クリエートメディック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

クリエートメディック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

クリエートメディックは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、シリコーンラバーを主原料としたディスポーザブルカテーテル・チューブ等の医療機器の製造・販売を主力事業としています。直近の業績は、売上高が前期比増収、営業利益も大幅な増益を達成した一方、親会社株主に帰属する当期純利益は減益となりました。


※本記事は、クリエートメディック株式会社の有価証券報告書(第52期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. クリエートメディックってどんな会社?


同社はシリコーンラバーを主原料とした医療機器の製造・販売を手掛けています。

(1) 会社概要


1974年にナスクを設立し、シリコーン樹脂の医療分野における用途開発に着手しました。1977年に現在のクリエートメディックへ商号変更し、1978年には国産初のオールシリコーンフォーリーカテーテルを製品化しました。1990年に店頭売買銘柄として登録し、現在はスタンダード市場に上場しています。

従業員数は連結で1010名、単体で306名です。筆頭株主はつづき企画で、第2位は中尾廣政氏、第3位は中尾奨学財団となっています。

氏名 持株比率
つづき企画 13.77%
中尾廣政 7.69%
中尾奨学財団 7.16%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.0%です。代表取締役社長は今澤修氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
今澤修 代表取締役社長 2015年ダンスノットアクト財務部長を経て、2016年同社入社。経営企画部長、ベトナムクリエートメディック監査役、管理本部長、執行役員等を歴任し、2023年取締役に就任。2025年1月より現職。
赤岡洋三 専務取締役(開発・薬事管掌)(連結グループ担当) 1985年同社入社。品質保証室長、薬事法制統括部長、研究開発センター長、開発本部長等を歴任。2011年取締役に就任し、2020年常務執行役員、2023年専務執行役員を経て、2025年3月より現職。
秋元克也 取締役(国内営業担当)(輸出担当) 1989年同社入社。クリニー事業部横浜営業所長、医療事業部東京営業所長、医療事業統括部長等を経て2013年執行役員に就任。営業本部長等を経て2018年取締役に就任し、2025年1月より現職。
橋井敦 取締役(監査等委員) 1978年横浜銀行入行。2003年同社入社。総合企画室長、総合企画部長等を経て2014年取締役に就任。管理統括部長、専務執行役員、管理本部長等を歴任し、2020年3月より現職。


社外取締役は、磯貝和敏(日本橋会計代表取締役)、日暮良一(経済倶楽部常任理事)、工藤敦子(IPAX総合法律事務所所属)です。

2. 事業内容


同社グループは、「医療機器の製造・販売」事業を展開しています。

同社グループは、シリコーンラバーを主原料としたディスポーザブルカテーテル・チューブおよび医療機器の製造・販売を展開しています。泌尿器系、消化器系などの製品を取り扱い、国内の医療現場をはじめ、中国や欧州、東南アジアなどの海外市場に向けても高品質で安全な医療機器を提供しています。

製品の販売による収益を主な収入源としています。自社のブランドを展開する自社販売、相手先ブランドの生産を受託するOEM販売、および海外向け販売を行っています。事業の運営はクリエートメディックを中心に、大連クリエート医療製品などの海外子会社や九州クリエートメディックが担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は一貫して増加傾向にあり、堅調な推移を見せています。経常利益は一時的に減少した時期もありましたが、直近では販売価格の改定やコストダウン施策の効果が表れ、再び増加に転じました。当期利益は特別利益の計上などにより期ごとに変動が見られます。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 117億円 123億円 126億円 130億円 136億円
経常利益 10億円 8億円 9億円 8億円 10億円
利益率(%) 8.6% 6.8% 6.9% 5.8% 7.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 7億円 5億円 2億円 8億円 7億円

