※本記事は、以下の公開データおよび提供データに基づき、客観的な視点で作成しています。
【公式データ】
- 株式会社良品計画 有価証券報告書
- 株式会社良品計画 決算説明会資料
- 公式の採用サイトおよびキャリア採用求人データ
【口コミデータ】
- 企業口コミサイトに投稿された社員・元社員の口コミ
1. 【公式データ×口コミ】有報で見る平均年収とリアルな給与事情
有価証券報告書の公式データと社員の口コミから、株式会社良品計画の年収と給与のリアルを紐解きます。
■ 1-1 【公式データ】過去5年間の平均年収の推移
最新の有価証券報告書によると、株式会社良品計画の平均年間給与は7,030,071円となっており、平均年齢は36.87歳、平均勤続年数は7.46年です。
過去5年間の推移を見ると、平均年間給与は右肩上がりのトレンドにあります。特に2024年(6,430,454円)から2025年(7,030,071円)にかけては約60万円の大幅な増加を記録しました。これは同社が掲げる「第二創業」期における人財投資の強化や、業績の過去最高更新が背景にあると考えられます。
| 決算期 | 平均年齢(歳) | 平均勤続年数(年) | 平均年間給与(円) |
|---|---|---|---|
| 2025年8月期 | 36.87 | 7.46 | 7,030,071 |
| 2024年8月期 | 37.52 | 7.91 | 6,430,454 |
| 2023年8月期 | 38.40 | 8.31 | 6,201,502 |
| 2022年8月期 | 38.27 | 8.52 | 5,929,868 |
| 2021年8月期 | 37.94 | 8.31 | 5,658,208 |
出典:良品計画有価証券報告書
人員体制については、提出会社単体の従業員数が5年前の約1.7倍(2,343人から4,039人)に急拡大しており、本部機能や専門職採用が活発化している実態が数字からうかがえます。
| 決算期 | 連結従業員数(名) | 単体従業員数(名) |
|---|---|---|
| 2025年8月期 | 13,912 [14,520] | 4,039 [10,952] |
| 2024年8月期 | 12,071 [12,571] | 3,436 [9,513] |
| 2023年8月期 | 10,074 [10,721] | 2,874 [7,774] |
| 2022年8月期 | 9,175 [9,834] | 2,527 [7,433] |
| 2021年8月期 | 8,882 [9,281] | 2,343 [7,035] |
出典:良品計画有価証券報告書。[ ]内は臨時従業員の年間平均雇用人員
■1-2 【口コミ】年代・階層別の年収カーブと賞与の実態
◆ 年収モデルと「1,000万円」への階段
良品計画では年齢や勤続年数に関わらず、能力を評価する6段階のグレード制が導入されています。口コミによると、中途入社者は前職の年収を考慮したグレードからスタートするケースが多いようです。
- 入社初期(20代):店舗勤務を基本とし、年収は400万円〜500万円程度から始まる声が目立ちます。20代後半で店長職に昇格することで年収が一段階上がる構造となっており、若手の積極登用が文化として根付いています。
- 30代前半から中盤(本部職・スペシャリスト):店舗経験を経て本部スタッフやマネージャー層へ進むと、年収600万円〜900万円程度に達する事例が散見されます。特に専門性の高いITやSCM領域のスペシャリストは、この段階で高い提示を受ける傾向があるようです。
- 40代以降(課長・管理職クラス):管理職クラスでは年収1,000万円の大台に到達するケースも確認されています。ただし、評価は上司による定性評価の側面が強く、自身の成果をロジカルにアピールできるかどうかが昇格スピードを左右するという指摘もあります。
◆ 基本給と賞与(ボーナス)の満足度
- 基本給については、小売業界内では比較的高水準であるという認識が定着しており、特に残業代が1分単位で支給される点への納得感は非常に高いようです。
- 賞与に関しては、連結業績に連動して年2回支給されます。好業績時には満足度の高い金額となる一方、業績が振るわない時期は一律の額に留まるというリスクについても言及されています。
- 現場の社員からは「努力がグレード(時給や月給のベース)に反映される仕組みは整っている」という前向きな評価がある一方で、店舗勤務においては本部職に比べて給与の伸びが緩やかになりやすいというギャップも指摘されています。
良品計画社員の給与明細(キャリコネ)
年代と賃金は比例しない?
20代販売職(非管理職)の 給与明細
30代販売職(非管理職)の 給与明細
同年代・同職種でも格差がこれだけある!
