0 編集部が注目した重点ポイント
① 過去最高の業績を更新し通期営業利益を上方修正する
当第3四半期累計の売上収益、営業利益、純利益はすべて過去最高を更新しました。全セグメントで増収を達成した好調な推移を受け、通期の営業利益予想を前回から75億円引き上げ、1,100億円へと上方修正しています。中国市場の減速を他地域でカバーする強固な事業ポートフォリオが成果を出しています。
② 三菱電機のモータ事業を譲受し省エネ技術を一体化する
2025年11月、三菱電機から三相モータおよび高性能なIPM(永久磁石埋込式)モータ事業の譲受を決定しました。2026年度中の完了を予定しており、ポンプとモータ技術を一体化した圧倒的な省エネソリューションの提供を目指します。建築・産業分野での製品付加価値と収益性の向上が期待される重要な構造変化です。
③ 生成AI需要を追い風に精密・電子事業が成長を牽引する
生成AI向け半導体需要の急拡大により、主力のCMP(化学機械研磨)装置やコンポーネントが好調に推移しています。精密・電子事業の売上収益は前年同期比16.6%増の2,233億円に達しました。増産投資の再開に加え、顧客工場の稼働率回復に伴うサービス需要も拡大しており、中長期的な成長ドライバーとなっています。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年12月期 第3四半期 決算説明会資料 P.5
売上収益
6,635億円
+9.8%
営業利益
695億円
+16.2%
四半期利益
446億円
+8.9%
当第3四半期累計期間は、精密・電子事業でのAI向け需要回復や、環境、エネルギーなどの各事業が寄与し、過去最高の売上・利益を計上しました。営業利益率も10.5%と、前年同期の9.9%から改善。売上の拡大が固定費の増加を上回り、効率的な収益拡大が続いています。
通期上方修正後の予想(売上9,270億円)に対する第3四半期時点の進捗率は71.5%となっており、計画通り概ね順調に推移しています。特に下半期にかけて大型案件の検収が進む環境事業などが通期目標達成への鍵を握っています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年12月期 第3四半期 決算説明会資料 P.8
精密・電子
事業内容: 半導体製造用のCMP装置やドライ真空ポンプ、ガスモニターなどの提供。
業績推移: 売上収益2,233億円(前年同期比16.6%増)、営業利益328億円(同2.2%減)。
注目ポイント: 生成AI需要の恩恵を最も受けている領域です。利益面では製品構成の変化や人件費増により微減となりましたが、CMP装置の売上は20.0%増と圧倒的。熊本や台湾での生産・開発拠点への先行投資を加速させており、先端プロセスに追随する高い技術力を持つエンジニアの需要が極めて高い状況です。
建築・産業
事業内容: ビルやマンション向けの給排水ポンプ、ファン、コンプレッサなどの提供。
業績推移: 売上収益1,734億円(前年同期比0.4%増)、営業利益105億円(同90.9%増)。
注目ポイント: 北米でのデータセンター向け需要が堅調。前年同期ののれん減損損失がなくなったことで利益が大幅に改善しました。三菱電機からのモータ事業譲受により、モータ技術の内製化と垂直統合が進みます。省エネニーズに応える新製品開発やM&A後の統合推進(PMI)において、多様なキャリア機会が生まれています。
エネルギー
事業内容: 石油・ガス、新エネルギー向けのカスタムポンプやコンプレッサの提供。
業績推移: 売上収益1,593億円(前年同期比9.8%増)、営業利益170億円(同11.4%増)。
注目ポイント: 利益率の高いサービス&サポート(S&S)が売上の52%を占める安定収益モデルです。北米でのLNG投資マインド回復に加え、水素・アンモニア関連の脱炭素プロジェクトも進行中。地政学リスクがある中、エネルギー供給の根幹を支えるやりがいと、高度なプラント設計技術が求められる領域です。
環境
事業内容: 都市ごみ焼却施設やバイオマス発電施設の設計・建設、運営管理。
業績推移: 売上収益648億円(前年同期比9.5%増)、営業利益72億円(同40.5%増)。
注目ポイント: 国内公共向けの延命化工事や長期包括運営契約が好調で、売上の77%が安定的なO&M(運営管理・メンテナンス)で構成されています。大型の改修案件を複数受注しており、施工管理や設備管理の専門家が長期的な視点でじっくりとキャリアを積める安定した環境が魅力です。
インフラ
事業内容: 河川排水ポンプ場や上・下水道施設、大型換気システム向けの機器提供。
業績推移: 売上収益417億円(前年同期比20.2%増)、営業利益36億円(同55.9%増)。
注目ポイント: 地球温暖化に伴う洪水被害増加を受け、河川排水ポンプの需要は国内外で高止まりしています。「国土強靭化」を掲げた国内公共投資が追い風となり、社会の安全・安心を守るという高い使命感を持って業務に当たれる点が大きなやりがいです。官公庁向け営業や大規模プロジェクトの管理スキルを磨けます。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年12月期 第3四半期 決算説明会資料 P.20
荏原製作所は2035年に向けた事業ポートフォリオイメージとして、精密・電子、建築・産業、エネルギーの3事業を盤石な収益の柱とする方針を掲げています。当期の通期予想上方修正は、まさにこの戦略が正しい方向に向かっていることを示唆しています。
採用面では、三菱電機のモータ事業譲受に伴う技術融合やPMI(買収後の組織統合)を担う人材への期待が高まっています。また、精密・電子分野では生成AI向けの先端プロセス進化に追随するため、設備投資額を大幅に増やしており、高度な専門性を持つ技術者がグローバルな舞台で挑戦できる環境が整っています。質疑応答でも、関税政策の影響は限定的であるとの認識が示されており、マクロ環境の不透明感の中でも持続的な成長が見込まれる安定感も魅力です。
4 求職者へのアドバイス
創業100年を超える名門でありながら、生成AI対応やモータ事業の事業譲受といった「非連続な変化」を積極的に選択している企業姿勢を志望動機に織り込むのが効果的です。単なる機械メーカーとしての枠を超え、脱炭素やAI社会のインフラを支えるグローバルソリューションカンパニーへ進化する一翼を担いたいという意欲を伝えてください。
- 「三菱電機から譲受するモータ技術と既存のポンプ技術を融合させ、独自の省エネ性能を実現するための最大の技術的課題は何ですか?」
- 「精密・電子事業が急速に拡大する中、先端半導体プロセスの進化に追随するための研究開発体制の強化において、どのような専門性を持った中途採用人材が最も求められていますか?」
- 「建築・産業セグメントを3本目の柱として成長させる上で、グローバル拠点での組織統合や標準化において中途採用者が貢献できる余地はどこにありますか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
多様な働き方が可能
有給休暇の取得が奨励されており、残業も少なめなので、プライベートの時間をしっかりと確保できます。部署によっては在宅勤務が柔軟に行えるため、ワークライフバランスを重視する方には魅力的です。特に役職者は出社することが多いですが、一般社員は在宅勤務を活用しやすい環境です。時短勤務や副業も認められており、多様な働き方が可能です。
(30代前半・人事・女性) [キャリコネの口コミを読む]個々の努力が報われにくい
しかし、他の事業部が全体の成長を妨げている印象があり、特に賞与の分配が全社的に行われるため、個々の努力が報われにくいと感じることがあります。このため、離職者が増えているように思います。
(40代後半・コンサルティング営業・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 株式会社荏原製作所 2025年12月期 第3四半期決算短信〔IFRS〕
- 株式会社荏原製作所 2025年12月期 第3四半期 決算説明会資料



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。