※本記事は、楽天銀行株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
楽天銀行は、楽天グループが出資するインターネット専業銀行です。日本と台湾で個人・法人向けに多様な銀行サービスを提供しており、利便性とスピード感を重視した「安心・安全で最も便利な銀行」を目指しています。
単体従業員数は987名、連結従業員数は1,186名です。同社グループのセグメントは銀行業の単一です。
主な国内グループ会社は、楽天信託(信託業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
楽天銀行は、金融業界においてデジタル技術を駆使した革新的なサービスを提供しており、その事業特性が働き方にも反映されています。従業員一人ひとりの専門性と成長を重視し、多様な働き方を支援する環境が整備されている傾向が見られます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の平均年齢が比較的若く、平均勤続年数も一定の期間を示しています。これは、新しい人材が継続的に加わりつつも、一定期間のキャリアを築いている従業員もいることを示唆しています。多様なバックグラウンドを持つ人材を積極的に採用し、育成にも力を入れていることが、このような年齢構成や勤続年数に表れていると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,072,000円 |
| 平均勤続年数 | 5.5年 |
| 平均年齢 | 37.4歳 |
| 単体従業員数 | 987人 |
| 連結従業員数 | 1,186人 |
| 単体のグループ内比率 | 83.2% |
同社グループは、退職給付制度として確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する制度)を採用しています。退職一時金制度があり、各社の就業規則等の退職金規程に基づき、給与や勤務期間等に基づいた金額が支払われます。確定給付制度における退職給付債務は17.6億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」というミッションのもと、人材を重要な経営資本と位置付け、従業員一人ひとりの活躍を後押しする人材戦略を掲げています。金融業界の急速な変化に対応するため、金融経験者だけでなくIT技術者やデータサイエンティストなど多様なバックグラウンドを持つ人材を積極的に採用しています。
育成面では、デジタル人材や顧客志向の人材を育成するため、イーラーニングやOJT、オンライン学習システム、英語学習・資格取得支援制度など、多岐にわたる研修や支援を提供しています。従業員が主体的に能力開発やキャリア形成に取り組めるよう、キャリア開発を目的とした研修やジョブローテーションも実施しています。
報酬制度においては、経営状況と公正な評価制度に基づき、従業員が発揮した行動(コンピテンシー)と成果(パフォーマンス)を評価します。コンピテンシー評価で月額給与、パフォーマンス評価で賞与が決定され、ストックオプションの付与を通じて長期的な企業価値向上へのインセンティブも提供されています。また、性別やライフステージを問わず活躍できる環境を整備するため、在宅勤務制度や育児支援休暇、時短勤務、不妊治療特別休暇など、柔軟な勤務制度を導入し、従業員の健康保持にも努めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。男性労働者の育児休業等取得率は、対象年度中に育児休業を取得開始した人の割合を計上しており、年度により100%を超える場合があります。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 17.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 63.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 65.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 56.6% |
人材育成・エンゲージメント
同社単体の人材育成に関する指標です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 全社研修参加率 | 100% |
| 金融コンプライアンス・オフィサー2級認定率 | 98% |
多様性・登用
同社単体の女性活躍推進法に基づく指標です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職(リーダー職以上)に占める女性労働者の割合 | 28.1% |
育児・介護支援
同社単体の次世代育成支援対策法に基づく指標です。男性労働者の育児休業取得率は、対象年度中に育児休業を取得開始した人の割合を計上しており、年度により100%を超える場合があります。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 育児休業取得率(女性) | 100% |
| 育児休業取得率(男性) | 45% |
| 平均所定外労働時間 | 約25時間 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
楽天銀行は、インターネットを活用した銀行として、個人および法人向けに多岐にわたる金融サービスを提供しています。同社グループは、楽天エコシステムとの連携を強みとし、効率的な事業運営と顧客基盤の拡大を推進しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
楽天銀行は、楽天グループ株式会社が出資するインターネットを活用した銀行であり、日本と台湾において個人・法人(事業性個人を含む)に対し、多様なニーズに応える銀行サービスおよびこれに付随する金融サービスを提供しています。同社グループは、物理的な支店や自前のATMを持たず、インターネットを通じてサービスを提供することで、比較的低コストでの事業運営を実現しています。
個人ビジネスでは、「生活口座として利用される銀行」を目指し、給与・賞与の受け取り、公共料金や携帯電話料金、クレジットカード利用代金などの口座振替、各種支払いを行うための振込、振替、海外送金、資産運用といった幅広いニーズに対応しています。また、キャッシュレス社会の進展に対応し、デビットカード、プリペイドカード、楽天ペイにおける同社口座からの即時払いサービスなど、多様なキャッシュレスペイメント手段を提供しています。法人ビジネスにおいては、融資、預金、為替を含む全ての銀行サービスを顧客のニーズに合わせて提供し、「取引先企業の規模に関わらず全ての取引先に利便性を提供する銀行」を目指しています。
