リンクアンドモチベーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

リンクアンドモチベーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

リンクアンドモチベーションは、東京証券取引所プライム市場に上場し、独自のモチベーションエンジニアリングで組織と個人の変革を支援する企業です。コンサルやクラウド、キャリアスクール、人材紹介などを展開しています。直近の業績は売上収益が過去最高を更新し増収となった一方、減損損失の計上等により減益となっています。


※本記事は、株式会社リンクアンドモチベーションの有価証券報告書(第26期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. リンクアンドモチベーションってどんな会社?


独自の基幹技術を用いて組織と個人の変革を支援するサービスを展開しています。

(1) 会社概要


同社は2000年3月に東京都中央区で設立されました。2007年12月に東証二部へ上場し、翌2008年12月に東証一部へ指定変更されました。その後、事業を拡大し、2011年6月にアビバ(現リンクアカデミー)を完全子会社化、2014年4月にインタラック(現リンク・インタラック)を完全子会社化しました。2020年1月にはオープンワークを子会社化し、直近の2025年8月にはUniposおよびイー・アソシエイツを完全子会社化して事業領域を拡充しています。

現在の従業員数は連結で1,629名、単体で558名となっています。筆頭株主は創業者の小笹芳央氏の資産管理会社であるフェニックスで、第2位は個人の勝呂彰氏、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
フェニックス 32.90%
勝呂彰 5.87%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 4.47%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性3名の計8名で構成され、女性役員比率は37.5%です。
代表取締役会長は小笹芳央氏、代表取締役社長は坂下英樹氏が務めています。取締役5名のうち2名が社外取締役です。

氏名 役職 主な経歴
小笹芳央 代表取締役会長 1986年リクルート入社。2000年同社設立、代表取締役社長に就任。2013年より代表取締役会長。関係会社の取締役会長等を多数兼任。
坂下英樹 代表取締役社長 1991年リクルート入社。2000年同社設立時に取締役に就任。2013年より代表取締役社長。関係会社の取締役を兼任。
大野俊一 取締役 1992年青山監査法人入所。2002年同社入社。2008年より取締役。関係会社の取締役や監査役を多数兼任。


社外取締役は、中村有里(ワンハート代表取締役)、原ゆかり(SKYAH代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「組織開発Division」「個人開発Division」「マッチングDivision」および「その他」事業を展開しています。

組織開発Division


同事業は、企業に対して独自の診断フレームに基づいた組織課題の診断と、採用から風土に至る組織人事全領域の変革ソリューションを提供しています。また、株主や投資家向けの任意開示資料の制作や、決算説明会の動画配信など、映像メディア制作を通じたIR活動の支援も行っています。
収益は、企業からのコンサルティングフィーや、クラウドサービス「モチベーションクラウド」の利用料、映像等の制作料などから得ています。運営は主にリンクアンドモチベーション、リンクソシュール、ジャパンストラテジックファイナンス、イー・アソシエイツ、Uniposなどが行っています。

個人開発Division


同事業は、組織から選ばれる個人創りを支援するため、大学生や社会人向けのパソコンスクール、資格スクール、外国語スクール等のキャリアスクールを提供しています。また、小学生から高校生向けには個別指導塾や進学塾を展開しています。
収益は、受講者からのスキル開発講座や資格取得講座の受講料、および学習塾の授業料などから得ています。運営は主にリンクアカデミーとモチベーションアカデミアが行っています。

マッチングDivision


同事業は、全国の小中高等学校に対する外国籍人材のALT派遣および英語指導の請負を行っています。また、就職や転職のための情報プラットフォーム「OpenWork」の運営や、大学生を対象とした人材紹介などのマッチング機会を提供しています。
収益は、自治体からのALT派遣料や英語指導の請負料、および求人企業からの情報プラットフォーム利用料や人材紹介手数料などから得ています。運営は主にリンク・インタラック、インタラック各社、オープンワーク、リンク・アイなどが行っています。

その他


同事業は、同社グループのステークホルダーが集う場として、イタリアンレストランの経営を行っています。
収益は、店舗の飲食代などから得ています。運営は主にリンクダイニングが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上収益は直近5期間で継続的に増加しており、順調な事業拡大が伺えます。税引前利益と当期利益については増益傾向が続いていましたが、直近の期間では減損損失の計上等により減益に転じ、利益率も低下しています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上収益 326億円 328億円 340億円 375億円 415億円
税引前利益 19億円 35億円 46億円 54億円 42億円
利益率(%) 5.8% 10.7% 13.4% 14.5% 10.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 9億円 21億円 28億円 37億円 16億円

