日産 vs トヨタ 口コミ分析でわかる働きがい・働きやすさ対決

日産 vs トヨタ 口コミ分析でわかる働きがい・働きやすさ対決

日産とトヨタの社員は自社の働きやすさについてどう感じているのでしょうか。ライバル関係にある企業との違いは? 口コミ投稿者の主観による点数付けと、投稿された口コミから読み取れる本質的な満足度の分析を通じて企業を評価します。


就職活動と同様に転職先候補として、仕事の内容が似通っている同業他社を選択肢にする場合も少なくありません。待遇面を見比べるのは容易だとしても、勤務先の状況や雰囲気など内情を比較することはなかなか難しいものです。そういう場合にもっとも有効的なのは口コミを活用すること。今回は日本最大手の自動車メーカーである日産とトヨタの2社を比較します。

総合的な働きやすさはトヨタがやや優勢

【図1】働きやすさ評価チャート(キャリコネに掲載されている各社のチャートを編集部にて合成)

まずは「働きやすさ評価チャート」を見てみましょう。 このチャートは、キャリコネの口コミ投稿者に、労働時間、仕事のやりがい、仕事のストレス度、休日数、給与、ホワイト度の各項目についての満足度を5点満点で評価いただき、その平均を表しています(総合評価は6項目の平均値)。点数のつけ方には基準を設けておらず、主観的な判断で採点してもらっています。

グラフが重なるほど、両社の評価は拮抗しています。「働きやすさ」の総合評価では、日産3.4、トヨタ3.6と、その差はわずか0.2ポイントとなっています。個別に見ていくとほとんどの項目でトヨタが優勢ですが、「休日数」の項目のみ日産の評価が高くなっています。

口コミのポイントでは、日産がバランス良好

【図2】独自口コミ分析結果(提供:キャリコネ働き方研究所)

続いて、実際に投稿された口コミを分析していきます。

同じく投稿者の主観的な目線での情報ですが、アメリカの臨床心理学者、フレデリック・ハーズバーグが提唱した二要因理論を応用し口コミを分析、数値化しました。

二要因理論にならい、動機づけ要因に「達成」「承認」「仕事」「責任」「昇進と成長」、不満誘発要因に「経営方針」「監督」「人間関係」「作業環境」「賃金と雇用の安定」を設定し、1つの口コミに対し、プラス評価なのかマイナス評価なのかを判断してポイントを加算していきます。そうして算出された結果が【図2】のグラフで、各項目が獲得した数値は左の表に記載しました。

両社を比較したところ、動機づけ要因(モチベーション)では日産が7.7ポイント、トヨタが-3.7ポイントと日産の方がポイントが高くなっています。

これは、トヨタよりも、日産のほうが、仕事に対する「やる気」「意欲」を維持しやすい、すなわち積極的な動機付けが行われている環境である、ということを意味しているのでしょうか。

また、満足度要因でも日産は7.7ポイント、トヨタは16.3と、日産も十分に高い得点ですがトヨタの得点が飛びぬけています。

まずは動機づけ要因のポジティブ意見/ネガティブ意見をみながら、両社の違い、そして共通点を類推していきましょう。

動機付け要因

【図3】

まず、モチベーションを高めたポジティブ要因を分析します。

目立つのはたくさんの意見が集まった「承認」の項目です。「承認」の項目は評価基準の正当性やそれによる報酬についての口コミを集計しています。実際の口コミで両社の違いを見ていきましょう。

日産では「きちんと成果を評価してもらえるので、不公平感は一切無い。成果も結果だけを求められるのでは無く、プロセスもしっかり加味されるので、失敗を恐れずにチャレンジできる。寧ろチャレンジしない人は評価されにくい。」「コンピテンシー評価を採用している。その人の行動を上司が評価し、来年の給与、ボーナスが決まる。ハイポテンシャル制度があり、高い評価を受けている人はハイポテンシャルパーソンとして出世コースに乗り、どんどんと出世していく。」「2017年4月に管理職における女性比率10%を達成した。同業他社(自動車製造業)においては特筆すべき高い数字であり、今後もさらにこの流れは進むものと思われます。ただ下駄をはかせたりして無理やり上げるということはなく、同じフィールドで戦えるよう色んな支援(メンタリング、研修機会の提供、業務アサイメントの考慮、子育て環境の整備、柔軟な働き方推進)が受けられるということです。」

トヨタでは「また査定に関しても、妥当であると感じる。上司とフィードバック面談があり、その場で良い点、改善すべき点を述べてくれる。」「転職してきた社員でも管理職になれており、差はあまり感じられない。」「女性でも管理職を目指せる会社だと思いますし、私の周りでも女性管理職はどんどん増えてきております。子育てとの両立を実現している方もいらっしゃいます。」

