フォーサイド 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

フォーサイド 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

フォーサイドは東証スタンダード市場に上場しており、プライズゲーム用景品の企画・販売やAI事業、人材派遣などの総合人材サービス事業を幅広く展開しています。直近の業績トレンドでは、主力のプライズ事業や新規のAI関連事業が堅調に推移したことに加え、事業買収の効果もあり大幅な増収増益を達成しています。


※本記事は、株式会社フォーサイドの有価証券報告書(第26期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. フォーサイドってどんな会社?


同社グループは、アミューズメント施設向けの景品開発から、AI技術を活用したツール開発まで多彩な事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


2000年に設立され、携帯電話向けコンテンツ配信サービスを開始しました。2002年にジャスダック市場に株式を上場しています。その後、電子書籍や不動産関連など様々な事業展開を経て、2017年にブレイクを子会社化しプライズ事業に参入しました。2024年にAI事業を開始し、2025年にはantzを子会社化して総合人材サービス事業や物流関連事業へと領域を拡大しています。

同社グループの従業員数は連結で180名、単体で4名です。大株主の状況を見ると、筆頭株主は事業会社のOMTホールディングスで、第2位はR-1第1号投資事業有限責任組合、第3位は証券業務を行う楽天証券となっています。

氏名 持株比率
OMTホールディングス 11.76%
R-1第1号投資事業有限責任組合 7.36%
楽天証券 4.92%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は大島正人氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
大島正人 代表取締役社長 1975年東洋ガラス入社。複数の企業で代表取締役を経て、2023年にエム代表取締役および同社取締役会長に就任。2024年より現職。
大島崇 常務取締役 2011年アイケイコーポレーション入社。公認会計士登録後、監査法人等を経て2023年に同社入社。AI Tech Solutions取締役などを経て2026年より現職。
根津孝規 取締役 タカラアミューズメント等を経て2008年ブレイク入社。2013年同社代表取締役に就任。2019年にフォーサイド代表取締役社長を務めたのち、2024年より現職。
長尾康裕 取締役 1996年佐川急便入社。2005年antz代表取締役に就任。複数の物流関連企業の代表を経て、2025年に同社経営戦略室執行役員、2026年より現職。
大塚美樹 取締役 2007年同社入社。管理本部課長を経て2015年にモビぶっく(現ポップティーン)取締役に就任。2026年より同社取締役およびポップティーン代表取締役に就任し現職。


社外取締役は、田﨑司郎(司郎法務行政書士事務所代表)、田辺一男(大原法律事務所パートナー弁護士)、瀬山剛(瀬山公認会計士事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「プライズ事業」「AI関連事業」「総合人材サービス事業」などの報告セグメントおよび「その他」事業を展開しています。

プライズ事業


クレーンゲーム機などのアミューズメント施設向けプライズゲーム用景品の企画・製作および販売を行っています。移り変わりの早い消費者ニーズに対応したキャラクター商品や雑貨系商材を幅広く提供しています。
収益は、アミューズメント施設運営企業に対する景品の販売代金から得ています。商品の企画から販売までの事業運営は、子会社のブレイクが行っています。

AI関連事業


AIを活用した事業効率化ツールの開発や、AI開発支援向けのGPUサーバーの販売および販売代理を行っています。生成AIを活用した退院サマリーシステムの提供など、医療業界をはじめとするDX化支援を進めています。
収益は、顧客企業に対するAI関連ツールの開発費や、GPUサーバーの販売代金から得ています。事業運営は子会社のAI Tech Solutionsが行っています。

総合人材サービス事業


慢性的な人材不足を抱える医療業界や物流業界、IT業界に対して、一般労働者派遣および作業請負業務などを展開しています。ITソリューション事業との連携により、専門的なIT人材の供給も行っています。
収益は、派遣先企業や請負業務の発注元企業から受け取る人材派遣料や業務請負対価から得ています。事業運営は子会社のantzが行っています。

物流関連事業


一般貨物自動車運送事業および貨物利用運送事業を行っています。ドライバー不足や「2024年問題」に対応しつつ、総合人材サービス事業との連携を強化することで事業領域の拡大を進めています。
収益は、顧客企業から受け取る運送代金や貨物利用運送手数料から得ています。事業運営はエムおよびantzが行っています。

その他の事業(コンテンツ、イベント、マスターライツ)


電子書籍配信サイト「モビぶっく」の運営、大型商業施設での著名コンテンツの展示販売、女子小中学生向け雑誌などの出版事業を展開しています。SNSを活用した情報発信やイベント企画で認知拡大を図っています。
収益は、電子書籍の販売代金、イベント会場での商品販売代金、雑誌の販売代金や広告タイアップ料から得ています。事業運営はポップティーンおよびブレイクが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5年間の業績推移を見ると、売上高は安定して推移しており、直近の期では増収となっています。利益面では、一時的に経常損失を計上する時期があったものの、直近では大幅な増益を達成しており、利益率も大きく向上する傾向が見られます。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 2.6億円 2.3億円 2.5億円 2.4億円 3.7億円
経常利益 1.8億円 -0.7億円 0.4億円 0.5億円 4.9億円
利益率(%) 70.6% -32.4% 17.9% 19.5% 128.3%
当期利益(親会社所有者帰属) -1.1億円 -0.1億円 -0.2億円 2.0億円 1.5億円

