【財務分析】20年3月期予想を下方修正のアイシン精機 CASE分野で成功できるか

【財務分析】20年3月期予想を下方修正のアイシン精機 CASE分野で成功できるか

世界トップの自動変速機(AT)メーカーであるアイシン精機。しかし2020年3月期は、第1四半期決算ですでに通期予想の下方修正を発表しています。原因は主力製品であるATの不振。年産台数を計画の半分以下に減らし、投資費用を抑える方針に切り替えています。財務諸表分析を基に、会社の現状と問題点を整理します。


アイシン精機は総合自動車部品メーカー。パワートレイン(エンジンで発生した回転エネルギーを効率よく駆動輪に伝えるための装置類の総称)をはじめ、ブレーキやシャシー関連などを幅広く手がけています。特にトランスミッション(変速機)の品種展開は業界屈指。トヨタ自動車との関係が強く、トヨタの持分法適用会社となっています。

なお、アイシン精機は2017年3月期に会計基準を日本基準からIFRS(国際会計基準)に変更しています。2016年3月期のデータはそれ以降と厳密には比較することができませんが、参考として掲載しています。

損益計算書(PL):巨額投資が利益を圧迫

アイシン精機の2019年3月期の売上高は4兆431億円で、前期比3.4%増の増収となったものの、営業利益は同19.0%減の2055億円と大きく減少しました。

売上原価は前期比5.1%増で、粗利率は同1.4ptの悪化。販管費は同3.2%増とコストも上がっています。

決算短信によると、下期において中国市場の減速等による落ち込みがあったものの、上期において自動変速機(AT)や車体部品等の販売が好調に推移したことにより、売り上げは増加しました。

一方、利益については、売上増加や合理化努力等の増益要因があったものの、先行投資に係る償却費と研究開発費の増加に加え、品質関連費用等の固定費の増加により減益となったとのことです。

減益要因となった先行投資費用について、アイシン精機は2020年までに主力製品であるATの生産能力を30%引き上げるとしており、このための大規模投資の影響もあって設備投資費用が3899億円と前期から49.8%増加しています。

生産能力向上のための設備は製造に関わるものになりますので、設備の減価償却費は売上原価に分類されます。このため、今回の大規模投資により今後数年は売上原価が高い状態が続くでしょう。

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