同社グループの収益モデルは、楽天エコシステムとのシナジーを追求し、楽天グループの強固な顧客基盤を活用した新規顧客獲得とロイヤリティ向上に特徴があります。具体的には、楽天ポイントプログラムの提携や楽天証券株式会社との口座連携(マネーブリッジ)、銀行代理業の委託などを通じて、楽天グループのサービスと組み合わせた付加価値の高い銀行サービスを提供しています。また、自行でシステムの開発、運用、保守を行う体制を構築しており、これによりシステムコストにおける高い競争力と、柔軟かつスピード感のあるシステム開発を実現しています。AIの活用も積極的に進め、潜在顧客の特定、ローン審査モデルの構築、業務効率化、広告ビジネスの強化に貢献しています。
同社グループは、口座数1,807万口座、預金量12兆9,645億円と、日本のインターネット銀行業界において最大の顧客基盤を有しています(2026年3月末現在)。2026年3月期における非金利収益は、経常収益の約20%を占めており、役務取引等収益やその他業務収益として計上されています。主要な顧客として楽天グループ株式会社及びそのグループ会社からの経常収益が確認されており、同社グループとの連携が収益に大きく貢献しています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5期にわたり堅調な成長を示しています。経常収益は継続的に増加しており、それに伴い経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も順調に拡大しています。特に直近の2026年3月期においては、経常収益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに大幅な伸びを見せています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 経常収益 | 1,060億円 | 1,204億円 | 1,380億円 | 1,845億円 | 2,556億円 |
| 経常利益 | 279億円 | 387億円 | 484億円 | 715億円 | 1,031億円 |
| 経常利益率 | 26.3% | 32.2% | 35.1% | 38.8% | 40.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 200億円 | 277億円 | 344億円 | 508億円 | 731億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 121.84 | 168.37 | 198.42 | 291.03 | 418.76 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの生産性を見ると、従業員1人あたりの経常収益および経常利益は前期から増加しています。これは、事業規模の拡大と効率的な運営が従業員一人ひとりの稼ぐ力に反映されていることを示しています。入社を検討する方にとって、同社グループが持続的に収益を伸ばし、組織全体の生産性向上に取り組んでいる状況がうかがえます。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり経常収益(連結) | 171.5百万円 | 215.5百万円 |
| 従業員1人あたり経常利益(連結) | 66.5百万円 | 86.9百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
楽天銀行グループは、堅実な資金の出入りを維持しつつ、将来に向けた投資を積極的に行っている状況です。現在の財務状況から、同社グループの安定性と成長への姿勢が見えてきます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
楽天銀行の財務基盤は、純資産と自己資本比率、そして手元資金の状況から判断できます。当期末の純資産は3,895億円、自己資本比率は2.2%となっています。ROE(自己資本利益率)は21.7%を示しています。現金預け金は4兆1,396億円を確保しており、十分な水準にあると認識されています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 3,191億円 | 3,895億円 |
| 自己資本比率 | 2.0% | 2.2% |
| ROE(自己資本利益率) | 18.0% | 21.7% |
| 現金預け金 | 4兆2,419億円 | 4兆1,396億円 |
なお、銀行は預金が主な負債のため、一般的な計算式による自己資本比率は構造上低くなります。規制上は国内基準4%以上・国際統一基準8%以上が求められます。
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
楽天銀行グループのキャッシュフローは、資金の出入りを通じて同社グループの活動状況を示しています。当連結会計年度の営業活動によるキャッシュフローは3,543億円の収入となりました。これは預金の増加や借用金の増加による収入があった一方、貸出金や買入金銭債権の増加による支出があったためです。
投資活動によるキャッシュフローは△4,576億円の支出となりました。これは有価証券の取得による支出が、有価証券の償還による収入を上回ったことによるものです。財務活動によるキャッシュフローは0億円の支出となっています。これらの結果、フリーキャッシュフローは△1,033億円の支出となりました。同社グループは資金の出入りを確保しつつ、将来に向けた投資を継続している状況です。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 1,838億円 | 3,543億円 |
| 投資CF | △7,326億円 | △4,576億円 |
| 財務CF | 0億円 | 0億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △5,488億円 | △1,033億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、インターネットバンキングにおける金融機関との競争激化や、他業種による銀行業への参入リスクを認識しています。また、楽天エコシステムや楽天ポイントが競争力を失った場合、同社グループのサービスも競争力を失う可能性があります。
