数々の電子部品で世界的シェア
村田製作所の電子部品は、2019年夏に韓国を「ホワイト国」から除外する際にも話題になりました。システムコンサルタントの男性社員は自社のライバル企業について、韓国の「サムスン電子」の名前をあげています。
資金力でいえば圧倒的にサムスンが上である。しかし、主力製品のセラミックコンデンサはノウハウの塊であり、そう簡単に真似できるものではない。もしセラミックコンデンサのシェア一位の座を奪われれば、この会社の地位は危ない。(2019.3.31)
村田製作所の積層セラミックコンデンサ(MLCC)は、小型高性能化が求められる製品に採用され、スマホや自動車運転システムなどの電子機器に貢献してきました。他にも数々の製品で世界的に大きなシェアを誇っています。
生産・製造技術部門の20代男性社員も「ものづくりが好きな人には是非おすすめの会社」と、仕事のやりがいを語っています。
研修などがしっかりしているため、必要な技術を学ぶことができ、ものづくりに対する面白みを感じることが出来ています。だれもが使うスマホの中に使われている電子部品を作っており、日々やりがいを感じています。(2017.5.15)
女性社員に制服「古風な日系企業感」
同社では売上の6%を研究開発費に投資しているそう。他社が真似出来ない独自性の高い技術力で優位に立てている理由になっているのでしょう。
「ノウハウの塊」を生み出せる挑戦的な社風は、社内に定着しているようです。少し古い口コミになりますが、機械設計担当の50代男性も「やりたいことを言えば、結構自由にさせてもらえる」と言っています。
責任を持ってやり抜くことについては強く求められますが、やりたいことはやらせてもらえる。また、その過程のプロセスも重視され、その時は大変ですが、後で考えると、それを通して成長している自分があり、役立っているものと思います。(2016.7.24)
会社のウェブサイトによると、村田製作所の海外売上は9割を超えており、グローバル展開していることが分かります。その一方で日本の事業所では、いまだに女性社員に制服があるなど「古風な日系企業感がある」と30代の女性派遣社員は語ります。
派遣でも社員と一緒にクリスマスパーティーや部門のレクレーションに参加できる。また会社がその費用をほぼ負担してくれるので、少ない金額でイベントを楽しめる。もちろん、強制ではなく自由参加。(2019.4.5)
「好業績に戻れない」と危機感抱く社員も
このような村田製作所ですが、将来性に不安を抱く社員もいるようです。スマートフォンの爆発的なブームに乗って業績を伸ばした同社ですが、研究開発担当の20代男性は「これから先、ほかのビジネスの芽を見つけないと厳しい」と言っています。
日本の製造業が弱体化してきているので正直、会社の業績自体は非常に落ち込んでいるのが事実です。近年の携帯市場からだとやはり一時期のような好業績に戻るのは厳しいかと思われます。(2016.9.5)
確かに口コミのあった2017年3月期には会社の業績は前年比で大幅に悪化しました。しかし2019年3月期までに売上高を伸ばし、利益もピーク近くまで回復しています。
2020年3月期の予想も、営業利益と当期純利益を上方修正。モバイル向け電池の収益性が低下する中で、今後はいわゆる「5G」関連の需要が拡大する見込みもあります。危機感を抱きながらも、先進的な技術開発で乗り切れるのではないでしょうか。