損益計算書(PL):売上収益の減少と減損損失の計上で最終赤字に
コロワイドは2017年3月期からIFRS(国際会計基準)を適用しています。また2020年3月期から営業利益ではなく、売上収益から売上原価と販売費及び一般管理費を引いた「事業利益」を使っているので、本稿では過年度までさかのぼり再計算しなおしています。
2020年3月期決算は、売上収益が前期比3.7%減の2353億円、事業利益が同33.7%減の56億円と減収減益になりました。なお、前期までの基準(その他の営業収入/費用を含む)の「営業損益」は46億円の赤字で、前期の41億円の黒字から一転赤字となっています。
売上原価は前期比4.2%減の1012億円と抑えたものの、売上総利益も同3.3%減の1342億円に減少。ただし粗利率は同0.2pt増の57.0%とわずかに改善しています。
販売費及び一般管理費は前期比3.0%増の1388億円に増加。この理由について決算説明資料は「一時的な販売管理費の増加」とのみ記述しています。
このほか、減損損失106億円を計上するなどその他の営業費用が増加、金融費用が17億円増えたことなどから、親会社株主に帰属する当期純損益は64億円の赤字となり、前期の6億3200万円の黒字から最終赤字となりました。
新型コロナウィルスの感染拡大による休業・営業時間の短縮は、当期の売上収益に大きな影響を及ぼしましたが、コロワイドでは、このコロナウィルスがもたらすであろう将来の社会・外食産業の変化を見越して、居酒屋業態を中心に106億円の減損損失を計上しています。
なお、2021年3月期の業績予想については、「新型コロナウィルス感染症拡大の影響により現時点では先行きを見通すことが困難であることから未定」として、6月2日時点では発表されていません。
ただし決算短信によると、20年3月期に行った大幅な減損処理で21年3月期の事業利益の押げ上げ効果33億円が見込まれるとしています。この理由については後ほど詳しく説明します。
セグメント分析:すべての事業で減収、利益率も悪化
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公認会計士試験合格。過去には監査法人勤務も。数字アレルギーを克服し、次に目指すは数字に強いアナウンサー。
『企業の財務データには過去にその企業が何を考え、どう行動したかが現れていると知ってから、数字が血の通ったものに見えるようになりました。分かりやすく丁寧な解説を心がけます。』