三井住友海上の採用面接前に知っておきたいこと
■社風への理解
あいおい損害保険・ニッセイ同和損害保険・三井住友海上グループの3社経営統合により誕生したMS&ADインシュアランスグループホールディングスの完全子会社として、2010年にスタートを切った三井住友海上。メガ損保の中核企業として業界で大きな存在感を放ちます。
社風について、口コミから読み取れるのは「良くも悪くも日本的な一面」です。部署や職種によっては、激務に伴う労働時間の長さ(残業が多い)、休暇の取りにくさが社員に負担をかけている状況があるようです。「体育会系である」という口コミも散見され、昔ながらの日本的社風が感じられます。ダイバーシティ&インクルージョンを推進していますが、職種によっては産休・育休の取りにくさも見られました。
一方、これら傾向は年代が下がるほどに弱まり、社内の風通しも良いと感じる社員もおり、女性に対する職場制度に関しても「以前より利用しやすくなっている」との口コミもありました。
つまり、職場環境は職種や配属部署によってかなり差がみられ、改善の具体策は現場任せとなってきた現実が浮かび上がります。しかし2017年度から「原則、遅くとも19時退社」という社内ルールが導入され、全社的な職場環境改善は進化のさなかと言えるでしょう。
たすきがけの社長人事にも表れているように、グループ統合後約10年の現在は異なる企業文化の融合期とも言える時期です。傘下の三井住友海上にもこれから少しずつ社風に変化が見られる可能性は大いにあるでしょう。
また、福利厚生や待遇の充実を評価する声が非常に多く見られました。社宅制度や福利厚生制度が行き届いている点、契約社員であっても労働組合の活動に参加できる点など、安心して働くことができる環境は整っているようです。このような安定した制度は大企業ならではの一面でもあり、かつ三井住友海上の持つ古い日本的な社風の良い面でもあります。
採用面接では、この「変革の途上にある、まだ良くも悪くも日本的」な三井住友海上の社風にフィットする人材かどうかを見極められます。
■選考は何次まで?
書類選考後にある筆記試験に合格後、面接に進むことが多いようです。面接は3回(間に2回目の筆記試験やグループディスカッションを挟む)、最終面接は現場社員との面談として位置づけられていることもあるようです。筆記試験は通常のSPIの場合もありますが、ときにはオリジナル問題のため事前の対策が難しい場合もあるとの口コミが見られました。
面接では一般的な質問が多く、質疑応答の様子から応募者の人柄を見ているようです。「(のちに)選考通過の理由は『性格が明るかったから』と言われた」という口コミもあり、応募者の性格は大きな決め手となるようです。
三井住友海上では「アジャスター(技術/医療)」「スタッフ社員(事務職契約社員)」などのカテゴリーで中途採用を行っています。希望する職種において、性格も含めた自分の個性や能力がどのように発揮でき、また面接の場でアピールできるか、考えておくとよいでしょう。
■面接内容の傾向は?
意表を突く内容の質問はあまりなく、面接は和やかな雰囲気で進むことが多いようです。「なぜ当社を選んだのか」「前職での経験は?」など、面接としてはオーソドックスな質問に答える様子や話しぶりなどから応募者の性格や人柄を見極めようとする傾向が見られます。社風に馴染み、誠実に仕事をこなせる人材であることをアピールするため、ハキハキと明るく応答するよう心がけましょう。また、予想される質問(考え方、職歴、学生時代に取り組んだことなど)に関してはスムーズに答えられるよう、十分な準備をしておきましょう。
ストレス耐性やストレス解消法についての質問をされることも多いようです。「高圧的な態度の人に対する耐性はあるか」と聞かれた人もいました。業界柄、職種によっては精神的ストレスがかかる業務を担当することも多々あるためと考えられます。今までストレスフルな状況をどのように乗り切ってきたかを振り返るなど、自身のストレス耐性とストレス解消法について整理して答えられるようにしておきましょう。
三井住友海上の面接攻略法(面接対策)
■三井住友海上の経営戦略を踏まえた自己分析
三井住友海上の面接を受ける上では、経営戦略を理解しておくことが不可欠です。三井住友海上の経営戦略は、MS&ADインシュアランスグループホールディングスが策定した中期経営計画「Vision2021」に準拠し展開されています。「Vision2021」についてグループ全体が目指すものは以下の図のようになっています。
