※本記事は、株式会社アイ・エス・ビー の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
アイ・エス・ビーは、情報サービス事業とセキュリティシステム事業を展開しています。情報サービス事業では、組込み/制御ソフトウェア開発や基幹システム開発、データセンターサービスなどを提供。セキュリティシステム事業では、出入管理システムや電気錠の開発・販売・保守を手掛けています。
単体従業員数は992名、連結従業員数は2,246名です。報告セグメントは情報サービス事業、セキュリティシステム事業の2つです。
主な国内グループ会社は、エス・エム・シー(情報サービス事業)、アート(セキュリティシステム事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社アイ・エス・ビーは、情報サービス事業を主軸とする企業として、従業員の安定的なキャリア形成と働きがいを重視していることがうかがえます。技術革新が加速するICT市場において、人材育成と多様な働き方を支援する環境整備に力を入れている点が特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、平均勤続年数が比較的長く、従業員が長期的にキャリアを築いている傾向が見られます。平均年齢も30代後半であり、経験豊富な人材が多数在籍していることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,113,061円 |
| 平均勤続年数 | 11.3年 |
| 平均年齢 | 37.0歳 |
| 単体従業員数 | 992人 |
| 連結従業員数 | 2,246人 |
| 単体のグループ内比率 | 44.2% |
退職給付制度について、同社および一部の連結子会社では、給与や勤続年数に応じて給付額が決まる確定給付型と、会社が拠出した資金を従業員が運用する確定拠出型の両方を採用しています。
一部の連結子会社では退職一時金制度がありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
確定拠出制度への要拠出額は、当連結会計年度で200百万円、複数事業主制度の厚生年金基金への要拠出額は15百万円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、急速なデジタル技術の進化に対応し、企業理念の実現のために「ICT市場に求められる高付加価値人材の育成」を推進しています。変化の激しい時代に適応し、持続可能な成長と企業価値の向上を目指すため、「創造力とイノベーション」「リーダーシップと意思決定力」「柔軟性と適応力」を持つ人材の育成に注力しています。
人材育成においては、経営幹部・管理職層、中堅・リーダー層、若手・新入社員層といったキャリアステージに応じた体系的な育成施策を展開しています。座学だけでなく、実践的なビジネス企画力向上、専門技術習得支援、挑戦するマインドセットの醸成を通じて、経営戦略と連動した人的資本経営に取り組んでいます。
社内環境整備では、多様な視点や価値観を取り込むため、ダイバーシティ推進と多様な人材の採用を強化しています。具体的には、高専生への採用強化や、女性管理職比率・新卒女性採用比率の目標設定などに取り組んでいます。また、既存ビジネスの枠を超えて活躍できる人材を育成するため、社内教育研修制度の充実やキャリア形成支援、テレワークを含む柔軟な働き方の推進によるワークライフバランスの向上を図っています。2024年度からは従業員エンゲージメントサーベイを導入し、組織状態の可視化と改善活動を通じて、働きがいのある企業文化の醸成を推進しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男女の賃金に差異が生じている主な要因は、勤続年数や職位等級別人数構成の差によるものであり、非正規雇用労働者においては職種や職務内容等が異なるため、平均給与に差が生じています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 5.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 71.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 76.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 76.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 60.4% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ ノックスデータ㈱
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 5.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
▼ ㈱スリーエス
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 3.1% |
▼ ㈱アート
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 14.3% |
人材育成・エンゲージメント
当社においては、指標についての具体的な取組みが行われているものの、連結グループすべての会社で行われていないため、指標につきましては提出会社のものを記載しております。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 新卒女性比率 | 17.0% |
| 従業員エンゲージメントスコア | 3.2 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
アイ・エス・ビーは、情報サービス事業とセキュリティシステム事業の二つの主要な事業を展開しています。同社グループは、これらの事業を通じて顧客に多様な技術とソリューションを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、情報サービスとセキュリティシステムという二つの事業活動を行っています。子会社10社を含むグループ全体で、それぞれの専門分野におけるサービスを提供しています。
情報サービス事業
