0 編集部が注目した重点ポイント
①実質過去最高の営業利益735億円を達成する
2026年3月期の売上収益は前年同期比23.3%増の3,513億6,300万円、営業利益は同16.8%増の735億4,700万円となりました。海外治験事業等で合計67億円の減損損失を計上したものの、製薬DXや医療現場向けソリューションが力強く牽引し、一時的利益を除く実質ベースで過去最高の営業利益を更新しています。
②イーウェル買収で予防医療を加速させる
2025年4月に株式会社イーウェルを連結子会社化したことで、福利厚生・健診プラットフォームを統合しました。企業向けサービスでカバーする従業員数は約730万人へと急拡大しており、従来の医療従事者向け支援から発症前の生活者・健常人を対象とする予防医療領域へのキャリア機会が一段と広がっています。
③次期売上4,000億円に向け積極投資を継続する
2027年3月期の連結業績予想として、売上収益4,000億円(前期比13.8%増)、営業利益800億円(同8.8%増)を見込んでいます。上限200億円の自己株式取得を決議するなど資本効率を高めつつ、独自データ基盤と事業横断的なAI活用を推進することで、中長期的な高成長トレンドの維持を狙います。
1 連結業績ハイライト
出典:会社説明資料 P.19
当連結会計年度における売上収益は3,513億6,300万円と前年同期比23.3%の大幅な増収となり、営業利益は735億4,700万円(同16.8%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は491億円(同21.3%増)となりました。第4四半期に医療政策転換や環境変化に伴い、海外事業で46億円、国内メディカルプラットフォームで21億円の合計67億円にのぼる減損損失を計上したものの、それを吸収して2桁の増収増益を堅持しています。
通期実績の評価として、新型コロナウイルス感染症関連のプロジェクト縮小影響が一巡したことに加え、新設されたペイシェントソリューションセグメントのフル寄与やイーウェルの新規連結が業績を押し上げました。一過性の減損や株式売却益を除いた実質ベースでも営業利益は着実に成長しており、全体として極めて堅調な進捗と着地を示しています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:会社説明資料 P.21
メディカルプラットフォーム
事業内容:医師専門サイト「m3.com」を通じた製薬マーケティング支援、医療機関向けクラウド電子カルテ「M3デジカル」やデジスマ診療の提供、健康管理・福利厚生サービスを展開しています。
業績推移:売上収益は1,078億3,000万円(前年同期比17.8%増)、セグメント利益は減損損失21億円を計上したものの359億1,800万円(同5.3%増)の増収増益となりました。
注目ポイント:製薬マーケティングの受注残は前年同期比12%増と高水準を維持しています。さらに2025年4月に連結化したイーウェルが加わり、福利厚生や予防医療サービスが拡充しました。減損の影響を除いたベースでは営業利益11%増と成長が加速しており、製薬企業の営業DXやクリニックの業務変革を推進する高度なIT・コンサル人材の需要が急増しています。
エビデンスソリューション
事業内容:CRO(医薬品開発業務受託)やSMO(治験施設支援業務)、PRO(被験者募集支援業務)を通じて、臨床開発・臨床研究全般を支援しています。
業績推移:売上収益は245億2,100万円(前年同期比1.1%増)、セグメント利益は51億2,000万円(同17.8%増)と大幅な増益を達成しました。
注目ポイント:新型コロナ関連治験の反動減が縮小傾向に向かったことに加え、受注残372億円を背景に収益性の高い案件への注力と売上収益ミックスの改善が進みました。業務プロセスの効率化により利益率の大幅な改善が実現しており、臨床試験の高度化やハイブリッド型治験オペレーションをリードする専門職が不可欠となっています。
キャリアソリューション
事業内容:エムスリーキャリア株式会社を中心に、医師および薬剤師を対象とした有料職業紹介や人材派遣、採用支援サービスを展開しています。
業績推移:売上収益は227億9,900万円(前年同期比9.0%増)、セグメント利益は59億2,500万円(同4.8%増)となりました。
注目ポイント:医師・薬剤師向けの求人求職支援サービスが堅調に推移したことに加え、企業の健康経営ニーズの高まりを受けて産業医派遣サービス等が貢献しました。医療機関や企業の働き方改革に伴う医師の流動化に対応するため、専門性の高いキャリアアドバイザーや法人向けソリューション提案営業の採用が活発です。
サイトソリューション
事業内容:医療機関の運営サポート、ホスピスや居宅訪問看護事業、足病・静脈疾患クリニック等の運営支援を行っています。
業績推移:売上収益は543億5,300万円(前年同期比15.5%増)、セグメント利益は57億6,600万円(同6.3%増)となりました。
注目ポイント:2024年10月に連結を開始した株式会社ノアコンツェルの買収寄与やホスピス事業の成長が増収に寄与しました。先行投資や支援先医療機関の業績不振があったものの、不動産売却益14億4,100万円の計上により増収増益を確保しています。在宅医療・看取りの現場オペレーションを管理する施設運営マネージャーの役割が重要視されています。
ペイシェントソリューション
事業内容:(注:前年第3四半期新設のため単純比較不可)入院患者や介護施設利用者向けにCS(ケア・サポート)セット等の患者サポート事業を展開しています。
業績推移:売上収益は568億7,700万円(前年同期比159.5%増)、セグメント利益は26億8,600万円(同226.0%増)と大幅に拡大しました。
