0編集部が注目した重点ポイント
①連結純利益256億円、3期連続の増益を達成した
2026年3月期の親会社株主に帰属する当期純利益は256億円(前年比+24.2%)で3期連続の増益となり、連結ROE(自己資本利益率=株主資本に対する利益の割合)は前年の5.0%から6.6%へ上昇しました。貸出金利息や有価証券利息配当金の増加による資金利益の拡大が主因で、単体では2026年4月28日公表の業績予想どおりに着地しています。
②道内人材派遣最大手キャリアバンクを子会社化した
当期末後の2026年4月28日、TOB(株式公開買付け)でキャリアバンクの株式を取得し連結子会社化(議決権比率88.26%)、同年7月16日には子会社2社を含め完全子会社化しました。銀行グループの取引ネットワーク・店舗網と人材供給機能を掛け合わせる狙いで、人材関連の新領域でキャリア機会が広がる可能性があります。2026年3月期の業績には含まれず、来期以降は前年と単純比較できない点に注意が必要です。
③新中計で2028年度に純利益500億円程度を目指す
2027年3月期から3年間の中期経営計画が始まり、最終年度の2028年度に親会社株主に帰属する当期純利益500億円程度、連結ROE11%程度、連結コアOHR(本業の粗利益に対する経費の割合)50%程度を掲げています。「北海道密着戦略」「完全デジタル化戦略」など5つの柱を軸に、2026年3月期の256億円から約2倍の利益水準を目指す計画です。
1連結業績ハイライト
出典:北洋銀行 会社説明会資料(2026年8月20日) P.8
経常収益
2,359億円
前年比 +56.6%
経常利益
375億円
前年比 +33.7%
親会社株主に帰属する当期純利益
256億円
前年比 +24.2%
連結コア業務純益
440億円
前年比 +38.9%
※連結コア業務純益 = 連結粗利益(国債等債券関係損益を除く)- 経費(臨時処理分を除く)。債券売買の損益に左右されない、銀行の本業のもうけを示す指標です。
増益の主因は、貸出金利息(連結885億円、前年668億円)や預け金利息の増加による資金利益の拡大です。単体の貸出金平残(期中の平均残高)は8兆2,028億円(年率+7.0%)に伸び、特に事業者向け貸出が+16.8%と大きく増加しました。なお、経常収益が+56.6%と大きく伸びた背景には、株式売却益を活用して低利回り債券の入替を進めたことがあり、連結の国債等債券関係損益は△570億円、株式等関係損益は+535億円とほぼ相殺される形となっています。
進捗状況については、単体の経常利益359億円・当期純利益251億円が、いずれも2026年4月28日公表の業績予想に対して100%の着地となり、通期決算として順調な結果といえます。年間配当も28円(前年19円)へ増配しました。
2事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:北洋銀行 会社説明会資料(2026年8月20日) P.7
銀行業(北洋銀行)
事業内容
北海道を地盤に預金・貸出・資産運用などを手がけます。資金量・貸出金ともに道内トップシェアを持ち、メインバンク取引社数は地方銀行トップです。
業績推移
経常収益2,068億円(前年比+67.9%)、セグメント利益359億円(同+35.0%)。株式売却益の計上に加え、事業者向け貸出の増加と利回り上昇が寄与しました。
注目ポイント
道内ではGX(グリーントランスフォーメーション=脱炭素に向けた産業転換)関連で2030年度までに約6兆円の投資が見込まれ、同行のGX関連融資は2026年6月末で累計4,387億円に達しました。次世代半導体のRapidus社へ50億円を出資し、関連融資の増加も見込みます。道内に本店を置く金融機関で初めて信託業務の兼営認可を取得しており、事業性融資や資産承継を担う専門人材の重要性が高まっています。
リース業
事業内容
企業向けのリース事業です。グループでは札幌北洋リースが資金調達の機能を担い、グループ全体戦略に基づくリース資産の積上げを進めています。
業績推移
経常収益250億円(前年比+5.5%)、セグメント利益8億円(同+0.9%)と、増収・増益で安定的に推移しました。
注目ポイント
「北海道密着戦略」などグループ全体戦略に沿って、銀行の取引基盤を生かしながらリース資産を積み上げる方針です。道内でGXや半導体関連の投資が見込まれる中、設備投資ニーズに応える資金調達手段の一つとして、銀行と連携した提案力が求められる領域です。
その他(信用保証業など)
事業内容
報告セグメントに含まれない事業で、信用保証業などが含まれます。
業績推移
経常収益95億円(前年比+6.0%)、利益16億円(同+6.2%)と増収増益でした。
注目ポイント