30代販売職(非管理職)の 給与明細
30代販売職(非管理職)の 給与明細
2. 【公式データ】高い給与を支える業績基盤
なぜ株式会社良品計画はこの給与水準を維持し、還元できるのか。その答えは、「稼ぐ力」に裏打ちされた強固な業績基盤にあります。
■2-1 過去5期間の連結業績の推移
過去5年間の業績トレンドを見ると、同社は急激なV字回復を遂げ、成長フェーズにあります。2022年8月期から2023年8月期にかけては原材料高や円安の影響で一時的に営業利益が落ち込んだものの、直近2期で営業収益、各段階利益ともに過去最高を更新しました。
2025年8月期の好業績の要因としては、国内外での積極的な出店拡大に加え、スキンケア商品などの高付加価値商品がグローバルでヒットしたこと、さらには生産体制の内製化による原価低減が進んだことが挙げられます。営業利益率は前年度の8.5%から9.4%へと向上しており、収益性の改善が平均給与の大幅な引き上げを支える原資となっています。
| 決算期 | 営業収益(億円) | 営業利益(億円) | 営業利益率(%) |
|---|---|---|---|
| 2025年8月期 | 7,846 | 738 | 9.4% |
| 2024年8月期 | 6,616 | 561 | 8.5% |
| 2023年8月期 | 5,814 | 331 | 5.7% |
| 2022年8月期 | 4,962 | 372 | 7.5% |
| 2021年8月期 | 4,537 | 454 | 10.0% |
出典:良品計画有価証券報告書および決算説明会資料
■2-2 セグメント別の稼ぎの柱
同社の事業は、日本国内、東アジア、東南アジア・オセアニア、欧米の4つの報告セグメントで構成されています。
収益の最大基盤は「国内事業」であり、営業収益の約6割を占めています。一方で、収益性の面では「東アジア事業(主に中国大陸)」が圧倒的な牽引車となっており、利益率は19.3%と極めて高い水準を維持しています。
また、かつて課題であった「欧米事業」についても、不採算店舗の閉鎖や構造改革が奏功し、2025年8月期には利益率16.4%を記録するなど、新たな収益の柱へと成長しています。
| セグメント名称 | 外部顧客への売上高(億円) | セグメント利益(億円) | 利益率(%) |
|---|---|---|---|
| 国内事業 | 4,701 | 521 | 11.1% |
| 東アジア事業 | 2,222 | 427 | 19.3% |
| 東南アジア・オセアニア事業 | 501 | 55 | 11.1% |
| 欧米事業 | 421 | 69 | 16.4% |
出典:良品計画有価証券報告書
主力である国内および東アジア(中国大陸)が安定した利益を創出する一方で、東南アジア・オセアニア地域も前期比28%増の売上成長を見せるなど、拡大の余地を大きく残しています。
また、報告セグメントに含まれない「その他」区分(グローバル調達事業など)や、新たに設立された再生可能エネルギー事業(合同会社MUJI ENERGY)など、本業を支えるインフラ領域への投資も強化されています。これら全方位での事業基盤の強化が、長期的な給与水準の維持・向上を裏付けるファクトといえます。
3. 【公式データ】最新求人から読み解く想定年収と「今、求められる人材」
有価証券報告書の平均年間給与だけでは分からない「想定年収」と「今、求められる人材」の要件を、最新求人から読み解きます。
■3-1 階層別の想定年収イメージ
求人データに基づき、階層別の想定年収レンジを分類しました。良品計画では「第二創業」を支える専門人材の確保に注力しており、特に本部スタッフ職において高い報酬設定がなされています。
- メンバークラス:400万円 から 600万円
- リーダークラス:700万円 から 1000万円
- 管理職クラス:810万円 から 1200万円
- 上級管理職・高度専門職:1000万円 から 1224万円
年収提示の傾向として、店舗を担う店長候補(400万〜600万円)に対して、本部の専門職(700万円〜)の年収レンジが底上げされている実態があります。
特にITインフラやデータ分析、物流戦略といったSCM領域の高度専門職については、最大1200万円超の提示も確認されており、特定の戦略領域で高い報酬を設定する方針が鮮明です。
競合他社の給与明細(キャリコネ)
同年代・同職種でも会社によって差が!
