※本記事は、株式会社ソディックの有価証券報告書(第50期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月27日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。
1. ソディックってどんな会社?
放電加工機や金属3Dプリンタなどの工作機械、射出成形機、食品機械の開発から販売までをグローバルに展開しています。
■(1) 会社概要
1976年8月に放電加工機の開発・製造・販売を目的として設立されました。1986年2月に東京証券取引所市場第二部へ上場し、2007年3月には食品機械事業へ進出しています。2015年3月に同第一部銘柄へ指定され、現在はプライム市場に上場しています。2025年5月にはイタリアの金属3Dプリンタ企業を子会社化しました。
従業員数は連結で3,272名、単体で1,173名です。筆頭株主は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で、第2位も同じく信託業務を行う日本カストディ銀行(信託口)、第3位は金融機関のJPモルガン証券となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 13.62% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 7.78% |
| JPモルガン証券 | 2.65% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性3名の計12名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役会長は古川健一氏、代表取締役CEO社長執行役員は圷祐次氏が務めています。社外取締役の比率は58.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 圷祐次 | 代表取締役CEO社長執行役員 | 1987年同社入社。米子会社社長、工作機械事業本部副本部長、COOなどを経て2025年より現職。 |
| 古川健一 | 代表取締役会長 | 1999年同社入社。財務部長、総合企画本部長、社長執行役員などを経て2025年より現職。 |
| 塚本英樹 | 取締役専務執行役員工作機械事業本部本部長 | 1985年同社入社。タイ子会社社長、専務取締役生産統括担当などを経て2025年より現職。 |
| 高木正人 | 取締役常務執行役員コーポレート本部本部長 | 1987年同社入社。経営企画室長、執行役員コーポレート本部副本部長などを経て2025年より現職。 |
社外取締役は、工藤和直(元住友電装執行役員)、野波健蔵(元千葉大学副学長)、後藤芳一(元経済産業省製造産業局次長)、佐野綾子(あや総合法律事務所代表)、大滝真理(元ウィルソン・ラーニングワールドワイド監査役)、郷原玄哉(郷原会計事務所所長)、大村由紀子(三浦法律事務所)です。
2. 事業内容
同社グループは、工作機械、産業機械、食品機械の報告セグメントおよびその他事業を展開しています。
■工作機械事業
放電加工機、マシニングセンタ、金属3Dプリンタ、レーザー加工機などの工作機械と、関連する周辺機器の開発・製造・販売を行っています。自動車、半導体、電子部品やデータセンター向けの高度な加工ニーズに対応する企業が主要な顧客となります。
製品の販売代金のほか、保守サービスや消耗品の販売から収益を得ています。開発や製造は同社およびタイ、中国、イタリアの子会社が担い、販売や保守サービスは同社のほか、米国、欧州、アジア地域に展開する各国の現地子会社が行っています。
■産業機械事業
プラスチック等の射出成形機や関連機器の開発・製造・販売を行っています。電子部品や医療機器産業などにおいて、超精密成形部品を製造する企業などが主な顧客となります。
独自のV-LINE方式を採用した射出成形機の販売代金および保守サービス料金が主な収益源です。開発と製造は同社とタイの現地子会社が担当し、販売および保守サービスは同社と米国、タイ、シンガポール、中華圏などの子会社および関連会社が行っています。
■食品機械事業
麺製造プラント、製麺機、無菌包装米飯製造装置などの食品機械の開発・製造・販売を展開しています。国内外の食品メーカーや製麺業者などが主な顧客となります。
食品機械の販売代金および保守サービスが主な収益源です。特にアジア地域での米飯製造装置や製麺機の需要に応えています。開発と製造は同社および中国の子会社が担当し、販売や保守サービスは同社と中国の現地子会社が行っています。
■その他
精密金型・精密成形事業と要素技術事業を展開しています。コネクタなどの受託生産や、リニアモータ応用製品、セラミックス製品、LED投光器などの開発と販売を行っています。
製品の販売や受託生産による対価が主な収益源です。精密金型・成形やセラミックス製品はソディックエフ・ティが、リニアモータ応用製品は同社および中国の子会社が、工作機械用NC装置は米国の子会社がそれぞれ担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績を見ると、2023年12月期は設備投資の停滞などで一時的に減収と経常赤字を計上しましたが、その後は回復基調にあります。2025年12月期は、中華圏での工作機械需要の増加や構造改革の進展により、売上高は806億円まで拡大し、経常利益も52億円と堅調な増収増益を達成しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 752億円 | 805億円 | 672億円 | 737億円 | 806億円 |
| 経常利益 | 86億円 | 83億円 | -13億円 | 36億円 | 52億円 |
| 利益率(%) | 11.4% | 10.3% | -1.9% | 4.9% | 6.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 27億円 | 39億円 | -0.1億円 | 32億円 | 41億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益を比較すると、増収に伴い売上総利益が増加し、売上総利益率も32.7%から35.0%に改善しています。この粗利の改善に加え、生産体制の見直しなどの構造改革が進んだことで、営業利益は前期の約2倍となる42億円に拡大し、営業利益率も5.2%に向上しています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 737億円 | 806億円 |
