0 編集部が注目した重点ポイント
① 欧米等のDUNLOP商標権を譲受しブランド経営を加速させる
2025年5月に欧州・北米・オセアニア地域における四輪タイヤのDUNLOP商標権等の譲受を完了しました。これにより、グローバルでのブランド展開の自由度が高まり、自社主導のマーケティングが可能となります。北米やオセアニアでは既にビジネスを開始しており、グローバルブランド経営を推進する体制が整ったことは、海外事業に携わる転職者にとって大きなキャリア機会となります。
② 利益創出活動「Project ARK」により収益構造を刷新する
2025年5月に発足した利益創出・総コスト低減活動「Project ARK」が本格始動しています。2025年12月までに30億円の増益効果を見込んでおり、物流費や広告宣伝費、IT経費などの全社的なコスト構造改革を断行中です。効率的な経営体制への移行期にあるため、企画系職種やDX推進人材にとって、変革のリーダーシップを発揮できる環境が提供されています。
③ 7-9月実績が対前年で増収増益となり回復基調を鮮明にする
第3四半期の3ヶ月間(7-9月)において、売上収益・事業利益ともに対前年同期で増収増益を達成しました。特に事業利益率は7.0%まで上昇しており、1-3月の4.9%から着実な回復を見せています。北米工場の生産終了に伴う減損損失が解消されたこともあり、営業利益は前年同期の115億円から461億円へと大幅に増加しており、経営の健全化が加速しています。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年12月期 第3四半期決算説明会 P.6
※事業利益 = 売上収益 - (売上原価 + 販売費及び一般管理費)(事業の経常的な業績を測る指標)
第3四半期累計の売上収益は8,616億円となりました。タイヤ販売本数は、インフレによる市況停滞や低採算品の整理により前年を下回りましたが、価格転嫁の効果により下支えされています。営業利益は461億円と、前年同期比で4倍以上の水準に達しました。これは、前年同期に計上した北米工場の生産終了に伴う多額の減損損失等が当期には発生していないことが主な要因です。
通期予想に対する進捗状況は、売上収益が71.8%となっており概ね順調な推移と言えます。一方で事業利益は51.1%に留まっており進捗が遅れている状況ですが、同社は原材料価格の低下や為替の円安進行、さらには第4四半期に見込まれる「Project ARK」の収益改善効果により、年初予想の利益水準を維持する計画を掲げています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年12月期 第3四半期決算説明会 P.10
タイヤ事業
事業内容:自動車、建設車両、モーターサイクル用タイヤ等の製造・販売、および応急修理剤等の周辺事業。
業績推移:売上収益 7,402億円(前年比 △1.1%)、事業利益 409億円(前年比 △20.0%)。
注目ポイント:国内新車用は一部メーカーの減産解消により販売本数が大幅増となりました。海外ではプレミアム化戦略として「SYNCHRO WEATHER(シンクロウェザー)」等の高付加価値商品を投入し、採算重視の販売を徹底。DUNLOP商標権の獲得により、欧米市場でのブランド戦略を抜本的に再構築するフェーズにあります。
スポーツ事業
事業内容:「SRIXON」「XXIO」ブランドのゴルフ用品、テニス用品の製造・販売、スクール運営等。
業績推移:売上収益 932億円(前年比 △4.6%)、事業利益 47億円(前年比 △41.3%)。
注目ポイント:フィットネス事業の譲渡により減収となったものの、主力のゴルフクラブ・ボールの販売は日本や米国で引き続き好調を維持しています。特に14代目となる新型「ゼクシオ」の投入など、製品ライフサイクルに合わせた緻密な市場開拓が進められており、プロスポーツの舞台でもブランド認知が高まっています。
産業品他事業
事業内容:制振ダンパー、医療用ゴム、OA機器用ゴム、生活用品(手袋・スロープ)等の展開。
業績推移:売上収益 283億円(前年比 △0.8%)、事業利益 29億円(前年比 +121.0%)。
注目ポイント:ガス管事業からの撤退や欧州子会社の譲渡により規模は縮小していますが、制振事業の好調と製品構成の良化により利益は倍増しています。住宅用制振ダンパーや医療用ゴムといった成長領域に経営資源を集中しており、ゴム技術を応用した高付加価値ビジネスへの転換が成功しつつあります。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年12月期 第3四半期決算説明会 P.21
通期の事業利益予想は950億円(前期比108%)を据え置いています。不透明な米国関税の影響に対しても、約130億円の影響額を価格転嫁とコスト削減で確実に「打ち返す」計画です。2035年に向けた戦略「R.I.S.E. 2035」では、ゴム技術から生み出す新たな体験価値の提供を目指しており、次世代オールシーズンタイヤ「SYNCHRO WEATHER」のような破壊的イノベーションの創出に注力しています。
また、サステナビリティ領域では、福島県白河工場での水素製造装置稼働や資源循環型カーボンブラックの採用など、2050年のカーボンニュートラル達成に向けた投資を継続。これら長期的な変革を支えるため、DE&I(多様性・公平性・包括性)の推進や人的資本経営の実行が経営のトッププライオリティに置かれており、多様なバックグラウンドを持つ人材の活躍の場が広がっています。
4 求職者へのアドバイス
同社は今、欧米でのDUNLOP商標権獲得という歴史的なターニングポイントにあります。これまでの「委託」から「自社主導」のブランド経営へと切り替わる局面において、自らのグローバル経験を活かして新しい市場を切り拓きたいという意欲は強力なアピールになります。また、利益創出活動「Project ARK」に見られるような徹底した効率化と、イノベーション創出を両立させる姿勢に共感し、自らの専門性で収益構造の刷新に貢献したいと伝えるのが有効です。
- DUNLOP商標権の譲受により、具体的に北米・欧州市場での製品開発プロセスはどう変化するとお考えですか?
- 「Project ARK」でのコスト削減努力は、将来的な研究開発投資や人的資本への投資にどう還元される計画でしょうか?
- 「R.I.S.E. 2035」で掲げる「新たな体験価値」を実現するために、現在どのような異能人材の補強を急務とされていますか?
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
どのような優位性で勝負するのかが不鮮明
近年力をつけてきているアジアンメーカーにいつ追い抜かれるか、その為にどのような優位性で勝負するのかが不鮮明。
(20代後半・研究開発・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2025年12月期 第3四半期決算説明会資料(2025年11月12日発表)
- 2025年12月期 第3四半期決算短信〔IFRS〕(連結)(2025年11月12日発表)



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。