横河電機の転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

横河電機の転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

横河電機の2026年3月期2Q決算は、円高影響を跳ね返し増収増益を達成。サウジアラムコへのAI導入成功や、再生可能エネルギー分野での戦略的M&Aにより「自律操業」のリーダーとしての地位を固めています。IT/OT融合の加速により、エンジニアやDX人材にとってのキャリア機会が大きく広がっている現状を整理します。


0 編集部が注目した重点ポイント

サウジアラムコとの協業で自律制御AIの導入を成功させる

横河電機独自の強化学習AIアルゴリズム「FKDPP」が、サウジアラムコの大規模ガス製造プラントに採用されました。複数のAIが連携し、エネルギー使用量を10~15%削減するなど、高度な自律操業を実現しています。デジタル技術を核とした「トラステッドパートナー」への進化が、グローバル規模で加速しています。

2025年10月の企業買収により再生可能エネルギー分野を強化する

2025年10月にサイバーセキュリティを手掛けるIntellisync社と、グリッド管理に強みを持つWiSNAM社を買収しました。これにより、BaxEnergy社を中心とした再生可能エネルギー監視ソリューションの提案力を大幅に強化しています。脱炭素化市場におけるリカーリングビジネス(継続収益型)の拡大が、エンジニアの新たな活躍フィールドとなります。

旺盛なデジタル投資を背景に通期業績予想を上方修正する

為替レート前提の見直し(1ドル=140円から145円)に加え、AIデータセンター需要による計測器の好調を受け、通期業績予想を上方修正しました。親会社株主に帰属する当期純利益は前回予想から20億円プラスの545億円を見込みます。堅実な経営基盤と成長領域への投資が両立しており、採用市場での優位性が高まっています。

1 連結業績ハイライト

円高影響を受けながらも「増収増益」を達成。AI関連需要と制御事業の受注残が業績を牽引しています。
FY25 1H 決算サマリー

出典:2026年3月期 第2四半期 決算説明会 P.5

売上高 2,820億円 +5.8%
営業利益 390億円 +7.4%
中間純利益 294億円 +19.5%

2026年3月期第2四半期は、為替が対前年で円高に推移した影響を約30億円の営業減益要因として受けながらも、豊富な受注残を背景に実質的な増収増益を達成しました。特に親会社株主に帰属する中間純利益は前年同期比で約48億円増加しており、収益性の向上が鮮明です。制御事業においては、欧州や日本、東南アジアでの大口案件獲得が寄与し、受注高も3,004億円(+3.3%)と堅調に推移しています。

通期予想に対する進捗率は、売上高で48.9%、営業利益で47.0%となっており、第2四半期終了時点としては概ね順調なペースで推移しています。下期に向けて為替前提の修正や、AIデータセンター向け計測器の伸長を見込んでおり、通期目標の達成に向けた確度は高いと分析されます。

2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド

制御事業を主軸に、AIデータセンター需要を捉えた測定器事業が急成長。各地域でDXソリューションの需要が爆発しています。
セグメント別業績推移

出典:2026年3月期 第2四半期 決算説明会 P.7

制御事業(エネルギー&サステナビリティ/マテリアル/ライフ)

【事業内容】

プラントの生産設備を制御・監視するシステムや、AIを活用した自律操業ソリューションを提供しています。

【業績推移】

売上高2,645億円(+5.5%)、営業利益361億円(+6.4%)。為替影響を除く増益率は+14.2%と極めて高い成長です。

【注目ポイント】

サウジアラムコへのAI導入事例に象徴されるよう、従来の「自動化」から「自律化」への転換が加速しています。また、2024年4月に買収したWeb Synergies社との統合により、ITとOTを融合させたDXソリューションの提供体制が整いました。サステナビリティ分野でのシステム構築など、高度なエンジニアリングスキルを持つ人材の需要が急増しています。

注目職種: システムエンジニア、DXソリューションセールス、AI活用エンジニア

測定器事業(横河計測)

【事業内容】

光スペクトラムアナライザやパワーアナライザなど、次世代インフラ開発に不可欠な高性能計測器を展開。

【業績推移】

売上高152億円(+6.5%)。受注高は163億円(+5.5%)と、次期以降の売上に繋がる受注が積み上がっています。

【注目ポイント】

AIデータセンター建設に伴う光通信装置や電源装置の開発・評価プロセスにおいて、同社の計測器が数多く採用されています。AI社会のインフラを支える「測る力」の価値が再評価されており、研究開発から製造プロセスまで幅広い領域で、専門性の高い技術者が求められています。

