【20年3月期】営業赤字転落の大戸屋HD コロワイドの買収に対抗した「中期経営計画」は実現可能なのか?

【20年3月期】営業赤字転落の大戸屋HD コロワイドの買収に対抗した「中期経営計画」は実現可能なのか?

和食外食チェーンを全国展開する大戸屋ホールディングス。20年3月期は営業赤字に転落しています。売上高も2期連続減少で、外食大手のコロワイドから買収計画を出されています。これに対抗して高い目標の「中期経営計画」を発表していますが、実現には高いハードルがありそうです。財務諸表などを基に会社の現状と課題を整理します。


損益計算書(PL):2期連続減収で営業赤字に

2020年3月期の売上高は前期比4.5%減の246億円。営業損益は6億4900万円の赤字で、前期4億1400万円の黒字から赤字転落しています。

売上原価は前期比3.0%減の108億円と抑えましたが、減収に追いつかず売上総利益は同5.6%減の138億円に。粗利率も同0.7pt減の56.2%に悪化しています。

販売費および一般管理費は前期比1.7%増の145億円は増えました。2020年3月期の決算説明会資料では、人件費・水道光熱費・減価償却費などが前期から減少したものの、広告宣伝費・支払手数料が増加したことによるものとしています。

売上高の減少に加えて、不採算店舗に関する減損損失など3億8900万円の特別損失を計上。さらに繰延税金資産のうち1億3300万円を取り崩したことによって、親会社株主に帰属する当期純損益は、前期5500万円の黒字から11億4800万円の最終赤字となりました。

なお、2021年3月期の業績予想については、決算短信では「現時点では適正かつ合理的な算定が困難である」と説明し、開示していません。後述する通り「中期経営計画」で高い目標を掲げる中で、やや心もとないと感じるかもしれません。

セグメント分析:「国内直営事業」の赤字を「フランチャイズ事業」が穴埋め

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この記事の執筆者

公認会計士試験合格。過去には監査法人勤務も。数字アレルギーを克服し、次に目指すは数字に強いアナウンサー。
『企業の財務データには過去にその企業が何を考え、どう行動したかが現れていると知ってから、数字が血の通ったものに見えるようになりました。分かりやすく丁寧な解説を心がけます。』


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