指定されたルールとデータソースに基づき、日東富士製粉株式会社の企業分析記事を作成しました。
日東富士製粉転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、日東富士製粉株式会社 の有価証券報告書(第127期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 日東富士製粉ってどんな会社?
三菱商事グループの中核製粉会社です。製粉・食品事業を柱に、KFCフランチャイズ等の外食事業も展開しています。
■(1) 会社概要
同社は1914年に松本米穀製粉として設立され、1930年に日東製粉と改称しました。1964年に三菱商事と総代理店契約を締結。2006年に富士製粉と合併し、現在の日東富士製粉となりました。2007年には三菱商事が親会社となり、2018年には増田製粉所を完全子会社化するなど、グループの再編・強化を進めています。
連結従業員数は848名(単体403名)です。筆頭株主は親会社である総合商社の三菱商事です。第2位と第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 三菱商事 | 64.74% |
| 日本マスタートラスト信託銀行 | 4.92% |
| 日本カストディ銀行 | 1.61% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性2名、計9名で構成され、女性役員比率は22.0%です。代表取締役社長は宮原朋宏氏です。社外取締役比率は約33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 宮原 朋宏 | 代表取締役社長 | 1989年三菱商事入社。食糧本部、農水産本部農産部長、生活消費財本部アジア消費財部長などを歴任。2023年6月より現職。 |
| 中田 昭久 | 取締役専務執行役員生産技術本部長 | 1983年入社。生産技術部長、常務執行役員生産技術本部長兼品質保証部担当などを経て、2025年4月より現職。 |
| 太田 大志 | 取締役常務執行役員管理本部長兼業務監査室担当 | 1997年三菱商事入社。財務部資金チームリーダー、欧州三菱商事会社取締役CFOなどを経て、2023年6月より現職。 |
| 堤 隆敏 | 取締役常務執行役員営業開発本部長 | 1995年三菱商事入社。食品原料部、インドネシア部などを経て、2024年10月より現職。 |
| 長﨑 剛 | 取締役 | 1999年三菱商事入社。製粉糖質部、日本食品化工取締役執行役員などを経て、2023年6月より現職。 |
社外取締役は、豊島ひろ江(中本総合法律事務所パートナー)、村松隆志(元味の素トレーディング代表取締役社長)、宮下律江(株式会社エターナリア代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「製粉及び食品事業」、「外食事業」、「運送事業」を展開しています。
■(1) 製粉及び食品事業
小麦粉・ふすま・ミックス粉・食品等の製造販売を行っています。顧客は食品メーカーや外食産業などが中心です。また、海外子会社においてもプレミックス粉などの製造販売を行っています。
主に製品の販売対価を収益としています。運営は、日東富士製粉および子会社の増田製粉所が行っており、販売は代理店である三菱商事や子会社の隅田商事・兼三などの特約店を通じて行われています。
■(2) 外食事業
「ケンタッキーフライドチキン(KFC)」のトップフランチャイジーとして、関東・東海地区で店舗展開を行っています。また、各種レストランなど多角的な事業活動も進めています。
一般消費者への飲食サービスの提供による対価を収益としています。運営は主に連結子会社のさわやかゞ行っています。
■(3) 運送事業
主に同社グループの原料小麦および製品の運送を行っています。
運送サービスの提供による対価を収益としています。運営は連結子会社の日東富士運輸が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は2024年3月期まで増加傾向にありましたが、2025年3月期は微減となりました。経常利益は50億円台後半で安定的に推移していましたが、直近期では減益となっています。当期純利益も同様に推移しており、安定した収益基盤を持ちつつも、直近ではコスト増や製品回収の影響等により利益が減少しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 565億円 | 593億円 | 695億円 | 726億円 | 723億円 |
| 経常利益 | 50億円 | 49億円 | 57億円 | 58億円 | 56億円 |
| 利益率(%) | 8.9% | 8.2% | 8.2% | 8.0% | 7.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 32億円 | 32億円 | 34億円 | 39億円 | 34億円 |
■(2) 損益計算書
売上高はほぼ横ばいで推移しましたが、売上総利益率は若干改善しました。一方、営業利益は減少しており、販売費及び一般管理費の増加などが影響しています。営業利益率は低下傾向にあります。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 726億円 | 723億円 |
| 売上総利益 | 166億円 | 172億円 |
| 売上総利益率(%) | 22.8% | 23.8% |
| 営業利益 | 52億円 | 51億円 |
| 営業利益率(%) | 7.2% | 7.0% |
販売費及び一般管理費のうち、販売運賃が32億円(構成比27%)、給料及び手当が27億円(同22%)を占めています。売上原価は551億円で、原材料費などが主要な構成要素となっています。
■(3) セグメント収益
