0 編集部が注目した重点ポイント
① 大型案件の獲得によりビジネスモデルが進化する
期間総額10億円以上の大型案件獲得が恒常化しており、2026年3月期3Q累計では獲得金額390億円を突破しました。従来の個別製品提供から、ネットワーク構築と運用保守を組み合わせた「統合サービスオファリング」への転換が進んでいます。これにより大規模なシステム更改に携わるプロジェクトマネージャーやエンジニアの活躍機会が大幅に拡大しています。
② 退職金制度を改定し人的資本への投資を加速する
2026年3月期2Qより、確定拠出年金(DC)を中心とした退職金制度への改定を実施しました。これに伴い2025年12月末時点で退職給付に係る負債が約38億円減少するなど、財務体質の健全化とあわせて賃金テーブルの約6%改定を実現しています。自律的なキャリア形成を支援する環境が整いつつあり、専門職としての長期的な待遇向上が期待できる構造に変化しています。
③ セキュリティとIoTが収益の柱として成長する
ストック型収益の要となるアウトソーシングサービスにおいて、セキュリティ関連売上が前年比+14.1%と高い伸びを維持しています。法人モバイルもIoTデバイス接続需要を取り込み、回線数は350万回線に達しました。ネットワークインフラの安定運用という強みを背景に、特定領域のスペシャリストからフルアウトソーシングを担うコンサル人材まで、幅広い職種で採用ニーズが高まっています。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 第3四半期連結業績説明資料 P.2
2026年3月期3Q累計の売上収益は、ネットワークサービスおよびシステム運用の拡大により増収となりました。営業利益についても前年比17.9%増と大幅な伸びを示しています。これはシステム構築(SI)需要の先行と、それに伴う運用保守売上の積み上げが寄与したものです。一方で、コスト面では全般的な増加基調にあり、モバイルデータ接続料の費用戻り効果がない等の要因も含まれています。
通期予想に対する進捗率は、売上収益で73.3%、営業利益で66.8%となっています。売上高は概ね順調に推移していますが、営業利益については売上構成やインフレによるコスト増の影響を受け、当初想定を若干下回る進捗となっています。しかし、受注残高は前年同期末比+22.1%と極めて高い水準にあり、期末にかけての売上計上が期待される状況です。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期 第3四半期連結業績説明資料 P.31
ネットワークサービス
事業内容:法人・個人向けインターネット接続、アウトソーシング(セキュリティ等)、WAN回線提供を主軸とする基盤事業です。
業績推移:売上高1,321億円(前年比+10.0%)。セキュリティ関連が+14.1%と牽引し、ストック収益が強固に成長しています。
注目ポイント:企業のゼロトラストネットワークへの移行に伴い、SASE(Secure Access Service Edge)やSOC(Security Operation Center)などの高度なセキュリティサービスの需要が激増しています。単なる回線売りではなく、企業のITインフラ全体をデザイン・守り抜くスキルが求められており、中途採用でも即戦力のエンジニアが不可欠な状況です。
システムインテグレーション(SI)
事業内容:クラウド・サーバー等のシステム構築(一時売上)およびその後の運用保守(ストック売上)を提供します。
業績推移:売上高1,150億円(前年比+7.4%)。特に運用保守売上が+15.9%と大きく伸び、高収益化に寄与しています。
注目ポイント:期間総額100億円を超える官公庁向け案件や、証券・金融機関の基幹システムリプレースなど、難易度の高い大規模プロジェクトが目白押しです。自社開発サービスを組み合わせた「サービスインテグレーション」モデルにより、既存のSierにはないスピード感と独自性を持った構築が可能です。PMとしてのキャリアアップを目指すには最適なフィールドと言えます。
ATM運営事業
事業内容:コンビニ等に設置された銀行ATMのネットワーク構築・運用および手数料ビジネスを展開しています。
業績推移:売上高22.5億円(前年比+2.5%)。提携金融機関の増加に伴い、安定的かつ堅調に推移しています。
注目ポイント:IIJグループのシステム基盤を活用し、極めて高い稼働率を実現している安定事業です。キャッシュレス化が進む中でも現金の重要性は依然として高く、金融×ITのクロス領域におけるインフラ運用のプロフェッショナルとしての知見を磨くことができます。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期 第3四半期連結業績説明資料 P.39
今後の成長を牽引するのは、AI利活用やデジタルデータ流通の拡大に応える次世代インフラ投資です。千葉県白井市のデータセンター(白井DC)第3期棟の建設着工を2025年6月に予定しており、投資規模は約300億円にのぼります。また、持分法適用会社であるディーカレットホールディングスを通じたデジタル通貨「DCJPY」の社会実装も進行中で、ゆうちょ銀行との共同検討など金融のデジタル化を主導する構えです。
質疑応答で言及された情報によると、トークン化預金の社会普及には時間軸が必要であり、当初計画より黒字化時期は後送されるものの、環境価値取引やセキュリティトークン決済など具体的なプロジェクトは着実に進展しています。また、人材面では連結従業員数をFY26末に6,100名規模まで拡大させる計画であり、年間440名規模の増員を継続しています。待遇面でも、昇給率約6%の実施や次世代人材育成への積極投資が明示されており、技術者にとって魅力的な報酬体系の整備が進む見通しです。
4 求職者へのアドバイス
HINT 志望動機のヒント
IIJは単なるISPから、企業のITインフラを丸ごと請け負う「フルアウトソーサー」へと進化を遂げています。特に「統合サービスオファリング」による大型SI案件の恒常化は、大規模なプロジェクト経験を積みたい人にとって非常に強力な志望動機になります。また、技術者比率約7割というエンジニア中心の企業文化や、昇給率6%を実現した人的資本への積極投資を、自らの技術成長とキャリア形成に結びつけて語るのが有効です。
Q&A 面接での逆質問例
- 「大型サービスインテグレーション案件が増加する中で、プロジェクトマネージャーにはどのような品質管理や技術統制の裁量が与えられていますか?」
- 「白井DC第3期棟の建設などインフラ投資が加速していますが、AIやデータ駆動社会に向けた新サービス開発に現場エンジニアが関与できるチャンスはありますか?」
- 「退職金制度の改定や賃金テーブルの刷新など、人的資本への投資が強化されていますが、スペシャリストとしての評価体系はどのように運用されていますか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 株式会社インターネットイニシアティブ 2026年3月期 第3四半期連結業績説明資料
- 株式会社インターネットイニシアティブ 2026年3月期 第3四半期決算短信〔IFRS〕(連結)



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。