ペッパーフードサービス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ペッパーフードサービス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ペッパーフードサービスは東京証券取引所(スタンダード市場)に上場し、「いきなり!ステーキ」等のレストラン店舗展開や商品販売事業を主力とする企業です。直近の業績では、既存店の売上高増加や新規出店により増収(146億円)を達成した一方、出店コストの発生や減損損失計上等の影響により最終赤字となっています。


※本記事は、株式会社ペッパーフードサービスの有価証券報告書(第41期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ペッパーフードサービスってどんな会社?


同社は「いきなり!ステーキ」を主力事業として展開し、レストラン事業や商品販売事業も手掛ける外食企業です。

(1) 会社概要


1985年に有限会社くに(現ペッパーフードサービス)を設立し、レストラン事業を開始しました。1994年に「ペッパーランチ」事業を立ち上げ、1995年に株式会社へ改組しました。2006年に東京証券取引所マザーズへ株式を上場し、2013年に新業態「いきなり!ステーキ」の1号店を銀座に出店しました。2020年にはペッパーランチ事業を分割・譲渡し、現在は「いきなり!ステーキ」を主力に事業を展開しています。

従業員数は単体で351名です。筆頭株主は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で、第2位は創業者のひとりで前代表取締役社長の一瀬邦夫氏、第3位は事業会社の主要な仕入先であるエスフーズです。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 6.78%
一瀬 邦夫 5.54%
エスフーズ 4.01%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長CEOは一瀬健作氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
一瀬 健作 代表取締役社長CEO 1993年さわやか入社。1999年同社入社。管理本部長兼CFO、代表取締役副社長などを経て、2022年8月より現職。
猿山 博人 常務取締役開発本部長兼総務本部長 1990年ビックカメラ入社。2006年同社入社。総務人事部長、経営企画室長などを経て、2025年1月より現職。
佐野 雄太 常務取締役管理本部長兼CFO兼経営企画室長 2006年同社入社。管理本部経理部長などを経て、2024年4月より現職。
立川 康弘 取締役営業本部長 1997年ビクトリアステーションジャパン入社。2000年同社入社。営業統括本部長等を経て、2023年7月より現職。


社外取締役は、稲田将人(元卑弥呼社長・指名報酬諮問委員長)、太田行信(元みずほ証券)、横田響子(コラボラボ代表取締役)、三木亮介(元富士フイルム南アフリカ法人社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「いきなり!ステーキ事業」「レストラン事業」「商品販売事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) いきなり!ステーキ事業


高級料理といわれるステーキやその他肉類を、独自の店舗運営システムにより手頃な価格で素早く提供する「いきなり!ステーキ」を展開しています。立ち飲み食いスタイルからスタートし、現在は直営店、フランチャイズ(FC)店、委託店として国内外で店舗を運営しています。

収益源は、直営店・委託店における顧客からの飲食代金のほか、FC加盟店からの加盟契約金、食材の卸売販売代金、ロイヤリティ収入などです。運営は同社が行い、テスト導入や人材教育の場としての直営事業や、受託者が店舗運営を行う委託事業も展開しています。

(2) レストラン事業


お客様の目の前で好みの分量に切り分けて提供するオーダーカットステーキ店の「炭焼ステーキくに」、とんかつ専門店の「こだわりとんかつ かつき亭」、すき焼き専門店「すきはな」、海鮮居酒屋店「かいり」を運営しています。

収益源は、主に飲食店における顧客からの飲食代金です。直営店およびフランチャイズ店として店舗を展開しており、当事業で蓄積されたノウハウやメニューは「いきなり!ステーキ事業」にも活用されています。運営は同社が行っています。

(3) 商品販売事業


自社のネットショップや大手モールを通じて、冷凍ハンバーグ、冷凍いきなり!ガーリックライス、家庭用ステーキセット、ドレッシングなどを販売しています。また、業務用卸販売としてソース等の食材販売も行っています。

収益源は、一般消費者および業務用顧客からの商品販売代金のほか、ライセンス契約によるデリバリー専門ブランド「いきなり!やきにく」のロイヤリティや、監修商品の販売に伴うロイヤリティ収入です。運営は同社が行っています。

