※本記事は、クックパッド株式会社 の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. 企業概要:どんな会社?
クックパッドは、料理レシピ投稿・検索サービス「クックパッド」の運営を中心に、「毎日の料理を楽しみにする事業」を展開しています。同社グループは、AIカメラによるパーソナルコーチングサービス「moment」や、新鮮な食材を届ける「クックパッドマート」も提供しています。
単体従業員数は87名、連結従業員数は101名です。セグメントは「毎日の料理を楽しみにする事業」の1つです。
クックパッドは、料理レシピ投稿・検索サービス「クックパッド」の運営を主軸に、AIカメラによるパーソナルコーチングサービス「moment」や、冷蔵宅配ボックスで食材を届ける「クックパッドマート」を展開しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
クックパッドは、料理という日常の営みを通じて、人々の生活を豊かにすることを目指す企業です。そのため、ミッションへの共感や自律的な行動を重視する文化が醸成されています。このような環境で、どのような給与水準や働き方が提供されているのか、具体的なデータから見ていきましょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均年齢が30代後半であり、平均勤続年数は5年台となっています。これは、比較的若手から中堅層が中心となって活躍していることを示しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 10,071,000円 |
| 平均勤続年数 | 5.6年 |
| 平均年齢 | 37.5歳 |
| 単体従業員数 | 87人 |
| 連結従業員数 | 101人 |
| 単体のグループ内比率 | 86.1% |
同社グループには、確定給付型の退職給付制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度)を採用している会社が存在し、国内および海外のグループ会社に適用されます。なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、持続的な成長のために優秀な人材の確保と育成を重要視しています。ミッションに共感し、リーダーシップや課題解決力に優れた人材が、性別、人種、国籍、宗教などによる区別なく活躍できるよう、採用、評価、報酬の制度を整えています。
また、社員が高い意欲を持って働き成長できるよう、得意なことに専念できる文化の醸成や、自律的に行動できる環境の整備を進めています。具体的には、日常的にミッションを意識づけるためオフィスにキッチンを設置しているほか、定期的に全社または部署単位で全世界をつないだミーティングを実施し、コミュニケーションの円滑化を図っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社および連結子会社は、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の規定による公表義務の対象ではないため、法定開示データは記載を省略しています。
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
クックパッドは、「毎日の料理を楽しみにする」というミッションを掲げ、料理レシピ投稿・検索サービス「クックパッド」の運営を主軸に、料理に関する様々な課題解決を目指す事業を展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、料理レシピ投稿・検索サービス「クックパッド」を中心に、「moment(モーメント)」や「クックパッドマート」といったサービスを展開し、「毎日の料理を楽しみにする事業」を単一セグメントとしています。主力サービスである「クックパッド」は、「今日なに作ろう」という日々の課題を解消する料理レシピの投稿・検索サービスです。有料機能として人気レシピの検索や献立提案などを提供しており、有料会員からの毎月の利用料金が収益の大部分を占めるモデルとなっています。
また、同社グループは、AIカメラによるパーソナルコーチングで料理の知識と実践のギャップを埋める「moment」や、新鮮な食材を冷蔵宅配ボックスで受け取れる「クックパッドマート」も展開しています。これらのサービスを通じて、料理における「上手に作れない」や「新鮮な食材が手に入りにくい」といった課題の解消を目指しています。当連結会計年度においては、レシピサービスにおけるプレミアムサービス会員の減少が売上収益の減少に繋がりました。
同社グループの売上収益は、国内の外部顧客からのものが大部分を占めています。特定の外部顧客に売上収益の10%以上を依存している状況はありません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5年間で売上収益が減少傾向にあります。一方で、税引前当期利益および親会社の所有者に帰属する当期利益は、直近2期で黒字を維持しているものの、当連結会計年度は前期と比較して減少しました。営業利益も直近2期は黒字ですが、当連結会計年度は前期から大きく減少しています。
当連結会計年度の売上収益は、レシピサービスにおけるプレミアムサービス会員の減少が主な要因となり、前期比で減少しました。販売費及び一般管理費は、従業員数の自然減に伴う人件費の減少や全社的な効率化により、前期から減少しています。その結果、営業利益は前期比で大きく減少しました。しかし、有価証券運用に係る金融収益が増加したことにより、税引前当期利益は前期と同水準を維持しています。親会社の所有者に帰属する当期利益は、将来の課税所得の見積もりに関する見直しに伴う繰延税金資産の取り崩しにより、前期から減少しました。
