セプテーニ・ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

セプテーニ・ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場するセプテーニ・ホールディングスは、デジタル広告を軸とするマーケティング・コミュニケーション事業などを展開しています。直近の業績は、主力事業の増収効果により増収営業増益となった一方、親会社所有者帰属当期利益は減益となりました。


※本記事は、株式会社セプテーニ・ホールディングスの有価証券報告書(第35期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. セプテーニ・ホールディングスってどんな会社?


同社はデジタルマーケティングを軸に、企業のDXを総合的に支援する事業を展開しています。

(1) 会社概要


1990年に人材採用コンサルティングを目的に設立され、2000年にインターネット広告事業を開始しました。2001年にジャスダックに上場し、2006年に持株会社体制へ移行して現社名に変更しました。2022年に電通グループの連結子会社となり、電通ダイレクトを子会社化しています。

従業員数は連結で1,674名、単体で97名です。筆頭株主は事業会社である電通グループで、第2位はビレッジセブン、第3位は創業者の七村守氏となっています。

氏名 持株比率
電通グループ 52.48%
ビレッジセブン 6.11%
七村守 4.54%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.0%です。代表取締役 グループ社長執行役員は神埜雄一氏が務めています。取締役のうち社外取締役は4名です。

氏名 役職 主な経歴
神埜雄一 代表取締役 2006年同社入社。セプテーニ代表取締役等を経て、2024年3月より代表取締役、同年4月よりグループ社長執行役員に就任。
清水雄介 取締役 2006年同社入社。セプテーニ代表取締役社長等を経て、2024年3月より取締役、同年4月よりグループ副社長執行役員に就任。
中村光孝 取締役 1990年電通入社。同社統括執行役員(メディア・コンテンツ)等を経て、2026年3月より取締役。


社外取締役は、石川善樹(公益財団法人Well-being for Planet Earth代表理事)、入山章栄(早稲田大学ビジネススクール教授)、髙岡美緒(DNX Venturesベンチャーパートナー)、塩野誠(経営共創基盤代表取締役CEO)です。

2. 事業内容


同社グループは、「マーケティング・コミュニケーション事業」「ダイレクトビジネス事業」「データ・ソリューション事業」および「その他事業」を展開しています。

マーケティング・コミュニケーション事業


デジタル広告の販売と運用を軸とした統合マーケティングサービスの提供により、企業のデジタルトランスフォーメーションを総合的に支援しています。

収益源は顧客企業からの広告配信・出稿やマーケティング支援に関する対価であり、運営は主にセプテーニが行っています。

ダイレクトビジネス事業


BtoCおよびBtoB領域において、事業戦略立案からダイレクトレスポンス手法によるプロモーション、CRMまでを一気通貫で実行し、オフラインメディアとデジタルを統合した顧客支援を行っています。

収益源はオフライン・オンラインを通じた広告出稿やプロモーション支援に関する手数料等であり、運営は主に電通ダイレクトが行っています。

データ・ソリューション事業


デジタルマーケティング領域で長年蓄積された知識・ノウハウを生かし、データの収集・統合・活用や、データ・AIを活用したソリューションの開発・提供、顧客の開発支援やエンジニア人材の派遣を提供しています。

収益源は受託システム開発サービスによる役務提供の対価や人材派遣サービスにおける派遣料金であり、運営は主にセプテーニ・データ・ソリューションズが行っています。

その他事業


HRテクノロジー事業などを展開しています。収益源は各種サービスの提供対価であり、同社グループ内の各社が運営を行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上収益は事業拡大により増加傾向にあり、2025年12月期は増収となりました。一方、税引前利益や当期利益は、事業投資や市場環境の変化などの影響を受け、増減を繰り返しながら推移しています。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上収益 214億円 276億円 343億円 283億円 303億円
税引前利益 39億円 90億円 67億円 49億円 47億円
利益率(%) 18.3% 32.5% 19.4% 17.2% 15.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 26億円 57億円 43億円 55億円 35億円

(2) 損益計算書


直近2期間の業績を比較すると、主力事業の好調により売上収益が伸長しています。これに伴い、営業利益も増加し、営業利益率は改善傾向を示しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上収益 283億円 303億円
営業利益 31億円 42億円
営業利益率(%) 11.1% 14.0%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が6億円(構成比19.5%)、役員報酬が4億円(同15.1%)、業務委託費が3億円(同10.6%)を占めています。