ニトリホールディングス・20代・販売関連(非管理職)の 給与明細
セリア・20代・販売関連(非管理職)の 給与明細
アダストリア・20代・販売関連(非管理職)の 給与明細
■3-2 募集ポジションの傾向
現在、良品計画では中期経営計画で掲げた「個店経営」と「グローバル成長」の実現に向けた採用が活発化しています。
◆ SCMおよびIT基盤の高度化
最も採用が活発な領域の一つが、サプライチェーンとITインフラの刷新です。具体的には、物流インフラの戦略立案やコストマネジメント、グローバル共通のIT基盤構築を担うポジションが募集されています。
単なるオペレーション管理ではなく、2030年の事業体制を見据えたゼロベースでの仕組みづくりや、DX推進を通じた管理機能の高度化といった、変革をリードするミッションが期待されています。
◆ 商品開発の深化と産地創出
「わけあって安い」というブランド思想を体現するため、素材開発や産地創出に関わる採用も重点的に行われています。募集されているのは、世界各地の天然素材を発掘し、環境や地域経済に貢献するサプライチェーンを構築するポジションです。
アパレルや商社での素材開発経験に加え、ESGの視点で持続可能なものづくりを推進できる人材が求められており、商品の付加価値を根源から高める役割を担います。
◆ デジタルコミュニケーションの強化
顧客体験(UX)の向上を目指し、データアナリストやデジタルマーケティング担当の採用も強化されています。公式アプリ「MUJI passport」の膨大なデータを活用したユーザー動向の分析や、CRMに基づいた継続顧客化シナリオの策定が主なミッションです。
オンラインとオフラインのメディアを効率的に活用し、ブランドへの共感を深めるデジタル施策の立案から実行まで、主体的に推進することが期待されています。
4. 【公式データ×口コミ】実質的な年収を押し上げる福利厚生
株式会社良品計画の給与水準を語る上で欠かせないのが、額面の年収以上に実質的な手取り額(可処分所得)を押し上げる福利厚生や資産形成支援などの制度です。公式に開示されている制度と、現場が実感する「金銭的メリット」のリアルを検証します。
■4-1 開示データに見る「福利厚生・各種手当」の全体像
有価証券報告書や求人データによると、同社は従業員の中長期的な資産形成を支援する制度を重層的に整備しています。
- 資産形成の柱となっているのが、信託型従業員持株インセンティブ・プラン(E-Ship)や株式給付信託(J-ESOP)です。これらは会社の成長による株価上昇のメリットを従業員が享受できる仕組みであり、2025年8月期末時点での信託株の社員保有率は32.4%に達しています。また、中途採用の求人票からは、企業型確定拠出年金制度の導入も確認できます。
- 生活をサポートする諸手当については、家族手当(税法上の扶養の場合)や、全国転勤型コースを選択した際の住宅手当(家賃手当)が規定されています。このほか、実務に直結するメリットとして、1分単位での残業代支給や交通費の全額支給が明文化されており、労働に対する報酬の透明性を確保する姿勢がうかがえます。
■4-2 現場が実感する「恩恵」と制度の落とし穴
口コミデータの分析に基づき、現場の社員が特にメリットとして挙げている項目を整理しました。
◆ 社員割引制度による生活コストの抑制
- 福利厚生の中で最も言及が多く、満足度が高いのが社員割引制度です。口コミによると、衣服が30%オフ、それ以外の生活雑貨や食品も15%オフで購入できる仕組みとなっています。
- 自社製品を愛用する社員が多く、「衣食住」を自社ブランドで賄うことで、実質的な生活支出を抑えられる点に大きな恩恵を感じているという声が散見されます。
◆ 資産形成支援と株主意識の醸成
- 持株会や株式給付信託についても、長期的な金銭メリットとして肯定的に捉えられています。
- 会社の業績向上や株価上昇が自身の資産形成に直結するため、単なる給与以上のリターンを期待する声や、経営への参画意識が高まるという指摘があります。実際に配当金を含めたトータルリターンがモチベーションの維持に寄与している実態がうかがえます。
◆ 制度の適用範囲と実質的な負担
- 一方で、制度の「落とし穴」として、雇用形態や勤務条件による適用範囲の差を指摘する声も存在します。
- 住宅手当などの手厚い支援は全国転勤を伴うコースに限定されるケースが多く、地域限定職やパートナー社員との間で実質的な手取り額に開きが出るというギャップが報告されています。また、手当のシステムが複雑で十分に活用しきれないといった声や、繁忙期における業務負荷の増大に対して定額の手当や昇給幅が見合っていないと感じるケースもあるようです。
まとめ:この会社の給与と待遇は、あなたにフィットするか
良品計画は現在、「第二創業」という大きな変革期の只中にあります。個店経営への移行やグローバルでの出店加速により、業績は過去最高を更新し続けており、平均年間給与も700万円台の大台に乗るなど人財への還元姿勢が明確に示されています。
一方で、この高水準の待遇は、事業インフラの刷新や商品開発の深化といった、極めて難度の高いミッションへの完遂を前提としたものです。
■戦略領域での高い報酬に見合う成果を提示できるか?
同社はIT基盤の構築や物流戦略、素材開発といった特定領域において、管理職層に最大1200万円を超える高い年収を提示しています。これは、2030年のビジョン達成に向けた仕組みづくりをゼロからリードできる専門性を求めている証左です。単なるオペレーションの遂行ではなく、自ら課題を設定し、事業構造そのものを変革するプレッシャーと対峙する覚悟が問われます。
■業績連動による賞与や評価の変動リスクを許容できるか?
給与水準が上昇傾向にある背景には、好調な連結業績があります。賞与は業績連動の側面が強く、インセンティブ制度も一部の成果に依存する仕組みとなっています。グローバル展開を加速させる中で、為替や外部環境の影響による業績の波が自身の年収に直接反映されるリスクを理解し、その変動を成長の糧として捉えられるかが重要です。



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