0編集部が注目した重点ポイント
① 報告セグメント区分を変更
当期(2026年3月期)より、中期経営計画における管理の明確化を目的に、従来の「運輸業」「流通業」「不動産業」「レジャー・サービス業」「その他業」から、「交通業」「不動産業」「ホテル業」「建設設備業」「生活サービス業」へと報告セグメントの区分を変更しました。この再編により、事業戦略と直結したより透明性の高い管理体制が構築されており、中途採用においてもこれら5つの領域に紐づいた職種の募集が加速する可能性があります。
② 政策保有株式の売却で純利益が過去最高を更新
鉄道安全投資などによる営業減益をカバーし、約120億円(税引後90億円)の政策保有株式を売却したことで、親会社株主に帰属する当期純利益は429億円と過去最高を更新しました。2031年度以降の大規模投資期に備えた利益水準の引き上げと、資本効率の向上が着実に進行しています。
③ オープンイノベーションを通じた新規事業を創造
「京王オープンイノベーションプログラム」の一環として、80億円規模のCVCファンド「京王れーるファンド」を設立しました。また、社員起点プログラム「My turn」から「次世代循環型農業(アクアポニックス)」等の事業化が決定しており、社内外の知見を融合した新たな価値創造への挑戦が本格化しています。
1連結業績ハイライト
出典:2025年度 決算説明会資料 P.3
営業収益
4,969億円 +9.7%
営業利益
523億円 △3.4%
経常利益
511億円 △3.9%
親会社株主に帰属する当期純利益
429億円 +0.2%
2026年3月期の連結業績は、不動産販売業の売上増や建築・土木業の完成工事高増加、ホテル業での高単価販売により、全セグメントで増収を達成し、営業収益は過去最高を更新しました。一方、利益面では、鉄道安全投資(車両新造やホームドア整備など)の増加や、ホテル客室改装、従業員の処遇改善に伴う人件費増により、営業利益および経常利益は減益となりました。しかし、政策保有株式等の投資有価証券売却益102億円を特別利益に計上したことで、純利益は前年並みを維持し過去最高額での着地となりました。
通期での業績進捗としては、期中に公表した業績予想(営業利益510億円)に対して523億円で着地しており、堅調な推移を示しています。中長期の成長を見据えた投資フェーズにありながらも、安定した収益基盤を維持していると言えます。
2事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年度 決算説明会資料 P.16
交通業
事業内容:鉄道およびバス等の旅客輸送事業を展開。
業績推移:営業収益1,332億円(前年比+2.4%)、営業利益132億円(同△15.5%)。輸送人員は増加も投資・人件費増で減益。
注目ポイント:安全・安定輸送の基盤をより強固にするため、新型車両の導入やホームドア整備、自動運転(ワンマン運転)の実証試験拡大など次世代に向けた設備投資を加速しています。「京王ライナー」の料金見直しなどレベニューマネジメントの高度化も進めており、交通インフラのDX推進やデータ分析の専門知識を持つ人材が求められています。
不動産業
事業内容:オフィスビル・商業施設の賃貸および、分譲マンション等の販売。
業績推移:営業収益1,207億円(前年比+31.9%)、営業利益171億円(同△2.6%)。分譲増で大幅増収もまちづくり費用増で微減益。
注目ポイント:リビタやサンウッドを通じた都心分譲が好調な中、今後は販売用不動産の仕入れをさらに強化します(棚卸資産上限を2,100億円へ引き上げ)。さらに私募ファンドの組成拡充から将来的な私募REITの組成も見据えており、アセットマネジメントや不動産金融の高度なノウハウを持つ人材にとって、手腕を発揮できる大きなステージが広がっています。
ホテル業
事業内容:京王プラザホテル、京王プレッソイン等の宿泊施設の運営。
業績推移:営業収益600億円(前年比+6.3%)、営業利益101億円(同△7.0%)。客室単価上昇で増収も改装等により減益。