(4) その他


店舗のフランチャイズ開発や店舗サポート、購買に関する間接収益部門としての事業を展開しています。

収益源は、フランチャイズ加盟に伴う関連収入などです。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は事業再編や新型コロナウイルスの影響などにより減少傾向にありましたが、直近では既存店の好調や新規出店により増収に転じています。一方、利益面では出店コストの発生や店舗資産の減損損失計上などが影響し、直近では最終赤字となるなど厳しい状況が続いています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 190億円 148億円 146億円 140億円 146億円
経常利益 13億円 -5億円 -6億円 1億円 0.4億円
利益率(%) 6.7% -3.4% -3.8% 0.7% 0.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 4億円 -19億円 -7億円 0.3億円 -1.1億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、メニュー価格改定等の効果で売上総利益率も改善しています。しかし、事業拡大に伴う販売費及び一般管理費の増加が影響し、営業利益は減少しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 140億円 146億円
売上総利益 83億円 88億円
売上総利益率(%) 59.3% 60.5%
営業利益 0.8億円 0.4億円
営業利益率(%) 0.5% 0.3%


販売費及び一般管理費のうち、雑給が22億円(構成比25%)、給料手当及び賞与が17億円(同19%)、地代家賃が15億円(同17%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力事業である「いきなり!ステーキ事業」は、期間限定商品の販売や販促活動により顧客を獲得し、堅調に売上を伸ばしています。「レストラン事業」は、海鮮居酒屋業態の譲受や新規出店により大幅な増収となりました。「商品販売事業」は前期比でやや減少しています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
いきなり!ステーキ事業 135億円 138億円
レストラン事業 4.1億円 6.5億円
商品販売事業 0.6億円 0.5億円
その他 0億円 0.2億円
連結(合計) 140億円 146億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う「積極型」のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 2.1億円 1.4億円
投資CF -1.7億円 -6.8億円
財務CF 0.2億円 3.5億円


企業の財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は57.1%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「お客様の笑顔・お取引先の笑顔・皆が喜ぶ私の仕事・地域社会も豊かにします」を経営理念として掲げています。食の喜びと心からのおもてなしを提供する飲食店舗のチェーン展開を行うことを基本方針とし、顧客満足度の高い食事を提供することで、新たな食文化を世に広めることに努めています。

(2) 企業文化


同社は『漸進』をテーマとして、トレンドを見据えた業態開発を進めながら、既存店の売上向上に全社一丸となって取り組む文化を大切にしています。お客様満足度の向上を念頭に置いた商品の提供と接客を心がけ、収益の確保ができる体制の構築に取り組んでいます。また、「ステーキを日本の食文化へ」というスローガンを掲げています。

(3) 経営計画・目標


同社は、好立地の出店候補物件を迅速かつ慎重に確保し、安定的な事業の拡大を図ることを基本方針としています。着実な成長を重点課題として位置づけており、売上高および利益の増加率を極めて重要な経営指標として掲げて経営を行っています。

(4) 成長戦略と重点施策


中長期的な成長と発展を目指し、「既存事業」「海外」「新業態」の3つの柱で戦略を展開しています。既存事業では収益の安定化やDX・プロモーション投資を推進し、海外ではアジア等を中心とした店舗網拡大の準備を進めています。また、多様化する食の志向に合わせた新業態の構築を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、顧客サービスに熱心で食に対して情熱を持ち、チームワークを重視する人材の採用を方針としています。国籍や性別を問わず多様なバックグラウンドを持つ人材を積極的に採用し、定期的な面談やスキルアップトレーニング、店長試験制度等を通じて次世代の管理職候補の育成に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 40.2歳 6.3年 5,277,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 14.0%
男性育児休業取得率 20.0%
男女賃金差異(全労働者) 66.3%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 77.6%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 102.0%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 業界課題への対応


人手不足や原材料価格の高騰といった外食業界全体の課題に直面しています。同社はシステム導入等のDX化による作業負担の軽減や徹底したコスト管理に取り組んでいますが、天災や感染症、円安による原材料費の高騰が進む場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 類似業態との競合激化


主力事業である「いきなり!ステーキ」は、単一業態を広域に多店舗展開することでブランド価値の向上に努めています。しかし、類似した事業を展開する他企業との競合が本格化した場合、集客や収益に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 食材調達と価格高騰リスク


同社は特定産地の牛肉に依存しており、新たな産地の開拓や分散調達等のリスクヘッジに努めています。しかし、疫病の発生や天候不順等で必要量の確保が困難になることや、為替相場の変動により仕入れ価格が高騰した場合、売上原価が上昇し業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 特定仕入先への依存


同社の直営店舗およびフランチャイズ店舗の食品供給の大半(約7割)を1社の食品供給業者に依存しています。何らかの理由で当該業者からの供給が滞った場合、正常な店舗運営や事業活動に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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