0 編集部が注目した重点ポイント
① 報告セグメントを刷新し経営管理体制を明確化する
2025年度期首より、管理区分を従来の5区分から「交通業」「不動産業」「ホテル業」「建設設備業」「生活サービス業」へと刷新しました。各事業の方針に沿った管理を明確にすることで、専門性を高める構造的変化を図っています。転職者にとっては、各分野でのキャリアパスがより鮮明になり、専門性を発揮しやすい環境が整っています。
② 株式分割の実施により個人投資家層の拡大を図る
2026年3月末を基準日として、1株につき5株の割合で株式分割を実施することを決定しました。投資単位当たりの金額を引き下げることで、株式の流動性を高め、個人投資家を中心とした投資家層のさらなる拡大を目指します。資本市場での存在感を高め、良好な財務体質を活かした攻めの経営姿勢が示されています。
③ 100億円規模の自己株式取得で資本効率を向上させる
株主還元の充実と資本効率の向上を目的に、100億円を上限とする自己株式取得を2025年11月から実施します。取得した株式はすべて消却する予定であり、ROE(自己資本利益率)の向上を意識した経営が加速しています。財務課題の解決と事業成長を両立させる姿勢は、中長期的な安定性を求める求職者にとって大きな魅力です。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年度第2四半期(中間期) 決算説明会資料 P.3
営業収益
2,306億円
+7.7%
営業利益
314億円
−0.8%
中間純利益
217億円
−13.5%
2026年3月期第2四半期の営業収益は、不動産販売業の売上増や建築・土木業の完成工事高増加に加え、鉄道事業の輸送人員増加により、すべてのセグメントで対前年増収となる2,306億円を記録しました。営業利益は人件費や減価償却費の増加により前年同期比で微減となったものの、当初計画を上回るペースで推移しています。
第2四半期までの実績を踏まえ、通期の営業利益予想を従来の500億円から510億円へと上方修正しました。営業利益の進捗率は約61.6%に達しており、中間期として業績は順調に推移していると評価できます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年度第2四半期(中間期) 決算説明会資料 P.15
交通業
【事業内容】鉄道事業およびバス事業を運営し、沿線の移動インフラを支える基幹セグメントです。
【業績推移】営業収益670億円(前年比+17億円)。人件費や新型車両導入に伴う償却費増により減益となりました。
【注目ポイント】新型通勤車両「2000系」の導入や、AI画像解析による駅構内保安体制の強化を推進しています。鉄道事業者として初の試みとなる「KEIO eSTATION」の展開など、DXと新規需要創出の両面で技術職や企画職の活躍機会が広がっています。
不動産業
【事業内容】分譲マンション販売や賃貸、都心部でのリノベーション事業を展開しています。
【業績推移】営業収益486億円(前年比+75億円)。サンウッドによる都心物件販売が牽引し、大幅な増収増益を達成しました。
【注目ポイント】自社新ブランド「HAMMONS(ハモンズ)」の立ち上げや、リビタとの協業による「まちづくり」を加速させています。棚卸資産残高の上限を1,800億円に設定し積極投資を継続しており、不動産開発・仕入れの専門人材への期待が高まっています。
ホテル業
【事業内容】「京王プラザホテル」や「京王プレッソイン」など、多様な宿泊ニーズに応えるホテル運営を行っています。
【業績推移】営業収益287億円(前年比+15億円)。インバウンド需要で単価は上昇したものの、人件費増により減益です。
【注目ポイント】京王プラザホテルの計418室を改装予定であるほか、神田店ではデザイン性の高い新ブランドホテルへの建て替えを計画。うかいとの共同レストラン開業など、高付加価値サービスへの転換に向けた運営のスペシャリストが求められています。
建設設備業
【事業内容】京王建設を中心とした建築・土木工事および、ビル総合管理サービスを提供しています。
【業績推移】営業収益325億円(前年比+49億円)。完成工事高の増加により増収増益を確保しました。
【注目ポイント】ビル総合管理業における受注が好調に推移しており、グループ外物件の獲得も強化しています。インフラ維持管理と資産価値向上のニーズが強まっており、施工管理やビルメンテナンスの資格保有者にとって安定した活躍の場となっています。
生活サービス業
【事業内容】スーパーマーケット「京王ストア」、コンビニ、ドラッグストア、広告業などを展開しています。
【業績推移】営業収益703億円(前年比+20億円)。店舗網の好調により増収を達成、利益は前年並みを維持しました。
【注目ポイント】2025年11月に京王書籍販売株式会社を連結除外とするなど、ポートフォリオのスリム化を推進中。一方で、ストア業では客単価・来店客数ともに増加傾向にあり、地域密着型のリテール戦略におけるMD(マーチャンダイジング)強化が続いています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年度第2四半期(中間期) 決算説明会資料 P.5
京王グループは中期経営計画「HIRAKU2030」に基づき、将来の成長に向けた投資を加速させています。今年度中にはコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)を設立予定で、スタートアップ企業との共創を通じて既存事業の課題解決や新規成長領域への進出を図ります。これまで累計約30億円の出資実績がありますが、専任のCVC組織により「オンリーワンの価値創出」を狙うとしています。
人的資本経営への注力も顕著で、「JPX日経インデックス人的資本100」への選定や、鉄道業界初となる「TOKYOパパ育業促進企業(シルバー)」への登録など、働きやすさと働きがいの両立を対外的に証明しています。短日数勤務制度の導入や介護休暇の有給化など、多様なライフスタイルを支える制度設計が進んでおり、経験者採用においても「定着性の高さ」が大きな武器となる見通しです。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
京王グループは、2025年度からのセグメント刷新により、各事業が独立した専門組織として成長を加速させています。特に不動産業での自社ブランド「HAMMONS」の展開や、交通業でのAI保安体制といった「既存インフラ×先端技術」の取り組みに触れ、自身の専門スキルをどう活かして「沿線の未来を切りひらく(HIRAKU)」に貢献したいかを語ることが効果的です。
面接での逆質問例
・「今年度設立予定のCVCを通じて、私の所属予定部署ではどのような外部パートナーとの共創を期待されていますか?」
・「セグメント刷新後、各事業のROA(総資産利益率)管理が実行されていますが、現場の意思決定スピードや投資判断の基準にどのような変化がありましたか?」
・「人的資本経営の強化が進む中、中途採用者が早期に活躍するためのオンボーディング体制や、管理職への登用実績について教えてください。」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
経営者になることがキャリアのゴール
総合職はグループ企業の経営者になることがキャリアのゴールのため、若くからジョブローテーションとして3-5年ごとに職種や業種をまたぐ異動が行われます。
(30代前半・営業企画・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2025年度第2四半期(中間期) 決算説明会資料(2025年11月14日開催)
- 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)(2025年11月10日発表)



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。