【平均年収839.3万円】JAL(日本航空)の給与・ボーナスが高いのはなぜなのか

【平均年収839.3万円】JAL(日本航空)の給与・ボーナスが高いのはなぜなのか

【年収研究シリーズ】日本航空社員の平均年収は高いのか?実際はいくらもらっている人が多い?一般社員、パイロット、CAの給与は?ボーナスは年何回で合計いくらもらえるのか?年収額だけでは見えてこないデメリットはあるのか?など、年収に関する話題をデータや口コミから明らかにします。就職・転職の判断にご活用ください。


JALの平均年収は839.3万円

2020年3月期の有価証券報告書によると、JALの平均年収は839.3万円と記載されています。

これはJALのパイロット、CA、事務職など全職種の平均値であり、各職種の平均年収とは異なります。詳しい情報は「JALの職種別年収」をご覧ください。

キャリコネに投稿された事務職の給与明細を参考にJALの年代別年収レンジを算出したところ、20歳代で600〜700万円、30歳代で760〜860万円、40歳代で830〜930万円となりました。男女あわせた民間の正規雇用者の平均年収は503.5万円(国税庁・平成30年分民間給与実態統計調査結果)ですから、それと比較しておよそ1.67倍の額です。

JALの平均年収推移

2017年以降賞与が年3回になり、平均年収は850万円台に

JAL・5年間の平均年収・平均年齢・従業員数(単体)の推移

決算月平均年収平均年齢従業員数
2020年3月期839.3万円39.3歳13541人
2019年3月期827.5万円39.9歳12750人
2018年3月期866.7万円40.1歳12127人
2017年3月期859.4万円39.6歳11449人
2016年3月期760.5万円39.5歳11224人

出典:日本航空・有価証券報告書

JALの過去5年間の平均年収を見てみると、2016年は760.5万円ですが、2017年には約100万円アップして859.4万円に。2018年も同水準を保ちますが、再び2019年には40万円ダウンするものの、2020年で再び839.3万円まで上昇しています。

これには、JALの業績の推移が大きく影響しています。JALの賞与は業績連動制であること、さらに2017年から期末賞与が追加され、年3回の賞与支給となったことが、この平均年収の動きにつながっています。2020年3月期決算発表では、第4四半期の新型コロナウイルス感染拡大の影響により、国際線・国内線共に需要が急速に減少、営業利益が減益となっています。今後の予測を見極めることが困難なため、2021年3月期の業績予想は未定となっており、平均年収についても今後どうなっていくかは不透明であると言わざるを得ません。

JALの年代別平均年収と中央値

JALの年収中央値は30代で726.3万円

JALの平均年収は収入における目安のひとつですが、全社員の平均なので、実際にもらえる年収額とはかけ離れている可能性があります。JAL事務職の年収実態により近い年収中央値を見ることが有効です。20代から60代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値は以下の通りです。

JALの年収実態

年代平均年収平均月収平均ボーナス年収中央値
20代640.1万円36.5万円128万円576.09万円
30代807万円46.1万円161.4万円726.3万円
40代877.6万円50.1万円175.5万円789.84万円
50代896.9万円51.2万円179.3万円807.21万円
60代654万円37.3万円130.8万円588.6万円

※キャリコネの口コミ、有価証券報告書、厚労省・経産省・国税庁発表の調査資料を元に、編集部で独自に算出

JALは、国際線・国内線ともに国内2位の航空会社であり、業種としては「運輸業」に該当します。この業種は、平均年収という観点で見ると、全業種平均を下回る業種です。例えば30代であれば、全業種平均が320.6万円であるのに対し、業種別平均は287.1万円と約34万円下回っています。

こうした運輸業において、JALの年収中央値は、業種別平均を大きく上回ります。同じく30代を取り上げると、JALの年収中央値は726.3万円と、業種別平均の実に約2.5倍という水準です。この「約2.5倍」はすべての年代において当てはまるものであり、いかに日本航空の年収が高いかが伺えます。

JAL(日本航空)社員の給与明細(キャリコネ)

企画業務職は諸手当類がほぼない

20代営業(非管理職)の 給与明細

20代物流(非管理職)の 給与明細

20代から30代で基本給約10万円アップ

30代(非管理職)の 給与明細

30代(非管理職)の 給与明細

JALの職種別年収

職種とグレードによって年収が異なる

上述の通り、JALの職種は、大きく3つ、「業務企画職」「自社養成パイロット」「客室乗務職」に分類されます。さらに「業務企画職」については、「地上職 事務系」「地上職 数理・IT系」「地上職 技術系」の3つに分かれます。