日産のほうが査定に関する具体的な口コミが多くなっていました。査定の制度がかなりしっかり整っていると感じます。一方トヨタも査定は妥当であるという口コミが見られましたので、大きな問題はなさそうです。さらに、両社ともに女性の管理職も増えてきており、制度も整っているようなので女性も安心して長く働くことができるといえます。

トヨタ社員の口コミ(キャリコネ)

出世する人について

「何かのスキルにたけたプロフェッショナルというよりは、 花見の幹事ができる人が出世すると言われるように、調整が……

【図4】

それでは、モチベーションを下げたネガティブ要因を見ていきます。
全体的にトヨタのほうがネガティブな意見が多くなっています。しかし、ポジティブ意見のポイントとほぼ同数のため、ネガティブな意見が多いのではなく意見が割れている状態といえるでしょう。
先ほどポジティブ意見でも取り上げた「承認」のスコアが、両社ともに低く出ました。実際の口コミの内容を見ていきましょう。

日産では「グローバルに活躍できると考えて入社したが、英国人やフランス人などが海外事業を牛耳っていて、日本人はよほど優秀でないと海外駐在の機会は少ない。外国人のいやがる土地での勤務はある。海外で活躍したいのであれば、エンジニアとして入社するのが近道。文系はかなりの特殊技術がなければ、またはダントツに優秀でなければ難しい。」「コミットメント経営で責任が明確なので社内政治に振り回されることが多く、外国人が日本人以上にウェットで政治的であることがよくわかる。また、日本人の登用が少なく、相当優秀な人材出ない限り、文系・男性・日本人が登用されるのが厳しい。」「女性の管理職登用の目標値があり、女性は出世が有利。また事務系のマネジメントポジションは日本人以外が有利。特に部長以上のポストは全世界共通選抜を実施しており、日本人の出世は難しい。新卒の優遇は無く、総じて見て、「日本人」「男性」「新卒」は他社と比較して出世に関して不利と言える。」

トヨタでは「2年ほど前(2015年)に大幅な処遇制度改革があり、その当時の職級のみで業務のランク付けを作り無理矢理新制度に移行した。この改革で給与が10%近くカットされた。ボーナスも業績比例と言いつつ、無茶な成長目標を押し付けられた挙句、目標に未達という評価として、黒字部門もボーナス額がほとんど増えないという状況。とにかく固定費削減のコストカットで黒字を積み上げていい顔をする「財務至上体質」が変わらないと何も改善しない。」「査定の理由が不透明なため、何故昇給額がこの額に決まったのか等、自分の評価がどれくらいだったのかが、従業員には明確にされないため、モチベーションが上がりづらい所はあります。」「基本的に年功序列の制度となっているためやる気のない人でも一定の役職までは上がることができる。」

この項目では両社の社風に大きな差が出ました。日産の内部はものすごくグローバルであり日本人男性には厳しい環境のようです。しかし、日産の口コミでは「人種や性別、学歴等による差別は明確に禁止されており、みな平等に評価を受ける。Categorizeせず、プロフェッショナルな人材が評価される。」というものもあり、適材適所と感じるか差別的と感じるかは、人によるのかもしれません。

一方トヨタは日本企業らしい社風といえるでしょう。

日産社員の口コミ(キャリコネ)

独自の制度と出世について

「どうやらハイポテンシャルパーソンというものが世界中から150人選ばれているらしい。 会議とかで知らない人がいたらそいつは審査人,いいプレゼンなり英語力を発揮して……

【図5】

「経営方針」「監督(上司の監督スキル)」「人間関係」「作業環境」「賃金と雇用の安定」という5つの要因がありますが、これらの要因について「不十分である」と感じたときに、人は不満足感を覚えます。ただし、これらの要因がたとえ満たされたとしても、いわば当たり前であるべきことなので、積極的な満足感をもたらすとは限りません。

両社ともに「作業環境」における満足度が、他項目よりも高いという評価を得ています。実際の口コミを見ていきましょう。

日産では「管理職及び管理職一歩手前の職位(時間管理対象外)では40~50時間が平均的な月の残業時間である一方、それ以外の一般層(時間管理対象)は部門によって多少差はあるが、10~20時間程度と低く抑えられている。年末年始、GW、夏休み時期にそれぞれ9~10日会社の休日があり、国民の祝日は有給取得推進日となっていて、基本はみな会社を休む日になっているため10数日は殆どそれに則って有給を消化することが出来ます。おおむね残業・休出、有給消化について言えばホワイトだと思います。」「福利厚生は大企業のメリットがあり非常に充実していると認識しています。社内預金、住宅積み立てが充実しており、非常に良い。社内の売店に保険会社の出張所等がありとても便利である」「女性の働きやすさへの配慮がかならされているので、産休育休を取る社員が多く、また殆ど復職している。休職に伴う業務内容や昇格へのダメージは全くない。」

