0編集部が注目した重点ポイント
①約240億円の在庫処分を断行し、来期は営業益3倍超を目指す
2026年3月期は第4四半期に約240億円規模の戦略的在庫処分を実施し、営業利益は161億円(前期比62.2%減)となりました。ただし在庫処分影響を除いた概算の最終利益は307億円(同14.4%増)です。2027年3月期は営業利益515億円(同218.6%増)を計画しており、在庫を絞り高粗利なPB(プライベートブランド)・SPA(製造小売)のオリジナル商品の売場展開を加速させる構えです。
②トクラスと東和総合住宅を子会社化し、住建事業を拡充する
当期中に、ヤマダホームズが東和総合住宅の全株式を取得(2025年12月31日をみなし取得日)し、ヤマダホールディングスがトクラスの株式を取得(2026年3月31日をみなし取得日)しました。会社は2027年3月期の住建セグメントで両社のグループ入りによるシナジー発揮を掲げており、住宅・住設分野のキャリア機会が広がる可能性があります。前期との単純比較には注意が必要です。
③約1,300億円の資産売却で、PBR1倍の早期達成を狙う
会社は主にデンキセグメントのノンコア資産や保有株式など総額約1,300億円規模(取得額ベース)の資産売却を、2年以内を目途に進め、PBR(株価純資産倍率)1倍割れを前倒しで解消する方針を示しました。得た資金はLIFE SELECT店舗開発やM&A投資、有利子負債の削減、株主還元に振り向けます。「売上・利益重視」から「資産効率・キャッシュフロー重視」への経営転換を打ち出しています。
1連結業績ハイライト

出典:株式会社ヤマダホールディングス 2026年3月期 決算説明会資料 P.3
売上高
1兆6,918億円
前期比 +3.9%
営業利益
161億円
前期比 -62.2%
経常利益
200億円
前期比 -58.4%
親会社株主に帰属する当期純利益
147億円
前期比 -45.1%
※会社は参考値として「在庫処分影響(約240億円規模)を除いた場合の概算の最終利益」を307億円(前期比114.4%)と開示しています。これは当期のみの一時的な在庫処分の影響を取り除き、事業の実力値を示すための概算値です。
売上面では、一部家電の買い控えが見られたものの、LIFE SELECT(くらし体験・体感・完結型店舗)の店舗開発やEC(ネット通販)、SPA商品が貢献し、住建セグメントも年度末にかけて着工・完工売上を伸ばしました。四半期で見ると第4四半期の売上高は4,837億円(前年同期比11.1%増)と下期にかけて売上が大きく伸長しています。一方で利益面は、約240億円規模の在庫処分に加え、第3四半期までのポイント施策強化に伴う会計上の先行的な利益負担や、一部大型店舗の退店が重荷となりました。
通期決算のため進捗率ではなく通期の着地で評価すると、報告ベースでは大幅減益で「進捗が遅れている」状況です。ただし在庫処分影響を除いた概算最終利益は前期比14.4%増であり、会社はポイント施策の会計影響が第4四半期で逆転し利益貢献のフェーズへ入ったと説明しています。数値の回復は2027年3月期の実績で確認する必要があります。
2事業別分析:転職者が活躍できるフィールド

