0 編集部が注目した重点ポイント
① 三菱食品を完全子会社化し、食のバリューチェーンを変革する
「経営戦略2027」の「変革する」を象徴する動きとして、2025年度に三菱食品の完全子会社化(TOB)を決定しました。当社の持分比率を50.1%から100%へ引き上げることで、食品流通・小売事業における意思決定を迅速化します。DXを活用した需要予測や商品開発の強化が加速しており、消費財・流通領域でのキャリア機会が大きく拡大しています。
② 銅事業への集中投資を断行し、将来の成長基盤を創る
チリでの銅鉱山一体操業の最終合意や、米国での新規銅鉱山プロジェクトの権益取得など、1,000億円超の大型投資を相次いで公表しました。脱炭素化に伴う銅需要の増大を見据え、既存の金属資源ビジネスを次元の違う成長へと導く「創る」投資が本格化。グローバルな資源開発やプロジェクトファイナンスの専門人材の需要が高まっています。
③ 2027年度のROE12%達成に向け、稼ぐ力の向上を加速する
今期利益は一過性の再評価益の反動等で前年比減益ですが、経営陣は2027年度の連結純利益1.2兆円、ROE12%達成に強い手応えを示しています。1,000億円以上の大型案件がパイプラインに目白押しであり、「総合力をエンジンに」各事業をバリューアップする「磨く」取組を全社で推進中。自律的に案件を組成・変革できる「経営人材」の活躍の場が整っています。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年度第2四半期 決算説明会資料 P.3
営業収益CF
4,463億円
▲15%
連結純利益
3,558億円
▲42%
ROE(実績/見通し)
7.9%
進捗 51%
※営業収益CF = 運転資金の増減影響を控除した営業キャッシュフローにリース負債の支払額を反映(持続的な稼ぐ力を測る指標)
2026年3月期第2四半期の連結純利益は3,558億円となり、前年同期比で2,623億円の大幅減益となりました。これは、前年度に計上したローソンの持分法適用会社化に伴う再評価益や、豪州原料炭事業の資産売却益といった「大口の特殊要因」の反動が主な原因です。また、豪州原料炭事業の市況悪化も利益を押し下げました。
一方で、通期予想(連結純利益7,000億円)に対する進捗率は51%と概ね順調に推移しています。配当の計上時期や季節性によりセグメント間で進捗の差はあるものの、通期利益目標は据え置かれました。2025年4月に発表された「経営戦略2027」に基づく成長投資も加速しており、実質的な収益基盤の強化が進んでいます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年度第2四半期 決算説明会資料 P.10
金属資源
事業内容:原料炭(豪州BMA)、銅(チリ・ペルー)、鉄鉱石等の鉱山投資およびトレーディング。収益の最主力セグメント。
業績推移:連結純利益416億円(前年比-79%)。原料炭の市況下落と前年の売却益反動が主因。
注目ポイント:短期的な市況悪化に動じず、米国の銅鉱山プロジェクト権益取得(投資額約610億円)など「創る」投資を拡大中。銅地金相場100ドル/MT変動に対し25億円の利益感応度を持ち、脱炭素インフラを支える最重要領域です。地政学・資源・金融の複合的な知見が求められています。
地球環境エネルギー
事業内容:天然ガス・LNGの生産・販売、次世代エネルギー(水素・アンモニア・SAF等)の展開。
業績推移:連結純利益858億円(前年比-9%)。北米LNGの生産開始に伴う先行コストが影響。
注目ポイント:LNGカナダの第1カーゴ出荷を2026年度に見据え、生産体制を強化中。既存のLNG事業を「磨く」一方で、カーボンクレジットやバイオ燃料など新市場の創造にも注力しており、エネルギー転換のフロントランナーを目指す人材の活躍の場が豊富です。
S.L.C.(Smart-Life Creation)
事業内容:ローソン、ライフ等のリテイル事業、ヘルスケア、食品流通・物流(三菱食品)、金融・リース。
業績推移:連結純利益492億円(前年比-69%)。ローソンの再評価益反動が主因。実体は堅調。
注目ポイント:三菱食品の完全子会社化(投資額約1,380億円)により、グループを挙げたDX・AI活用を加速。需要予測による在庫最適化など、コンシューマービジネスとテクノロジーを融合させる「変革」の最前線です。BtoCビジネスのデータサイエンスに関心がある層には最適な環境です。
社会インフラ
事業内容:国内外の不動産開発、産業機械、船舶・宇宙航空機、総合エンジニアリング(千代田化工)。
業績推移:連結純利益429億円(前年比+42,800%)。前年の千代田化工関連引当金の反動で大幅増益。
注目ポイント:成長領域として国内データセンター事業(計8棟運用中)を拡大中。AI需要に裏打ちされた旺盛な電力・データ需要を捕捉し、アセットを積み増しています。不動産開発と電力、AIインフラを繋ぎ合わせる「総合力」が発揮されるセグメントであり、大型インフラ開発の専門家が必要とされています。
モビリティ
事業内容:三菱自動車・いすゞ自動車との連携による車両製造・販売。アセアン地域でのバリューチェーン展開。
業績推移:連結純利益387億円(前年比-30%)。タイ市場の低迷や米国関税影響がマイナス要因。