主力の製粉及び食品事業は、製品価格改定の影響などもあり減収減益となりました。一方、外食事業は販売好調により増収増益となっています。運送事業は増収ながらもコスト増により減益となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 製粉及び食品事業 | 614億円 | 608億円 | 47億円 | 46億円 | 7.5% |
| 外食事業 | 111億円 | 114億円 | 4億円 | 4億円 | 3.6% |
| 運送事業 | 1億円 | 1億円 | 1億円 | 0.4億円 | 27.8% |
| 連結(合計) | 726億円 | 723億円 | 52億円 | 51億円 | 7.0% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.2%で市場平均(スタンダード市場7.2%)とほぼ同じ水準である一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は78.4%で市場平均(スタンダード市場非製造業平均48.5%)を大きく上回っています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 65億円 | 51億円 |
| 投資CF | -30億円 | -22億円 |
| 財務CF | -17億円 | -23億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「小麦の持つ無限の可能性で、世界の多様なニーズに挑戦し続ける」というパーパスを掲げています。また、「事業基盤の強化により持続的に成長する企業となる」「能動的に細かなニーズを捉え、新規領域での成長に挑戦し続ける」というビジョンを実現することで、社会における存在意義を果たそうとしています。
■(2) 企業文化
同社は、「環境に配慮した製品・サービスの開発と提供により、社会に貢献し続ける」「法令と社会規範を遵守し、誇りを持って仕事に臨み続ける」「グローバルな視野をもち、多様な文化を受け入れ、すべてのステークホルダーの満足度を高め続ける」という3つの行動指針を定めています。これらに基づき、社会貢献やコンプライアンス遵守、グローバルな視点を重視する企業風土の醸成に努めています。
■(3) 経営計画・目標
同社は「中期経営計画2026」(2024年度~2026年度)を策定しており、最終年度の目標として以下の数値を掲げています。
* 連結純利益:45億円
* 連結ROE:8.0%以上
* 基礎収益:30億円以上
* 基礎収益ROA:4.1%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
「中期経営計画2026」において、既存事業の量的拡大・質的向上、収益性向上及び安定化、海外事業の拡大及び自立化、新事業領域に繋がる成長投資などを事業戦略として掲げています。特に海外事業では、成長市場における量的拡大・質的向上を目指し、タイやベトナムの子会社での生産体制強化を進めています。また、DXの推進や人的資本の最適化、サステナブル経営の推進にも取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は「中期経営計画2026」において、「人的資本の最適化」を掲げています。人事制度改革による人材活用・育成・ローテーションを実施することで、人的資本の最適化を図る方針です。また、「チャレンジ文化のある企業を目指し、多様な人材が活躍する環境整備」「働きやすさの向上」をサステナビリティの重要課題として位置づけ、多様な人材が活躍できる環境づくりを進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 42.3歳 | 17.8年 | 6,604,437円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 10.6% |
| 男性育児休業取得率 | 66.7% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 71.6% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 76.6% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 67.4% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、新卒採用女性比率(46.2%)、女性育児休業取得率(100.0%)、ストレスチェック受検率(97.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 景気・業界動向
食品業界では人口減少や少子高齢化による需要減少が懸念され、製粉業界の国内市場も伸び悩んでいます。また、国際貿易協定による輸入食品の関税撤廃・削減が進み、国産から輸入品へ需要がシフトした場合、同社グループの業績に影響を与える可能性があります。同社は新市場開拓や海外展開、商品力の強化等で対応する方針です。
■(2) 小麦粉原料調達リスク
主原料である輸入小麦は政府が一元管理しており、政府の麦政策の動向により調達方法が見直される可能性があります。また、小麦相場の急騰や為替変動による調達コストの上昇を製品価格に転嫁できない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は安定的な調達やコストダウン、価格改定によりリスク低減を図っています。
■(3) コンプライアンスリスク
食品衛生法等の法的規制の遵守が求められており、異物混入や表示不良等が発生した場合、回収費用や損害賠償、信用低下により業績に影響を及ぼす可能性があります。直近でもプレミックス粉への異物混入による自主回収が発生しており、食品安全への意識再構築や再発防止に向けた社内体制の整備に努めています。



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