ここでのレジリエントな態勢とは、環境変化などの刺激要因をはね返し、迅速に対応できる「企業として弾力性ある態勢」と解釈できます。つまり、経営統合後約10年が経過した現在は、MS&ADインシュアランスグループ全体としての体力完成期、世界トップ水準の保険・金融グループを目指す時期であると位置づけられています。具体的には、「事業規模については世界の損保グループ内でトップ10位内」「クオリティについては資本効率:グループ修正ROE10%、財務健全性:ESR180%~220%」と、明確な数値目標が打ち出されています。
このグループ中期経営計画に沿って、三井住友海上の経営戦略は以下のように展開されています。
デジタライゼーションの推進や人財戦略をはじめ、重点課題として挙げられた4項目を中心に、グループ目標達成に向けて取り組んでいます。デジタル化を推進することで業務効率向上や販売競争力強化はもちろん、多方面との連携を強めることでグループとしての態勢強化・価値向上への貢献も見込めます。
人財戦略においては、ダイバーシティ&インクルージョンの推進が重点施策とされています。「社風への理解」の項で触れたように、この面ではまだ発展途上と言える三井住友海上ですが、多様な人材(人財)がそれぞれの能力・スキルを十分に発揮できる社内環境の構築に力を入れています。
また、この経営戦略のほか、三井住友海上には明確な行動指針が存在します。
この5要素は三井住友海上で仕事をする上では不可欠な心構えです。社会への責任を重んじる三井住友海上では社員一人ひとりにも行動指針に基づいた行動を課しており、コーポレートサイトでも大きく掲げられています。
したがって、中途採用にあたっては「グループ全体のビジョンを把握した上で三井住友海上の経営戦略を理解し、さまざまな変革に取り組むことができ、かつ行動指針に即した行動が取れる人材」が求められていると言えます。経営戦略だけではなく経営理念・経営ビジョン・行動指針についてもしっかりと理解しておくことが必要です。
■「なぜ三井住友海上に転職したいのか」の明確化には他社研究が必要
三井住友海上の面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜ三井住友海上か」というものがあります。面接官がこの質問を通して知りたいのは、「この人物は何をやりたいのか」「それが当社で可能なのか」「この人の経歴が当社でどう活かされるか」といった視点ももちろんですが、「本当に当社のことを理解しているか」という側面も合わせて見ています。
業界理解や職種理解の枠を超えて、三井住友海上という企業についてしっかりと理解する。そのためには競合となりやすい企業の他社研究も忘れないようにしましょう。具体的には、以下のような企業について調べておくことがおすすめです。
- 東京海上日動火災保険株式会社
- 損害保険ジャパン日本興亜株式会社
三井住友海上の採用面接で実際に聞かれた質問内容
このように三井住友海上の採用面接を受ける上では、経営戦略に基づいた自己分析や他社研究を踏まえた志望動機の整理が大切です。そして面接の場では「良くも悪くも日本的」という社風を意識して、「グループ全体の戦略を理解した上で、現在の社風に馴染みつつも変革に取り組める人材」であると印象づけられるよう、さまざまなエピソードを準備しておくといいでしょう。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、しっかりと考えながら面接対策しておきましょう。
20代後半・女性/その他【2次面接を辞退】
20代後半・女性/ファイナンシャルプランナー【最終面接で不採用】
20代前半・女性/金融関連職【入社】
20代後半・男性/カスタマーサポート【入社】
三井住友海上の採用面接に向けて
三井住友海上の採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
- 三井住友海上の「変革途上にある、まだ良くも悪くも古い日本的な社風」を理解し、それに合致した行動がとれる人材であることをアピールする。
- 三井住友海上の経営戦略を理解して、これに沿った自己分析を行い、自己PRへとつなげる。
- 競合他社についての理解を深め、「なぜ三井住友海上なのか」に対する答えを明確にしておく。
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「転職エージェントって何?」という方はこちらの記事をお読みください。
大阪大学文学部卒業後、インフラ系SIer、大手信用調査会社、製薬会社で総務畑を歩む。企業を俯瞰的に見るのが得意。