海外事業においては、台湾の連結子会社が現地法令や政治・経済環境、為替レートの変動の影響を受けるリスクがあります。これらの要因が同社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、高度な専門性を有するインターネットバンキングを中心とした銀行業務を行っています。このため、有能な人材の確保及び育成に努めていますが、他の金融機関やインターネットサービス関連企業、システム関連企業との競合により、必要な人材の確保が困難となるリスクを認識しています。必要な人材が確保できない場合、同社グループの競争力が低下し、経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
楽天銀行は、楽天グループの一員として、イノベーションを通じて人々と社会をエンパワーメントすることを目指しています。お客さま第一の考え方を徹底し、「安心・安全で最も便利な銀行」の実現を追求する企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
楽天銀行は「安心・安全で最も便利な銀行」を目指すことを経営の基本方針としています。楽天グループの一員として、イノベーションを通じて人々と社会をエンパワーメントすることを使命としています。
同社はゼロキャッシュ時代の到来を見据え、FinTechのリーディングカンパニーを目指しています。顧客基盤の拡充と収益基盤の強化、FinTech領域の成長取り込みを掲げ、銀行業界のさらなる発展に貢献することを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
楽天銀行は、お客さま第一の考え方を徹底し、多様なニーズに応えるサービス提供を重視しています。役職員がいきいきと仕事ができる職場環境を整備し、働きがいのある職場作りを進めることを大切にしています。
また、イノベーションを通じて人々と社会をエンパワーメントするというミッションのもと、企業価値を高めながら社会と共生するサステナブル経営を基本方針としています。コンプライアンスとリスク管理を徹底し、最高レベルのセキュリティと顧客利便性の両立に努める企業風土です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
楽天銀行は、顧客数の増加を見据え、システムのキャパシティを計画的に拡充し、業界最高レベルのセキュリティを提供し続けることを重点テーマとしています。
また、コーポレート・ガバナンスの一層の充実も重要な課題です。経営環境の変化に迅速かつ的確に対応できる業務運営体制と経営監視機能の強化に努めています。業容に応じたリスク管理態勢とコンプライアンス態勢の継続的な向上を最優先経営課題とし、役職員一人ひとりが銀行としての公共的使命を自覚し、行動する企業風土のレベルアップを図っています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
楽天銀行は、監査役会設置会社として、監査役及び監査役会が独立した立場から取締役会を監査する体制を採用しています。取締役会は社外取締役を含む構成で、客観的な視点から経営陣の業務執行を評価・監督しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
楽天銀行の筆頭株主は楽天グループであり、同社グループは楽天銀行の経営に大きな影響力を持っています。楽天グループからのグループ事業戦略上の要請に基づく経営方針の決定や関連する人事案件、取引については、特別監視委員会での妥当性検証を通じて、独立性や少数株主保護が図られています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 楽天グループ | 49.26% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 7.37% |
| JP MORGAN CHASE BANK 380634 | 2.70% |
なお、JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社他4名が2026年3月31日現在で5.93%の株式を保有している旨が大量保有報告書に記載されていますが、実質所有状況の確認ができないため上記大株主の状況には含められていません。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長最高執行役員は東林知隆氏が務めています。社外取締役比率は60.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 東林 知隆 | 代表取締役社長最高執行役員 | 1988年4月 ㈱日本長期信用銀行入行。楽天証券㈱、楽天グループ㈱を経て、2017年1月 同行常務執行役員。2025年6月 同行代表取締役社長最高執行役員より現職。 |
| 三木谷 浩史 | 取締役会長 | 1988年4月 ㈱日本興業銀行入行。1997年2月 楽天グループ㈱設立 代表取締役社長。2001年2月 楽天グループ㈱代表取締役会長兼社長。2022年4月 同行取締役会長より現職。 |
社外取締役は、海老沼英次氏(ルネス総合法律事務所パートナー弁護士)、長門正貢氏(元日本郵政取締役兼代表執行役社長)、川村佳世子氏(三菱HCキャピタル社外取締役)です。
同社は監査役会設置会社であり、監査役及び監査役会が独立した立場から取締役会を監査する体制を採用しています。社外取締役は客観的な立場から経営陣の業務執行を評価・監督する役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
楽天銀行は、銀行としての社会的責任と公共的役割を自覚し、高い自己規律に基づく健全かつ効率的な業務運営を心がけるという経営理念に沿って役員報酬制度を設計しています。業務執行取締役の報酬は、固定報酬と業績連動報酬、非金銭報酬(ストックオプション)で構成され、持続的な成長と中長期的な企業価値向上へのインセンティブを高める体系となっています。非業務執行取締役の報酬は、客観的かつ独立した立場からの経営監督の役割を考慮し、固定報酬としています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 1.3億円 | 43.7百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 15百万円 | 15.0百万円 |
| 社外役員 | 7名 | 50百万円 | 7.1百万円 |
当事業年度における報酬等の総額は1億96百万円であり、対象となる役員の総数は11名です。
なお、報酬等及び対象となる役員の員数には、退任した取締役、無報酬の取締役を含みます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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