※本記事は、株式会社リンクアンドモチベーション の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. 企業概要:どんな会社?
リンクアンドモチベーションは、「モチベーションエンジニアリング」を基幹技術とし、組織と個人に変革の機会を提供する企業です。同社グループは、組織開発、個人開発、マッチングの3つの事業領域で多角的なサービスを展開しています。
単体従業員数は558名、連結従業員数は1,629名です。同社グループの報告セグメントは、組織開発Division、個人開発Division、マッチングDivisionの3つです。
主な国内グループ会社は、Unipos、リンクソシュール、ジャパンストラテジックファイナンス、イー・アソシエイツ、リンクアカデミー.9などです。
直近では、ジャパンストラテジックファイナンス、Unipos、イー・アソシエイツを連結子会社化し、モチベーションクラウドに全てのクラウドサービスを集約するなどの事業再編を進めています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
リンクアンドモチベーションは、組織と個人の変革を支援する「モチベーションエンジニアリング」を事業の中核に据えています。同社グループの給与水準や働き方は、この事業特性を反映し、人材への投資とエンゲージメントを重視する姿勢がうかがえます。従業員の成長と組織力の向上を通じて、持続的な企業価値創造を目指す環境が特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、平均年齢が比較的若く、平均勤続年数も一定の期間を示しています。これは、若手から中堅層まで幅広い人材が活躍し、キャリアを築いている傾向にあることを示しています。人材の成長と定着を重視する企業文化がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,969,014円 |
| 平均勤続年数 | 6.4年 |
| 平均年齢 | 32.5歳 |
| 単体従業員数 | 558人 |
| 連結従業員数 | 1,629人 |
| 単体のグループ内比率 | 34.3% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
リンクアンドモチベーションは、人的資本を価値創造の源泉と捉え、事業戦略と組織戦略を対等に位置づけています。採用・育成・制度・風土への投資を通じて、人材力と組織力(エンゲージメント)を高め、生産性の最大化を目指す方針です。報酬については、各社の生産性向上状況に応じて見直しを行い、特に注力事業であるコンサル・クラウド事業では継続的なベースアップを実施しています。
同社グループは「一点の曇りもない経営」「ひとりひとりが主役の経営」「運動神経の良い経営」という「LMGの経営方針3カ条」を掲げ、持続的な成長と社会貢献を目指しています。労働力人口の減少や人材流動化といったリスクに対し、「モチベーションクラウド エンゲージメント」による組織診断や「モチベーションクラウド ロールディベロップメント」を活用した360度評価と研修で人材力と組織力の向上を図っています。また、多様な働き方を支援する時短勤務制度やハイブリッドワーク(Compatible Work)の導入、経営人材育成プログラム「TOP GUN SELECTION」の開催など、多角的な施策を展開しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 19.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 93.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 75.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 84.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 148.3% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ 株式会社リンクソシュール
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 18.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 76.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 78.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 64.4% |
▼ 株式会社リンクアカデミー
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 13.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 75.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 80.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 83.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 74.2% |
▼ オープンワーク株式会社
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 22.8% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 74.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 75.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 219.5% |
グループ全体(連結)
