0編集部が注目した重点ポイント
① 金利収益の拡大で経常利益が44.1%増え過去最高を更新した
2026年3月期通期の連結経常利益は1,030億円(前年比+44.1%)、当期純利益は730億円(同+43.9%)となり、経常収益・経常利益・純利益のいずれも過去最高を更新しました。日銀の政策金利引き上げとミドルリスクアセット(当行がミドルリスクと考える運用資産)の積み上げにより、金利収益(資金運用収益)が前年比+54.1%と大きく伸びたことが牽引役です。2月に修正した業績予想もすべての項目で上回って着地しています。
② 楽天グループのフィンテック事業再編に向けた協議を再開した
2026年2月25日、楽天グループとの間でフィンテック事業再編に向けた協議の再開始に合意し、基本合意書を締結しました。楽天銀行、楽天カード、楽天証券ホールディングス等のフィンテック事業全体を1つのグループに集約する組織再編を想定し、2026年10月の効力発生を予定しています(監督官庁の許認可等により日程変更の可能性あり)。再編後もプライム市場への上場継続が想定されており、銀行・カード・証券の連携が深まることで、グループ横断のキャリア機会が広がる可能性があります。なお、連結業績への影響は現時点で算定できないとされています。
③ 口座数が1,800万を突破し預金残高は12.9兆円に拡大した
2026年3月12日時点で口座数1,800万口座を突破し、3月末の口座数は1,807万口座(前年比+124万口座、+7.3%)となりました。預金残高も12.9兆円(同+12.9%)と、口座数を上回るペースで拡大しています。口座振替や給与受取に使われるメイン口座数も590万口座(同+7.6%)と総口座数以上の伸びを示し、口座数・預金残高ともに国内デジタルバンクNo.1(2025年12月末時点)の地位を維持しています。
1連結業績ハイライト
出典:楽天銀行 2026年3月期 決算説明会資料 P.10
経常収益
2,555億円
前年比 +38.4%
経常利益
1,030億円
前年比 +44.1%
親会社株主に帰属する当期純利益
730億円
前年比 +43.9%
ROE(自己資本利益率)
21.7%
前年比 +3.6pts
※経常収益は銀行の売上高に相当する指標です。資料では参考値として「フィンテック再編PJ関連費用(2026年3月期:184百万円)を除く」経常利益1,032億円(前年比+41.8%)、当期純利益732億円(同+41.6%)も開示されています。
経常収益の内訳を見ると、金利収益(資金運用収益)が1,976億円(前年比+54.1%)と大きく伸び、日銀の利上げ効果だけで+191億円の増益要因となりました。非金利収益(手数料等)も570億円(同+2.7%)とプラスを確保しています。一方、営業経費は人件費・ソフトウエア償却費・広告宣伝費等の増加で569億円(同+22.8%)に拡大しましたが、単体の経費率(営業経費÷業務粗利益)は32.3%と前年から3.2pts改善し、規模拡大による効率化が進んでいます。
通期実績は、2月に修正した業績予想に対して経常収益100.4%、経常利益101.8%、当期純利益102.5%の達成率となり、全項目で予想を上回る着地となりました。前年比でも4割前後の増益を実現しており、業績は順調に推移したと評価できます。
2事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:楽天銀行 2026年3月期 決算説明会資料 P.45
個人のお客さま向けビジネス
事業内容:預金・資産運用、振込・送金、決済、個人向けローン、資産管理ツールなどを1つのアプリで提供し、楽天グループの70超のサービスと連携しています。
業績推移:口座数1,807万口座(前年比+7.3%)、預金残高12.9兆円(同+12.9%)。単体の非金利収益は548億円(同+2.4%)、決済件数は9億7,700万件(同+9.1%)と口座数の伸びを上回る稼働を示しています。
注目ポイント:メイン口座(口座振替または給与・賞与受取口座)は非メイン口座に比べ、口座当たりの平均収益・平均預金残高がともに約5倍です。ボーナス金利プログラムや楽天カードアプリ内での残高表示など、預金獲得に向けたUI/UX改善が続いており、楽天エコシステムを活かしたマーケティングとアプリ体験を磨く人材の重要性が高まっています。
法人・個人事業主のお客さま向けビジネス
事業内容:システム内製化による利便性の高いネットサービス、Face to Faceの担当者による総合取引、1,700万超の個人顧客基盤を活かした法人顧客のBtoC/CtoB取引支援を特徴とします。
業績推移:単体の法人融資残高は1,130億円と前年度末比+148.6%に拡大。ABL(Asset-Based Lending:資産を担保とする融資)も1兆3,299億円(同+12.8%)に伸びました。
注目ポイント:国内デジタルバンクにおけるメイン取引社数No.1(東京商工リサーチ・帝国データバンク調べ)を獲得しています。BaaS(Banking-as-a-Service)を通じてJR東日本グループと「JRE BANK」を提供するなど、事業会社や地域金融機関との協業も拡大しており、法人の多様な決済ニーズに対応できる営業・企画人材の活躍余地が大きい領域です。
