【平均年収702.8万円】JAL(日本航空)社員の給料は実際いくらもらっているのか?

【平均年収702.8万円】JAL(日本航空)社員の給料は実際いくらもらっているのか?

【年収研究シリーズ】日本航空社員の平均年収は高いのか?実際はいくらもらっている人が多い?一般社員、パイロット、CAの給与は?ボーナスは年何回で合計いくらもらえるのか?年収額だけでは見えてこないデメリットはあるのか?など、年収に関する話題をデータや口コミから明らかにします。就職・転職の判断にご活用ください。


JALの平均年収は702.8万円

まずはじめにJALの平均年収を見ていきましょう。JALの平均年収は702.8万円です(日本航空有価証券報告書)。キャリコネに投稿された給与明細を参考にJALの年代別年収レンジを算出したところ、20歳代で470〜520万円、30歳代で610〜660万円、40歳代で700〜750万円という結果がでました。男女あわせた民間の正規雇用者の平均年収は495.7万円(国税庁・令和2年分民間給与実態統計調査結果)ですから、それと比較しておよそ1.42倍の額です。

JALの平均年収推移

JAL・5年間の平均年収・平均年齢・従業員数(単体)の推移
決算月平均年収平均年齢平均勤続年数従業員数
2022年3月期702.8万円40.3歳15.5年12726人
2021年3月期678.4万円39.2歳14.5年13787人
2020年3月期839.3万円39.3歳14.5年13541人
2019年3月期827.5万円39.9歳15年12750人
2018年3月期866.7万円40.1歳15.2年12127人

出典:日本航空・有価証券報告書

過去5年間の平均年収の推移をグラフと表組みで示しています。
JALの平均年収は前年を上回り702.8万円でした。
過去5年間では2番めに低い額になりました。

JALの年代別平均年収と中央値

JALの年収中央値は30代で630.9万円

続いて年収実態により近い年収中央値を見てみます。20代から50代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値を表にまとめました。

JALの年収実態
年代平均年収平均月収平均ボーナス年収中央値
20代489.5万円32.8万円79.3万円440.55万円
30代630.9万円42万円102.3万円567.81万円
40代718.5万円47.6万円116.5万円646.65万円
50代744.9万円49.3万円120.8万円670.41万円

※キャリコネの口コミ、有価証券報告書、厚労省・経産省・国税庁発表の調査資料を元に、編集部で独自に算出

JAL(日本航空)社員の給与明細(キャリコネ)

企画業務職は諸手当類がほぼない

20代営業(非管理職)の 給与明細

20代物流(非管理職)の 給与明細

20代から30代で基本給約10万円アップ

30代(非管理職)の 給与明細

30代(非管理職)の 給与明細

JALの職種別年収

職種とグレードによって年収が異なる

上述の通り、JALの職種は、大きく3つ、「業務企画職」「自社養成パイロット」「客室乗務職」に分類されます。さらに「業務企画職」については、「地上職 事務系」「地上職 数理・IT系」「地上職 技術系」の3つに分かれます。

職種によって諸手当が大きく異なるため、年収についても職種ごと、またそれぞれのグレードごとに年収は異なります。初任給についても、職種別に以下の通り設定されています。学歴によって差はつけられておらず、たとえ修士了であっても初任給は同額です。
<初任給>
●業務企画職:228,000円
●自社養成パイロット:228,000円
●客室乗務職:188,000円

職種、年代ごとの年収目安としては、以下の通りです。
●業務企画職:20代(担当職)450~500万円、30代前半(主任):550~600万円、課長代理:700~800万円、課長:1000万円~
●自社養成パイロット:副操縦士1000~1300万円、機長1400~1500万円
●客室乗務職:20代前半350~400万円、20代後半400~500万円、リーディングキャビンアテンダント約700万円、管理職以上1000万円~

JAL職種別の社員数・平均年齢・平均勤続年数・平均年収

JALの2020年3月期現在での一般従業員、パイロット、CAそれぞれの人数・平均年齢・平均勤続年数・平均年収は以下の通りです(推定値)。

厚生労働省が公表している「賃金構造基本統計調査」にパイロットとCAの調査結果が記載されています。

パイロット平均給与額(含諸手当)平均年間賞与額平均年収JAL・PLの平均年収
2015年 1498.56万円 222.53万円1721.09万円1636.4万円
2016年 1969.8万円 242.83万円2212.63万円2570万円
2017年 957.96万円 149.46万円1107.42万円2105.1万円
2018年 1941.72万円 276.15万円2217.87万円2109.6万円
2019年 1647.6万円 297.11万円1944.71万円2022.5万円

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」を参考に編集部にて算出

キャビンアテンダント平均給与額(含諸手当)平均年間賞与額平均年収JAL・CAの平均年収
2015年 429.72万円 83万円512.72万円483.2万円
2016年 549.6万円 126.54万円676.14万円495.4万円
2017年 497.88万円 68.49万円566.37万円552.5万円
2018年 496.8万円 140.59万円637.39万円560.3万円
2019年 475.92万円 120.82万円596.74万円515.1万円

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」を参考に編集部にて算出

JALが有価証券報告書で記載している職種別の平均年収と比べると、調査結果の方が高く見えますが、JALは連結子会社の従業員も含めて算出しているため、JAL単体での平均年収は調査結果に近いと推定されます。

