東京地下鉄の転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

東京地下鉄の転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

東京地下鉄の2026年3月期2Q決算は、旅客運輸収入の回復により増収を達成。自動運転の導入試験開始や、11社局とのタッチ決済相互利用など、上場を機にテクノロジーへの投資を一段と加速させています。安定した事業基盤と「攻め」のデジタル戦略を両立させる同社で、転職希望者が担える役割を最新実績から分析します。


0 編集部が注目した重点ポイント

旅客運輸収入が堅調に推移し増収を達成する

2026年3月期中間決算の営業収益は、人流の回復により旅客運輸収入が前年同期比3.6%増と好調に推移したことで、全体で2,104億円(同4.0%増)に達しました。特に定期外収入はコロナ前比で108.1%まで回復しており、東京の活力を自社の成長に結びつける需要喚起策が着実に成果を上げています。

報告セグメントを再編し生活サービスを強化する

当中間期より、一部業務移管及び組織変更に伴い、従来の「流通・広告」セグメントを「ライフ・ビジネスサービス」へ名称変更しました。鉄道事業を基軸に不動産や生活サービスとのシナジーを最大化させる方針で、高架下施設のリニューアルやコンテンツビジネスへの参画など、非運輸領域でのキャリア機会が広がっています。

2027年春の運賃改定申請を見送り現状を維持する

検討されていた2027年春の運賃改定について、社内検討の結果申請を見送ることを決定しました。現時点では運賃改定よりも鉄道駅バリアフリー料金制度の継続適用が有利と判断しており、足元の堅調な収益基盤を維持しながら、コスト適正化や新技術導入による効率的な事業運営をより一層推進していく方針です。

1 連結業績ハイライト

営業収益は旅客収入の増により増収。純利益は退職給付制度改定に伴う一時的な利益計上により、前年同期比で大幅な増益となりました。
26/3期2Q決算のポイント

出典:2026年3月期第2四半期 決算説明会資料 P.3

営業収益

2,104億円

(前年比 +4.0%)

営業利益

500億円

(前年比 △0.1%)

中間純利益

349億円

(前年比 +13.7%)

2026年3月期中間期の業績は、営業収益が2,104億円となり、旅客運輸収入の伸びが全体を牽引しました。営業利益は労務費の上昇や、前年度に少なかった撤去費の反動増などのコスト増加がありましたが、ほぼ業績予想に織り込み済みの範囲内で推移しています。中間純利益については、退職給付制度改定益として64億円を特別利益に計上したことにより、大幅な増益となりました。

通期予想に対する利益進捗率は60.0%となっています。数値上は70%を下回っており、中間期としては進捗が遅れているように見えますが、会社側は「連結業績予想に対して業績は概ね順調に進捗」していると評価しており、4月28日に公表された通期予想は据え置かれています。

2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド

主力の運輸業でのデジタル活用に加え、不動産や生活サービスといった非運輸領域での成長加速が鮮明になっています。
26/3期2Q決算 連結損益計算書

出典:2026年3月期第2四半期 決算説明会資料 P.12

運輸業

事業内容:東京23区を中心とした9路線の地下鉄運行、施設保守管理。移動のハブ機能の提供。

業績推移:営業収益1,929億円(前年比+4.2%)、営業利益427億円(前年比 △0.9%)。

注目ポイント:旅客運輸収入が堅調に推移する一方、物価・労務費の上昇による経費増が課題です。無線式列車制御システム(CBTC)の導入や自動運転(GOA2.5)の実証開始など、新技術によるオペレーションの進化が急務となっており、技術系専門職やDX人材の活躍が強く期待されています。

注目職種:鉄道電気・信号エンジニア、システム開発(DX推進)、車両保守管理、運行管理

不動産事業

事業内容:駅直結・駅近接のオフィスビル、商業施設、ホテル、住宅等の賃貸・開発。

業績推移:営業収益71億円(前年比+0.8%)、営業利益28億円(前年比+2.9%)。

注目ポイント:前年度に実施した私募REITへの物件売却による影響があるものの、既存物件の賃料増や浅草スクエア等の新規取得資産が寄与しています。私募REITを活用した循環型の事業モデルを拡大しており、アセットマネジメントや大規模再開発(新宿、飯田橋等)を主導できるプロフェッショナルが求められています。

