山崎製パン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

山崎製パン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

山崎製パンは東京証券取引所プライム市場に上場し、パン、和・洋菓子、調理パン、米飯類などの食品事業やコンビニエンスストアなどの流通事業を展開する企業です。主力の食パンや菓子パンの品質向上や価格改定が寄与し、直近の業績は売上高1兆3114億円、営業利益611億円と増収増益を達成して成長を続けています。


※本記事は、山崎製パン株式会社の有価証券報告書(第78期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 山崎製パンってどんな会社?


同社は、パンや和・洋菓子などの食品事業とコンビニエンスストアなどの流通事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


1948年に千葉県市川市で創業し、1962年に東京証券取引所市場第二部、1966年に市場第一部へ上場しました。1970年に現ヤマザキビスケットを設立、1982年にはデイリーヤマザキとしてコンビニエンスストア事業を本格展開しています。2007年には不二家と業務資本提携し、子会社化しました。

同社グループの従業員数は連結で33545名、単体で19175名です。筆頭株主は関連会社の飯島興産で、第2位は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行、第3位は公益財団法人の飯島藤十郎記念食品科学振興財団となっています。

氏名 持株比率
飯島興産 9.50%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 8.80%
公益財団法人飯島藤十郎記念食品科学振興財団 6.32%

(2) 経営陣


同社の役員は男性14名、女性1名の計15名で構成され、女性役員比率は6.7%です。代表取締役社長は飯島延浩氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
飯島延浩 代表取締役社長 1964年同社入社。1970年取締役、1979年常務取締役を経て、同年3月より現職。
飯島幹雄 代表取締役副社長営業部門、総務、人事担当 1997年同社入社。東ハト代表取締役社長、不二家取締役副会長などを経て、2024年3月より現職。
横濱通雄 専務取締役経理、財務担当 1967年同社入社。1994年経理本部経理部長、2001年取締役などを経て、2018年3月より現職。
会田正久 専務取締役総務、総合クリエイションセンター担当総務本部長兼社史編纂室長 1966年同社入社。1999年取締役、2007年常務取締役などを経て、2022年3月より現職。
犬塚勇 専務取締役営業担当営業統括本部長 1985年同社入社。2010年営業統括本部長兼営業部長、2011年取締役などを経て、2018年3月より現職。
関根治 専務取締役広域流通営業担当 1970年同社入社。日糧製パン代表取締役会長などを務め、2014年常務執行役員を経て、2018年3月より現職。
吉田谷良一 専務取締役生産、食品安全衛生管理、中央研究所担当生産統括本部長 1978年同社入社。2012年取締役、2016年常勤監査役などを務め、2024年3月より現職。
酒井光政 常務取締役生産(和洋菓子)担当 1977年同社入社。日糧製パン代表取締役副社長などを経て、2024年3月より現職。
吉田修康 常務取締役人事担当 1998年同社入社。熊本工場長、神戸工場長、武蔵野工場長などを経て、2025年3月より現職。
佐藤健司 取締役常勤監査等委員 1978年同社入社。2003年社長室広報・IR室長、2013年執行役員などを経て、2022年3月より現職。


社外取締役は、島田秀男(三井住友カード顧問)、畑江敬子(お茶の水女子大学名誉教授)、松田道弘(エスエムビーシーキャピタル代表取締役社長)、齋藤昌男(齋藤法律事務所開設)、馬場久萬男(食品等持続的供給推進機構顧問)です。

2. 事業内容


同社グループは、「食品事業」「流通事業」および「その他事業」を展開しています。

食品事業


同社グループの中核である食品事業では、パン、和・洋菓子、調理パン・米飯類、製菓・米菓などの製造販売を行っています。自社業態店のほか、量販店やコンビニエンスストアなどを通じて、一般消費者向けに商品を幅広く提供しています。

収益は商品の販売代金として消費者や販売店から受け取ります。事業の運営は同社をはじめ、YKベーキングカンパニーや不二家、ヤマザキビスケット、東ハトなど多数のグループ企業がそれぞれの専門分野を担当して行っています。

流通事業


流通事業では、フランチャイズ方式によるコンビニエンスストア事業や、食品スーパーマーケットの経営を行っています。自社グループの製品を積極的に仕入れて販売し、消費者に対して利便性の高い買い物環境を提供しています。

収益は直営店での商品販売代金のほか、フランチャイズ加盟店からのロイヤリティ収入として受け取ります。運営は同社のデイリーヤマザキ事業統括本部や、スーパーヤマザキなどが担当しています。

その他事業


その他事業では、グループの事業基盤を支える物流事業や、食品製造設備の設計・監理・工事請負、事務受託、損害保険代理業、食品製造機械器具の洗浄剤の製造販売など、多岐にわたるサービスを展開しています。

収益はグループ内外からのサービス提供に対する対価として受け取ります。運営はヤマザキ物流やサンロジスティックス、ヤマザキエンジニアリングなどが担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

