※本記事は、ダイナパック株式会社の有価証券報告書(第64期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ダイナパックってどんな会社?
同社は、包装資材の製造・販売を主力とし、環境対応商品や不動産賃貸も手がける総合包装企業です。
■(1) 会社概要
1962年に大日本紙業として設立され、1976年に名古屋証券取引所、1993年に東京証券取引所に上場しました。2005年に日本ハイパックと合併し、現在のダイナパックに商号を変更しています。近年はベトナム等の海外企業のM&Aを積極的に実施し、グローバルな事業基盤の拡大と生産体制の拡充を進めています。
現在の従業員数は連結で2,418名、単体で658名です。筆頭株主は食品メーカーのカゴメで、第2位は取引先で構成される持株会、第3位は金融機関となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| カゴメ | 16.80% |
| ダイナパック取引先持株会 | 9.00% |
| 三菱UFJ銀行 | 3.20% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性2名の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は齊藤光次氏が務めており、社外取締役比率は50%となっています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 齊藤光次 | 取締役社長代表取締役 | 1988年日本ハイパック入社。同社社長を経て、2005年ダイナパック副社長。2022年より現職。 |
| 篠岡尚久 | 取締役専務執行役員社長補佐代表取締役 | 1985年カゴメ入社。2019年ダイナパック入社。管理本部長等を経て、2024年より現職。 |
| 原茂 | 取締役執行役員管理本部長 | 1993年新生パッケージ入社。2003年大日本紙業入社。みよし事業所長等を経て、2024年より現職。 |
| 青木大篤 | 取締役執行役員企画本部長 | 1995年日本ハイパック入社。ベトナム現地法人のトップ等を経て、2024年より現職。 |
| 後藤禎夫 | 取締役常勤監査等委員 | 1985年ダイナパック入社。品質環境室長や内部統制監査室長などを歴任し、2022年より現職。 |
社外取締役は、深井靖博(愛智法律事務所弁護士)、廣野郁子(アイ・キューブ相談役)、杉山繁和(SENマーケティング事務所代表)、児玉弘仁(元カゴメ取締役常務執行役員)、松若恵理子(Stand by C Woman代表取締役社長・公認会計士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「包装材関連事業」および「不動産賃貸事業」を展開しています。
■(1) 包装材関連事業
段ボール、印刷紙器、軟包装材、紙製緩衝材などの環境対応商品を開発・製造・販売しています。内容品を保護するだけでなく、販売促進や物流改善に寄与する機能性パッケージを提案し、食品メーカーをはじめとする幅広い顧客に包装ソリューションを提供しています。
顧客に製品を引き渡し、その代金を受け取ることで収益を得るモデルです。運営はダイナパックを中心に、土岐ダイナパックや宮城ダイナパックといった国内子会社、およびベトナムやマレーシアなどの海外現地法人が担っています。
■(2) 不動産賃貸事業
同社グループが保有する土地や建物を有効活用し、商業施設への土地の賃貸や、マンションなどの建物の賃貸および管理を行っています。
合意された契約期間にわたり、テナントから安定した賃貸料(使用料)を受け取ることで収益を得るモデルです。この事業の運営は主にダイナパックが単独で担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績は、売上高が着実に拡大しており、特に直近2年間で大幅な増収を達成しています。経常利益も成長基調を維持し、直近では利益率が改善して最高益を記録するなど、収益性の向上が確認できます。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 563億円 | 568億円 | 580億円 | 625億円 | 671億円 |
| 経常利益 | 20億円 | 20億円 | 24億円 | 25億円 | 36億円 |
| 利益率(%) | 3.5% | 3.6% | 4.1% | 3.9% | 5.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 8億円 | 10億円 | 7億円 | 14億円 | 29億円 |
■(2) 損益計算書
直近2年間で売上高が増加する中、売上総利益率が18.9%から20.4%へ改善し、営業利益も大幅な増益となっています。コスト管理や製品の付加価値向上が利益率の改善に寄与しています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 625億円 | 671億円 |
| 売上総利益 | 118億円 | 137億円 |
| 売上総利益率(%) | 18.9% | 20.4% |
| 営業利益 | 17億円 | 29億円 |
| 営業利益率(%) | 2.7% | 4.3% |
販売費及び一般管理費のうち、運搬費が39億円(構成比36%)、報酬及び給料手当が26億円(同24%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力である包装材関連事業は、製品価格の改定効果や海外M&Aによる新規連結が寄与し、売上を拡大させています。不動産賃貸事業も契約更新時の条件改善により安定的な増収を維持しています。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| 包装材関連事業 | 622億円 | 667億円 |
| 不動産賃貸事業 | 3億円 | 4億円 |
| 連結(合計) | 625億円 | 671億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業活動で得た資金をM&Aや設備投資に振り向けつつ、不足分を借り入れで調達する「積極型」のキャッシュ・フロー構造となっています。企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.9%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は55.2%で、いずれも市場平均を下回っています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 11億円 | 51億円 |
| 投資CF | -40億円 | -58億円 |
| 財務CF | 7億円 | 19億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、企業パーパスとして「包み、届け、ひらく。」を掲げています。創業以来、「包装」を通じて人から人へ、企業から企業へと顧客の想いを大切に包んでお届けすることを基本的な概念とし、環境対応商品などを併せ持つ総合包装企業として社会に貢献することを目指しています。
■(2) 企業文化
社員一人一人の価値観を尊重しながら、企業の力を社会の未来づくりに活かす文化を重視しています。また、サステナビリティ基本方針において「人に、モノに、地球にやさしい企業」を目指すと定め、地球環境の保全や多様性を尊重する組織風土の醸成に取り組んでいます。
■(3) 経営計画・目標
2024年から2026年までの3年間を対象とする中期経営計画において、積極的な投資を行い収益力の強化を図ることで、最終年度の財務目標を設定しています。
* 連結売上高:700億円
* 連結営業利益:30億円
* 連結営業利益率:4.3%
■(4) 成長戦略と重点施策
中期経営計画の命題を「現在の深化と未来の創造」とし、既存事業の強化と成長分野の創出を進めています。段ボール事業の収益力強化やサステナビリティ経営の推進を図る一方で、M&Aの積極的な実施や国内外の生産拠点の拡充により成長を加速させます。これを支えるため、開発設計力の強化や人的資本の充実にも注力します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、最大の資産は人材であると考え、ダイバーシティおよびインクルージョンを尊重した「人づくり」を重視しています。働き方の選択肢を増やしてワーク・イン・ライフを充実させるとともに、自己啓発支援や社内公募制度などを通じて従業員がやりがいを持ち、持続的に成長できる環境整備を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 43.4歳 | 20.4年 | 6,370,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 2.8% |
| 男性育児休業取得率 | 75.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 64.0% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 72.2% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 70.0% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 主要製品の販売数量および価格の変動
包装資材関連製品は受注生産であり、顧客の生産高の増減が業績に影響を及ぼします。また、市況の変化や業界再編に伴う製品価格の変動リスクも存在します。
■(2) 主要原材料の価格変動
主力製品の原材料である段ボール原紙などの価格は市況により変動するため、調達コストの上昇が利益を圧迫するリスクがあります。
■(3) 生産体制の再編成とM&Aの影響
中期経営計画に基づく積極的な成長投資の過程で、生産設備の見直しやM&Aによるのれんの発生などが財務状況に影響を与える可能性があります。
■(4) 海外事業の展開リスク
中国や東南アジアへの事業展開において、為替レートの変動や進出先の経済的・政治的な環境変化が業績に予期せぬ影響を及ぼすリスクがあります。



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