(2) 損益計算書


売上高および売上総利益はともに前期比で増加しています。販売価格の改定や生産拠点の最適化による原価低減が進んだ結果、営業利益は前期から大幅に増加し、収益性の向上が確認できます。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 130億円 136億円
売上総利益 57億円 60億円
売上総利益率(%) 43.8% 44.0%
営業利益 7億円 10億円
営業利益率(%) 5.4% 7.3%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が22億円(構成比44.1%)、賃借料が1億円(同2.5%)を占めています。売上原価については、当期総製造費用のうち労務費が4億円(構成比34.2%)、外注加工費が4億円(同29.6%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の泌尿器系および消化器系が売上の多くを占めています。とくに泌尿器系は新製品の販売が好調に推移し、前期比で増収を牽引しました。一方、血管系などは一部OEM販売の終了などに伴い減少しています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
泌尿器系 61億円 66億円
消化器系 38億円 41億円
外科系 11億円 11億円
血管系 6億円 5億円
看護・検査系他 14億円 14億円
連結(合計) 130億円 136億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.4%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は81.1%で市場平均を上回っています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 22億円 5億円
投資CF 3億円 -6億円
財務CF -9億円 -6億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


経営理念として「からだにやさしい未来の医療を築く ~私たちは「かけがえのない生命を守る」製品の開発・製造・販売に情熱を燃やし、人々の健康で豊かな生活に貢献します~」と定めています。医療に携わる企業として社会に貢献することを第一義とし、人々の役に立ち喜ばれる製品を提供することを目指しています。

(2) 企業文化


経営の基本方針に「創造性・意外性・感動性ある企業として発展するために、総力を結集する」ことや「従業員の生活を豊かにし、秩序ある明るい職場環境をつくる」ことを掲げています。また、企業の成長に不可欠な人材の発掘・登用、教育・育成に努める文化を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、設立50周年を機に策定した将来構想の中で、10年後の2034年には売上高200億円超、営業利益30億円超、株主資本利益率(ROE)8%以上を目指しています。また、そのフェーズ1となる「中期経営計画2027」では、最終年度の2027年における経営目標を以下の通り定めています。

- 売上高:160億円
- 営業利益:13億円
- 営業利益率:8%
- 株主資本利益率(ROE):7%

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営計画において、「ブランドと知名度の向上」「社会への貢献」「従業員のやりがい」を重点施策に掲げています。既存事業の利益率改善を図りつつ、新規事業や新市場の探索、成長領域への投資を実行していく方針です。また、海外販売の強化やヘルスケア領域におけるM&Aなど、経営基盤の強化に向けた改革を進めています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は多様な人材の発掘、登用、教育、育成に取り組むとともに、社員一人ひとりが能力を十分に発揮できる環境を整備しています。通信教育を活用した社内研修や、オンラインでのMBA基礎科目の学習システムを導入するなど、自己研鑽を支援しています。また、健康経営を推進し、働きがいのある職場づくりを目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 45.9歳 20.9年 6,679,631円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.1%
男性育児休業取得率 40.0%
男女賃金差異(全労働者) 61.9%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 74.5%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 42.3%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 医療行政の変更に関するリスク


医薬品医療機器等法や医療保険制度などの行政機関の規制下で事業を行っています。医療費削減や地域間格差是正を目的とした政策変更が行われた場合、同社の製品需要や価格設定に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 製品の安全性に関するリスク


高度な技術を要する医療機器を取り扱っているため、使用時の偶発的な不具合などで医療事故等が発生した場合、製造物責任による賠償や製品の自主回収を行うリスクがあります。品質マネジメントシステムに基づく厳しい管理体制で対応しています。

(3) 研究開発の結果に伴う市場変化等に関するリスク


新製品の上市に向けて研究開発投資を行っていますが、治療法の変化により期待した有効性が得られない場合や、競合他社の革新的な製品によってシェアを奪われた場合、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(4) 販売価格の変動に関するリスク


国内では特定保険医療材料価格の改定や共同購買の拡大により、販売価格の引き下げ圧力が高まっています。また、海外市場でも集中購買制度や価格競争が激化しており、想定以上の価格下落が生じた場合は収益に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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