容: 自動車向けステアリングコラム、電動パワーステアリング(EPS)などの製造・販売。(注:2025年9月より連結開始)
業績推移: 売上高152億円、営業利益30億円。負ののれん発生益+73億円などの一時的要因を含む。
注目ポイント: 構造改革を経て再び連結子会社化。利益率は一時的損益を除くと上期16億円の黒字であり、黒字定着に向けた体質強化が急務です。事業の再構築フェーズにあるため、経営再建やプロセス改善に強みを持つマネジメント人材にとって挑戦しがいのあるフィールドです。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期 2Q決算説明会 P.19
今後の戦略の柱は、欧州を中心とした構造改革の完遂と、インド・中国市場でのシェア拡大です。特にインドでは自動車生産の拡大を背景に、設備投資の増強を計画。また、米国関税政策の変更に対しても、メキシコや日本からの供給網調整と売価転嫁の方針を継続し、利益率の死守を図ります。
中長期では、AI・ロボティクス企業「アールティ」への戦略投資や、全方向移動ユニット「PalGo」の開発など、「Bearings & Beyond(軸受を超えて)」の具現化を急いでいます。2026年5月には新たな中期経営計画の公表を予定しており、従来型の「部品メーカー」から「モーション&コントロールのソリューションプロバイダー」へと進化するための、変革期ならではの採用ニーズが拡大しています。
4 求職者へのアドバイス
志望動機では、単なる「老舗メーカー」という視点だけでなく、「事業ポートフォリオの変革(Bearings & Beyond)」や、インド等の「新興国での生産体制強化」への貢献意欲を盛り込むのが効果的です。また、現在進めている「1,000名規模の欧州構造改革」のような大規模な組織再編を、ポジティブな収益性向上のプロセスとして捉えている姿勢を示すことが、変革期の人材として評価される鍵となります。
逆質問の例としては、「ステアリング事業の再連結にあたり、グループ全体でのシナジー創出や管理体制の統合において現在直面している最大の課題は何ですか?」や、「電動ブレーキ用ボールねじで世界シェア50%を目指すための、競合他社に対する技術的・営業的な優位性と、その実現に不可欠な人材要件を教えてください」といった、具体的な成長戦略に踏み込んだ質問が有効です。
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
家族手当住宅手当等かなり充実
家族手当、住宅手当、会員券リゾートの利用等、かなり充実。 住宅手当支給は10年の制限があるが転勤するとリセットされる。
(20代後半・ルートセールス・男性) [キャリコネの口コミを読む]業績将来性に問題
考えの中心はあくまで軸受。そこだけは譲れないようですが、そこから離れないと、結局既存の延長にしかならないと感じています。
(20代後半・研究開発・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 日本精工株式会社 2026年3月期 2Q決算説明会資料(2025年11月5日公表)
- 日本精工株式会社 2026年3月期 第2四半期決算短信〔IFRS〕(2025年11月4日公表)



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。