(2) 損益計算書


売上収益が増加する一方で、売上総利益率は低下しています。また、販売費及び一般管理費やその他の費用の増加により、営業利益も減少しており、営業利益率が低下する結果となりました。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上収益 375億円 415億円
売上総利益 87億円 92億円
売上総利益率(%) 23.3% 22.3%
営業利益 55億円 42億円
営業利益率(%) 14.6% 10.1%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給与が19億円、業務委託費が9億円を占めています。

(3) セグメント収益


主力であるマッチングDivisionと組織開発Divisionが売上収益の増加を牽引しています。個人開発Divisionはオンライン化への構造改革を優先したことで、通学の入会者数が減少し減収となりました。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
組織開発Division 149億円 168億円
個人開発Division 64億円 61億円
マッチングDivision 168億円 193億円
その他 0.6億円 0.7億円
調整額 -7億円 -8億円
連結(合計) 375億円 415億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社グループは、事業に必要な資金を安定的に確保することを基本方針としております。

当連結会計年度は、営業活動による資金獲得額が減少しました。投資活動では、定期預金の預入や子会社株式の取得等により資金使用額が増加しました。財務活動では、長期借入れの減少があったものの、短期借入金の増加により資金使用額は減少しました。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 56億円 52億円
投資CF -19億円 -52億円
財務CF -25億円 -2億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「私たちは、モチベーションエンジニアリングによって、組織と個人に変革の機会を提供し、意味のあふれる社会を実現する」をミッションとしています。組織や個人が夢や生きがいによってたくさんの意味をくみ取っている社会の実現を目指し、社員のモチベーションこそが会社の成長エンジンであると考えて経営を行っています。

(2) 企業文化


変わらない経営の考え方として「LMGの経営方針3カ条」を掲げています。第1条「一点の曇りもない経営」として法令違反や不誠実が一切存在しない経営を目指し、第2条「ひとりひとりが主役の経営」として多様な人材が活躍できる組織を目指します。第3条「運動神経の良い経営」として環境変化に迅速に対応する企業適応力を重視しています。

(3) 経営計画・目標


2030年に向けた中期的な成長戦略として、コンサル・クラウド事業を中心に収益のストック化を推進しています。売上収益営業利益率やROEを重要な経営指標として位置づけています。

* 2028年12月期に営業利益100億円
* 2030年12月期に営業利益150億円

(4) 成長戦略と重点施策


当面の間は、成長可能性の高い組織開発Divisionのコンサル・クラウド事業に注力し、企業の人的資本経営を総合的に支援します。年間経常収益の拡大に向け、国内中堅・中小企業へ対象を拡大するほか、採用支援やマネジメント支援領域でクラウド化を推進します。さらに、アジアを中心とした海外市場への展開を進め、持続的な成長と企業価値の向上を実現します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社のビジネスは人的資本が様々な資本の価値創造の源泉であるとの考えから、事業戦略と組織戦略を対等に位置づけています。採用・育成・制度・風土への投資を通じて、人材力とエンゲージメントを高め、人的資本投資のリターンを示す生産性を最大化することに注力しています。従業員への報酬も継続的なベースアップを実施するなど待遇改善を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 32.5歳 6.4年 6,969,014円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 19.9%
男性育児休業取得率 93.3%
男女賃金差異(全労働者) 75.7%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 84.0%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 148.3%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、離職率(10.2%)、従業員1人当たり能力開発研修受講時間(50.7時間)、初年度離職率(2.5%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済状況の変動による需要低迷


国内外の経済状況が悪化した場合、企業の中小ベンチャー企業へのコンサルティング需要の休止や、人材紹介事業における雇用環境の変化が生じる可能性があります。同社は環境変化への柔軟な対応や、ストック売上比率を高めることでビジネスの安定化を図っています。

(2) 知的財産権の流出や模倣リスク


モチベーションエンジニアリングを基軸とした事業展開において、競合による模倣や、事業拡大およびテレワークに伴うコンサルティングノウハウ等の流出リスクが存在します。また、生成AI技術の発展によるコンテンツ模倣リスクに対し、知的財産権の多面的な保護や情報管理の徹底に努めています。

(3) データセキュリティに関するリスク


同社グループは顧客企業の組織人事情報や個人情報、機密情報を大量に保有しています。サイバー攻撃等の外部脅威や内部要因により情報漏洩が発生した場合、損害賠償や社会的信用の失墜が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、情報セキュリティ対策と継続的な改善に取り組んでいます。

(4) 優秀な人材の確保と育成


持続的な成長には優秀な人材の確保が不可欠ですが、特に組織開発Divisionにおけるプロジェクトマネジャーやエンジニアの確保が計画通りに進まない場合、業績に影響を与える可能性があります。同社は自社の採用ノウハウを活用し、エンゲージメント向上やブランディングに努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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