※本記事は、ホクシン株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ホクシンは、MDF(Medium Density Fiberboard)の製造・販売を主な事業内容としています。同社は、木材を主原料とするMDF製品を通じて、住宅業界を中心に幅広い分野に貢献しています。
単体従業員数は167名です。同社はMDF事業の単一セグメントで事業を展開しています。
ホクシンは、MDF(Medium Density Fiberboard)の製造から販売までを一貫して手掛けています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ホクシンは、従業員の長期的なキャリア形成を支援する環境が整っている企業です。平均勤続年数や平均年齢から、安定して働き続けられる傾向が見られます。また、人材育成や多様な働き方への対応にも力を入れており、従業員一人ひとりが成長できる職場環境づくりを進めていることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員が長く勤める傾向にあり、安定したキャリアを築ける環境が整っていることが平均勤続年数や平均年齢から読み取れます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,309,000円 |
| 平均勤続年数 | 17.6年 |
| 平均年齢 | 42.6歳 |
| 単体従業員数 | 167人 |
同社は退職給付制度として、給与や勤続年数に応じて給付額が決まる確定給付型企業年金制度と、会社が拠出した資金を従業員が運用する確定拠出年金制度を採用しています。退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、退職給付債務は4.1億円、年金資産は5.3億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社の人材戦略は、経営基本理念に基づき、持続的な企業価値の向上を実現するために、多様な人材の確保と育成、従業員が能力を最大限に発揮できる環境整備を重視しています。将来のホクシンを担う人材の確保と育成、多様な働き方を支える環境整備、評価制度や教育プログラムの充実に継続して取り組んでいます。
給与、賞与その他の報酬は、職能資格等級に応じた責任の程度、本人の能力・経験・勤務成績、ならびに会社の業績や外部の賃金水準等を勘案し、社内規程に基づき決定されます。
“SustainabilityVision2030”の実現に向けて、「安心で安全な職場環境づくり」「多様な働き方への対応推進」「未来を担う人づくり」を重点課題として掲げ、DXの推進を通じて従業員一人ひとりが長所を生かしながら成長し続けられる職場環境の整備を進めています。当事業年度においては、各種提案制度の活用や有給休暇取得率の向上、従業員の健康課題への対応に努め、健康経営優良法人2026(中小企業部門)の認定を受けました。女性が活躍できる職場環境の整備を目的とした社外専門家によるキャリア面談の実施や、男性従業員の育児休業取得率75%の達成など、具体的な施策も推進しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。女性の職業生活における活躍の推進に関する法律および育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の規定に基づき算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 6.5% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 75.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 66.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 72.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 62.0% |
安心で安全な職場環境づくり
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 有給取得率 | 70.5% |
| 健康診断2次健診受診率 | 63.3% |
多様性な働き方への対応推進
※採用した労働者に占める女性労働者の割合は、正社員採用を前提とする契約社員を含みます。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 採用した労働者に占める女性労働者の割合 | 25.0% |
| 労働者に占める女性労働者の割合 | 10.1% |
未来を担う人づくり
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 社内提案制度の応募件数 | 224件 |
| 教育支援の支出金 | 519万円 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ホクシンは、MDF(Medium Density Fiberboard)の製造と販売を主な事業内容としています。木材を原料とした建材の提供を通じて、社会の基盤を支える役割を担っています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社はMDFの製造・販売を主力事業としています。国内製品であるスターウッドは販売を伸ばし、スターウッドTFBは減少傾向にありました。また、輸入商品も販売が減少しています。
同社の収益は、主にこれらのMDF製品の販売から得ています。海外の外部顧客への売上高はないため、国内市場が主な収益源となっています。販売実績を見ると、特定の顧客への販売割合が比較的高い傾向にあります。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