注目職種:アセットマネジメント、不動産開発企画、リーシング営業、施設管理マネジメント

ライフ・ビジネスサービス事業

事業内容:駅構内店舗運営、車両・駅内広告(アドバタイジング)、コンテンツビジネス等。

業績推移:営業収益128億円(前年比+3.0%)、営業利益42億円(前年比+3.8%)。

注目ポイント:デジタルサイネージの拡大により広告事業が好調なほか、フィットネスジム「LifeFit」の運営開始など多角化を進めています。新たにコンテンツの知的財産(IP)を活用したビジネスも推進しており、マーケティングや新規事業開発のスキルを鉄道アセットと融合させる挑戦的な環境です。

注目職種:デジタルマーケティング、新規事業開発、広告プランナー、店舗プロデューサー

3 今後の見通しと採用の注目点

上場を機に「攻め」の姿勢を鮮明化。新線建設やデジタル決済の相互利用など、利便性向上への投資を加速させます。
設備投資計画

出典:2026年3月期第2四半期 決算説明会資料 P.42

2026年3月期の通期営業収益は4,206億円、営業利益は887億円を見込み、前期比で増収増益の達成を掲げています。中期経営計画期間の3か年で総額4,000億円の設備投資を計画しており、安全性向上はもとより、有楽町線・南北線の延伸(2030年代半ば開業目標)に向けた建設が着実に進められています。

特筆すべきは、2026年春以降に予定されているクレジットカード等のタッチ決済による相互利用の開始です。関東の鉄道事業者11社局との連携を主導するなど、都心インフラの利便性をテクノロジーでアップデートするフェーズにあります。また、31/3期を目処に鉄道事業運営を9,000人体制でオペレーションできる体制構築を掲げており、人的資本の強化と技術による効率化の両輪を担う人材への期待が高まっています。

4 求職者へのアドバイス

HINT 志望動機のヒント

上場企業としての新たなスタートを切った同社において、「鉄道を基軸としたまちづくり」への貢献を語ることが有効です。特にインバウンド需要の取り込みや新技術(CBTC等)による運行安定化といった具体的課題に対し、自身の専門性がどう寄与できるかを整理しましょう。安定した基盤の上で「次のあたりまえ」を創るという姿勢が評価されます。

Q&A 面接での逆質問例
  • 自動運転(GOA2.5)の導入にあたり、現場の乗務員の方々の役割や働き方は具体的にどのように変化すると想定されていますか?
  • 2026年春のタッチ決済相互利用開始により、どのようなデータ利活用が可能になり、サービス向上にどう繋がるとお考えですか?
  • 飯田橋の再開発準備組合設立を受け、今後同エリアで目指す「まちづくり」のコンセプトについて伺いたいです。

5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)

決算資料や公式発表だけでは見えにくい、現場で働く社員・元社員の実体験(口コミ)を、転職判断の参考となるよう編集部で選定しています。
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評価などにおける男女差はなく完全に平等

評価などにおける男女差はなく、完全に平等といえます。休みも取りやすく、調整もつきやすいのでライフイベントを通しても女性が働きやすい職場だと思います。

(20代後半・人事・男性) [キャリコネの口コミを読む]
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労働環境に問題を感じる

現場勤務であると4日に一度の泊まり勤務があるが、考えようによっては三連休みたいなものであり、また平日の休みであるため、体力がある方には嬉しいシステムかもしれない。

(20代前半・土木設計・男性) [キャリコネの口コミを読む]

※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。

使用した主な公開資料

  • 東京地下鉄 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)
  • 東京地下鉄 2026年3月期第2四半期(中間期) 決算説明会資料
  • 東京地下鉄 2026年3月期第2四半期決算説明会 主なQ&A

この記事の執筆者

2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。

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