証券化ビジネス
事業内容:楽天信託と協働し、楽天カードのクレジットカード債権の証券化資産、資産流動化、不動産ファイナンスなどのワンストップの証券化サービスを提供しています。
業績推移:単体の買入金銭債権は3兆1,986億円(前年度末比+13.0%)、ABLと買入金銭債権その他を合わせた証券化アセットは2兆1,906億円(同+25.4%)に拡大しました。
注目ポイント:楽天グループ独自アセットの創出は、金利収益を伸ばす「イールドエンハンスメント(運用利回りの向上)」の柱です。一方、証券化ビジネスの一部プロジェクト案件のパフォーマンス実績に基づき一般貸倒引当金が増加しており、リスクを見極めながらミドルリスクアセットの比率を高めるストラクチャリング・審査の専門性が求められています。
台湾:楽天国際商業銀行
事業内容:楽天銀行50%、楽天カード1%、IBF社49%出資の合弁会社で、個人向けオンラインバンキングを中心とした台湾でのデジタル銀行業を2021年1月から営んでいます。
業績推移:当期の経常収益は54億円(前年比+14億円)に増加した一方、経常費用は83億円(同+11億円)を計上しています。
注目ポイント:収益は着実に伸びているものの費用が収益を上回る段階にあり、事業拡大と収益化の両立が課題です。台湾における楽天エコシステムと連携しつつ、日本で培ったデジタルバンクのノウハウを海外で展開するグローバルなキャリアの接点となりえます。
3今後の見通しと採用の注目点
出典:楽天銀行 2026年3月期 決算説明会資料 P.50
2027年3月期は、政策金利0.75%(追加利上げを織り込まず)を前提に、経常収益3,146億円(前年比+23.1%)、経常利益1,156億円(同+12.1%)、当期純利益813億円(同+11.2%)と過去最高の更新継続を計画しています。簡易シミュレーションでは、政策金利が+25bp上がった場合、年間の金利収支に+145億円のインパクトがあるとされます。
戦略的投資では「口座数の10%成長」「預金量の口座数以上成長」「業務効率30%改善」を掲げ、社長主導のAI推進委員会も設置しました。2025年度のAI活用による利益貢献額は約58億円(PoC中の案件を含む)とされ、システム関連部署の人員比率は55.6%に達しています。なお、2025年6月には東林知隆氏が代表取締役社長に就任しています。
一方で、日銀の貸出増加支援基金は2028年3月末で制度終了となり借用金の返済が進むことや、与信関係費用の増加など、調達・リスク面の課題も認識されています。また、中長期ビジョンは金利のある世界を踏まえ見直す予定ですが、足元では新たな目標設定よりフィンテック事業再編を優先して検討する方針です。2027年3月期には再編関連費用29億円を見込んでおり、配当は成長投資を優先して無配を継続します。
4求職者へのアドバイス
HINT志望動機のヒント
- 支店や自社ATMを持たず、自社でシステム開発・保守・運用を行うデジタル特化のビジネスモデルに共感し、顧客目線のUI/UX改善に携わりたいという軸は説得力があります。
- 口座数1,800万を超える顧客基盤と楽天エコシステムを掛け合わせ、メイン口座化やクロスセルに挑戦したいという視点は、同社の成長戦略と合致します。
- AI推進委員会による全社的なAI活用や、銀行・カード・証券の連携強化といった変革期に、自身の専門性を活かしたいという意欲を伝えるのも有効です。
Q&A面接での逆質問例
- 「フィンテック事業再編が実現した場合、配属予定部署の業務や楽天カード・楽天証券との協働のあり方はどのように変わると想定されていますか。」
- 「メイン口座化の推進において、現場で最も重視しているKPIや施策を教えてください。」
- 「AI推進委員会の取り組みについて、現場の推進担当者はどのような形で施策の検討・実行に関わっていますか。」
5転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
食堂で朝食
食堂で朝食、昼食、夕食が無料で提供されます。 混雑してはいますが、最大限利用すれば平日の食費がかからないようなものなので、特に独身者にとってはいい制度と言えます。 転職して出ていく際に、食費が増える分を給与に還元する交渉をすることで給与を上げた人もいると聞きます。
(その他・20代後半・男性) [キャリコネの口コミを読む]全社員がコールセンターのお手伝いをします
全社員がコールセンターのお手伝いをします。その時間は毎月15時間程度です。この業務があるために、会議も設定しづらく仕事の進みが悪いです。 手伝いをするからといって業務が減るわけでもなく、主業務に役立つスキルが身につくわけでもないので、キャリアを真剣に考える人にとってはかなり悪い環境と言えます。
(その他・20代後半・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 楽天銀行株式会社 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
- 楽天銀行株式会社 2026年3月期 決算説明会資料



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