損益計算書(PL):売上利益ともに過去最高、営業利益は10期連続
エムスリーの2020年3月期決算(IFRS)は、売上高に相当する売上収益が前期比15.8%増の1310億円で過去最高となりました。営業利益も同11.5%増の343億円に増え、増収増益です。
なお、決算説明資料には、営業利益について「COVID-19関連で約12億円のマイナスインパクト」と記されており、新型コロナの影響による需要の期ずれや一時的な消失がなければ更に業績はよかったとしています。
売上総利益も前期比14.2%増の729億円と増加していますが、売上原価が同18.0%増の581億円と大きく増えているため、粗利率は同0.8pt減の55.7%とやや悪化しています。
売上原価の増加要因は、従業員給付費用が前期比で79億円、業務委託費が同15億円増えたことによるもので、商品売上原価は同11億円減っています。
販売費及び一般管理費も前期比16.7%増の385億円と増えています。広告宣伝費、販売促進費、減価償却費及び償却費などは増えていますが、従業員給付費用及び報酬はやや減少しています。これらコスト増のため、営業利益率は同1.0pt減の26.2%とわずかに悪化していますが高水準を維持しています。
エムスリーでは従業員給付費用(人件費)を売上原価と販管費の両方に計上していますが、売上原価分は大きく増えた一方、販管費分は減っていることになります。
親会社株主に帰属する当期純利益は前期比10.5%増の216億円で、過去最高益を更新しました。
セグメント分析:会員医師向け情報サイトなどを擁する「メディカルプラットフォーム事業」が主軸
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金融機関で債券畑を経験後、証券アナリストとして株式の調査に携わる。市場動向や株式を中心としたリサーチやレポート執筆などを業務としている。ファイナンシャルプランナー資格も取得し、現在はライターとしても活動中。株式個別銘柄、市況など個人向けのテーマを中心にわかりやすさを心がけた記事を執筆。