カゴメ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

カゴメ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

カゴメは、東京証券取引所プライム市場および名古屋証券取引所プレミア市場に上場する食品メーカーです。国内での飲料や調味料の製造・販売を行う国内加工食品事業と、海外でのトマト一次・二次加工などを展開する国際事業を主力としています。当期業績は売上収益2943億円、税引前利益211億円の減収減益でした。


※本記事は、カゴメの有価証券報告書(第82期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月13日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. カゴメってどんな会社?


国内での加工食品製造と、グローバルなトマト加工事業を展開する食品メーカーです。

(1) 会社概要


1899年に創業者が西洋野菜の栽培に着手し、トマトの発芽を見たことが同社の原点です。1914年に愛知トマトソース製造合資会社として設立され、1933年にトマトジュースを発売しました。1978年に東京証券取引所市場第一部へ上場し、2024年には米国のトマト加工会社を連結子会社化するなどグローバル展開も進めています。

同社グループの従業員数は連結で3253名、単体で1737名です。筆頭株主は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行で、第2位は資材調達の取引先であるダイナパック、第3位は資産管理業務を行う日本カストディ銀行となっており、事業パートナーや金融機関が上位に名を連ねています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行 14.00%
ダイナパック 4.26%
日本カストディ銀行 2.66%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は奥谷晴信氏が務めており、社外取締役比率は44.4%です。

氏名 役職 主な経歴
奥谷 晴信 代表取締役社長 1990年同社入社。アジア事業カンパニー企画調整室長や国際事業本部企画管理室長、経営企画室長などを経て、2024年に取締役執行役員に就任。コーポレート企画本部長などを歴任し、2026年1月より現職。
山口 聡 取締役会長 1983年同社入社。業務用ビジネス・ユニット部長、執行役員業務用事業本部長、イノベーション本部長、野菜事業本部長を経て、2020年に代表取締役社長に就任。2026年1月より現職。
葉色 義久 取締役常務執行役員生産調達本部長 1990年同社入社。Kagome Australia Pty Ltd.取締役、国際事業本部グローバル品質保証部長、生産調達本部調達部長を経て2020年より生産調達本部長。2025年3月より現職。
佐伯 健 取締役常務執行役員CFO 兼 CRO 兼 財務経理部長 1986年京セラ入社。2003年同社入社。トマト事業カンパニーCFO、財務経理部長を経て、2021年よりCFO兼CRO兼リスクマネジメント統括委員会事務局長を務める。2025年4月より現職。
高野 仁 監査等委員である取締役(常勤) 1988年同社入社。野菜飲料ビジネス・ユニットディレクター、アジア事業カンパニー事業統括部長、通販事業本部長、経営企画本部長、SCM本部長などを経て、2024年3月より現職。


社外取締役は、荒金久美(元コーセー取締役)、粂川滋(元ソニーマーケティング代表取締役会長)、遠藤達也(遠藤達也税理士事務所代表)、山神麻子(名取・大木法律事務所パートナー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「国内加工食品事業」、「国際事業」および「その他」事業を展開しています。

国内加工食品事業


トマト、にんじん、その他の多様な野菜を使用した飲料や調味料などの製品を製造・販売しています。飲料としては「野菜生活100」シリーズやトマトジュース、食品としてはトマトケチャップやソースなどを提供しており、小売市場や通信販売を通じて一般消費者向けに展開しています。

収益源は、製品の販売代金です。スーパーマーケットなどの小売店を通じた卸売販売や、消費者へ直接届ける通信販売から収益を得ています。運営は主にカゴメが主体となって事業を推進しています。

国際事業


海外において、トマトの農業生産から商品開発、一次加工および二次加工、販売までの一連の事業を展開しています。トマトペーストやダイストマトなどの一次加工品、ピザソースなどの二次加工品を製造し、主に世界各国の調味料メーカーや外食企業に向けてBtoBビジネスを行っています。

収益源は、フードサービス企業や食品製造業への加工品の販売代金です。運営は米国、ポルトガル、オーストラリア、台湾などに展開する海外グループ各社が主体となっており、2024年には米国のIngomar Packing Company, LLCを連結子会社化し体制を強化しています。

その他


国内農事業、種苗の生産・販売、新品種や栽培技術などの研究開発、不動産事業、新規事業などを展開しています。生鮮野菜の生産や農業技術の開発を通じて、持続可能な農業の実現に向けた取り組みを行っています。

