シャープの転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

シャープの転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

シャープの2026年3月期2Q決算は、SDP生産終息などの構造改革により営業利益が前年比約72倍の289億円に急回復。不採算事業の切り離しを完了し、家電への生成AI実装や2027年度のEV参入といった新産業へのアクセルを踏む「第2の創業期」における採用可能性を整理します。


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編集部が注目した重点ポイント

不採算事業の整理により営業利益が前年比約72倍に急回復する

2025年度上期、液晶パネル製造の堺ディスプレイプロダクト(SDP)の生産終息やカメラモジュール事業の譲渡といった「アセットライト(資産を抑えて収益性を高める戦略)」を断行しました。これにより営業利益は前年同期の4億円から289億円へと劇的な改善を達成。構造的な赤字要因を切り離したことで、ブランド事業を中心とした攻めの採用・投資が可能な体制へ転換しています。

セグメントを3区分へ再編しブランド事業の成長を加速させる

当第1四半期より、報告セグメントを「スマートライフ」「スマートワークプレイス」「ディスプレイデバイス」の3区分へ刷新しました。「暮らす」と「働く」の領域に経営資源を集中し、独自のAI技術を搭載した高付加価値家電やDXソリューションを強化。この再編により、B2C・B2B双方でサービス・ソフトウェア領域のキャリア機会が大きく広がっています。

EV市場参入やAIデータセンター等の新産業へ本格投資する

中期経営計画に基づき、2027年度のEV(電気自動車)市場参入を目指すコンセプトモデルを公開。さらに、既存の工場資産をAIデータセンターソリューションへ転換する検討を加速させています。従来の電機メーカーの枠を超え、鴻海(ホンハイ)グループとのシナジーを活かした新領域での事業開発やエンジニア職にとって、挑戦しがいのある「第2の創業期」を迎えています。

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連結業績ハイライト

構造改革に伴う意図的な減収の一方で、各事業の収益力強化が想定を上回るペースで進展。通期の利益予想を大幅に上方修正しました。
2025年度上期連結業績概要

出典:2025年度 第2四半期 決算説明会資料 P.3

売上高 9,503億円 前年比 -13.3%
営業利益 289億円 前年比 +5,942.2%
最終利益 454億円 前年比 +98.1%

売上高は構造改革に伴い減収となりましたが、営業利益は前年同期の4億円から289億円へと劇的な増益を達成しました。アセットライト戦略の進展によりコスト構造が改善したほか、ブランド事業における高付加価値化が利益を押し上げています。また、政策保有株式の売却なども順調に進み、自己資本比率は14.6%まで回復しました。

上期の営業利益進捗率は、修正後の通期予想450億円に対して64.2%に達しています。下期にはPC事業の上振れや関税対策の効果も見込んでおり、年間の業績目標達成に向けた進捗状況は順調であると判断されます。

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事業別分析:転職者が活躍できるフィールド

新生シャープを支える3つの柱。ブランド事業が利益の牽引役となり、デバイス事業も高付加価値領域への集中により底打ちを見せています。
セグメント別営業利益実績

出典:2025年度 第2四半期 決算説明会資料 P.6

スマートライフ

事業内容:白物家電、テレビ、太陽電池、エネルギーソリューション、生成AI活用サービスの提供。

業績推移:売上高2,911億円(前年比-7.8%)、営業利益132億円(前年比+72.0%)。

注目ポイント:高付加価値家電の進展やテレビ事業の構造改革が奏功しました。生成AIを活用した「COCORO HOME AI」など、家電を単なるモノからサービスプラットフォームへ進化させる戦略を推進。住宅用太陽光・蓄電池などのエネルギー分野も好調で、ハードとソフトを融合できるエンジニアの需要が急増しています。

注目職種:AIサービスエンジニア、家電商品企画、エネルギーマネジメント開発

スマートワークプレイス

事業内容:MFP(複合機)、PC(Dynabook)、法人向けオフィスソリューションおよび通信事業。

業績推移:売上高4,085億円(前年比+2.9%)、営業利益329億円(前年比+46.6%)。

注目ポイント:PC事業がGIGAスクール需要や法人向け更新で大幅な増収を記録。顧客のDXを支援する「スマートビジネス」が二桁成長を遂げており、複合機とデジタルソリューションを掛け合わせたオフィス変革のコンサルティング営業や法人向けITエンジニアの活躍の場が拡大しています。