グループには北洋証券(銀証連携の深化)、札幌北洋カード(キャッシュレス)、北洋キャピタル(ファンドを通じた事業再生支援)などがあり、銀行と連携したグループ戦略のもとで既存事業の磨き上げが進められています。
新事業領域(非金融・多角化戦略)
事業内容
人材関連のキャリアバンク、AI活用支援のAI Ignition、業界再編を支援する北海道マザーインベストメントなど、金融以外で北海道の社会課題を解決する事業です。
業績推移
2026年3月期の業績には含まれません(キャリアバンクは2026年4月28日に連結子会社化)。(注:来期以降、前年同期は未連結のため単純比較不可)
注目ポイント
キャリアバンクは2026年7月16日に完全子会社化され、銀行の道内取引ネットワークと求職者人材プールを掛け合わせ、道内企業の人手不足解消を目指します。北海道マザーインベストメントはMOEホールディングスと共同で設立した持株会社を通じ、2026年7月1日付でTMらいふサポートの全株式を取得しました。AI Ignitionは2026年8月に法人化しています。
3今後の見通しと採用の注目点
出典:北洋銀行 会社説明会資料(2026年8月20日) P.13
2027年3月期の連結業績予想は、経常利益444億円(前年比+18.2%)、親会社株主に帰属する当期純利益294億円(同+14.8%)です。2027年3月末の政策金利1.00%を前提に、預貸シェア拡大と利回り上昇で資金利益を伸ばし、人財投資や戦略的投資による経費の増加(単体で+60億円の見込み)を吸収する計画です。足元の第1四半期(単体)では、四半期純利益が95億円と札幌銀行合併(2008年10月)以降で過去最高益を計上しました。年間配当は32円へ4円の増配を予想しています。一方で、業績予想は今後のマーケットや経済状況によって変わる可能性があるとされ、金利上昇による有価証券の評価損(単体△184億円)など金利動向の影響には注意が必要です。
採用面では、2025年7月に「実力本位・処遇の納得性向上・自律性」を掲げる新人事制度「ポラリス」を開始し、エンゲージメントスコアは2026年3月に68(2028年3月目標77)へ上昇しました。採用選考参加者は1,417人(2026年3月)から1,800人(2029年3月)への拡大を目指し、通年採用・中途採用の拡大を打ち出しています。2028年度末に年間公募数100名を掲げるなど、入行後のキャリアアップ機会の整備も進んでいます。
4求職者へのアドバイス
HINT志望動機のヒント
- 「北海道に特化」という明確なポジションのもと、GXや次世代半導体など道内の大型プロジェクトを金融面から支えたいという動機は、同行の成長戦略と重なります。
- キャリアバンクの子会社化やAI Ignitionの設立など、ファイナンスに留まらない事業で地域課題の解決に関わりたいという視点は、非金融・多角化戦略への共感として伝えやすいポイントです。
- 実力本位・自律性を掲げる新人事制度「ポラリス」のもとで、公募制度などを活用して主体的にキャリアを築きたいという姿勢は、中途採用の拡大方針とも合致します。
Q&A面接での逆質問例
- 「キャリアバンクとの連携により、法人営業の担当者が取引先の人材課題の解決に関わる機会は、今後どのように広がっていきますか。」
- 「中期経営計画で連結ROE11%程度を目指す中、GX・半導体関連融資の分野で中途入行者に期待される専門性や役割を教えてください。」
- 「新人事制度「ポラリス」の開始から1年でエンゲージメントスコアが上昇した要因と、年間公募の具体的な運用状況を教えてください。」
5転職者が知っておきたい現場のリアル
業界(地方銀行)の将来性に不安を感じ転職
業界(地方銀行)の将来性に不安を感じ転職。道内でシェアが高いと言えど、経済規模は縮小していくので将来今の従業員数をキープできるとは思わなかった。
(法人営業・30代前半・男性) [キャリコネの口コミを読む]顧客からの信頼度も高く、飛び込み営業でも嫌な顔をされない
既存セールスが多く、シェアも高いため顧客からの信頼度も高く、飛び込み営業でも嫌な顔をされないケースが多い。自分の努力次第で顧客と良いリレーションを気付ければ成績も自ずとついてくる。
(法人営業・30代前半・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 株式会社北洋銀行 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
- 株式会社北洋銀行 2026年3月期 決算説明資料
- 株式会社北洋銀行 会社説明会資料(2026年8月20日)



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