#記事タイトル:「アドウェイズ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態」
※本記事は、株式会社アドウェイズの有価証券報告書(第26期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月24日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. アドウェイズってどんな会社?
アドウェイズはスマートフォン向け広告サービスを軸に、インターネットマーケティングを総合支援する企業です。
■(1) 会社概要
同社は2000年に個人事業として創業し、2001年にアドウェイズを設立して成果報酬型広告サービスを開始しました。2006年に東京証券取引所マザーズへ上場し、2017年には全自動マーケティングプラットフォームを提供開始しています。その後、国内外で事業拠点を拡大し、2025年にスタンダード市場へ変更しました。
現在の従業員数は連結で941名、単体で416名です。筆頭株主は創業者である岡村陽久氏で、第2位には資本業務提携を行う総合商社の伊藤忠商事が、第3位には同じく資本提携関係にある博報堂DYホールディングスが名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 岡村 陽久 | 20.85% |
| 伊藤忠商事 | 10.24% |
| 博報堂DYホールディングス | 9.31% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性3名の計11名で構成され、女性役員比率は27.0%です。代表取締役社長は山田翔氏が務めています。社外取締役は4名で構成されています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山田 翔 | 取締役社長(代表取締役) | 2007年同社入社。新規領域担当執行役員などを経て、2018年予約トップ10代表取締役社長に就任。2021年7月より現職。アドウェイズ・ベンチャーズ代表取締役等を兼任。 |
| 岡村 陽久 | 取締役会長 | 2000年アドウェイズエージェンシーを創業し、2001年同社代表取締役社長に就任。国内外の子会社代表や取締役を歴任し同社の成長を牽引。2021年7月より現職。 |
| 野田 順義 | 取締役グローバル事業担当 | 2009年同社入社。スマートフォン担当執行役員や海外子会社の代表取締役を務め、グローバル展開を主導。2015年より取締役グローバル事業担当に就任し現在に至る。 |
| 鹿野 晋吾 | 取締役エージェンシー事業担当 | 2007年同社入社。広告事業担当執行役員やグローバルマーケティング担当上席執行役員、韓国子会社代表取締役を歴任。人事や経営戦略担当を経て2025年3月より現職。 |
社外取締役は、伊藤浩孝氏(テカンジャパン代表取締役社長)、平田和子氏(タフタッチ代表取締役)、梅本翔太氏(博報堂アカウントプロデュース局局長代理)、岡田恵利子氏(ニアカリ代表社員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「アドプラットフォーム事業」「エージェンシー事業」および「その他」事業を展開しています。
■アドプラットフォーム事業
スマートフォン向け広告サービス「AppDriver」や「UNICORN」、モバイル向けアフィリエイト広告サービス「Smart-C」、PC向けアフィリエイト広告「JANet」などのインターネット広告の販売と運用を行っています。ウェブサイト運営者やアプリ開発会社などを主な顧客としています。
広告主から受領する広告費から、提携メディアへ支払う成果報酬を控除した純額を主な収益源としています。運営は同社のほか、UNICORNやADWAYS DEEEなどの連結子会社が事業を推進しています。
■エージェンシー事業
アプリやウェブの包括的マーケティング支援のため、自社のアドプラットフォームに限らず、多様な広告商品や付随するサービスの代理販売を行っています。国内外の企業を対象に、インターネットマーケティングの総合支援サービスを提供しています。
顧客から受領する対価から他社アドプラットフォームへの支払額を控除した純額、あるいは広告素材制作等の外注取引に関する総額を収益としています。同社のほか、博報堂DYグループとの協業を通じた体制で運営を行っています。
■その他
広告事業の枠にとらわれず、士業向けのポータルサイトの運営やインフルエンサーマーケティングの企画運営、サウナ施設の運営事業などを展開し、ステークホルダーに対して新たな価値の提供を行っています。
ポータルサイトの利用料や施設利用料、企画運営費などを主な収益源としています。店舗運営などは、オールドルーキーをはじめとする事業会社が主体となって運営を行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は130億円台で推移していましたが、直近2期間は減少傾向にあります。経常利益も減少が続いていましたが、直近ではコスト抑制により前年比で増益を確保したものの、利益率は1桁台で推移しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 97.0億円 | 134.2億円 | 135.2億円 | 126.8億円 | 122.2億円 |
| 経常利益 | 17.0億円 | 15.1億円 | 13.1億円 | 5.0億円 | 6.1億円 |
| 利益率(%) | 17.5% | 11.2% | 9.7% | 4.0% | 5.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 8.0億円 | 15.1億円 | 9.7億円 | -10.3億円 | 0.2億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で減少しましたが、売上総利益率は82.7%と高水準を維持しています。また、販売費及び一般管理費を抑制した結果、営業利益率は改善し、本業の収益性は持ち直しの傾向を見せています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 126.8億円 | 122.2億円 |
| 売上総利益 | 103.5億円 | 101.0億円 |
| 売上総利益率(%) | 81.6% | 82.7% |
| 営業利益 | 1.7億円 | 3.0億円 |