営業活動によるキャッシュ・フローは直近2期でプラスを維持していますが、当連結会計年度は前期から減少しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得により支出が増加しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得やリース負債の返済により支出が継続しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 100億円 | 90.9億円 | 76.1億円 | 58.8億円 | 53.4億円 |
| 税引前利益 | △26.0億円 | △35.3億円 | △23.8億円 | 11.1億円 | 11.0億円 |
| 税引前利益率 | △25.9% | △38.8% | △31.3% | 18.9% | 20.6% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | △23.8億円 | △34.9億円 | △22.3億円 | 13.3億円 | 7.4億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △22.41 | △33.47 | △23.21 | 15.58 | 9.55 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上収益(連結)は、当期において52.8百万円となっています。また、従業員1人あたりの営業利益(連結)は2.6百万円となりました。これらの数値は、同社グループの事業規模と従業員数から算出される生産性を示しており、組織全体の効率性や収益体質を測る一つの指標となります。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上収益(連結) | - | 52.8百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | - | 2.6百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
クックパッドグループの経営の安定性を見る上で、財務基盤と資金の流れは重要な指標です。
同社グループは本業で資金を生み出しつつ、将来に向けた投資を積極的に行っている状況を示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
クックパッドグループの財務基盤は、高い自己資本比率を維持していることが特徴です。
これは、外部からの借入に依存せず、安定した経営基盤を築いていることを示しています。
一方で、ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回る水準となっており、自己資本を効率的に活用して利益を生み出す点には改善の余地があると言えます。
手元資金である現金及び現金同等物は前期から減少していますが、引き続き一定の規模を確保しており、事業運営における資金の柔軟性がある状況です。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本 | 136億円 | 129億円 |
| 自己資本比率 | 90.7% | 91.5% |
| ROE(自己資本利益率) | 9.7% | 5.6% |
| 現金及び現金同等物 | 121億円 | 58.9億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
クックパッドグループの当連結会計年度におけるキャッシュフローは、本業で資金を生み出しつつ、将来への投資を積極的に行っている状況を示しています。
営業活動によるキャッシュフローは5.8億円のプラスとなりました。これは税引前当期利益や減価償却費の計上が主な要因ですが、金融収益及び金融費用の調整やその他の金融資産の増加による減算も影響しています。
投資活動によるキャッシュフローは△49.3億円のマイナスとなっており、有価証券の取得による支出が主な要因です。
財務活動によるキャッシュフローは△19.4億円のマイナスで、自己株式の取得やリース負債の返済による支出が影響しています。
フリーキャッシュフローはマイナスとなっており、本業で得た資金を上回る投資を行っている成長投資フェーズにあると言えます。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 15.2億円 | 5.8億円 |
| 投資CF | 1.9億円 | △49.3億円 |
| 財務CF | △23.4億円 | △19.4億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 17.2億円 | △43.5億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの事業は「クックパッド」を基盤としているため、サービスの利便性低下や利用者数減少が事業及び業績に影響を与える可能性があります。
また、新規事業展開においては、市場環境の変化により計画どおりに利益を確保できない可能性があり、投資回収が困難になるリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは事業拡大に伴い、継続した人材の確保が必要であると認識しています。
特にAIをはじめとする新技術に対応できる高度な技術スキルを有する人材の確保や育成が計画どおりに進まない場合、競争力の低下や事業拡大の制約要因が生じる可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
クックパッドは、「毎日の料理を楽しみにする」というミッションを掲げ、日本だけでなく世界中の料理に関する課題解決を目指しています。このミッションを軸に、どのような企業風土を醸成し、どのような未来を描いているのかを見ていきましょう。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
クックパッドグループは、「毎日の料理を楽しみにする」というミッションを経営の基本方針としています。このミッションは、同社グループの事業活動の目的・存在意義を明確にするため、定款にも明記されています。具体的には、「世界中のすべての家庭において、毎日の料理が楽しみになった時、同社グループは解散する」という目標を掲げています。