JALの給与体系・内訳

職種によって諸手当が異なる

JALの給与体系は、基本給と諸手当からなる月給と、年3回(夏・年末・期末)の賞与で構成されています。

JALには、「業務企画職」「自社養成パイロット」「客室乗務職」の大きく3つの職種が存在します。諸手当についても職種によって差があり、通勤費手当、寮・社宅制度、各種社会保険などは3職種共通ですが、「客室乗務職」には、フライトした時間分の手当(乗務手当)と、宿泊手当(ステイ代)が支給されます。「自社養成パイロット」についても、フライト時間に応じて手当が加算されます。一方で「業務企画職」については手当の類は非常に少なく、家族手当や住宅手当なども支給されず、口コミによると「基本給のみのシンプルな体系」とのことです。唯一「資格手当」は支給されますが、その支給対象についても「仕事上法的に必要なもののみ」と極めて限定的であるようです。

また、航空会社の福利厚生の魅力として欠かせないのが、社員用の割引航空券。利用対象は「社員とその両親・配偶者のみ」と制限はあるものの、国内線は9割引~無料、国際線は9割引き、と大きな恩恵を受けられます。

JAL(日本航空)社員の給与明細(キャリコネ)

職種により大きな年収差が

20代物流(非管理職)の 給与明細

20代その他(非管理職)の 給与明細

実力次第で30代で年収1000万円に届くケースも

30代管理部門(非管理職)の 給与明細

30代技術(非管理職)の 給与明細

JALの年収が高い理由

諸手当と賞与が年収を押し上げる

JALの年収について、口コミを見ると「基本給は低い」という声が多く見られます。しかし一方で充実しているのは諸手当の存在です。

次項でも詳述しますが、特に充実しているのは乗務手当と宿泊手当。中には「月給の約4割が手当分」という社員も。この手当額の大きさが、年収を押し上げていることが分かります。

基本給が低いことは、賞与を引き下げることにつながります。しかし、賞与については、冒頭に述べたように2017年から年3回に変更されたこと、さらに口コミを見ると、「賞与1回分は基本給2~2.5ヶ月分」「年間5ヶ月以上6ヶ月未満」という高い水準であるため、賞与の支給額の大きさも伺えます。

JALで年収を上げる方法

企画業務職は実力主義

上述の通り、JALの年収は、職種ごと、グレードごとに設定されているため、年収を上げるためにはグレードを上げることが必要です。昇格・評価の仕組みについても、職種によって異なります。

●企画業務職:
一般職のグレードは3段階に分かれ、それぞれのグレードにおける滞留年数は平均して5~6年程度。従来の年功序列からは脱却し、実力主義になっているため、入社後3~4年間は横並びですが、5年目あたりから個人により差が生じてきます。毎年自分自身で設定した目標に対する達成度に応じて5段階に評価され、その結果によって昇給・賞与額が決定される仕組みです。平均滞留年数はあるものの、評価されなければ定年まで同じグレードのままということも。一般職から管理職(課長職以上)に昇格すれば、年収は1000万円を超えます。

●客室乗務職:
年に数回、マネージャー(管理職)とフライトする中で評価が決まり、その評価結果で昇給・賞与額が決定されます。とはいうものの、「基本的に年功序列」「どんなに頑張ってファースト担当になっても、仕事ができない先輩の方が給与は上」という口コミが多く見られることも事実です。

JAL(日本航空)社員の口コミ(キャリコネ)

20代で出世コースかどうかを判断できる

「出世コースは、経営企画と人事・労務、次に各本部の企画部門 このコースに入れているかは、入社7年目くらいで自他ともにわかる……

評価・昇格制度は実力が重んじられる

「出世は明確なSTEPがあり、社内的にも知らされている チャンスは誰にでもつかむ事ができると感じるが……

JALの懸念点・課題は

コロナ禍直撃で大幅赤字に

2020年4~6月期の連結最終損失が937億円と大幅な赤字を出しました。新型コロナウイルスの影響で旅客数が激減、経営に直撃したかたちです。
「Go Toトラベル」需要で少し明るい兆しが見えるかもしれませんがこの先の業績回復の見通しは依然不透明です。ライバルであるANAは2020年夏季ボーナスを半減、続く冬季ボーナスの不支給や賃金カットで年収3割減、希望退職の実施などで苦しんでします。
JALも決して他人事ではなく、同様の対応を実施する可能性は十分にあります。

仮にANAと同様に年収3割減となった場合、2020年度の平均年収を元にシミュレーションすると各職種の平均年収は、

  • 一般従業員 462万円
  • パイロット 1400万円
  • CA 364万円
と、なります。

JALと競合他社の平均年収を比較

JALの競合や同業界であるANAホールディングス、スターフライヤー、日本郵船の4社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、日本航空が702.8万円、ANAホールディングスが495.7万円、スターフライヤーが500万円、日本郵船が1082万円です。
この4社の中で最高額は日本郵船の1082万円で、最低額がANAホールディングスの495.7万円。その差はおよそ587万円で、かなりの差があります。
この比較企業の中ではJALは2番目に位置します。

社名平均年収平均年齢平均勤続年数従業員数(単体)売上高
日本郵船1082万円39.8歳13.8年1249人777239億円
JAL702.8万円40.3歳15.5年12726人4827.78億円
スターフライヤー500万円37.9歳7年780人211.31億円
ANAホールディングス495.7万円45歳3.1年200人1896.54億円

JALの競合企業の年収についてはこちらの記事をご覧ください

出典・参考
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2022年版 業種別 モデル年収平均ランキング」

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この記事の執筆者

東京大学卒業後、大手自動車メーカー入社。人事部門に配属。女性の働き方プロジェクトリーダーを担当。


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