| 営業利益率(%) | 1.3% | 2.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が48億円(構成比49%)、支払手数料が19億円(同19%)を占めています。売上原価については、労務費と経費がそれぞれ半数程度を占めています。
■(3) セグメント収益
アドプラットフォーム事業はブランド広告需要の拡大により増収となりました。一方、エージェンシー事業は国内大手広告主の需要減少や海外市場の消費マインド低下が影響し、減収となっています。その他事業は新規事業等により堅調に推移しました。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| アドプラットフォーム事業 | 41.3億円 | 46.7億円 |
| エージェンシー事業 | 71.7億円 | 60.8億円 |
| その他 | 13.8億円 | 14.6億円 |
| 連結(合計) | 126.8億円 | 122.2億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業が低迷し、事業の見直しが迫られる状況となっています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 1.9億円 | -0.8億円 |
| 投資CF | 1.6億円 | 1.6億円 |
| 財務CF | -2.4億円 | -1.3億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は1.9%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は60.5%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社はパーパスとして『全世界に「なにこれすげー こんなのはじめて」を届け、すべての人の可能性をひろげる「人儲け」を実現する』を掲げています。事業やサービスを通じて世の中に新たな価値を提供し続けるとともに、本当の意味でそこで働く人々が成長できる場を提供し続けることを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は「信じろ、自分を。」「進もう、大胆に。」「愛そう、違いを。」をバリューとして掲げています。また、「人と機械の共生」という考え方のもと、人が得意ではないことは機械化やシステム化を行い、人が得意なことに注力できる環境を作ることで、人が人らしく働ける企業集団を目指しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は2025年12月期から2027年12月期までの3ヶ年において、事業の成長と資本効率の改善等による中長期的な企業価値の向上を目標としています。また、継続的かつ安定的な株主還元を実施するため、数値目標として株主資本配当率(DOE)の目安を掲げています。
* 株主資本配当率(DOE):2.0%以上(目安)
■(4) 成長戦略と重点施策
スマートフォン向け広告を主軸とした事業規模の拡大を最重要課題と位置付けています。自社プロダクトのテクノロジー活用や外部パートナーとの戦略的提携を強化し、生成AI等による付加価値創出を図ります。また、マンガやゲーム領域でのシェア拡大、東アジアへの海外展開とAIによる運用自動化を推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、全役職員がモチベーション高く働き、成長を続けられる人材育成方針を掲げています。新卒時から新規事業開発に挑戦できるプロジェクトや、希望に応じた部署異動によるスキルアップ支援を実施しています。また、ライフステージに応じた働き方のカスタマイズや在宅勤務などを導入し、多様な人材が活躍できる社内環境整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 34.8歳 | 6.1年 | 6,382,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 12.9% |
| 男性育児休業取得率 | 81.8% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 73.7% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 74.4% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 100.7% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員比率(約43%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 特定業界への広告主依存リスク
同社の広告事業は、ゲームアプリ、マンガアプリ、および金融業界の広告主が占める割合が高くなっています。特定業界以外の広告主開拓やプロダクト開発を進めてリスク低減に努めていますが、これら3業界の広告出稿量や報酬単価の変動が同社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 大手資本参入など競合他社との競争激化
インターネット広告業界は参入障壁が比較的低く、厳しい競争環境にあります。特に、豊富な資金力を持つ大手企業がM&Aによって競合他社を傘下に収め、相乗効果を発揮することで多大な脅威となる可能性があります。競争力の高い新戦略や新ビジネスモデルの出現により、優位性が損なわれるリスクがあります。
■(3) 新しい広告手法の出現と技術の陳腐化
同社は効果測定が明確な費用対効果の高い広告サービスを提供していますが、それ以上に客観的で高効率な新広告手法が開発された場合、対応するための費用が生じ収益を圧迫する可能性があります。また、技術変化への対応が遅れることで、同社のサービスや技術が陳腐化し、業績に影響を与える懸念があります。
■(4) システム障害および不正利用のリスク
インターネットを通じた広告配信や成果集計をシステムに依存しているため、障害が発生してサービスが中断した場合、事業に重大な影響が生じます。また、システムの隙を突いた不正な成果発生やセキュリティホールへの悪意あるアクセスなどにより、信用低下や損害賠償問題に発展するリスクを含んでいます。



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