(3) セグメント収益


セグメント別の状況を見ると、主力のマーケティング・コミュニケーション事業やダイレクトビジネス事業において、既存案件の拡大や新規案件の獲得が進んだことで増収増益となりました。一方、データ・ソリューション事業は一部案件の剥落等により減収減益となっています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期) 利益(2024年12月期) 利益(2025年12月期) 利益率
マーケティング・コミュニケーション事業 203億円 216億円 48億円 55億円 25.5%
ダイレクトビジネス事業 52億円 64億円 11億円 14億円 21.9%
データ・ソリューション事業 32億円 31億円 5億円 5億円 16.1%
その他事業 8億円 5億円 -1億円 0億円 8.0%
調整額 -12億円 -12億円 -31億円 -30億円 -
連結(合計) 283億円 303億円 32億円 44億円 14.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、営業活動で得た資金を投資や借入金の返済に充てる「健全型」の傾向を示しています。
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.1%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は92.2%で市場平均を上回っています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 37億円 34億円
投資CF 3億円 -31億円
財務CF -16億円 -60億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


ミッションとして「ひとりひとりのアントレプレナーシップで世界を元気に」を掲げ、その実現の過程として「VISION 2030」を設定しています。社会と時代が変化する中でも、顧客の企業価値最大化につながるあらゆる事業成果にグループ全体で向き合い、世界を元気にする企業体になるべく「VALUE MAXIMIZER」を標榜しています。

(2) 企業文化


「新しい時代をつくる人が育つ場となる」というビジョンを掲げ、最も価値ある資産を「人」と捉えています。独自のデータベースとテクノロジーを活用し、個々の成長を加速させる仕組みを構築するなど、当事者意識が高く起業家精神あふれる人材が、自らの能力を最大限に発揮できる環境整備に注力しています。

(3) 経営計画・目標


中期経営計画(FY2026-2028)において、定量目標として2028年12月期の目標数値を掲げています。事業ポートフォリオマネジメントを徹底し、高成長と高還元を両立させるための適切な投資と株主還元を行っていく方針です。

* 収益:366億円
* 営業利益(Non-GAAP):64億円
* 親会社の所有者に帰属する当期利益:58億円

(4) 成長戦略と重点施策


今後の重点施策として「事業の深化」「事業の探索」「経営基盤強化」「キャピタルアロケーション」を掲げています。会社や事業の垣根を越えたシナジーとコラボレーションを促進するほか、HRテクノロジーやスポーツ、エンタメなどの領域で未来の収益柱への投資を加速させます。また、AI戦略の推進やガバナンスの強化にも取り組んでいく方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


アントレプレナーシップを価値創造の源泉と位置づけ、ひとりひとりの能力発揮を支援する人材育成と環境整備に注力しています。次世代リーダーの発掘や社内人材の最適配置を進めるとともに、オフィス機能の見直しを通じたグループ内の人材交流やネットワーク形成を促進し、人的資本の価値向上を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 34.9歳 7.3年 6,552,821円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 27.4%
男性育児休業取得率 56.3%
男女賃金差異(全労働者) 84.8%
男女賃金差異(正規雇用) 85.0%
男女賃金差異(非正規雇用) 22.1%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) インターネット広告市場の動向と競争激化


同社の主力事業であるインターネット広告市場は景気動向の影響を受けやすく、広告主による広告費用の削減などにより市場規模が想定通りに拡大しないリスクがあります。また、激しい競争環境下において、競争優位性の確立に向けた施策が必ずしも奏功するとは限らないため、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 専門人材の確保と育成


同社の成長を支える最大の資産は人材であり、事業の拡大やグローバル展開に応じた優秀な人材の確保と育成が重要課題です。労働環境の整備や働き方改革を推進していますが、人材獲得競争の激化や市場の需給バランスなどの要因により、必要な人材が確保できなかった場合、事業運営に支障をきたす恐れがあります。

(3) インターネットサービス提供におけるシステム障害


同社グループは、一部のサービスにおいてインターネットを介して顧客にサービスを提供しています。機器の不具合や自然災害、想定を超えるアクセス増などによりシステム障害が発生した場合、サービスの停止を余儀なくされ、顧客からの信用の低下や損害賠償請求につながる可能性があります。

(4) 電通グループとの資本業務提携の行方


同社は電通グループを筆頭株主とし、密接な事業上の協働関係を構築して事業シナジーの最大化に取り組んでいます。しかし、事後的な環境変化等により期待した効果が得られない場合や、将来的に何らかの事由で資本業務提携が終了する事態が生じた場合、事業活動や経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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