賃金差異の主要因は、育児等による休職や時短勤務利用者の女性比率が高いことであると同社グループは説明しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 19.6% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 83.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 78.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 93.7% |
多様性・登用
労働力のダイバーシティ(年齢)は、70歳以上0.1%、60~69歳2.9%、50~59歳10.7%、40~49歳22.4%、30~39歳27.1%、20~29歳36.8%、0~19歳0.0%です。性別は男性55.0%、女性45.0%です。障がい者雇用率は、毎年厚生労働省に報告する「障害者雇用状況報告書」の内容に準じて集計されており、6月1日時点の結果を記載しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 労働力のダイバーシティ(障がい者) | 1.8% |
| 労働力のダイバーシティ(日本) | 95.2% |
| 労働力のダイバーシティ(北米) | 1.8% |
| 労働力のダイバーシティ(欧州) | 0.6% |
| 労働力のダイバーシティ(その他) | 2.3% |
| 内部登用率 | 63.9% |
| 重要ポストの割合 | 1.9% |
| 重要ポストの内部登用率 | 100.0% |
| 全空席ポスト中の重要ポストの空席率 | 0.0% |
| 内部異動率 | 63.1% |
| 後継者候補準備率(カンパニー長準備度) | 273.8% |
| 経営人材準備数(役員準備度) | 106.9% |
| 後継者育成の有効率 | 100.0% |
健康・安全
労災の件数、労災の発生率、労災により失われた時間は、役員、社員、アルバイト、ALTを含む総従業員を集計対象として算出しています。健康・ウェルビーイング研修の受講割合は、毎年社員に対して実施しているストレスチェックの受講結果を算出しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 労災の件数 | 31件 |
| 労災の発生率(100万時間当たりの発生件数) | 3.3% |
| 労災による死亡者数 | 0名 |
| 労災により失われた時間(100万時間当たりの総喪失時間) | 58.1時間 |
| 欠勤率 | 0.6% |
| 健康・ウェルビーイング研修の受講割合 | 93.4% |
人材育成・エンゲージメント
人的資本ROIは、調整後営業利益を人的資本投資額で割って算出しています。社員1人当たりの売上総利益は、売上総利益をフルタイム当量で割って算出しています。エンゲージメントサーベイ結果は、延べ13,930社/約629万人のデータをもとに算出されており、2025年は7月に実施した結果です。リーダーシップに対する信頼は、管理職に対する役割サーベイ(リンカーンサーベイ)にて測定される「総合満足度」の数値結果で、各項目について部下や上司が1~5の5段階で評価した平均値です。従業員1人当たり能力開発研修受講時間は、当該年に入社した人員の採用にかかった日数を集計しています。適切なフィードバックを受けた従業員の割合は、当該年末時点の在籍社員数から、休職中の社員及び有期雇用社員のうち、入社時期・休職時期等の理由により目標設定未実施の者を除いた割合です。管理職研修を受けたリーダーの割合は、2025年に新設された、管理職昇格前等級者を対象とした研修の参加率です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 人的資本ROI | 49.8% |
| 社員1人当たりの売上総利益 | 13,387千円 |
| 人材力(全体Aランク以上割合) | 55.4% |
| 人材力(管理職以上Aランク以上割合) | 79.1% |
| 組織力(エンゲージメント・レーティング)組織開発Division | AAA |
| 組織力(エンゲージメント・レーティング)個人開発Division | AAA |
| 組織力(エンゲージメント・レーティング)マッチングDivision | AAA |
| 平均勤続年数 | 7.3年 |
| 初年度離職率 | 2.5% |
| リーダーシップに対する信頼(専門性) | 4.5 |
| リーダーシップに対する信頼(魅了性) | 4.5 |
| リーダーシップに対する信頼(返報性) | 4.5 |
| リーダーシップに対する信頼(一貫性) | 4.4 |
| リーダーシップに対する信頼(厳格性) | 4.2 |
| 役職者1人当たりの部下数(取締役・執行役員) | 52.4名 |
| 役職者1人当たりの部下数(カンパニー長) | 35.2名 |
| 役職者1人当たりの部下数(ユニットマネジャー・グループマネジャー) | 13.5名 |
| コンプライアンス研修受講率 | 100.0% |
| 情報管理研修受講率 | 100.0% |
| ハラスメント研修受講率 | 100.0% |
| 提起された苦情の種類と件数(合計) | 9件 |
| 提起された苦情の種類と件数(ハラスメント) | 3件 |
| 提起された苦情の種類と件数(職場環境) | 1件 |
| 提起された苦情の種類と件数(その他) | 5件 |
| 提起された人権問題の件数と結果(合計) | 11件 |
| 提起された人権問題の件数と結果(解決済み) | 11件 |
| 懲戒処分の種類と件数(合計) | 6件 |
| 懲戒処分の種類と件数(譴責・減給) | 0件 |
| 懲戒処分の種類と件数(出勤停止・停職・降格) | 6件 |
| 懲戒処分の種類と件数(諭旨解雇・懲戒解雇) | 0件 |
| 団体交渉協定の対象となる労働力の割合 | 98.8% |
| 選出・任命された従業員代表の割合 | 2.7% |
| 書類選考通過率(新卒) | 49.1% |
| 書類選考通過率(中途) | 25.6% |
| 募集ポスト当たりの書類選考通過率(新卒) | 13.6% |
| 募集ポスト当たりの書類選考通過率(中途) | 4.5% |
| 採用にかかる平均日数(新卒) | 74.2日 |