注目職種: 計測機器開発エンジニア、テクニカルサポート、海外営業

グローバル地域別分析(全地域網羅)

日本: 売上高697億円(+12.2%)。安心・安全や生産性向上投資が引き続き堅調。
アジア(東南アジア・極東・中国・インド): 売上高792億円。中国の景気低迷影響はあるものの、東南アジアは堅調に推移。
欧州・CIS: 売上高305億円(+21.8%)。CCS(二酸化炭素回収・貯留)への投資期待が高い。
中東・アフリカ: 売上高520億円(+27.8%)。旺盛なエネルギー需要を背景に、AIやセキュリティ、省人化ソリューションへの要求が非常に強い。
北米: 売上高247億円。回復傾向にあるものの、人件費高騰が懸念材料。
中南米: 売上高83億円。銅やレアメタルの需要継続に支えられています。

3 今後の見通しと採用の注目点

中期経営計画「GS2028」が本格始動。システム同士を連携させる「System of Systems」のリーダーを目指します。
制御サブセグメント別受注残

出典:2026年3月期 第2四半期 決算説明会 P.34

横河電機は、中期経営計画「Growth for Sustainability 2028」に基づき、既存製品の競争力強化とソリューションポートフォリオの充実を推進しています。特に注目すべきは、サウジアラビアの首都緑化プロジェクト「グリーン・リヤド」への参画です。都市インフラを統合管理するシステムを提供し、環境・社会の持続可能性に貢献する「System of Systems」の信頼されるパートナーとしての地位を固めています。

今後のリスク要因としては、不安定な国際情勢や為替変動、米国関税政策による不透明感が挙げられていますが、エネルギー需要の堅調さを背景にお客様の投資意欲は高い状態が続くと見られます。IT/OT統合ソリューションの強化により、SaaSおよびリカーリングビジネスの比率を高める方針であり、ソフトウェア開発やクラウド基盤の知見を持つ人材にとって、長期的なキャリア形成が可能な環境が整っています。

4 求職者へのアドバイス

HINT 志望動機のヒント

横河電機は単なる機器メーカーから、AIやDXを駆使して社会課題を解決する「トラステッドパートナー」へと変貌を遂げています。「測る力とつなぐ力」をコアコンピタンスとし、サウジアラムコやシノペックといった世界最大級の企業と対等にプロジェクトを推進している事実に触れ、自身の専門性をどのように「地球の未来」に役立てたいかを言語化することが、強い志望動機に繋がります。

Q&A 面接での逆質問例

  • 「2025年10月に買収したIntellisync社やWiSNAM社の技術は、既存の再生可能エネルギー監視ソリューションにどのような具体的付加価値をもたらしていますか?」
  • 「FKDPPのような独自のAIアルゴリズムを、化学や食品・飲料といったエネルギー以外の他業種へ横展開する上での現在の課題は何でしょうか?」
  • 「GS2028で掲げられているトランスナショナルなオペレーションにおいて、日本本社のエンジニアが海外のCoE(Center of Excellence)と連携する具体的な頻度や体制について教えてください。」

5 転職者が知っておきたい現場のリアル

決算資料や公式発表だけでは見えにくい、現場で働く社員・元社員の実体験(口コミ)を、転職判断の参考となるよう編集部で選定しています。
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ソフトをリリースできたときはやはり嬉しい

プラント関連のサービス開発はやりがいがある。大企業なので仕事の進め方でストレスがたまるケースは正直あるが、ソフトをリリースできたときはやはり嬉しい。

(30代後半・プロジェクトリーダー・男性) [キャリコネの口コミを読む]
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国内で新設プラントが立つケースは少ない

国内で新設プラントが立つケースは少ないと思いますので、海外プロジェクトにかかわる等の選択をしなければその面白味に触れるケースも少ないかと思います。

(30代後半・システムエンジニア・男性) [キャリコネの口コミを読む]

※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。

使用した主な公開資料

  • 2026年3月期 第2四半期 決算説明会(2025年11月4日発表)
  • 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)

この記事の執筆者

2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。


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