同社グループは、レシピサービスに加え、料理を楽しむ世界の妨げとなっている障壁を解消するため、momentやクックパッドマートを展開しています。日本のみならず世界中の料理に関する課題を解決し、未来の常識となる事業を作り出すことを使命としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
クックパッドグループは、「毎日の料理を楽しみにする」というミッションに共感する優秀な人材が活躍できる企業風土を重視しています。性別、人種、国籍、宗教などによる区別なく、リーダーシップや課題解決力に優れた人材が活躍できるよう、採用や評価、報酬の制度を整えています。
社員が高い意欲を持って働き成長できるよう、得意なことに専念できる文化の醸成と、自律的に行動できる環境の整備を進めています。日常的にミッションを意識づけるため、オフィスにキッチンを設置し、全世界をつないだミーティングでコミュニケーションの円滑化を図っています。新規事業への投資においては、短期的な成果よりも「未来の常識」となり得る価値を生み出す観点を重視しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
クックパッドグループは、持続的な成長に向けた優先課題として、複数のテーマに取り組んでいます。一つは、長期的な企業価値の最大化につながる新規事業の立ち上げです。特にAI技術の進展を重要な事業機会と捉え、未来の常識となり得る価値の創出を目指しています。
また、世界市場でのサービス展開を前提とし、世界において最も利用されるサービスとなるためのサービス開発と提供体制の整備を重要な課題としています。これを支えるため、AI技術の進展などの環境変化に対応し、世界市場で価値を発揮できる強固な組織へと発展していくための人材確保と組織体制の整備も重点テーマです。さらに、持続的な成長のために、レシピサービス以外の利益基盤の強化も重要な課題としています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
クックパッドは、指名委員会等設置会社として、経営の監督と執行を分離した体制を構築しています。過半数を社外取締役が占める取締役会が、業務執行の監督を独立した立場から行っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
クックパッドの株主構成を見ると、創業者が筆頭株主として大きな割合を占めていることが特徴です。これに加えて、信託銀行や海外の金融機関が上位株主として名を連ねています。創業者が経営に強い影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 佐野 陽光 | 63.55% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 5.06% |
| UBS AG LONDON A/C IPB SEGREGATED CLIENT ACCOUNT(常任代理人 シティバンク、エヌ・エイ東京支店) | 0.97% |
| NORTHERN TRUST CO. (AVFC) RE U.S. TAX EXEMPTED PENSION FUNDS SEC LENDING(常任代理人 香港上海銀行東京支店) | 0.92% |
| 橋本 健太 | 0.66% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性5名・女性2名)で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表執行役は佐野陽光氏が務めています。社外取締役比率は60.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐野 陽光 | 代表執行役 | 1997年10月㈲コイン(現 同社)設立。2004年9月同社代表取締役。2007年7月同社代表執行役兼取締役。2023年10月より同社代表執行役。Cookpad Limited(U.K.) Directorも現任。 |
| 犬飼 茂利男 | 執行役 | 1995年10月朝日監査法人(現 有限責任あずさ監査法人)入所。2007年7月ゴールドマン・サックス・リアルティ・ジャパン入社。2016年7月同社入社、財務担当VP、財務本部長。2016年11月より同社執行役。Cookpad Limited(U.K.) Directorも現任。 |
社外取締役は、茂田井純一氏(アカウンティング・アシスト代表取締役・報酬委員)、Trang Diep Kieu Le氏(Harrison-AI Pty Ltd President of Vietnam Operations・指名委員・報酬委員長・監査委員)、今井松兼氏(自然キャピタル代表社員・指名委員長・監査委員)です。
同社は指名委員会等設置会社であり、過半数を社外取締役が占める取締役会が、執行役への大幅な権限移譲と業務執行の独立した監督を両立させています。これにより、経営の機動性と透明性を確保する体制となっています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
クックパッドの役員報酬は、取締役と執行役で異なる体系が採用されています。取締役の報酬は固定報酬のみで構成されており、監督活動の頻度や時間を考慮して決定されます。一方、執行役の報酬は固定報酬と株式報酬で構成され、経済情勢や職務内容を勘案して決定される仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 2名 | 12百万円 | 6.0百万円 |
| 社外取締役 | 3名 | 24百万円 | 8.0百万円 |
| 執行役 | 4名 | 57百万円 | 14.2百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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