| 内定受諾率 | 74.0% |
| 採用社員の質(新卒) | 10.1 |
| 採用社員の質(中途) | 10.1 |
| 同領域在籍期間平均 | 4.8年 |
| 後継者の継承準備度(即時1年以内) | 12名 |
| 後継者の継承準備度(1~3年) | 34名 |
| 後継者の継承準備度(4~5年) | 69名 |
| TOPGUNSELECTION参加者数(執行役員) | 3名 |
| TOPGUNSELECTION参加者数(カンパニー長・管理職) | 10名 |
| TOPGUNSELECTION参加者数(メンバー) | 5名 |
| 離職率 | 10.2% |
| 自発的離職率 | 9.8% |
| 自発的離職率(管理職) | 0.5% |
| 自発的離職率(ITエンジニア) | 0.1% |
| 法令保護対象者の自発的離職率 | 20.7% |
| 従業員1人当たり能力開発研修受講時間 | 50.7時間 |
| 研修への参加率(ネゴシエーション研修) | 100.0% |
| 研修への参加率(ロジカルシンキング研修) | 96.5% |
| 研修への参加率(セルフモチベーションコントロール研修) | 99.1% |
| 研修への参加率(リーダーシップ研修) | 97.6% |
| 研修への参加率(キャリアデザイン研修) | 98.9% |
| 研修への参加率(新任カンパニー長研修) | 100.0% |
| 研修への参加率(新任管理職研修) | 100.0% |
| 研修への参加率(新入社員スタンス研修) | 97.0% |
| 研修への参加率(上級管理職向けサーベイ研修) | 100.0% |
| 研修への参加率(管理職向けサーベイ研修) | 100.0% |
| 研修への参加率(シニア向けサーベイ研修) | 100.0% |
| 研修への参加率(リーダー向けサーベイ研修) | 97.8% |
| 研修への参加率(中堅向けサーベイ研修) | 99.3% |
| 研修への参加率(若手向けサーベイ研修) | 98.9% |
| 法令保護対象者の研修参加率 | 100.0% |
| 適切なフィードバックを受けた従業員の割合 | 96.1% |
| 管理職研修を受けたリーダーの割合 | 91.7% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
リンクアンドモチベーションは、「モチベーションエンジニアリング」という独自の基幹技術を軸に、組織と個人の変革を支援するサービスを提供しています。主に「組織開発」「個人開発」「マッチング」の3つの事業セグメントを展開し、多角的なアプローチで社会に貢献しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、経営学や心理学などの学術的成果を取り入れた「モチベーションエンジニアリング」を基盤として、組織と個人のエンゲージメント向上を支援しています。この技術を様々なビジネスに適用し、企業や自治体、個人に対して幅広いサービスを提供することで収益を上げています。
特に、利益率の高いコンサル・クラウド事業や人材紹介事業が伸長しており、収益基盤の強化に貢献しています。また、動画配信サービスなどの継続的なサービス提供にも注力し、安定的な収益確保を目指しています。
マッチングDivision
マッチングDivisionでは、組織と個人をつなぐ機会を提供しています。ALT(Assistant Language Teacher)配置事業と人材紹介事業を展開しており、データに基づいた「フィッティング」により、定着率の高いマッチングを実現しています。
収益は、ALTの派遣や英語指導の請負、人材紹介サービスから得ています。運営は、株式会社リンク・インタラックやオープンワーク株式会社などが行っています。
組織開発Division
組織開発Divisionでは、個人から選ばれる組織(モチベーションカンパニー)創りを支援しています。従業員エンゲージメント向上を支援するコンサル・クラウド事業と、人的資本経営の公表を支援するIR支援事業を展開しています。
収益は、コンサルティングサービスやクラウドサービス(モチベーションクラウド)、IR支援のための企画制作サービスから得ています。運営は、ジャパンストラテジックファイナンス株式会社やイー・アソシエイツ株式会社などが行っています。
個人開発Division
個人開発Divisionでは、組織から選ばれる個人(アイカンパニー)創りを支援しています。キャリアスクール事業と学習塾事業を展開し、小学生から社会人までを対象に、目標設定から学習プランの策定・実行までをワンストップで提供しています。
収益は、IT・語学等のスキル開発講座や資格取得講座、学習塾の教育機会の提供から得ています。運営は、株式会社リンクアカデミーや株式会社モチベーションアカデミアなどが行っています。
その他の事業セグメント
その他の事業セグメントでは、同社グループのステークホルダーが集う場として、イタリアンレストラン経営を行っています。
| セグメント | 売上収益(2024年12月期) | 売上収益(2025年12月期) |
|---|---|---|
| マッチングDivision | 168億円 | 193億円 |
| 組織開発Division | 149億円 | 168億円 |
| 個人開発Division | 64.2億円 | 60.8億円 |
| その他の事業セグメント | 55百万円 | 74百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上収益は、過去5年間で増加傾向にあり、直近の2025年12月期には過去最高の売上収益を達成しました。しかし、税引前利益および親会社の所有者に帰属する当期利益は、2025年12月期に前年を下回る結果となりました。
これは、キャリアスクール事業における構造改革推進のため、のれん等の減損損失を計上したことによるものです。一方で、営業活動によるキャッシュ・フローは52.5億円と堅調に推移しており、本業によるキャッシュ創出力は維持されている状況です。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 326億円 | 328億円 | 340億円 | 375億円 | 415億円 |
