0 編集部が注目した重点ポイント
① ホテル事業が牽引し通期予想を上方修正する
インバウンド需要の増加に伴い、ホテル事業の一室単価が対前年で2,150円上昇するなど極めて好調です。生活サービス事業の伸長も加わり、通期の連結営業利益予想を5月時点から40億円引き上げ、1,040億円とする強気の見通しを公表しました。
② 不動産REITの持分法適用で利益構造が変化する
2025年度第2四半期より、東急リアル・エステート投資法人の投資口を追加取得し持分法適用会社化しました。これにより負ののれん相当額66億円を営業外収益に計上。本業の営業減益をカバーし、中間純利益では対前年13.7%増の増益を達成する構造的変化が起きています。
③ 交通事業はコスト増に備え運賃制度活用を検討する
輸送人員は対前年3.4%増と回復基調にありますが、採用強化や処遇改善による人件費増が利益を圧迫しています。中長期的な成長に向け、インフレや安全投資を見据えた新たな加算運賃制度などの活用検討を開始しており、事業基盤の再構築が進む見込みです。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 第2四半期 決算説明会資料 P.4
営業収益
5,189億円
対前年 △1.2%営業利益
588億円
対前年 △9.9%中間純利益
562億円
対前年 +13.7%※事業利益 = 営業利益 + 上場3社(東急不動産HD、東急建設、世紀東急工業)を除く持分法投資損益 + 不動産事業等に係る受取配当。独自の収益指標である「東急EBITDA」は1,201億円(前年比+5.0%)と着実に拡大しています。 第2四半期の実績は、前年度の大型物件販売の反動で減収減益となった不動産事業を除き、多くのセグメントで当初予想を上回るペースで推移しています。通期営業利益1,040億円に対する進捗率は約56.6%ですが、下期に引き渡しが集中する不動産販売等の季節性を考慮すると、業績達成は極めて順調であると評価できます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期 第2四半期 決算説明会資料 P.8
交通事業
事業内容:東急電鉄や東急バス等による鉄道・バス事業。日本屈指の旅客数を誇る路線網を運営しています。
業績推移:営業収益1,110億円(前年比+2.9%)。輸送人員の増加で増収も、人件費等の費用増により利益は189億円(前年比△12.7%)。
注目ポイント:新線「東急新横浜線」の輸送人員が前年比約14%増加と急成長しています。キャッシュレス決済の導入や無線式列車制御システム(CBTC)の推進など、デジタル技術を活用した次世代インフラへの変革を担う人材が求められています。
不動産事業
事業内容:渋谷を中心としたオフィス・商業施設の賃貸、および「ドレッセ」ブランド等の住宅分譲、不動産管理。
業績推移:営業収益1,154億円(前年比△11.0%)。大型マンション売却の反動で減益も、賃貸業は空室率2.0%と低水準を維持。
注目ポイント:渋谷エリアの就業人口が10年間で33.3%増加しており、再開発による価値向上が続いています。2025年上期の賃料改定では契約更改テナントの75%超で増賃合意するなど、資産価値を高めるアセットマネジメント力が重要となっています。
生活サービス事業
事業内容:東急百貨店や東急ストア等のリテール、およびICT・メディア(東急パワーサプライ、東急レクリエーション等)。
業績推移:営業利益112億円(前年比+11.1%)。東急ストアの既存店売上が4.8%増と好調に推移。
注目ポイント:「東急パワーサプライ」が電力調達の安定化等により好調。また、2025年8月から本格始動した「東急リテールマネジメント」により、沿線の商業施設機能を一体化し、2030年度までにテナント取扱高を10%向上させる戦略が加速しています。
ホテル・リゾート事業
事業内容:東急ホテルズ等による宿泊事業。ラグジュアリーからビジネスまで多様なブランドを展開。
業績推移:営業収益671億円(前年比+9.0%)、利益は59億円(前年比+36.2%)と急伸。
注目ポイント:インバウンド効果により一室単価が26,233円(対前年+2,750円)に上昇。徹底したレベニューマネジメントが成果を上げています。収益性指標であるGOP(売上総利益)比率は34.6%にまで向上し、グループの新たな利益の柱となっています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期 第2四半期 決算説明会資料 P.19
2025年度は、通期経常利益を期初予想から93億円上方修正するなど、極めて強い見通しを示しています。今後の成長戦略として、2029年度竣工予定の「Shibuya Upper West Project」や2031年度の「渋谷スクランブルスクエア中央・西棟」など、超大型の再開発プロジェクトが目白押しです。 また、中長期では連結ROA 4%の達成を目標に掲げ、資産回転型ビジネスの加速やグループ内連携(テナント運営ビジネス)の強化を打ち出しています。これらを実現するため、不動産開発の枠を超えた「コミュニティ・ライフデザイン」を構想できる、クリエイティブかつ戦略的なビジネス人材の獲得が、経営上の最優先課題となっています。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
東急の最大の強みは、鉄道・不動産・生活サービスが密接に連携する「東急型TOD(公共交通指向型開発)モデル」にあります。単なるアセットの運営ではなく、「エリア全体の価値を連鎖的に向上させる」という視点が不可欠です。インバウンド需要の取り込みやデジタル戦略の推進など、既存の枠組みをアップデートする「変革の主体」として貢献したいという意欲を示すことが、高く評価されるでしょう。
面接での逆質問例
「交通事業における人件費増を『処遇改善』と前向きに捉えられていますが、人的資本への投資が具体的にどのような競争力強化につながるとお考えでしょうか?」 「ホテル事業のADR上昇が顕著ですが、ブームに終わらせない持続的な付加価値創出のために、現場レベルでどのような取り組みを重視されていますか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
新しい挑戦を応援する社風
海外での都市開発や東急アクセラレートプログラムなど様々な分野で新しい取り組みをしており、新しい挑戦を応援する社風を感じました。
(30代前半・その他・男性) [キャリコネの口コミを読む]不動産や鉄道事業関連は業務過多の状態
部署によるが、休日出勤している社員も少なからずいる。大型案件が多く、人手不足の影響かと思われる。残業代はきちんと出るが業務過多の状態。
(30代前半・不動産専門職・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 東急株式会社 2026年3月期 第2四半期 決算説明会資料
- 東急株式会社 2026年3月期 第2四半期 決算短信〔日本基準〕(連結)



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。