トヨタでは「独身寮、結婚すれば社宅も支給される。ただし、その代わり住宅補助等はない。カフェテリアプラン、年に9万円ほどのポイントが貯まるので海外旅行時使用可能。社内には食堂付きだけどそこまで安くはない感じ。車会社というのもあって、社内の自動車保険に入ることができ、保険料もかなり安く抑えることができる。」「残業が基本は360時間に抑えられることを考えると、時給は高い。比較的自分の時間を持ててお金も自由に使える。社宅や寮などの福利厚生制度もしっかりしており、都内で生活するよりも額面以上に可処分所得は多くなる印象。」「産休等も手厚いため残る社員負担が増加しているように思う。」

両社ともに残業時間は管理されており、ほどほどに残業していて社員は満足しているという状況のようです。福利厚生も十分に用意されています。女性の働き方に関しては、日産の方がポジティブな口コミが多くみられました。

日産社員の口コミ(キャリコネ)

休暇と社内預金について

「有給休暇は年間で何日取得するようにと部署ごとに決まっており、独自に推奨日が設けられています。 ファミリーサポート休暇なる制度もあり、両親の介護や子供の学校行事……

【図6】

それでは最後に、不満足を感じるネガティブ要因を見ていきます。

こちらもポジティブ口コミのポイント数と比較するととても少なくなっています。
差がついた「経営方針」と「人間関係」の口コミと、両社ともに意見が集まった「作業環境」についてみていきます。

まずは日産の「経営方針」に関する口コミでは、「コストを改善して収益を上げる経営方針があり、魅力的な商品を開発して、ブランド力を上げて、販価を上げて、レベニュー向上による収益向上が苦手。また、台数を追う経営方針もあり、値引きの拡大とやはりブランド力の毀損が進んでいると考えている。」という意見がありました。

次にトヨタの「人間関係」では、「社員同士の交流を深めるための会社のイベントが多く、休日も予定が埋まることが多い。中でも全社駅伝大会に各部が力を注いでおり、若手はほぼ強制参加で、業務後にトレーニングをすることになる。元々運動することに慣れている社員はいいが、ついていけないと負担になる。」という口コミが見られました。


最後に両社の「作業環境」についてです。

日産では「家賃補助制度の公平性には疑問が湧く。若手に対する家賃補助制度があるが、補助が出るために必要な条件が厳しく、制度を利用できる人間はそれなりの金銭的サポートがあるため補助を受けられる社員と受けられない社員の間に格差が発生している。」「個人の業務負荷が高いため、残業は多い。しかしながら、残業に対する監視は年々強まっている。また、フレックス制度を導入しているため、比較的朝はプライベートとの調整がつけやすい。またテレワークも導入しており、積極的に活用されているため、在宅での業務も可能。しかしながら、業務負荷が高いとプライベートとの境が曖昧になる可能性もある。」

トヨタでは「社宅や寮はとにかく安い。がボロい。退職金や年金などは手厚いと聞くが実態は不明。最近扶養手当がなくなり、子供手当てに変わったので、子供が居ない人にはメリットが減った。社食はそんなに安くもなく、特別美味しいわけでもない。」「部署によるが、飲み会が非常に多く、余興等の準備にとても時間がかかる。わいがや飲み会が好きな方は良いと思いますが、嫌いな方はかなりの苦痛となります。若手に対し、飲み会幹事ができたら一人前と言う風潮も強く、仕事の延長戦感が否めません。」

日産では部署によってはかなり業務負荷が高くなっているようです。トヨタでは社宅の古さと飲み会や業務外活動へネガティブな意見が集まっていました。業務外活動を楽しめるかどうかが肝になりそうです。

トヨタ社員の口コミ(キャリコネ)

業務外のイベントについて

「HUREAI活動という業務外でのイベントと駅伝大会に大きく力を入れている。 若手の技術系エンジニアはこのイベントを好ましく思ってはいないが、出世の為や……

社風が大きく異なる二社。自分に合うのはどっち?

日産、トヨタという自動車メーカーのツートップ。つねに比較されてきたライバル同士であり、また大企業ゆえの好待遇も互角の人気企業です。

それでも口コミを分析すると両社の違いが見えてきました。日産はグローバルで意欲の高い社風であり、査定の基準も明確です。トヨタは給与への満足度が高いことと、社員同士の交流が重視される点が特徴的です。

どちらの企業タイプが自分に合っているのか見極め、口コミの情報を活かして転職活動をすることをオススメします。

この記事の執筆者