| 税引前利益 | 19.0億円 | 35.0億円 | 45.7億円 | 54.2億円 | 42.2億円 |
| 税引前利益率 | 5.8% | 10.7% | 13.4% | 14.5% | 10.2% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 9.2億円 | 20.6億円 | 28.4億円 | 36.9億円 | 16.2億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 8.73 | 18.45 | 25.51 | 34.38 | 14.97 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上収益(連結)は、2024年12月期から2025年12月期にかけて増加しています。これは、同社グループの事業規模が拡大していることを示しています。
一方で、従業員1人あたり営業利益(連結)は減少しています。これは、前述の減損損失の計上など、一時的な要因が利益に影響を与えたことによるものと考えられます。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上収益(連結) | 25.2百万円 | 25.5百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 3.7百万円 | 2.6百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業で安定した資金を創出しつつ、将来に向けた積極的な投資を行っている段階です。財務基盤の状況は、入社後の安定性や成長性を判断する上で重要な要素となります。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は、プライム市場の非製造業平均と比較して高い水準を維持しています。ROE(自己資本利益率)は前期から減少しているものの、プライム市場平均を上回る水準です。手元資金である現金及び現金同等物も増加傾向にあり、財務基盤は一定の安定性を示していると言えます。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本 | 113億円 | 136億円 |
| 自己資本比率 | 34.0% | 33.1% |
| ROE(自己資本利益率) | 34.4% | 13.0% |
| 現金及び現金同等物 | 86.1億円 | 114億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは、当期において52.5億円のプラスとなりましたが、前期からは減少しています。これは主に減損損失の増加、税引前当期利益の減少、法人所得税の還付額の減少によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、当期に△52.5億円の支出超過となり、前期と比較して使用した資金が増加しています。定期預金の預入や連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得、投資有価証券の売却収入の減少が主な要因です。財務活動によるキャッシュ・フローは、当期に△1.9億円の支出超過となり、前期と比較して使用した資金が減少しています。長期借入れによる収入の減少があった一方で、短期借入金の純増減額が増加したことによるものです。
これらの結果、フリーキャッシュ・フローは当期に△2百万円とマイナスに転換しました。同社グループは本業で資金を創出しつつも、将来の成長に向けた積極的な投資を行っている段階であり、短期的な資金流出が続いている状況です。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 56.4億円 | 52.5億円 |
| 投資CF | △19.4億円 | △52.5億円 |
| 財務CF | △24.9億円 | △1.9億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 37.0億円 | △2百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
経済状況等の変動等、マクロ環境に関するリスクとして、経済状況等の停滞・悪化によりサービス需要が低迷した場合、同社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。特に組織開発Divisionの中小ベンチャー企業へのコンサルティングやマッチングDivisionの人材紹介事業への影響が想定されています。
また、資産の減損等に関するリスクとして、M&A等によるのれんを相当額計上しており、事業収益性が著しく低下した場合には、減損会計の適用に伴う損失処理が発生し、債務超過に陥る可能性もあります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材確保に関するリスクとして、持続的な成長のためには優秀な人材の確保が肝要であり、特に組織開発Divisionにおけるプロジェクトマネジャーやエンジニアの確保及び育成が重要です。かかる人材の確保ができない場合は、同社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
リンクアンドモチベーションは、「モチベーションエンジニアリング」を基幹技術とし、組織と個人の変革を通じて意味のあふれる社会の実現を目指しています。人的資本を最重要視し、社員のモチベーションを会社の成長エンジンと捉える企業文化が特徴です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
リンクアンドモチベーショングループのミッションは、「私たちは、モチベーションエンジニアリングによって、組織と個人に変革の機会を提供し、意味のあふれる社会を実現する」と掲げられています。同社グループは、基幹技術である「モチベーションエンジニアリング」をビジネスモデルに適用し、組織や個人が「夢」や「生きがい」によって多くの意味をくみ取っている社会の実現を目指しています。