職種によって諸手当が大きく異なるため、年収についても職種ごと、またそれぞれのグレードごとに年収は異なります。初任給についても、職種別に以下の通り設定されています。学歴によって差はつけられておらず、たとえ修士了であっても初任給は同額です。
<初任給>
●業務企画職:228,000円
●自社養成パイロット:228,000円
●客室乗務職:188,000円

職種、年代ごとの年収目安としては、以下の通りです。
●業務企画職:20代(担当職)450~500万円、30代前半(主任):550~600万円、課長代理:700~800万円、課長:1000万円~
●自社養成パイロット:副操縦士1000~1300万円、機長1400~1500万円
●客室乗務職:20代前半350~400万円、20代後半400~500万円、リーディングキャビンアテンダント約700万円、管理職以上1000万円~

JAL職種別の社員数・平均年齢・平均勤続年数・平均年収

JALの2020年3月期現在での一般従業員、パイロット、CAそれぞれの人数・平均年齢・平均勤続年数・平均年収は以下の通りです(推定値)。

厚生労働省が公表している「賃金構造基本統計調査」にパイロットとCAの調査結果が記載されています。

パイロット平均給与額(含諸手当)平均年間賞与額平均年収JAL・PLの平均年収
2015年 1498.56万円 222.53万円1721.09万円1636.4万円
2016年 1969.8万円 242.83万円2212.63万円2570万円
2017年 957.96万円 149.46万円1107.42万円2105.1万円
2018年 1941.72万円 276.15万円2217.87万円2109.6万円
2019年 1647.6万円 297.11万円1944.71万円2022.5万円

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」を参考に編集部にて算出

キャビンアテンダント平均給与額(含諸手当)平均年間賞与額平均年収JAL・CAの平均年収
2015年 429.72万円 83万円512.72万円483.2万円
2016年 549.6万円 126.54万円676.14万円495.4万円
2017年 497.88万円 68.49万円566.37万円552.5万円
2018年 496.8万円 140.59万円637.39万円560.3万円
2019年 475.92万円 120.82万円596.74万円515.1万円

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」を参考に編集部にて算出

JALが有価証券報告書で記載している職種別の平均年収と比べると、調査結果の方が高く見えますが、JALは連結子会社の従業員も含めて算出しているため、JAL単体での平均年収は調査結果に近いと推定されます。

JALの給与体系・内訳

職種によって諸手当が異なる

JALの給与体系は、基本給と諸手当からなる月給と、年3回(夏・年末・期末)の賞与で構成されています。

JALには、「業務企画職」「自社養成パイロット」「客室乗務職」の大きく3つの職種が存在します。諸手当についても職種によって差があり、通勤費手当、寮・社宅制度、各種社会保険などは3職種共通ですが、「客室乗務職」には、フライトした時間分の手当(乗務手当)と、宿泊手当(ステイ代)が支給されます。「自社養成パイロット」についても、フライト時間に応じて手当が加算されます。一方で「業務企画職」については手当の類は非常に少なく、家族手当や住宅手当なども支給されず、口コミによると「基本給のみのシンプルな体系」とのことです。唯一「資格手当」は支給されますが、その支給対象についても「仕事上法的に必要なもののみ」と極めて限定的であるようです。

また、航空会社の福利厚生の魅力として欠かせないのが、社員用の割引航空券。利用対象は「社員とその両親・配偶者のみ」と制限はあるものの、国内線は9割引~無料、国際線は9割引き、と大きな恩恵を受けられます。

JAL(日本航空)社員の給与明細(キャリコネ)

職種により大きな年収差が

20代物流(非管理職)の 給与明細

20代その他(非管理職)の 給与明細

実力次第で30代で年収1000万円に届くケースも

30代管理部門(非管理職)の 給与明細

30代技術(非管理職)の 給与明細

JALの年収が高い理由

諸手当と賞与が年収を押し上げる

JALの年収について、口コミを見ると「基本給は低い」という声が多く見られます。しかし一方で充実しているのは諸手当の存在です。

次項でも詳述しますが、特に充実しているのは乗務手当と宿泊手当。中には「月給の約4割が手当分」という社員も。この手当額の大きさが、年収を押し上げていることが分かります。