収益源は、種苗や生鮮野菜の販売代金、技術提供による収益、不動産の賃貸収入などです。運営はカゴメのほか、国内の直営菜園や関連子会社などが連携して事業を推進しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上収益は2021年12月期から2024年12月期にかけて堅調に拡大し、特に2024年12月期は海外子会社の連結化等により大幅な増収となりましたが、当期はトマトペースト市況の下落等により減収となりました。利益面でも2024年12月期にピークを記録したのち、当期は一過性の利益の反動減もあり減益となっています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上収益 1897億円 2056億円 2247億円 3069億円 2943億円
税引前利益 139億円 126億円 165億円 337億円 211億円
利益率(%) 7.3% 6.1% 7.3% 11.0% 7.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 98億円 91億円 104億円 250億円 148億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上収益は前期から当期にかけて約4%の減収となりました。売上総利益率は20%台前半で推移していますが、前期に計上された一時的な利益の反動などにより、営業利益率は前期の11.8%から当期は7.7%へと低下しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 3069億円 2943億円
売上総利益 635億円 629億円
売上総利益率(%) 20.7% 21.4%
営業利益 362億円 226億円
営業利益率(%) 11.8% 7.7%


販売費及び一般管理費(単体)のうち、運賃・保管料が116億円、給料・賃金が98億円、広告宣伝費が77億円を占めています。

(3) セグメント収益


セグメント別の売上収益を見ると、国内加工食品事業は野菜飲料などの需要拡大に取り組み増収となりました。一方で、国際事業はトマトペーストの国際市況の下落に伴い、一次加工品および二次加工品の販売価格を引き下げた影響により減収となっています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
国内加工食品事業 1557億円 1573億円
国際事業 1493億円 1298億円
その他 219億円 224億円
調整額 -200億円 -153億円
連結(合計) 3069億円 2943億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFはプラス、投資CFと財務CFがマイナスとなっており、本業で稼いだ利益を元に投資を行い、さらに借入金の返済なども進めている「健全型」のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 317億円 269億円
投資CF -463億円 -115億円
財務CF -6億円 -104億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.9%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は64.4%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


企業理念として「感謝」「自然」「開かれた企業」を掲げています。これは、創業者の信条を受け継ぎ、自然の恵みに感謝し、人や社会に対して公正でオープンな企業を目指す決意を込めたものです。さらに、新たなミッションとして「人が自然を、自然が人を豊かにする循環を生み出し続けます」と定め、食を通じて人々の健康と豊かな生活に貢献し、持続可能な未来を築くことを使命としています。

(2) 企業文化


「Explore(探究しよう)」「Advance(先進しよう)」「Cooperate(協創しよう)」という3つの行動価値観(2035バリューズ)を定めています。これらは企業理念やブランドメッセージである「自然を、おいしく、楽しく。KAGOME」に根差しており、社員一人ひとりの積極性に働きかけ、新しいことへの果敢なチャレンジや、社内外のパートナーとの協創による新たな価値創造を促す文化を重視しています。

(3) 経営計画・目標


2035ビジョンの実現に向けた10年方針として、3つの期間ごとの中期経営計画を推進しています。2026年〜2028年の「Kagome Group Plan 2028」では、以下の定量目標を掲げています。

* 売上収益:3250億円
* 事業利益:270億円
* ROE:9%以上

(4) 成長戦略と重点施策


「農から価値を形成するバリューチェーン」を進化させ、独自の強みである農・技術・グローバルネットワークの相乗効果を最大化する戦略を掲げています。国際事業では二次加工を中核とした成長を加速させ、フードサービス向け提案力の強化やインド市場の開拓を進めます。国内加工食品事業では野菜と健康の価値提供を起点に収益獲得力を高めます。さらに新規価値領域として「農と食のウェルビーイング事業」と「環境負荷の低いトマトビジネス」の創出に注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人の成長がカゴメの成長につながる」という考えのもと、経営戦略と連動した人的資本経営を推進しています。多様な背景や特性を持つ従業員が活躍できる「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン」を重視し、心理的安全性の確保に取り組んでいます。人材開発においては自律的なキャリア形成を支援し、副業制度や越境学習など働き方の選択肢を拡大することで、個人の成長と企業価値の向上を両立させる組織風土の醸成を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 42.4歳 18.0年 9,036,730円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 12.0%
男性育児休業取得率(総合職) 79.3%
男性育児休業取得率(技能職) 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 67.6%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 70.5%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 81.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、総合職新卒採用における女性割合(46.7%)、総合職キャリア採用構成比(38.8%)、有給休暇取得率(80.6%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経営戦略に関するリスク


新規事業やM&Aの失敗、予実乖離による利益悪化リスクです。経営企画室や投資委員会を通じた進捗管理、モニタリングの実施により、中長期的な戦略実現への影響を最小限に抑えるよう取り組んでいます。

(2) 人材戦略に関するリスク


成長分野や海外事業拡大に伴う人材不足、専門領域の確保難に関するリスクです。人材開発委員会や人事部を中心に、中長期を見据えた採用・育成の強化やダイバーシティ推進を図り、人材基盤の強化に努めています。

(3) 社会情勢・顧客ニーズの変動リスク


国内の景気後退や消費者ニーズへの対応遅れによる売上減少、原材料や資材価格の高騰による収益圧迫リスクです。市場や競合環境の分析を徹底し、中長期的な原材料調達の安定化策を講じることで対応しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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