この事業では、車載・医療・産業機器・モバイル・情報家電向けの組込み/制御ソフトウェアの開発および検証を手掛けています。また、基幹システムや情報システム、流通・金融・公共ソリューションにおけるソフトウェア開発も行っています。データセンターサービスやクラウド等のインフラ構築・運用設計、運用保守サービス、システムオペレーションサービス、業務用パッケージや医療・通信系ソリューションの開発・販売とそれに伴う機器の販売も主要な事業内容です。
収益は、ソフトウェア開発、システム構築、運用保守サービス、および関連機器の販売から得ています。
セキュリティシステム事業
セキュリティシステム事業では、出入管理システム、電気錠、テンキー等の開発、販売、および保守サービスを提供しています。リカーリングビジネスが収益基盤の強化に貢献しており、顔認証端末などの新しいデバイスの投入も行われています。
収益は、セキュリティシステムの開発・販売、および保守サービスから得ています。
同社グループの売上高は、情報サービス事業が最大の割合を占めており、セキュリティシステム事業がこれに続いています。前期と比較すると、情報サービス事業、セキュリティシステム事業ともに売上高は増加しています。
| セグメント | 売上高(2024年12月期) | 売上高(2025年12月期) |
|---|---|---|
| 情報サービス | 290億円 | 315億円 |
| セキュリティシステム | 49.6億円 | 55.1億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は継続して増加傾向にあります。一方で、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、直近の期において前期から減少しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 262億円 | 290億円 | 324億円 | 340億円 | 370億円 |
| 経常利益 | 19.4億円 | 24.0億円 | 28.1億円 | 28.9億円 | 23.8億円 |
| 経常利益率 | 7.4% | 8.3% | 8.7% | 8.5% | 6.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 11.1億円 | 14.2億円 | 14.7億円 | 20.3億円 | 14.3億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 97.77 | 125.12 | 129.07 | 177.80 | 125.31 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は前期から増加しており、組織全体の効率化が進んでいる傾向が見られます。一方で、従業員1人あたり営業利益は前期から減少しており、収益性への影響が示されています。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 16.0百万円 | 16.5百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.3百万円 | 1.0百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、本業で安定した資金を生み出しつつ、将来に向けた投資も行っている状況を示しています。これにより、事業の安定性と成長への意欲がうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、高い自己資本比率と潤沢な現金及び預金によって強固な状態を示しています。自己資本比率はプライム市場の平均を大きく上回っており、ROEも平均を上回る水準となっています。これらの状況は、事業運営における安定性や、将来的な成長投資への余力を示していると言えます。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 135億円 | 145億円 |
| 自己資本比率 | 67.7% | 67.2% |
| ROE(自己資本利益率) | 16.1% | 10.2% |
| 現金及び預金 | 89.8億円 | 90.8億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは前期から減少したものの、当期もプラスを維持しています。これは、事業活動を通じて安定的に資金を生み出していることを示しています。投資活動によるキャッシュフローは引き続きマイナスとなっており、有形固定資産の取得など、将来に向けた投資を継続している状況がうかがえます。財務活動によるキャッシュフローは配当金の支払いなどによりマイナスとなっています。
これらの結果、営業活動で得た資金が投資活動の支出を上回るフリーキャッシュフローは前期から増加し、プラスを維持しています。この状況は、同社グループが本業で安定的に資金を創出し、成長投資を行いながらも、手元資金を確保できていることを示しています。安定した資金の流れは、従業員の雇用や給与の安定性にも寄与する要素と言えるでしょう。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 18.8億円 | 17.5億円 |
| 投資CF | △13.5億円 | △10.2億円 |
| 財務CF | △4.8億円 | △6.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 5.3億円 | 7.3億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、情報サービス業界における競合の激化やソフトウェア開発需要の減少が業績に影響を及ぼす可能性を認識しています。また、携帯端末やそのインフラ開発といった特定の受託開発業務への依存度が高いこともリスクとして挙げられています。これらのリスクに対し、同社グループは生産性向上や新規顧客開拓、ソリューション事業の規模拡大などで対処する方針を示しています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、高度な技術力を支える優秀な人材の確保と育成を重要な課題と認識しています。必要な人材を確保・育成できない場合、受注機会の確保や生産性向上、技術革新への対応が不十分となり、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社グループは研修の充実や適正な人材採用、働き方改革の推進などで対処する方針です。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
