ニデックの転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

ニデックの転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

ニデックの2026年3月期2Q決算は、売上高が中間期で過去最高を更新。一方で車載事業の構造改革や不適切会計に伴うガバナンス刷新が急務となっています。「 Conversion2027」による高収益体質への転換や、AIサーバー向け冷却技術等の成長領域で、転職希望者がどのような役割を担えるのかを整理します。


0 編集部が注目した重点ポイント

内部管理体制の抜本的改善へ動く

2025年9月より不適切な会計処理の疑義に係る第三者委員会の調査が継続しており、同年10月28日付で東京証券取引所より特別注意銘柄に指定されました。これを受け、「ニデック再生委員会」を設置し、ガバナンスやコンプライアンスの再構築を最優先で進めています。法務・監査部門でのキャリア機会が急拡大する可能性があります。

新中計で高収益構造への転換を加速する

2027年度をターゲットとする新中期経営計画「Conversion2027」に基づき、不採算機種の見直しや拠点統合を含む抜本的な収益構造の転換に着手しました。AI社会を支えるデータセンター向け製品や水冷モジュールなど、成長領域への資源シフトを鮮明にしており、先端技術開発や事業再生に強い人材への需要が高まっています。

車載事業の再編と組織統合を断行する

2025年4月1日付でニデックモビリティとニデックエレシスを合併させるほか、車載既存事業を家電・商業・産業用事業本部(ACIM)へ統合するなどの大規模な組織再編を推進中です。特定の車載製品に係る減損損失等で営業利益が一時的に圧迫されましたが、体制刷新によりPMI(買収後の統合プロセス)や組織変革の経験を活かすフィールドが広がっています。

1 連結業績ハイライト

売上高は過去最高を更新するも、車載事業の構造改革費用が利益を圧迫した中間決算
2025年度第2四半期 連結決算概要

出典:2026年3月期 第2四半期 決算概要および現況のご報告 P.5

売上高 1兆3,023億円 +0.7%
営業利益 211億円 ▲82.5%
税引前利益 303億円 ▲69.5%

2026年3月期中間期の連結売上高は1兆3,023億円となり、過去最高を更新しました。一方で営業利益は、車載事業における契約損失引当金(365億円)や固定資産の減損損失(317億円)、仕入先からの求償請求に伴う和解費用(195億円)など、合計877億円のマイナス要因が響き、前年同期比で大幅な減益となりました。

現在、不適切な会計処理の疑義に関する調査が継続中であり、会計監査人からは結論不表明のレビュー報告書を受領しています。この影響により通期の業績予想は「未定」に修正されており、現在はガバナンスの立て直しと収益基盤の再構築に注力しているフェーズです。

2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド

AIデータセンター向け需要が牽引する精密小型モータと、再生を急ぐ車載・インフラ事業
製品グループ別 四半期業績推移

出典:2026年3月期 第2四半期 決算概要および現況のご報告 P.15

精密小型モータ

事業内容:HDD用モータ、ファンモータ、水冷モジュール等の設計・開発・販売を担当。

業績推移:売上高2,423億円(前年比0.1%減)、営業利益349億円(+20.0%)。

注目ポイント:AIサーバー向けの水冷モジュールやHDD用モータが好調で、利益率14.4%と高い収益性を維持。データセンター市場の爆発的成長を支える進化が求められており、先端冷却技術や精密機械設計のスペシャリストが不可欠です。

注目職種:熱流体解析エンジニア、精密モータ設計、AIデータセンター向け製品企画

車載

事業内容:車載用モータ、トラクションモータシステム(E-Axle)等の開発・製造。

業績推移:売上高3,359億円(前年比1.6%増)、営業損益828億円の損失(赤字転落)。

注目ポイント:不採算機種の見直しや固定費削減を徹底。組織の再構築として、2025年4月に車載事業子会社の合併を予定するなど、構造改革の真っ只中にあります。事業の立て直しを担うマネジメント層やプロセス改善のプロが求められています。

注目職種:事業再編コンサルタント、車載ソフト・ハード開発、コスト管理・購買

家電・商業・産業用

事業内容:産業用発電機、BESS(バッテリー貯蔵システム)等の開発。

業績推移:売上高5,306億円(前年比2.0%増)、営業利益574億円(▲1.5%)。

注目ポイント:グリーンイノベーションに伴うBESSの需要が右肩上がり。インドやフランス等で生産能力の増強投資を継続しており、保守・点検等のリカーリングビジネス(継続収益型)の強化も急務。グローバルなSCMやサービス事業立ち上げの経験が活かせます。