注目ポイント:宿泊マーケットの活況を背景に、単価の向上と付加価値の提供に注力しています。「京王プラザホテル(新宿)」の高層階改装や、「京王プレッソイン」での2名利用を想定したレイアウト変更など、戦略的なリニューアル投資を継続中です。インバウンド需要の取り込みと顧客体験の最大化を牽引するマーケティングやホスピタリティマネジメントの人材が不可欠です。
建設設備業
事業内容:建築・土木工事の請負、ビル総合管理業など。
業績推移:営業収益876億円(前年比+13.1%)、営業利益74億円(同+32.3%)。完成工事高増と粗利率改善で大幅な増収増益。
注目ポイント:グループ内外での建築・土木案件の確実な遂行により、利益率の改善が顕著に表れています。「京王多摩川駅前の再開発(itonami)」をはじめとした駅周辺まちづくりにおいて、ハード面からの支援は不可欠であり、環境配慮型建築(ZEB認証等)のノウハウを持つ施工管理や設計技術者の採用がグループの長期成長を支えます。
生活サービス業
事業内容:スーパー、百貨店、コンビニ、ドラッグストア等の小売および広告、旅行業。
業績推移:営業収益1,460億円(前年比+1.2%)、営業利益58億円(同+9.7%)。ストア業好調と広告・旅行業の貢献で増収増益。
注目ポイント:日常の生活圏を支えるリテール部門が堅調に推移しています。今後は新宿エリアの再開発に伴う一時的な費用計上(資産除去債務)は見込まれるものの、中期的な収益源として、地域ニーズに密着した店舗フォーマットの進化や、デジタルを活用したOMO(オンラインとオフラインの融合)戦略を推進できるリテール・マーケティング人材への期待が高まっています。
3今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年度 決算説明会資料 P.6
2027年3月期の業績予想は、営業収益5,040億円で過去最高を更新する一方、新宿再開発の関連費用などにより営業利益は510億円(前年比△2.5%)の減益を見込んでいます。
京王グループは現在、中期経営計画「HIRAKU2030」のもと、「事業成長と財務課題解決の両立」を目指しています。豊富な営業キャッシュフローと政策保有株式の売却による資金をテコに、不動産販売への投資(棚卸資産上限を引き上げ)や、駅を核としたまちづくりへ積極的に資本を投下する計画です。
また、東京都が推進する「官民連携アフォーダブル住宅供給促進ファンド」への参画や、よみうりランド内の『ポケパーク カントー』への協賛など、外部パートナーとの連携を急速に深めています。そのため、自社のアセットに固執せず、社外のステークホルダーを巻き込んでオープンイノベーションを推進できる事業開発リーダー層の採用が、今後さらに活発になると予想されます。
4求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
「鉄道事業の安定性」にとどまらず、京王多摩川や新宿の再開発、ファンド組成などのハードとソフトを一体とした「まちづくり」への共感が鍵となります。また、CVC設立などに見られる新たな事業創出への意欲的な姿勢に自身のキャリアビジョンを重ね、どのように利益成長に貢献できるかを具体的に言語化すると説得力が増します。
面接での逆質問例
・「不動産領域での私募ファンド組成やREIT展開において、中途採用者がプロジェクトのどのフェーズから裁量を持って携わることができますか?」
・「CVC『京王れーるファンド』の設立などオープンイノベーションが加速していますが、既存の事業部門とスタートアップ企業との連携をスムーズに進める上で、どのような体制が組まれていますか?」
・「交通事業において自動運転の実証実験などDX推進が進んでいますが、技術部門と現場のオペレーション部門との間でどのようなシナジーを期待されていますか?」
5転職者が知っておきたい現場のリアル
昇格の可能性は高く報酬の期待値は高い
上場の大企業の中では水準は平均ほどだと思いますが、人数が少ない分、昇格の可能性は高く報酬の期待値は高いです。
(30代前半・営業企画・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
- 2025年度 決算説明会資料



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