0 編集部が注目した重点ポイント
① 製造・ライフサイエンスで大型買収を完遂する
当期は構造的変化の大きな節目です。2025年6月に半導体用高純度化学品のSACHEM社アジア事業を取得し、7月には旭化成ファーマの診断薬用酵素事業を承継したナガセダイアグノスティックスが連結開始しました。商社から「製造機能を持つ企業」への変革により、技術営業や生産管理のキャリア機会が飛躍的に拡大しています。
② 生成AI向け半導体材料が2桁成長を継続する
電子・エネルギーセグメントが牽引役です。米中関係の影響を受けつつも、ナガセケムテックスが手掛けるAIサーバー用半導体向け封止材(LMC)が好調に推移。販売数量は前年同期比で2桁成長を達成しており、デファクトスタンダードを持つ強みを活かし、先端技術領域での圧倒的な市場ポジションを固めています。
③ 総還元性向100%の積極還元で株主と対話する
中期経営計画の最終年度として、異次元の株主還元を断行中です。当初計画から期末配当を増配し、年間配当100円(16期連続増配)を予定。さらに2年間限定の措置として総還元性向100%を掲げ、自己株式取得も機動的に実行しています。PBR1倍超えに向けた資本効率重視の姿勢は、専門性の高い経営管理職にとっても刺激的な環境です。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年度 第3四半期 決算説明資料 P.4
第3四半期累計の連結売上高は過去最高を更新しました。商社機能が自動車関連ビジネスの停滞により横ばいとなる中、製造機能の売上総利益が約77億円増加し、全体の収益性を押し上げています。特に高付加価値製品へのプロダクトミックス改善が寄与し、売上総利益率は0.9ポイント改善の19.2%に達しました。
通期連結業績予想に対する進捗率は、営業利益で81.5%、純利益で79.3%と、75%基準を大きく超えており堅調な進捗です。M&Aに伴う負ののれん発生益や、2020年度に撤退を決定した中国ガラス加工事業の損失計上といった一時的要因を吸収しつつ、実力値ベースでの増益基盤を構築しています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年度 第3四半期 決算説明資料 P.6
電子・エネルギー(注力領域)
【事業内容】
半導体・電子材料、ディスプレイ材料等の提供。買収したSACHEM社事業もここに含まれます。
【業績推移】
営業利益 11,338百万円(前年同期比+28.0%)。グループで最も高い増益率を誇る成長エンジンです。
【注目ポイント】
AIサーバー用半導体材料が牽引。SACHEM社のアジア拠点獲得により、中国等の主要顧客に近い場所での高純度化学品の開発・製造体制を強化しました。2026年度中には回収装置の販売開始も予定。最先端半導体の前工程に関わる化学の専門知識を持つ人材が不可欠となっています。
生活関連(注力領域)
【事業内容】
医薬品、香粧品、食品素材の提供。欧米拠点のPrinova、バイオのナガセヴィータが中核です。
【業績推移】
営業利益 6,980百万円(前年同期比+124.1%)。利益倍増の大幅な回復を遂げました。
【注目ポイント】
Prinovaの製造業において人員の最適化(約300名削減)とライン自動化によるコスト削減が大きく進展しました。バイオ領域では、サンディエゴに研究施設を開設。AIとロボティクスを駆使した新素材開発を加速させており、データサイエンスを融合させたライフサイエンス分野のキャリアが熱い領域です。
機能素材(基盤領域)
【事業内容】
塗料、インキ、合成樹脂、ウレタン材料等の化学品商社機能が主体です。
【業績推移】
営業利益 6,759百万円(前年同期比△9.5%)。自動車・建築需要の減退が響きました。
【注目ポイント】
厳しい環境下でも半導体材料の原料販売は増加。また、フロー合成やMOFといった独自のユニークな技術を活用した事業創出を推進しています。既存の商社ビジネスを最新技術でアップデートできる、技術的な知見を持つ商社営業が求められています。
加工材料(基盤領域)
【事業内容】
樹脂材料、包装資材、機能部品の提供。土木・工業用ホースのナガセルータック等。
【業績推移】
営業利益 5,475百万円(前年同期比+0.5%)。数量減をミックス改善で補い、横ばいを維持。
【注目ポイント】
2025年11月に東拓工業から「ナガセルータック」へ社名変更し、グループ一体感を醸成。無電柱化を推進する特殊管など、国策に関連した需要を獲得しています。環境配慮型素材へのリソースシフトを進めており、サステナブル素材のサプライチェーン構築を担う人材にチャンスがあります。
モビリティ(改善領域)
【事業内容】
自動車内外装、電動化用途の材料・部品の提供。
【業績推移】
営業利益 2,735百万円(前年同期比△21.7%)。主要顧客のEV生産減の影響を強く受けました。
【注目ポイント】
苦戦が続く一方、北米やインドといった成長市場へのリソース投下を加速。電動化関連部品のラインナップ拡充を進めています。不採算事業の整理を断行する一方で、次世代モビリティに必要なミッシングパーツを獲得するためのM&Aや提携を模索しており、変革期の事業再構築に携われるフェーズです。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年度 第3四半期 決算説明資料 P.27
2030年頃の計数イメージとして、フード、半導体、ライフサイエンスの3分野による売上総利益900億円(現在の2倍超)を目標に掲げています。この達成に向け、約800億円の潜在的投資枠を確保しており、直近でもブラジルのフード素材メーカーAplinova社を買収するなど、グローバルサウスでの地盤固めを迅速に進めています。質疑応答では、中国での半導体需要の国産化計画が同社の差別化商材にとって追い風になるとの言及もありました。
また、AIとロボティクスを活用した開発スピードのアップを重点施策としており、バイオ領域でのミッシングパーツを埋める投資を継続。これまでの「人海戦術」から「テクノロジー主導」への移行が鮮明です。新中期経営計画の策定を控える今、グローバルな舞台で事業ポートフォリオの変革を自ら主導できる人材の採用が、最優先事項となっています。
4 求職者へのアドバイス
長瀬産業は今、単なる商社から、買収した海外製造拠点を統合し「製造機能で価値を創出するメーカー的商社」への進化の真っ只中にあります。特に半導体、フード、バイオの3本柱をグローバルに展開する姿勢は、自身の語学力や専門性を「事業の再構築」や「PMI(買収後の統合プロセス)」で活かしたいという意欲的な転職者にとって、非常に説得力のある志望動機となります。
・「SACHEM社やナガセダイアグノスティックスの連結により、商社営業と開発・製造部門の連携は具体的にどのように変化し、どんなシナジーを期待されていますか?」
・「サンディエゴの新拠点におけるAI・ロボティクスの導入により、将来的に他セグメント(機能素材等)へも開発手法を波及させる計画はありますか?」
・「総還元性向100%方針を通じた資本効率の改善は、現場レベルの投資判断やKPI設定にどのような変化をもたらしていますか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
報酬は非常に良い
報酬は非常に良いと思う。若いうちは勝手に昇給していき、学生時代の友人と比較しても頭一つ、二つ抜けていたように感じた。
(20代後半・ルートセールス・男性) [キャリコネの口コミを読む]行動することが苦手な方はやっていけない
しかし自分で主体的に行動することが苦手な方はやっていけない。常にバイタリティを持って仕事を作り出す意欲が必要である。
(20代後半・法人営業・女性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料:
- 長瀬産業株式会社 2026年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
- 長瀬産業株式会社 2025年度 第3四半期 決算説明資料
- 長瀬産業株式会社 2025年度 第3四半期 決算説明会 質疑応答要旨



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。