基本給が低いことは、賞与を引き下げることにつながります。しかし、賞与については、冒頭に述べたように2017年から年3回に変更されたこと、さらに口コミを見ると、「賞与1回分は基本給2~2.5ヶ月分」「年間5ヶ月以上6ヶ月未満」という高い水準であるため、賞与の支給額の大きさも伺えます。

JALで年収を上げる方法

企画業務職は実力主義

上述の通り、JALの年収は、職種ごと、グレードごとに設定されているため、年収を上げるためにはグレードを上げることが必要です。昇格・評価の仕組みについても、職種によって異なります。

●企画業務職:
一般職のグレードは3段階に分かれ、それぞれのグレードにおける滞留年数は平均して5~6年程度。従来の年功序列からは脱却し、実力主義になっているため、入社後3~4年間は横並びですが、5年目あたりから個人により差が生じてきます。毎年自分自身で設定した目標に対する達成度に応じて5段階に評価され、その結果によって昇給・賞与額が決定される仕組みです。平均滞留年数はあるものの、評価されなければ定年まで同じグレードのままということも。一般職から管理職(課長職以上)に昇格すれば、年収は1000万円を超えます。

●客室乗務職:
年に数回、マネージャー(管理職)とフライトする中で評価が決まり、その評価結果で昇給・賞与額が決定されます。とはいうものの、「基本的に年功序列」「どんなに頑張ってファースト担当になっても、仕事ができない先輩の方が給与は上」という口コミが多く見られることも事実です。

JAL(日本航空)社員の口コミ(キャリコネ)

20代で出世コースかどうかを判断できる

「出世コースは、経営企画と人事・労務、次に各本部の企画部門 このコースに入れているかは、入社7年目くらいで自他ともにわかる……

評価・昇格制度は実力が重んじられる

「出世は明確なSTEPがあり、社内的にも知らされている チャンスは誰にでもつかむ事ができると感じるが……

JALの懸念点・課題は

コロナ禍直撃で大幅赤字に

2020年4~6月期の連結最終損失が937億円と大幅な赤字を出しました。新型コロナウイルスの影響で旅客数が激減、経営に直撃したかたちです。
「Go Toトラベル」需要で少し明るい兆しが見えるかもしれませんがこの先の業績回復の見通しは依然不透明です。ライバルであるANAは2020年夏季ボーナスを半減、続く冬季ボーナスの不支給や賃金カットで年収3割減、希望退職の実施などで苦しんでします。
JALも決して他人事ではなく、同様の対応を実施する可能性は十分にあります。

仮にANAと同様に年収3割減となった場合、2020年度の平均年収を元にシミュレーションすると各職種の平均年収は、

  • 一般従業員 462万円
  • パイロット 1400万円
  • CA 364万円
と、なります。

JALのライバル企業と比較

航空業界ではトップレベルの平均年収

社名平均年収平均年齢平均勤続年数従業員数(単体)売上高
JAL839.3万円39.3歳14.5年13541人11864.7億円
ANAホールディングス776.6万円45.5歳3.35年187人2551.1億円
スターフライヤー600万円38.1歳5.7年824人10560.7億円
日本郵船934.8万円39.6歳14.1年1217人6699.1億円

JALは国際・国内線ともに国内2位のポジション。ライバル企業としては日本最大手のANAホールディングスと、そのANAホールディングスが出資するスターフライヤーの2社を取り上げます。JALの平均年収が839.3万円であるのに対し、ANAホールディングスは776.6万円、スターフライヤーは600万円と、日本航空が大きく差をつけています。航空業界においてはトップレベルの水準であることが分かります。

同じ「運輸業」という業種という意味で、「海運業」の日本首位である日本郵船とも比較してみましょう。日本郵船の平均年収は934.8万円と、JALを約100万円も上回ります。売上高は日本郵船が大きく上回る一方で、従業員数はJALが10倍以上、という成り立ちの違いが、この年収差に結びついているようです。

出典・参考
厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2019年企業活動基本調査速報-2018年度実績-」
国税庁「平成30年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2020年版 業種別 モデル年収平均ランキング」

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この記事の執筆者

東京大学卒業後、大手自動車メーカー入社。人事部門に配属。女性の働き方プロジェクトリーダーを担当。


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