0 編集部が注目した重点ポイント
① 各段階利益で過去最高を更新し、通期予想を上方修正する
2025年12月期第3四半期の決算は、営業利益が前年同期比19.7%増の1,063億円となるなど、全ての利益項目で既往ピークを更新しました。これを受け、通期の経常利益予想を1,700億円へ、年間配当金予想を60円へそれぞれ上方修正しており、成長スピードがさらに加速しています。
② レーサムを完全子会社化し、連結ベースの収益基盤を強化する
2025年3月に株式会社レーサムを完全子会社化しました。これにより、同社が持つ高度なバリューアッド(不動産の価値向上)ノウハウをグループに取り込み、新たな不動産ビジネスモデルを確立します。転職者にとっては、既存の賃貸事業に留まらない多様なキャリア機会が拡大する構造的変化といえます。
③ ホテル・旅館事業が前年比54%の大幅増益を達成する
観光需要の回復と単価上昇により、ホテル・旅館事業の営業利益が前年同期比54%増の30億円に達しました。「ふふ」ブランドの7施設がミシュランキーを獲得するなどブランド力も向上しており、2027年に向けた「安定基盤利益」の拡大を牽引する重要な成長ドライバーとなっています。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年12月期 第3四半期 決算説明資料 P.3
営業収益
4,242億円
(+34.6%)
営業利益
1,063億円
(+19.7%)
経常利益
915億円
(+12.1%)
当期純利益
606億円
(+11.0%)
第3四半期累計の業績は、不動産事業における販売用不動産の売却が順調に進んだことや、ホテル・旅館事業の収益性向上が寄与し、大幅な増収増益となりました。特に、全段階利益で既往ピークを更新しており、極めて強固な経営基盤を示しています。また、投資額も3Q累計で5,400億円を超え、成長に向けた種まきも着実に進行しています。 通期予想に対する進捗状況については、修正後の経常利益目標1,700億円に対し915億円(進捗率53.8%)となっています。一見低く見えますが、不動産業界特有の期末偏重や、第4四半期に700億円超の投資に目途が立っていることから、会社側は業績を順調と評価し、期初予想を上回る着地を見込んでいます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年12月期 第3四半期 決算説明資料 P.7
不動産事業
事業内容:都心5区を中心としたオフィスビル、商業施設、データセンター等の賃貸および開発・建替、バリューアッド事業。
業績推移:営業利益は1,142億円(前年同期比+22%)と大幅な増益を達成。売却益が168億円増加したことが大きく寄与。
注目ポイント:2025年3月よりレーサムが新規連結されており、従来の「賃貸」主体のモデルに「高回転なバリューアッド」が加わりました。銀座エリアでの重点投資や、都心型データセンター開発など、専門性の高い開発プロジェクトが目白押しです。
ホテル・旅館事業
事業内容:「ザ・ゲートホテル」や高級温泉旅館「ふふ」シリーズ等の運営・経営。
業績推移:営業利益は30億円(前年同期比+54%)。稼働率および平均客室単価(ADR)が上昇傾向。
注目ポイント:直近では横浜、福岡で新規開業し、今後も札幌、大阪、銀座等で続々と開業を予定。インバウンド認知拡大を狙い、直営施設を拡大する方針を明確にしており、サービス企画や施設運営のプロフェッショナルが求められています。
保険事業
事業内容:ヒューリック保険サービスによる、法人・個人向けの多様な保険商品販売。
業績推移:営業利益は9.4億円(前年同期比-1.3%)。営業収益は微増したものの、利益は横ばい圏内。
注目ポイント:既存損保代理店の営業権取得を重点戦略とし、法人取引を中心とした営業展開を継続。グループの顧客基盤を活用したクロスセルの強化が進んでいます。
その他(こども教育事業等)
事業内容:リソー教育による進学指導、ヒューリックビルドによる建築工事請負、こども教育事業など。
業績推移:営業利益は12億円(前年同期比-25%)。リソー教育の子会社化(2024年5月)により収益規模は拡大中。
注目ポイント:「こどもでぱーと」の展開など、不動産と教育を融合させた新規領域に注力。2025年10月にはクックデリ株式会社の株式取得(子会社化)を公表し、高齢者向け食品事業にも参入。非不動産領域でのシナジー創出が急務となっています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年12月期 第3四半期 決算説明資料 P.50
同社は2027年12月期の経常利益目標1,800億円以上を掲げ、ポートフォリオの再構築と海外投資の拡大を推し進めています。特筆すべきは「次の10年後」を見据えた新規事業の多角化です。成田での国内初となる国際航空物流拠点「WING NRT」の開発や、2万人規模の「幕張アリーナ」整備計画、さらには系統用蓄電池への1,000億円投資など、従来のデベロッパーの枠を超えた戦略が次々と具体化しています。 これらの野心的なプロジェクトの推進には、専門的な知見を持つ中途採用人材が不可欠です。M&Aによるグループ拡大が続いており、買収先とのシナジー創出を担うPMI(買収後の統合プロセス)人材や、再エネ・データセンター等の次世代アセットの専門家にとって、非常に挑戦しがいのあるフェーズにあります。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
「安定した賃貸収益をベースにしながら、レーサムの買収や教育・食品事業への参入など、変化を恐れず連結ベースでの成長を追求する姿勢」に共感したことを伝えましょう。特に「ふふ」ブランドの強化や「幕張アリーナ」のような、不動産に体験やサービスを付加する戦略において、自身のスキルがいかに貢献できるかを具体化すると効果的です。
面接での逆質問例
「レーサムの完全子会社化により、従来の貴社の開発手法とどのように融合し、バリューアッド事業の意志決定スピードや評価軸にどのような変化がありましたか?」「データセンターや蓄電池事業など、インフレ耐性の強いアセットへの投資を加速されていますが、これらの新領域における内製化の範囲とパートナーシップのあり方について教えてください」など、戦略の深部に踏み込む質問が推奨されます。
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- ヒューリック株式会社 2025年12月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
- ヒューリック株式会社 2025年12月期 第3四半期 決算説明資料(2025年10月28日)



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。