出典:株式会社ヤマダホールディングス 2026年3月期 決算説明会資料 P.9
デンキセグメント(ヤマダデンキ ほか)
事業内容ヤマダデンキを中心に、家電・情報家電の販売に加え、リフォームや家具・インテリア(大塚家具事業部を含む)など住まいに関する商品を提供しています。
業績推移売上高1兆3,294億円(前期比1.3%増)、営業利益24億円(同91.7%減)。在庫処分影響を除いた概算営業利益は264億円(同12.3%減)です。上期の売上は前年同期比98.1%でしたが、下期は104.6%と大きく伸長しました。
注目ポイント中計の成長分野ではPB+SPA商品売上が1,522億円(前期比24.1%増)、ECが1,152億円(同13.1%増)、デジタル会員数は3,125万人に拡大しました。LIFE SELECTは41店舗で国内直営店舗総売上に占める比率は20.1%に達し、2027年3月期も10店舗の出店を計画しています。商品開発と店舗網・ECを融合させる戦略のため、企画・データ活用人材の重要性が増しています。なお、2025年6月の子会社合併に伴い、住設建材・家庭機器の卸売及び販売事業は「その他」から本セグメントへ移管されています。
住建セグメント(ヤマダホームズ・ヒノキヤグループ・ハウステック ほか)
事業内容戸建て住宅を中心とした住宅販売と、バスやキッチンなど住宅設備機器の製造・販売を行っています。
業績推移売上高3,338億円(前期比12.3%増)、営業利益102億円(同9.4%増)。改正建築基準法・建築物省エネ法の施行に起因する着工・完工遅れを年度末にかけて着実に挽回しました。(注:ヒノキヤグループは決算期変更により当期が15か月決算のため、前期比は単純比較できません)
注目ポイントヒノキヤグループの受注金額は前期比37.4%増、ヤマダホームズの注文住宅受注は同13.8%増と、受注残高が積み上がっています。ハウステックはシステムバス・システムキッチン等が好調で増収増益でした。新たに子会社化した東和総合住宅・トクラスとの連携も加わり、2027年3月期は営業利益139億円(同35.6%増)を計画。ヤマダデンキ店舗内の「住まいの相談カウンター・ヤマダ不動産」など家電と住まいをつなぐ接点が広がっています。
金融セグメント
事業内容「くらしまるごと」をコーディネートするサービスの一環として、新築、リフォーム、資金決済、保険商品、ライフプラン提案の5分野で金融商品を展開しています。
業績推移売上高47億円(前期比4.8%増)、営業利益約12.6億円(同3.7%減)。リフォームローンや「ヤマダのくらしまるごと保険」等の少額短期保険の取扱高は伸びた一方、市場金利上昇による調達コスト増で減益となりました。
注目ポイント2027年3月期は営業利益約15.2億円(前期比20.8%増)を計画。住建セグメントと連携したフラット35を中心とする住宅ローンの拡大、LABIカード事業の拡大、保険商品の販売チャネル拡充によるストック収益(継続的に積み上がる収益)の拡大を掲げており、グループの顧客基盤を生かせる金融人材が求められます。
環境セグメント
事業内容家電やパソコンを中心とした製品のリユース・リサイクル・再資源化事業を展開しています。
業績推移売上高428億円(前期比18.6%増)、営業利益約18.7億円(同14.5%増)。リユース家電・PCの生産体制強化により二桁の増収増益となりました。
注目ポイント再製品化した商品は全国のヤマダデンキ350店舗以上で展開しており、グループ完結型の資源循環システムづくりが進んでいます。廃棄物焼却発電施設の建設は予定通り進捗し2027年稼働予定で、2027年3月期は同セグメントに100億円の成長投資を計画しています。循環型経済への貢献という社会的意義が大きく、工場運営やプラント関連の人材ニーズが高まる領域です。
その他セグメント(コスモス・ベリーズ ほか)
事業内容報告セグメントに含まれない事業で、コスモス・ベリーズなどが含まれます。
業績推移売上高101億円(前期比11.7%減)、営業利益約1.8億円(同8.7%増)。利益重視のビジネスモデルへの転換により減収増益となりました。
注目ポイント売上規模を追うよりも収益性を重視する方向に舵を切っており、グループ全体で進む「資産効率・稼ぐ力重視」の方針を体現する事業の一つといえます。
3今後の見通しと採用の注目点

出典:株式会社ヤマダホールディングス 2026年3月期 決算説明会資料 P.33
2027年3月期は売上高1兆7,800億円(前期比5.2%増)、営業利益515億円(同218.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益278億円(同88.1%増)を計画しています。デンキセグメントでは「LIFE SELECT店舗開発と、PB・SPA商品開発の構造改革推進で、V字成長を実現する」と掲げ、営業利益345億円を見込みます。中計最終年度(2030年3月期)には売上高2.2兆円、経常利益1,000億円、ROE(自己資本利益率)8.5%を目標としています。
あわせて業務効率化推進室を中核に、本社機能のDX(デジタル技術による変革)化・合理化、物流サプライチェーンの適正化、店舗統廃合による人材の適正配置などの全社的な組織・構造改革を進める方針です。一方で、物価上昇による節約志向や、中東情勢など地政学リスクに伴うエネルギー・物流コストの上昇が懸念材料として挙げられています。また約1,300億円規模の資産売却は、売却先候補との交渉など現時点で不確定な部分も多いとされており、進捗と業績への影響は今後の開示を確認する必要があります。
4求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
- 家電・住宅・金融・環境を束ねる「くらしまるごと」戦略に共感し、家電販売にとどまらない住まい全体の提案に携わりたい、という軸は説得力を持ちます。
- PB+SPA商品の売上構成比を中計最終年度に20%超へ高める方針を踏まえ、商品企画や品揃え改革で粗利改善に貢献したいという動機が有効です。
- 在庫処分や資産売却など「資産効率重視」への経営転換期にある今だからこそ、改革の当事者として成長に関わりたいという視点も伝えられます。
面接での逆質問例
- 「店舗統廃合に伴う人員の配置転換が進む中で、新店やLIFE SELECTで求められる人材像や評価のポイントはどのように変わっていますか」
- 「トクラスや東和総合住宅のグループ入りにより、デンキと住建の部門間連携は現場レベルでどのように進んでいますか」
- 「本社機能のDX化を進める中で、データ活用や生成AIを担う人材にはどのような役割が期待されていますか」
5転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
積極的に勉強して相談していかないとやっていけない
新卒で黒物担当で入社しましたが、ワンフロアだったため黒物商品に限らず冷蔵庫やエアコンなどの白物家電にも接客に回りました。黒物商品を覚えてから徐々に白物商品も覚えていくのであればよかったのですが、そうではなかったためついていくのが大変でした。自ら積極的に勉強して相談していかないとやっていけないと思います。
(フロアスタッフ・20代前半・男性) [キャリコネの口コミを読む]お客様に喜んでもらえた時はやりがいを感じました
お客様に喜んでもらえた時はやりがいを感じました。ほかには売り上げや取次をとれた時は嬉しかったです。売るだけでなく、有料保証やクレジットカード、住まいのリフォーム、携帯会社やインターネットの提案などをお客様に勧めるのは非常に難しかったです。
(フロアスタッフ・20代前半・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 株式会社ヤマダホールディングス 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
- 株式会社ヤマダホールディングス 2026年3月期 決算説明会資料



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