当事業年度の売上高は、前年同期に比べてわずかに増加しました。一方で、営業損失と経常損失は前年同期よりも縮小する結果となりました。しかし、当期純損益は前年同期の利益から損失に転換しています。
国内経済は物価上昇と賃上げが進む中で緩やかな回復が続いたものの、物価上昇による個人消費の力強さは欠ける場面がありました。同社と関係の深い住宅業界では、資材価格や人件費の上昇による住宅価格の高騰、住宅ローン金利の上昇により、住宅取得マインドは低下傾向にありました。このような状況の中、同社は価格改定活動や生産面でのコストダウンを進めましたが、収益の確保には至りませんでした。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社の単体従業員数は167名となっています。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社は、事業活動で得た資金を投資に充てつつ、財務基盤を維持している状況です。本業で安定した資金を生み出し、将来に向けた投資も行っています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤は、自己資本比率や手元資金の状況から確認できます。自己資本比率は、企業の安定性を示す重要な指標の一つです。手元資金の厚みは、不況時や予期せぬ事態への耐性を示すものとなります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 58.2億円 | 58.9億円 |
| 自己資本比率 | 42.4% | 45.1% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び現金同等物 | - | 16.7億円 |
同社の自己資本比率は、前期の42.4%から当期は45.1%へと増加しています。これは、プライム市場上場企業の製造業平均である46.8%に近い水準です。手元資金を示す現金及び現金同等物は、当期末で16.7億円となっています。
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社のキャッシュフローは、事業活動、投資活動、財務活動の3つの側面から資金の流れを示しています。本業で安定的に資金を生み出せているか、将来に向けた投資を積極的に行っているか、また資金調達や返済の状況がどのような傾向にあるかを確認できます。
当事業年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、9.2億円の収入となりました。これは主に減価償却費、売上債権の減少、棚卸資産の減少によるものです。一方で、仕入債務の減少が減少要因となっています。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより、4.4億円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入と長期借入金の返済による支出、短期借入金の純減額による支出により、5.0億円の支出となっています。これらの結果、営業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュ・フローは、4.9億円の収入となりました。同社は本業で安定した資金を生み出し、投資活動を上回る資金を確保している状況です。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 2.7億円 | 9.2億円 |
| 投資CF | △2.0億円 | △4.4億円 |
| 財務CF | △0.9億円 | △5.0億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 0.7億円 | 4.9億円 |
※フリーCF(フリーキャッシュ・フロー)とは、会社が事業活動と投資活動を通じて自由に使える余剰資金のこと。
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社の事業は、住宅市場及びその関連市場の経済状況に大きく左右されるリスクがあります。景気後退や個人消費の低迷は、業績に影響を与える可能性があります。
また、製品の原材料となる木材チップのおよそ67%を海外からの輸入に依存しています。木材資源国での伐採規制強化や東南アジアの木材産業の衰退・縮小が起こると、原材料の確保が困難になるリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ホクシンは、社会の進歩向上と社員の生活安定を経営の基本理念に掲げ、環境への貢献とリサイクルを事業戦略の中心に据える会社です。
持続可能なモノづくりを支える「ひとづくり」にも注力し、未来を拓く企業風土を醸成しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
ホクシンは、「社会の進歩向上に寄与する製品を供給する」、「相互信頼にもとづく安定した取引を確立する」、「社員とその家族の生活の安定向上をはかる」ことを経営基本理念としています。
「環境への貢献」と「省エネルギー・リサイクル」を事業戦略の中心に据え、メーカーとしての製造・販売プロセスの効率化を促進しています。
市場変化に柔軟に対応できるスピード感のあるガバナンスを構築し、揺るぎない収益基盤の確立を目指している会社です。
また、2026年4月にスタートした中期経営計画「REBUILD & CREATE VALUE 2028」に掲げた重点施策の実現を重要課題とし、未来に続く経営戦略を推進しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