注目職種:電力インフラエンジニア、海外拠点管理、保守サービス開発

機器装置

事業内容:工作機械、産業用ロボット、検査装置等の開発・販売。

業績推移:売上高1,478億円(前年比3.7%減)、営業利益129億円(▲23.3%)。

注目ポイント:世界的な省人化・無人化ニーズにより設備投資需要は堅調。近年のM&Aによって取得した企業とのグループ間シナジー創出に注力しています。自動化技術やロボティクス、さらに複雑なPMIを推進できる人材が活躍できる環境です。

注目職種:FAエンジニア、ロボット制御開発、PMI推進担当

電子・光学部品

事業内容:スイッチ、センサ、レンズユニット等の生産・販売。

業績推移:売上高438億円(前年比2.6%減)、営業利益67億円(+5.2%)。

注目ポイント:減収ながらも営業利益率は15.3%へ上昇。不採算案件の見直しなど、徹底した収益改善の成果が出ています。効率的な生産プロセス構築や品質管理におけるノウハウを、更なる成長に繋げるフェーズにあります。

注目職種:生産技術、品質保証、光学設計エンジニア

3 今後の見通しと採用の注目点

「再生」と「転換」の同時進行。ガバナンス強化と成長領域へのシフトが採用の鍵
ニデック再生委員会の設置と取り組み

出典:2026年3月期 第2四半期 決算概要および現況のご報告 P.11

今後の成長戦略は、2025年10月30日に設置された「ニデック再生委員会」によるガバナンス刷新と、中期経営計画「Conversion2027」の遂行に集約されます。2026年1月下旬には改善計画を策定し、内部管理体制の抜本的な強化を図る方針です。コンプライアンス最優先の企業風土醸成のため、CLO(最高法務責任者)の設置や社内弁護士の増員など、組織・体制の強化を急いでいます。

事業面では、AI関連のデータセンター向け製品やグリーンイノベーション(BESS)などの事業5本柱への転換を急ピッチで進めています。現在の難局を乗り越えるための変革期であり、従来の「製造」に加えて、「法務・監査」「事業再編」「グローバルマネジメント」の専門性を持つ人材にとって、組織の核心部分から変革に関与できる稀有なタイミングと言えます。

4 求職者へのアドバイス

HINT 志望動機のヒント

現在のニデックは「再生」のフェーズにあり、不透明な会計問題という課題に対し、「正しい」を最優先とする企業文化への転換を掲げています。この状況をネガティブに捉えるのではなく、「自身の専門性(法務、経理、ガバナンス等)を活かして、日本を代表するグローバル企業の信頼回復に貢献したい」という姿勢は非常に強力な志望動機になります。また、AI水冷システムや再生可能エネルギー(BESS)といった先端成長分野への熱意も重要です。

Q&A 面接での逆質問例
  • 「再生委員会が掲げる『正しい』を最優先とする風土を、現場の意思決定プロセスにどのように反映させていく計画ですか?」
  • 「Conversion2027で掲げる事業5本柱への転換において、私の担当する部門にはどのような役割・期待が寄せられていますか?」
  • 「特別注意銘柄の指定解除に向けた内部管理体制の強化において、中途採用者に最も期待される専門スキルや経験は何ですか?」

5 転職者が知っておきたい現場のリアル

決算資料や公式発表だけでは見えにくい、現場で働く社員・元社員の実体験(口コミ)を、転職判断の参考となるよう編集部で選定しています。
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有給休暇や育児休暇の取得がしやすい

有給休暇や育児休暇の取得がしやすく、時短勤務や時差勤務の制度も整っています。時間有給制度が導入されているため、途中で抜けたり早めに退社することも可能です。技術系の社員は男性が多いですが、職場環境は悪くありません。コンプライアンスがしっかりしており、ハラスメントに対する意識も高いので、安心して働ける環境が整っています。

(30代後半・システムエンジニア・男性) [キャリコネの口コミを読む]
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長期的な成長戦略が見えにくい

新しいビジネスの創出が停滞している印象を受けます。研究開発への投資が不足しているため、長期的な成長戦略が見えにくいです。

(40代後半・コンサルティング営業・男性) [キャリコネの口コミを読む]

※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。

使用した主な公開資料:

  • 2026年3月期 第2四半期 決算概要および現況のご報告
  • 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(連結)
  • 連結決算補足資料<2025年度 第2四半期(7-9月期)>

この記事の執筆者

2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。


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