(2) 損益計算書


直近の損益状況を見ると、当期は前期と比較して売上高が順調に拡大しています。売上総利益も増加傾向にあり、営業利益ベースでも大幅な増益を達成するなど、収益性が大きく改善していることがわかります。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 2.4億円 3.7億円
売上総利益 18.2億円 20.2億円
売上総利益率(%) 746.5% 540.1%
営業利益 0.5億円 4.6億円
営業利益率(%) 20.6% 124.0%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当及び賞与が6.2億円、支払手数料が1.8億円を占めています。

(3) セグメント収益


各事業の売上状況を見ると、主力事業であるプライズ事業が順調に売上を伸ばしています。また、当期より新たに展開を開始したAI関連事業や総合人材サービス事業が売上に大きく貢献しており、事業ポートフォリオの多角化が進んでいることがうかがえます。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
プライズ事業 29.7億円 34.6億円
不動産関連 12.3億円 -
コンテンツ事業 0.8億円 0.8億円
イベント事業 1.3億円 2.1億円
マスターライツ事業 1.6億円 1.5億円
AI関連事業 6.8億円 31.0億円
物流関連事業 0.9億円 3.2億円
総合人材サービス事業 - 14.3億円
連結(合計) 53.4億円 87.5億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、営業活動と投資活動でプラスとなり、その資金で財務活動のマイナス(借入金の返済等)を補う改善型の傾向を示しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 1.6億円 6.7億円
投資CF -6.0億円 2.2億円
財務CF 6.4億円 -0.9億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は15.8%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は65.3%であり、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、社会の一員として信頼される企業となるため、法令や社会倫理の遵守を徹底する企業倫理を掲げています。また、各セグメントにおいて消費者ニーズに対応し、競争力のあるサービスを提供することで企業価値を持続的に向上させることを目指しています。次世代の消費者と企業をつなぐ場を提供し、新たな価値を創出することを重視しています。

(2) 企業文化


同社グループは、年齢、性別、国籍等に関係なく、多様な人材が活躍できる組織を目指すという方針を重視しています。特に女性活躍推進を重要な経営課題と位置づけ、意欲や能力の高い女性社員を積極的に管理職に登用する方針を掲げています。働き方の多様化を推進し、テレワーク環境やフレックスタイム制度を導入するなど、柔軟に対応できる組織運営を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


同社グループが目標とする経営指標は、「営業収益」および「営業利益」の2指標です。主力事業であるプライズ事業、AI関連事業、物流関連事業、総合人材サービス事業の各領域において、収益性の強化と売上の拡大を図り、持続的な成長を実現していくことを中長期的な方針として掲げています。

(4) 成長戦略と重点施策


今後の成長に向けた重点施策として、プライズ事業では販路拡大と仕入先の開拓による事業収益の拡大を進めます。AI関連事業においては、AIを活用した新たなDXツールの開発提案を行う体制構築を目指します。さらに、新規事業創出の取り組みとして、各ブランドの公式オンラインショップ開設やリアルイベントの開催を通じ、新たな収益基盤の構築と業績の向上に努めます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、多様な人材が活躍できる環境づくりを推進しており、特に女性社員の管理職登用を積極的に進める方針です。働き方の多様化に対応するため、テレワークやフレックスタイム制度の導入など、従業員が働きやすい就労環境の整備に努めています。また、有給休暇取得率の向上を図り、従業員のワークライフバランスの充実に向けた取り組みを行っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 48.1歳 5.5年 5,155,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 33.3%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -


※男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異については、同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本稿の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(60%)、管理職に占める女性労働者の割合の目標(45%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 消費者ニーズの変化


プライズ事業ではキャラクター商品を取り扱うことが多く、消費者の嗜好の移り変わりによって販売動向が左右されるリスクがあります。人気キャラクターの商品化権を獲得できない場合など、同社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(2) 競合の激化


同社グループが事業を営む領域は市場の競争が激しく、他業界からの新規参入が相次いでいます。競争激化に対応するためのノウハウ蓄積や組織力強化が適時・効率的に行われない場合、同社グループの競争力が低下するリスクがあります。

(3) 技術革新への対応


AI関連事業等の情報通信分野においては、新技術の開発や新サービスの導入が非常に早く進んでいます。技術革新に対する対応が遅れたり、新技術への対応で追加的な支出が必要となったりした場合、事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 減損会計の影響


事業拡大やシナジー効果を期待してM&Aを推進していますが、新たに発生する「のれん」等の資産において、予想外の業績悪化が生じた場合は減損処理の対象となり、財政状態や業績に悪影響を与えるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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