【口コミ評判】トヨタが直面する「技術革新」の大波 それでも続ける「ふれあい活動」

【口コミ評判】トヨタが直面する「技術革新」の大波 それでも続ける「ふれあい活動」

「100年に1度」といわれる自動車革命の波に乗るべく、知恵を振り絞っているはずのトヨタ自動車。しかし、企業クチコミサイト「キャリコネ」に残された書き込みから見えてくるのは、業務外の時間を「HUREAI(ふれあい)活動」という社内コミュニケーションに多く割かざるをえない社員たちの様子だ。


「体育会系リーダーシップ」が歓迎される企業風土

トヨタ自動車が業界を揺るがす「CASE」の波にさらされている。CASEとは、コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化の頭文字を取った新しい潮流のことだ。

6月13日の株主総会で、豊田章男社長は「自動車産業は100年に1度の大変革期を迎えている」と危機感を強調した。

2月1日からはソフトバンクとの共同出資会社「MONET Technologies(モネ・テクノロジーズ)」の事業を開始している。この会社には、マツダやスズキなど国内の自動車大手5社も参画を表明済だ。

「これからのライバルは自動車会社ではない」といった声はトヨタ社内でも数年前からあがっており、企業口コミサイトの「キャリコネ」には2016年3月にこんな投稿があった。

「常に技術優位で先頭を走るには、技術革新が欠かせない。電気自動車や水素で走る自動車や自動運転車の開発など、他社に先駆けて行う必要がある。これを支える技術者を優遇して、いかに意識を高めるか」

移動手段をサービスとして提供する「MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)」時代の新しいライバルは、グーグルやアマゾン、アップルといった米国のITプラットフォーマーとなる。

このようなインターネット後に誕生した新興企業と比べると、トヨタ自動車はいかにも伝統的なメーカーで、社内風土も保守的に見える。30代の男性工業デザイナーは、2016年4月にこんな書き込みを残している。

「仕事では、体育会系で周りを引っ張るリーダーシップを持っている事が大切。年に一度の社内の駅伝大会が有名。社内の駅伝熱はすごい」

「肌に合わない人は多い」と明かす口コミも

「社内駅伝」とは、毎年12月第一日曜日に愛知県豊田市で開催される駅伝大会のことだ。

2017年12月31日付けプレジデントオンラインの記事によると、この年の12月3日に開催された大会には、海外の12事業者を含む567の職場チームが参加し、約4,500人のランナーが走ったという。

トヨタスポーツセンターに集まった観客は、なんと約3万4000人にものぼる。もちろん業務ではないので、主催は会社ではなく社内の親睦会だ(ただし海外からの参加者のみ、研修名目で会社からの補助が出ているという)。

キャリコネの口コミによると、このイベントの準備はランナー、応援団、運営などを含めて9月ころから始まり、3ヶ月ほどの時間をかけるというから驚きだ。社員からは「業務改廃が声高に叫ばれているのに…」と辟易気味の声も漏れている。

「若手の技術系エンジニアは好ましく思ってはいないが、出世のためや上司に気に入られるため、仕方なく出席している人も少なくない」(生産技術・30代男性)

「今さらこんな古い体育会のノリが残っているのもどうか。それでも業務時間外のこの活動は、不可侵領域として今後も残り続けると思われる」(商品企画・30代男性)

マーケティング担当の30代男性は、業務時間を削って余興の準備に励む様子に「肌に合わない人は多い」とホンネを明かす。

その一方で、研究開発の30代男性のように「順位が上位のチームになると本物のアスリートレベルの速さの人がいたりと、なかなか楽しい」と、あまり苦にせず参加している人もいるようだ。

気になる「若いエンジニアへの影響」

2018年12月17日付け朝日新聞の記事は、「トヨタで、最もトヨタらしいイベント」という豊田社長の社内駅伝評を紹介している。

流行りのスタイルを安易に取り入れずに伝統を大切にすることが、「100年に1度の大変革期」に果たして功を奏するのか、足を引っ張るのか。

冒頭の口コミのように、先端的な技術を開発するためには、ライバルであるグーグルなどのように、年功序列でも横並びでもない「技術者優遇」が必要になるのではないか。

肉体労働的な製造現場にとって、チームワークと一体感は不可欠だ。人間関係を良好に保つための「HUREAI(ふれあい)活動」は成果アップに効果があるだろう。

しかし、個人の自由とイノベーションを大事にする若いエンジニアたちに対し、業務外の多くの時間を割く「社内駅伝」の存在がどういう影響を与えるのか、気になるところだ。

この記事の執筆者

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