直近4期間の業績は、売上高が毎期着実に増加しており、それに伴い利益面も順調に拡大しています。特に経常利益率は2.4%から4.9%へと大きく改善しており、継続的な品質向上や価格改定、コスト削減の取り組みが収益性の向上に寄与していることが伺えます。

項目 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 10,770億円 11,756億円 12,445億円 13,114億円
経常利益 261億円 455億円 563億円 643億円
利益率(%) 2.4% 3.9% 4.5% 4.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 111億円 230億円 295億円 301億円


売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益も順調に拡大しています。売上総利益率はほぼ横ばいで推移していますが、営業利益率は着実に改善しており、経営効率の向上が利益成長を牽引しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 12,445億円 13,114億円
売上総利益 4,053億円 4,284億円
売上総利益率(%) 32.6% 32.7%
営業利益 519億円 611億円
営業利益率(%) 4.2% 4.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が1,162億円(構成比32%)、運搬費が752億円(同20%)を占めています。

主力の食品事業が全体の売上の大半を占めており、前期間から安定した成長を見せています。また、流通事業やその他事業も着実に売上を伸ばしており、全セグメントにおいて堅調な増収傾向が確認できます。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
食品事業 11,535億円 12,159億円
流通事業 762億円 798億円
その他事業 148億円 157億円
連結(合計) 12,445億円 13,114億円


企業の健全な成長を示す営業キャッシュ・フローのプラスと、将来への投資や借入返済を適切に行う健全な財務バランスが確認できます。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 740億円 789億円
投資CF -435億円 -559億円
財務CF -150億円 -141億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.4%で市場平均と一致している一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は49.3%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「企業経営を通じて社会の進展と文化の向上に寄与することを使命とし、自主独立の協力体制を作り、もって使命達成に邁進する」という顧客本位の精神を経営基本方針として掲げています。「良品廉価・顧客本位の精神で品質と製品、サービスをもって世に問う」という精神のもと、高品質な製品の安定供給を通じて社会の負託に応えることを目指しています。

(2) 企業文化


同社は「ヤマザキパンの中に神のみこころにかなう会社の実現を期す」という創業者の祈りや、「いのちの道」の教えに導かれた企業文化を大切にしています。具体的には、すべての仕事を種蒔きの仕事から開始する部門別製品施策や、小委員会による「なぜなぜ改善」を実践・実行・実証することで、新しい価値と需要を創造する姿勢が根付いています。

(3) 経営計画・目標


同社は持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するため、積極的な設備投資を継続しつつ、財務基盤の安定や収益性の改善に取り組んでいます。具体的な経営目標として以下の数値を掲げて事業を推進しています。

・連結売上高経常利益率4%以上
・連結ROE10%以上
・連結配当性向30%を目標

(4) 成長戦略と重点施策


今後の成長戦略として、営業と生産が一体となった部門別製品施策や「なぜなぜ改善」を推進し、新たな技術を活用した品質向上に取り組んでいます。また、消費者の節約志向に対応する低価格製品の拡充など、隙のない製品開発を進めています。小売事業においては、日次・週次・時間管理の経営手法を徹底し、収益改善と競争力のある商品開発を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「新しい価値の創造」を継続し、持続的な企業成長を実現するため、多様な人材が活躍できる仕組みづくりに取り組んでいます。本社や全国の各工場が新製品開発を競い合う体制を構築し、従業員のやりがいとエンゲージメントを高めています。また、女性従業員による製品開発の促進や、総合クリエイションセンターを活用した人材育成に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 39.6歳 15.3年 6,265,496円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 3.1%
男性育児休業取得率 37.9%
男女賃金差異(全労働者) 64.9%
男女賃金差異(正規雇用) 78.4%
男女賃金差異(非正規雇用) 79.6%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 食品安全衛生


製品の安全性確保のため、食品安全衛生管理本部などを設置し、細菌検査や異物混入防止対策を徹底しています。しかし、社会全般にわたる品質問題など、想定範囲を超えた食品衛生事故が発生した場合、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 原材料の調達及び価格高騰


小麦粉や砂糖、油脂などの主要原料は、異常気象や投機資金の流入、感染性疾病の流行などにより供給が逼迫し、価格が高騰することがあります。調達先の多様化などでリスク分散を図っていますが、安定的調達の困難や仕入価格の高騰が業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 取引先の経営破綻


広域営業の量販店やコンビニエンスストアチェーンなど、取引金額が多額な主要得意先に対する与信管理を徹底しています。しかし、万一経営破綻が発生し、多額の売掛債権が回収不能となった場合には、同社の業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 情報セキュリティ


事業活動においてITシステムを幅広く活用しているため、サイバー攻撃やシステム運用上のトラブルによりシステム停止や重要情報の漏洩が発生するリスクがあります。データセンターの二重化や24時間体制の監視などを行っていますが、事業中断などで業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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