創業当初より「社員のモチベーションこそが会社の成長エンジン」という考え方を基本とし、企業理念の実現に向けて人的資本の最大化を重要視しています。また、「モチベーションエンジニアリング」を全ての事業や商品サービスに徹底活用し、顧客価値の最大化を図っています。事業戦略と組織戦略を常に対等に捉え、顧客価値と人的資本価値の同時実現を目指す方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
リンクアンドモチベーショングループは、サステナビリティの実践において「LMGの経営方針3カ条」を全社員と共有しています。第1条は「一点の曇りもない経営」であり、全てのステークホルダーに対し、法令違反や不誠実が一切ない経営を目指すものです。
第2条は「ひとりひとりが主役の経営」とされ、多様な人材が共通のゴールに向けてモチベーション高く活躍できる組織を目指しています。第3条は「運動神経の良い経営」であり、環境変化に迅速に適応し、自ら変化を創り出すことで持続的な成長を実現していくことを掲げています。
同社グループは、顧客価値を最大化する事業戦略と人的資本価値を最大化する組織戦略を対等に捉え、双方をリンクさせながら経営を行っています。組織戦略では、採用、育成、制度、風土への投資を通じて、人材力と組織力(エンゲージメント)を高めることに注力しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
リンクアンドモチベーショングループは、労働力人口の減少やワークモチベーションの多様化、AI技術の発展による人材獲得競争の激化を経営環境における重要な課題と認識しています。これに対し、既存社員の人材力向上や従業員エンゲージメントの向上に取り組む方針です。
特に「人的資本経営」の機運が高まる中、同社グループは組織開発Divisionのコンサル・クラウド事業に注力し、企業の人的資本経営を総合的に支援することで成長ドライバーとしていくことを目指しています。
人的
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
リンクアンドモチベーションは監査役制度を採用しており、経営の意思決定・監督と業務執行を分離する体制を構築しています。取締役・執行役員の指名および報酬等の決定に関する手続きの公正性・透明性・客観性を強化するため、取締役会の任意の諮問機関として指名・報酬委員会を設置しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
リンクアンドモチベーションの株主構成を見ると、筆頭株主は株式会社フェニックスであり、同社の代表取締役会長である小笹芳央氏の資産管理会社です。また、上位株主には小笹芳央氏や代表取締役社長の坂下英樹氏といった同社経営陣のほか、リンクアンドモチベーション従業員持株会も名を連ねています。このように、同社の経営陣や従業員が資本構成において一定の影響力を持つことが特徴です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 株式会社フェニックス | 32.90% |
| 勝呂 彰 | 5.87% |
| 日本マスタートラスト信託銀行 | 4.47% |
| リンクアンドモチベーション従業員持株会 | 3.99% |
| 榊原 清孝 | 2.66% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性5名・女性3名)で構成され、女性役員比率は37.5%です。代表取締役会長は小笹芳央氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 小笹 芳央 | 代表取締役会長 | 1986年4月株式会社リクルート入社。2000年3月同社設立、代表取締役社長。2013年1月より同社代表取締役会長、株式会社フェニックス代表取締役社長など現職。 |
| 坂下 英樹 | 代表取締役社長 | 1991年4月株式会社リクルート入社。2000年3月同社設立、取締役。2013年1月より同社代表取締役社長、株式会社リンクコーポレイトコミュニケーションズ取締役など現職。 |
| 大野 俊一 | 取締役 | 1992年10月青山監査法人入所。2002年7月同社入社。2008年3月より同社取締役、株式会社モチベーションアカデミア取締役、オープンワーク株式会社監査役など現職。 |
社外取締役は、中村有里氏(株式会社ワンハート代表取締役)、原ゆかり氏(株式会社SKYAH代表取締役)です。
同社は監査役制度を採用しています。独立性を保持し、経営に関する経験・見識等を有する社外取締役を含んだ取締役会による経営の意思決定と業務執行の監督が行われています。監査役3名のうち2名が独立性を保持した社外監査役であり、公正で客観的な立場から内部監査部門・会計監査人と連携した監査が行われています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
リンクアンドモチベーションの取締役の報酬体系は、職務遂行の対価である「基本報酬」と、業務成果の対価である「業績連動報酬」により構成されています。一方、経営の監督機能を担う社外取締役および監査役については、独立性を確保するため、毎月固定の基本報酬のみが支給され、業績等により変動する報酬は支給されません。業績連動報酬は、連結の売上収益、営業利益、組織に関する重要指標であるエンゲージメントや人材力等の達成状況を基に決定されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 1.5億円 | 49.3百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 16百万円 | 16.0百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 36百万円 | 6.0百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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