注目ポイント:苦境のタイ市場に対しAI活用による営業活動効率化で対抗。一方、オーストラリアのピックアップトラック市場は好調を維持しています。単なる「販売」から、プラットフォームを活用した「モビリティサービス」への転換を急いでおり、新ビジネスモデル構築のプロ人材が求められています。
電力ソリューション
事業内容:国内外の発電事業、電力トレーディング、送電事業(オランダEneco等)。
業績推移:連結純利益168億円(前年同期の赤字66億円から黒字化)。国内アセット売却益が貢献。
注目ポイント:欧州の総合エネルギー会社Enecoを中心とした再エネ展開が加速。持分容量に占める再エネ比率は409万kWまで拡大しました。質疑応答では北米のデータセンター向け電力供給需要(Time to Power)への期待も言及されており、再エネと電力トレーディングの融合に強みを持つ人材の価値が高まっています。
食品産業
事業内容:穀物、サーモン養殖(Cermaq)、農畜産物(伊藤ハム米久HD等)の生産・加工・販売。
業績推移:連結純利益341億円(前年比-44%)。前年の日本KFC等の売却益反動が影響。
注目ポイント:Cermaq社によるサーモン養殖3事業の取得合意(投資額約1,450億円)により、生産能力を大幅強化。2027年度に向けて3桁億円規模の収益貢献を見込んでいます。「磨く」取組による生産性改善が進行中で、アグロ・フードテック領域での事業経営に意欲的な人材が必要とされています。
マテリアルソリューション
事業内容:鉄鋼製品(メタルワン)、樹脂建材、基礎化学品、汎用化学品のトレーディングと投資。
業績推移:連結純利益201億円(前年比-46%)。中国の鋼材輸出過剰による市況低迷が直撃。
注目ポイント:厳しい市況下で、鉄鋼製品事業のポートフォリオ変革を推進中。線材・特殊鋼事業の再編など効率化を急いでおり、既存ビジネスの枠組みを大胆に組み替えられるターンアラウンドの知見を持つ人材が不可欠です。苦境を成長の機会と捉えられる「変革人材」の舞台です。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年度第2四半期 決算説明会資料 P.35
「経営戦略2027」の発表から半年が経過し、中西社長は「力強く手ごたえを感じている」と質疑応答で言及しました。特に、以前の3カ年(中期経営戦略2024)では難しかった1,000億円規模の大型案件が、現在は「磨く」「変革する」「創る」の全カテゴリーで相次いで具体化。銅事業や食品産業での大型M&Aがその証左です。
注目すべきは、単なる投資だけでなく、産業接地面積の広さを活かした「プラットフォーム型投資」へのシフトです。一つ光るアセットに当社の総合力を乗せ、プラスアルファの価値を創出する。この「1階部分(土台)を強くし、2階部分を創る」戦略により、既存事業のバリューアップが進んでいます。
質疑応答で言及されたリスクとしては、中国の鋼材輸出過剰に伴う鉄鋼・原料炭市況の停滞がありますが、当社は先行剥土や在庫積み増しによる操業安定化で対応中。時代の変わり目にあるエネルギーやAI領域でも、慎重かつ大胆に布石を打っており、「次世代の産業を創る」志を持つプロフェッショナル採用が一段と強化されています。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
「経営戦略2027」のキーワードである「総合力をエンジンに」を自身の経験と結びつけるのが有効です。具体的には、三菱食品の完全子会社化に見られる「事業変革」や、銅事業の大型投資に見られる「未来創造」といった具体例に触れ、自身の専門性がどのセグメントの「磨く・変革する・創る」に寄与できるかを論理的に語ることが求められます。
面接での逆質問例
「質疑応答で社長が仰っていた『1階部分(土台)を強くし、その上にプラスアルファを創る』という案件組成において、現場の担当者にはどのような視点や行動が期待されているのでしょうか?」や、「三菱食品のTOBにより食のバリューチェーンのデジタル化が加速する中、キャリア採用者に期待される役割はどう変化していますか?」といった、戦略の具体進捗に踏み込んだ質問が推奨されます。
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
スキルアップやキャリアの成長を実感
特に給与面では、予想以上の待遇を受けており、これほどの報酬を得られるのかと驚くこともあります。実際に、様々なプロジェクトに参加する機会が多く、スキルアップやキャリアの成長を実感しています。
(30代前半・人事・女性) [キャリコネの口コミを読む]海外出張が続き休暇取得が難しい時期もある
プロジェクトの進行状況によっては、海外出張が続くこともあり、休暇の取得が難しい時期もあります。
(30代後半・コンサルティング営業・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 三菱商事株式会社 2026年3月期 第2四半期決算短信
- 三菱商事株式会社 2025年度第2四半期 決算説明会資料
- 三菱商事株式会社 2025年度第2四半期 決算説明会 質疑応答



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。