注目職種:法人DXコンサルタント、ソリューション営業、ネットワークエンジニア

ディスプレイデバイス

事業内容:車載、モバイル、産業用途向けの中小型液晶パネルの開発・製造。

業績推移:売上高2,118億円(前年比-6.6%)、営業損失87億円(赤字幅が大幅に縮小)。

注目ポイント:スマートフォン向けから車載・産業用途へのシフトを継続。不採算の大型パネル事業から脱却し、競争優位性の高い中小型領域へ集中することで、営業損益は着実に底を打ちました。車載グレードの技術開発や特殊用途向けディスプレイの設計など、高度な専門技術を持つスペシャリストが求められています。

注目職種:車載デバイス設計エンジニア、品質保証職、産業用パネル営業

その他

事業内容:堺ディスプレイプロダクト(SDP)、カメラモジュール、半導体事業等(今後グループから分離予定)。

業績推移:売上高453億円(前年比-74.0%)、営業利益12億円(黒字転換)。

注目ポイント:SDPの生産を終了し、カメラモジュール事業の譲渡や半導体子会社の非連結化を完了。巨額赤字の主因だった「過去のしがらみ」の整理が終了しました。今後は残る拠点資産をAIデータセンターへ転用するなど、資産を収益化する新たな事業企画人材にとって面白い局面です。

注目職種:事業構造改革担当、施設転換プロデューサー、資産管理

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今後の見通しと採用の注目点

財務基盤の劇的な回復を背景に、成長投資へのアクセルを踏むフェーズへ。EVやAIデータセンターなど新産業への挑戦が核心です。
中期経営計画の主な進捗

出典:2025年度 第2四半期 決算説明会資料 P.27

最優先課題であったSDPの終息をはじめとする構造改革に目途が立ち、今後は「成長投資」へ本格的にシフトします。2026年4月に期日を迎える大型の資金借り換えについても、主力行との詳細条件の議論に入っており、財務的な懸念は大幅に後退しました。

特に注目すべきは新産業への挑戦です。2027年度の参入を目指すEV(LDK+コンセプト)の開発や、既存工場の資産を活かしたAIデータセンターソリューションの事業化を加速。鴻海グループの製造・調達力と、シャープのAI・ディスプレイ技術を融合させ、電機メーカーからの「事業変革」を牽引できるハイブリッド型人材の獲得が急務となっています。

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求職者へのアドバイス

HINT 志望動機のヒント

同社は今、過去の赤字要因を切り離し「第2の創業期」とも言える劇的な変革期にあります。「アセットライト戦略によるV字回復の成果」を高く評価した上で、家電への生成AI実装やEV事業といった未来志向のプロジェクトに自身のスキルをどう繋げられるかを語るのが効果的です。鴻海との強固な連携を活かし、グローバルで勝てる日本発のブランドを再興したいという強い意志が評価されるでしょう。

Q&A 面接での逆質問例

「SDPの終息を経て、既存の工場資産をAIデータセンターへ転換するプロジェクトにおいて、現場レベルで現在直面している最大の技術的・ビジネス的課題は何ですか?」や、「2027年度のEV参入に向け、ソフトウェア開発の意思決定スピードを上げるために具体的にどのような組織改編を行っていますか?」といった質問が、事業変革への理解の深さをアピールする鍵となります。

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転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)

決算資料や公式発表だけでは見えにくい、現場で働く社員・元社員の実体験(口コミ)を、転職判断の参考となるよう編集部で選定しています。
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技術者の優秀さ

電気自動車の販売に力を入れ始めたが、技術者の優秀さに対して事業の撤退や見切りが遅い点が課題です。アジア市場でのブランド力はあるものの、液晶に続く新たな収益源を見つけられていないのが現状です。

(40代前半・コンサルティング営業・女性) [キャリコネの口コミを読む]
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収益構造がハードウェア依存

収益構造がハードウェアの売り切りに依存しているため、為替の影響を受けやすいのが課題です。特に、液晶事業が厳しい状況にあり、新たな収益源の確立が急務です。サブスクリプションやソフトウェアサービスの強化が求められています。

(40代前半・システムエンジニア・男性) [キャリコネの口コミを読む]

※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。

使用した主な公開資料

  • シャープ株式会社 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信
  • シャープ株式会社 2025年度 第2四半期 決算説明資料

この記事の執筆者

2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。


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