ホクシンは、経営基本理念である「社会の進歩向上に寄与する製品を供給する」、「相互信頼にもとづく安定した取引を確立する」、「社員とその家族の生活の安定向上をはかる」ことを大切にしています。
Sustainability Vision 2030として「木と向き合い、未来を拓く」をスローガンに掲げ、環境、技術、人材をサステナビリティの重要課題としています。
木材(木質資源)利用を通じた地球環境への貢献、MDFの新たな価値・可能性を拡げる製造技術革新、持続可能なモノづくりを支えるヒトづくりに取り組む方針です。
将来を担う多様な人材の確保、多様な働き方ができる土台づくり、評価制度・教育プログラムの充実を推進しています。
『安心で安全な職場環境づくり』『多様な働き方への対応推進』『未来を担う人づくり』を重要テーマとし、DX推進を通じて誰もが長所を生かし、成長し続けられる職場環境づくりを進める方針です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
ホクシンは、地政学的リスクや自然災害リスク、原材料費・エネルギー費の変動など、不透明な経営環境に直面していると認識しています。
このような状況下で、SDGsを背景とした安定的なサプライチェーンの維持と、収益確保のための生産性向上が重要な課題です。
同社は、変化の激しい経営環境に対応するため、働き方改革の推進による人材確保と業務効率改善をベースに取り組んでいます。
環境配慮型商品であるMDFの更なる付加価値追求、製造・販売プロセスにおける省エネ・リサイクルの取り組みを通じて、安定した収益基盤の確立を目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ホクシンは監査等委員会制度を採用しており、取締役会、監査等委員会、会計監査人を主たる機関としています。これらを補完する形で、指名報酬委員会、内部統制委員会、コンプライアンス委員会、サステナビリティ委員会、経営会議などが設置されています。取締役会は、取締役3名と社外取締役4名(うち監査等委員である取締役3名)で構成されています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ホクシンの株主構成を見ると、兼松、DAIKEN、永大産業といった事業会社が上位に名を連ねています。これらの企業は同社の主要な取引先でもあり、事業上の連携が資本面でも反映されていることがうかがえます。また、ホクシン取引先持株会やホクシン従業員持株会も上位株主として名を連ねており、取引先や従業員による支えも特徴の一つです。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 兼松 | 26.53% |
| DAIKEN | 14.91% |
| 永大産業 | 3.53% |
| ホクシン取引先持株会 | 3.52% |
| 酒井佐知子 | 2.57% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性5名・女性2名)で構成され、女性役員比率は28.0%です。代表取締役社長執行役員は高橋英明氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 高橋 英明 | 代表取締役社長執行役員 | 1993年4月同社入社、2004年2月技術開発部長、2014年4月製造部長、2015年7月執行役員製造部長、2019年6月取締役執行役員製造部長、2020年10月取締役執行役員技術開発部長、2022年4月取締役執行役員、2022年6月代表取締役社長執行役員より現職。 |
| 寺田 恭久 | 取締役上席執行役員 | 1985年4月兼松江商入社、1997年9月同社香港駐在兼松(香港)有限公司審査部長、2012年11月同社審査部長、2017年6月同社社外取締役監査等委員、2019年6月取締役執行役員、2022年6月取締役上席執行役員より現職。 |
| 廣田 昌俊 | 取締役上席執行役員 | 1996年4月同社入社、2016年4月経営企画室長兼製造副部長、2019年6月執行役員経営企画室長兼営業業務部長、2021年7月執行役員経営企画室長、2022年6月取締役上席執行役員経営企画室長、2022年7月取締役上席執行役員より現職。 |
社外取締役は、永田武氏(DAIKEN専務執行役員)、山田公徳氏(兼松ケージーケイ取締役管理本部長・監査等委員)、澤由美氏(澤・太田法律事務所開設・監査等委員)、桂川恵利子氏(桂川公認会計士事務所代表・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員である取締役3名全員が独立役員である社外取締役で構成されています。これにより、経営に対する監視機能が十分に確保されている体制です。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、月額基本報酬(固定報酬と株式拠出金銭報酬)と賞与(業績連動報酬)で構成されています。社外取締役には月額基本報酬(固定報酬)のみが支払われます。株式拠出金銭報酬は中長期的な業績を反映させる目的で支給され、賞与は当期純利益の4%を取締役の賞与総額として配分されます。標準的な業績の場合、固定報酬、株式拠出金銭報酬、賞与の比率は75%:5%:20%を目安としています。なお、当事業年度は当期純損失を計上したため、業績連動報酬は支給されませんでした。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 3名 | 53百万円 | 17.6百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 25百万円 | 4.2百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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