注目ポイント:2024年10月に完了した株式会社エランの公開買付および子会社化に伴い新設されたセグメントです。通期での業績貢献に加え、CSセットの新規契約獲得による利用者数の増加が進んでおり、グループ間シナジーが本格化しています。全国の病院・介護施設への営業網拡大を担う法人営業人材が求められています。
海外
事業内容:北米、欧州、中国、韓国、インド等の医療従事者向けウェブサイトを活用した調査、マーケティング支援、治験支援、医師人材サービス等を提供しています。
業績推移:売上収益は869億2,100万円(前年同期比7.9%増)、セグメント利益は148億9,800万円(同1.0%増)となりました。
注目ポイント:地域別では欧州が売上382億100万円(前年同期比13%増)、APACその他が181億8,200万円(同11%増、現地通貨ベース16%増)と好調でした。北米はワクチン政策変更等の影響で売上305億2,200万円(同0%増)にとどまり、北米治験事業と英国キャリア事業で46億円の減損を計上したものの、減損を除く営業利益は前年比16%増と力強い基調です。
その他エマージング事業群
事業内容:生活者向けQ&Aサイト「AskDoctors」や医療福祉系国家試験対策サービス等、新規事業育成領域を展開しています。
業績推移:売上収益は22億3,000万円(前年同期比9.1%減)、セグメント利益は48億7,800万円(同386.5%増)となりました。
注目ポイント:セグメント利益の大幅増は、関連会社株式売却益41億100万円を計上した一時的要因によるものです。一方で、一般生活者向けヘルスケアサービスの高度化や教育コンテンツのオンライン化など、新規ビジネスのPoC推進拠点として機能しており、事業の立ち上げ経験を持つ人材の活躍余地が豊富です。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:会社説明資料 P.44
2027年3月期の業績見通しとして、売上収益4,000億円(前期比13.8%増)、営業利益800億円(同8.8%増)の増収増益を見込んでいます。サイトソリューションでは先行投資や2026年診療報酬改定の影響、前期計上した不動産売却益の剥落等により減益が見込まれるものの、メディカルプラットフォームにおける製薬向け課題解決型提案の強化や、海外事業での減損損失の剥落、エランやイーウェルとの相互営業によるシナジー創出が増益を支える見通しです。
さらに、同社は2026年6月1日よりミッションを「テクノロジーを創造的に活用し、健康で楽しく長生きする人を1人でも増やし、不必要な医療コストを1円でも減らすこと」へと刷新することを発表しました。社内業務の効率化のみならず、数千万件単位の診療データや医師ネットワークを活かした独自AIの実装を加速させており、中長期で売上高8,000億円規模を目指す青写真を描いています。テクノロジーをテコにした多面的な事業展開を主導できる即戦力人材の採用が今後一段と強化される見込みです。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
面接では、同社が「インターネット企業」から「AIを含む総合医療テクノロジー企業」へと進化している背景を正しく把握していることを伝えるのが有効です。特に、2025年4月に連結化したイーウェルやエランの買収により、医療従事者向けだけでなく生活者・患者の予防医療・入院生活支援へと事業ドメインが急速に拡大しています。
志望動機を構築する際は、「m3.com」という圧倒的な医師プラットフォーム基盤を活用しながら、自身の実務スキル(データ分析、法人提案営業、SaaS導入支援など)を掛け合わせて、どのようにグループ横断のシナジー創出に貢献できるかを具体的に論述すると高い評価につながります。
面接での逆質問例
質問例1:「グループミッションの更新に伴い、AIの事業実装が重点テーマとなっていますが、配属想定部門において現在最も早期の成果が期待されている具体的なAI活用テーマは何でしょうか?」
意図:全社方針であるAIシフトに対する理解度を示し、配属先での現場実装へのコミット意欲をアピールします。
質問例2:「イーウェルの買収により企業向けカバレッジが約730万人へと拡大しましたが、既存の製薬・医療機関向けビジネスとのクロスセルやデータ連携において、現在現場レベルで直面している最大の課題は何でしょうか?」
意図:M&Aによる規模拡大の表層だけでなく、PMIやオペレーション統合のリアルな課題に関心を持ち、解決に寄与する姿勢を示せます。
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
仕事は家に持ち帰ってやることができるので自由度は高い
仕事は家に持ち帰ってやることができるので自由度は高いが、仕事量自体が多く、家でもやらなければならない状況になることが多々あるので、プライベートときっちり分けるのは難しい。
(マーケティング・30代前半・女性) [キャリコネの口コミを読む]成長できる機会は大きい
周りには様々な業界から転職してきた優秀な人が多く、個人に仕事を委ねるため、成長できる機会は大きい。顧客提案、顧客折衝、プレゼン資料作成など、ビジネスパーソンとして今後も必要になる経験をさせてもらえたと思う。
(マーケティング・30代前半・女性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- エムスリー株式会社 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)
- エムスリー株式会社 会社説明資料(2026年5月)



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