| 売上総利益 | 241億円 | 282億円 |
| 売上総利益率(%) | 32.7% | 35.0% |
| 営業利益 | 22億円 | 42億円 |
| 営業利益率(%) | 3.0% | 5.2% |
販売費及び一般管理費のうち、人件費が107億円(構成比45%)、研究開発費が23億円(同10%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力である工作機械事業は、中華圏でのデータセンター向け電子部品などの需要が好調で、売上・利益ともに大きく伸長し全体を牽引しています。産業機械事業は売上を伸ばしたものの、人件費等の増加により減益となりました。食品機械事業は競争環境の変化で減収となったものの、利益は横ばいを維持しています。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) | 利益(2024年12月期) | 利益(2025年12月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 工作機械 | 514億円 | 583億円 | 34億円 | 55億円 | 9.4% |
| 産業機械 | 96億円 | 97億円 | 8億円 | 5億円 | 5.3% |
| 食品機械 | 77億円 | 70億円 | 10億円 | 10億円 | 14.1% |
| その他 | 51億円 | 56億円 | -3億円 | 4億円 | 7.7% |
| 連結(合計) | 737億円 | 806億円 | 22億円 | 42億円 | 5.2% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業であると判定されます。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 100億円 | 71億円 |
| 投資CF | -16億円 | -40億円 |
| 財務CF | -10億円 | -25億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は58.1%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「創造」「実行」「苦労・克服」の精神のもと、顧客へ最高の価値を提供し、「未来を創る」企業としてものづくりを通して社会の持続的な発展に貢献することを基本理念としています。設立50周年に向けて、新たに「創造力とイノベーションでモノづくりの未来を切り拓く」というパーパスを制定しました。
■(2) 企業文化
世の中にないものは自分たちで創るという開発理念のもと、顧客の要望に耳を傾け、困難な技術課題にも挑戦して克服することを重視しています。また、ソディック・グループ企業倫理憲章やコンプライアンス指針に則り、誠実な事業活動の実践、安全な職場環境の構築、環境保全を推進する行動指針を定めています。
■(3) 経営計画・目標
新しい中期経営計画において、コミットメント型の計画へ転換し、最終年度である2029年12月期に以下の数値目標を掲げて経営を行っています。
* 売上高:1,000億円
* 営業利益:100億円
* ROE:8.0%
* PBR:1.0倍
* EPS:130円
■(4) 成長戦略と重点施策
進化するものづくりへの貢献を課題と捉え、新製品開発の促進やトータルソリューションの展開、AIやIoT技術を活用した付加価値の提供を推進しています。また、アドバンテッジパートナーズとの連携により、グローバル展開とソリューション提供を掛け合わせたビジネスモデルへの転換を図り、販売力強化や在庫適正化、M&A戦略による成長に取り組みます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材こそが企業価値を向上する重要な資本と考え、多様な人材が活躍できる職場環境づくりを目指しています。専門性を高め、多様な人材との交流によるキャリア形成を支援するとともに、様々な経験を持つ人材を積極的に採用し、融合させることが新たな価値創造の源泉となると位置づけています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 42.3歳 | 14.4年 | 6,197,248円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 4.0% |
| 男性育児休業取得率 | 68.2% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 76.8% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 79.2% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 50.8% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 景気変動に関するリスク
工作機械や産業機械の製品受注は顧客の設備投資に直結するため、景気動向に極めて敏感です。世界的な景気後退や設備投資の停滞が想定よりも長期化した場合、同社グループの受注や売上高、利益水準に重要な影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 新規事業に関するリスク
技術革新や市場ニーズの変化に対応するため継続的な新製品の投入が必要ですが、新たな製品や事業分野では技術的課題の解決や市場ニーズの把握、事業化に要する投資負担や投資回収期間に関する不確実性が伴い、事業展開に影響を与える可能性があります。
■(3) 海外事業におけるリスク
売上高に占める海外比率が高く、特に中国市場への依存度が高いため、同国の景気動向や競争環境の変化が業績に影響を及ぼします。また、地政学的リスクの高まりや通商政策、関税制度の変更なども事業活動の制約となる可能性があります。



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