アイ・エス・ビーグループは、「永続する企業」を目指し、お客様に選ばれ、社会に必要とされ続けることを経営の根幹に置いています。同社グループは、夢と挑戦の精神を大切にする企業文化を育んでいます。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
アイ・エス・ビーグループは、「夢を持って夢に挑戦」を企業理念としています。同社グループのミッションは、卓越した技術と魅力ある製品・サービスで心豊かに暮らす笑顔溢れる社会づくりに貢献することです。ビジョンとして、時代の変化に適応し、知恵とITの融合により、未来を切り拓く新たな価値を創造することを掲げています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、「誇り」「誠実」「挑戦」をバリュー(大切にしている価値観)としています。クレド(行動指針)では、プロフェッショナルとして技術とアイデアを磨き続け、お取引先様と誠実に向き合い、夢のある未来へ向けて新たな価値創造に情熱をもって取り組むことを示しています。
人的資本戦略においては、社員一人ひとりの働きがいを源泉とした企業成長により、心豊かに暮らす笑顔溢れる社会づくりへの貢献を目指しています。多様な価値観を尊重し、理念浸透やコミュニケーションの活性化、学び続けられる環境の整備を通じて、働きがいのある企業文化を醸成することを重視しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
アイ・エス・ビーグループが対処すべき課題は、DX・AI需要の拡大と社会課題解決への要請増、盤石な経営基盤構築とさらなる事業高度化を含めた「将来のリスクに適応できるレジリエントな体制推進」です。同社グループは「ISBグループ中長期経営計画2030」において、この課題に取り組むため、マテリアリティ(重要課題)に紐づいた3つの重点戦略を実行しています。
マテリアリティとしては、技術革新、地域活性化、人的資本、環境、ガバナンスの5つを掲げています。これらの課題解決に向け、事業戦略ではステークホルダーとの共創と地域に根ざした活動を推進しています。人的資本戦略では、付加価値向上と組織・社員像の実現、生産性・収益性向上を目指しています。財務・経営基盤戦略では、コーポレート・ガバナンスの高度化や環境課題への対応に取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は監査等委員会設置会社制度を採用しており、経営の透明性と監督機能の強化を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、筆頭株主は有限会社若尾商事であり、安定株主として同社グループを支えていることがうかがえます。また、従業員持株会も上位株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社若尾商事 | 17.45% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 9.99% |
| アイ・エス・ビー・グループ従業員持株会 | 3.54% |
| 株式会社日本カストディ銀行(信託口) | 3.32% |
| ヨシダトモヒロ | 2.99% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性9名・女性2名)で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は若尾一史氏が務めています。社外取締役比率は36.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 若尾 一史 | 代表取締役 社長 | 1999年有限会社若尾商事入社、2002年同社転籍。2013年有限会社若尾商事代表取締役社長。2021年同社代表取締役社長より現職。 |
| 小笠原 芳市 | 常務取締役 | 1988年同社入社。2019年同社取締役事業本部長。2025年同社常務取締役事業本部長。2026年同社常務取締役より現職。 |
| 関本 祥文 | 取締役 セキュリティシステム 事業担当 | 1988年和光証券入社。2010年同社入社。2017年同社取締役グループ経営企画室長。2023年同社取締役セキュリティシステム事業担当より現職。 |
| 牧田 甲希 | 取締役 営業本部長 | 1988年同社入社。2022年同社取締役営業本部長より現職。2025年株式会社AMBC代表取締役社長。 |
| 廣瀬 雅也 | 取締役 管理本部長 | 1990年同社入社。2024年同社取締役管理本部長より現職。 |
| 山本 年朗 | 取締役 グループ経営担当 | 1991年三菱銀行入行。2021年同社入社。2026年同社取締役グループ経営担当より現職。 |
社外取締役は、渡邊芳樹氏(公認会計士渡邊芳樹事務所 所長)、清水亜希氏(明哲綜合法律事務所 パートナー弁護士)、佐藤香代氏(法律事務所たいとう 代表弁護士)、長谷川智彦氏(Dエンジン 代表取締役社長)です。
同社は監査等委員会設置会社制度を採用しており、複数の社外取締役を含む監査等委員である取締役に取締役会における議決権を付与することで、取締役会の監督機能を強化しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
取締役(監査等委員を除く)の報酬は、月額報酬、役員賞与、譲渡制限付株式報酬及び特別功労金で構成されています。監査等委員である取締役の報酬は月額報酬で構成されています。月額報酬は固定金銭報酬、役員賞与は業績連動型の金銭報酬、譲渡制限付株式報酬は業績連動型の株式報酬であり、業績と株主価値との連動性を高めることを目的としています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 6名 | 1.7億円 | 29.0百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 12百万円 | 12.0百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 17百万円 | 4.2百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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