クックパッド 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

クックパッド 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場するクックパッドは、料理レシピ投稿・検索サービスを中心に毎日の料理を楽しみにする事業を展開しています。直近の業績は、プレミアムサービス会員の減少等の影響により売上収益が減少し、コスト削減を進めたものの営業利益、当期利益ともに前期比で減収減益の決算となりました。


※本記事は、クックパッド株式会社の有価証券報告書(第29期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. クックパッドってどんな会社?


料理レシピ投稿・検索サービス「クックパッド」を中心に、料理に関する課題解決を目指す企業です。

(1) 会社概要


1997年に有限会社コインとして設立され、1998年にレシピ検索・投稿サービスを開始しました。1999年にサービス名を「クックパッド」に変更し、2004年に現在の社名への組織変更とプレミアムサービスを開始しています。2009年には東京証券取引所マザーズへ株式を上場しました。

従業員数は連結で101名、単体で87名の体制です。筆頭株主は同社の創業者で代表執行役の佐野陽光氏で、第2位および第3位は信託業務や資産管理等を行う金融機関の信託口やクライアントアカウントとなっています。

氏名 持株比率
佐野陽光 63.55%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 5.06%
UBS AG LONDON A/C IPB SEGREGATED CLIENT ACCOUNT 0.97%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。
代表執行役は佐野陽光氏が務めています。取締役5名のうち社外取締役は3名で、社外取締役比率は60.0%です。

氏名 役職 主な経歴
佐野陽光 代表執行役 1997年に有限会社コインを設立し、2004年に代表取締役に就任。その後、取締役等を経て2023年より現職。
犬飼茂利男 執行役 1995年に朝日監査法人へ入所し、複数企業を経て2016年に同社へ入社。執行役等を経て2024年より現職。


社外取締役は、茂田井純一(元朝日監査法人・アカウンティング・アシスト代表取締役)、Trang Diep Kieu Le(元HSBC Bank・Harrison-AI等歴任)、今井松兼(元ソニー・自然キャピタル代表社員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「毎日の料理を楽しみにする事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

クックパッド

「今日なに作ろう」を解消する料理レシピの投稿・検索サービスです。作った料理をおすすめする機能や人気のキーワード紹介を行い、毎日の料理を楽しみするためのサービスを一般の利用者に提供しています。

無料利用に加えて、人気順検索や献立提案などを有料機能とするプレミアムサービスからの利用料を主な収益源としています。同社グループにより運営されています。

moment(モーメント)

「上手に作れない」という課題をAIカメラによるパーソナルコーチングで解決するサービスです。自宅キッチンでの調理工程を分析し、原因の特定と具体的なアドバイスを一般の利用者に提供します。

利用者一人ひとりの調理行動やレベルに応じたフィードバックにより価値を提供するモデルです。開発や運営は同社グループが行っています。

クックパッドマート

「新鮮で質の高い食材が手に入りにくい」という課題を解消するサービスです。専用の冷蔵宅配ボックスに商品をお届けし、手軽に美味しい食材を購入できる仕組みを一般の利用者に提供しています。

生鮮食品の流通において、生産者と利用者を結びつけることで収益を得るモデルです。運営は同社グループが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績を見ると、売上収益は減少傾向が続いていますが、コスト削減等の効率化により利益面では改善が見られます。過去の赤字から直近2期は税引前利益が黒字化しており、利益率も約20%前後まで回復しています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上収益 100億円 91億円 76億円 59億円 53億円
税引前利益 -26億円 -35億円 -24億円 11億円 11億円
利益率(%) -25.9% -38.8% -31.3% 18.9% 20.6%
当期利益(親会社所有者帰属) -24億円 -35億円 -22億円 13億円 7億円

(2) 損益計算書


売上総利益率は極めて高い水準を維持していますが、売上高の減少に伴い営業利益および営業利益率は低下しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 59億円 53億円
売上総利益 58億円 53億円
売上総利益率(%) 99.1% 98.5%
営業利益 7億円 3億円
営業利益率(%) 11.5% 5.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が11億円(構成比22%)、業務委託費が9億円(同17%)、システム利用料が8億円(同15%)を占めています。

(3) セグメント収益


毎日の料理を楽しみにする事業の単一セグメントとなっており、売上収益の大半を占めるレシピサービスのプレミアムサービス会員数の減少が影響し、減収となりました。コスト削減を進めたものの、売上減少の影響で利益も低下しています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期) 利益(2024年12月期) 利益(2025年12月期) 利益率
毎日の料理を楽しみにする事業 59億円 53億円 7億円 3億円 5.0%
連結(合計) 59億円 53億円 7億円 3億円 5.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業で利益を出しつつ、手元資金も活用して有価証券の取得等の投資を行い、財務面では自己株式の取得等で資金を支出する健全型の状況です。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 15億円 6億円
投資CF 2億円 -49億円
財務CF -23億円 -19億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.6%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は94.0%で市場平均を大きく上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「毎日の料理を楽しみにする」というミッションの下、日本のみならず世界中の料理に関する様々な課題解決に向けた積極的な投資を行っています。定款に「当会社は、『毎日の料理を楽しみにする』ために存在し、これをミッションとする」「世界中のすべての家庭において、毎日の料理が楽しみになった時、当会社は解散する」と定めています。

(2) 企業文化


人材・組織体制について、ミッションに共感する優秀な人材が、性別、人種、国籍等による区別なく活躍できる文化を重視しています。優秀な人材が高い意欲を持って働き成長するため、得意なことに専念できる文化の醸成や社員が自律的に行動できる環境整備を行っています。また、オフィスにキッチンを設置し日常的にミッションを意識づける工夫もなされています。

(3) 経営計画・目標


日本を含む世界中の人々の「毎日の料理を楽しみにする」ために成長を続けていく必要があり、未来の常識となる事業を作り出すための投資を機動的に行っていく想定であるため、目標とする経営指標は特に設けていません。まずは「クックパッド」「moment」「クックパッドマート」の事業を加速させることに邁進するとしています。

(4) 成長戦略と重点施策


「新規事業の立ち上げ」としてAI技術等を活用し、将来社会に定着する「未来の常識」となり得る新たなサービスの創出に取り組みます。「世界市場への拡大」として世界で最も利用されるサービスを目指し、「人材及び組織体制の整備」により強固な組織へ発展させます。また、持続的成長のため「利益基盤の強化」も重要な課題としています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


持続的な成長のためには優秀な人材の確保及び育成が重要であると捉え、リーダーシップや課題解決力に優れ、ミッションに共感する人材が活躍できるよう採用・評価・報酬制度を整えています。AI等の新技術に対するスキルを有する人材を適切に確保・育成するとともに、将来を担う人材として新卒者の継続的な採用も方針としています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 37.5歳 5.6年 10,071,000円

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) クックパッド事業への収益依存

同社グループの事業はレシピ投稿・検索サービス「クックパッド」を基盤としています。利用者のニーズに対応できず利便性が低下して利用者が減少した場合や、システムトラブル等でサービス運営が不能となった場合には、同社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

(2) 料理・レシピ分野における競争激化

料理レシピ分野では先行して利用者を獲得していますが、今後、AI等の新技術や資本力・マーケティング力を持つ他企業の参入により競争が激化するリスクがあります。競合他社やサービスの影響により同社の優位性が低下した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) AI等新技術への対応遅れ

インターネット業界は技術革新のスピードが速く、AIをはじめとする新技術の導入が相次いでいます。特に生成AI技術の普及によりプラットフォーム価値が相対的に低下する恐れがあり、これらへの対応として研究開発が進まない場合、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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