ブロードリーフ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ブロードリーフ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ブロードリーフは東京証券取引所プライム市場に上場し、モビリティ産業を中心にクラウドサービスや業務ソフトウェアを提供するIT企業です。パッケージソフトからのクラウド移行や新規顧客開拓が好調に進み、直近の業績は大幅な増収増益を達成しており、サブスクリプション型の収益モデルへの転換を本格化させています。


※本記事は、ブロードリーフの有価証券報告書(第17期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. ブロードリーフってどんな会社?


モビリティ産業向けに業務システムやクラウドプラットフォームを展開するITサービス企業です。

(1) 会社概要


2005年に翼システムのパッケージソフトウェア事業を譲り受けて業務を開始しました。2009年にマネジメント・バイアウト(MBO)により独立し、2013年に東京証券取引所第一部へ上場しました。2018年からはデジタルビジネスプラットフォーム「Broadleaf Cloud Platform」やクラウドサービスの提供を開始し、業界のデジタルトランスフォーメーションを牽引しています。

同社グループの従業員数は連結で924名、単体で723名です。筆頭株主は信託業務等を行う日本カストディ銀行(信託口)で、第2位は投資事業等を手掛けるエスアイエル、第3位も信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)となっており、機関投資家が上位を占めています。

氏名 持株比率
日本カストディ銀行(信託口)年金他 23.28%
エスアイエル 7.51%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口)年金他 6.34%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性2名の計8名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長は大山堅司氏が務めており、社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
大山 堅司 取締役社長(代表取締役) 元ビーイング取締役副社長、元アイ・ティー・エックス顧問。2006年に同社代表取締役社長に就任し現職。先端教育機構事業構想大学院大学の客員教授も務める。
山中 健一 取締役副社長 元ビーイング執行役員、元JIMOS執行役員。2010年に同社へ入社し、執行役員管理本部長等を経て2014年より現職。


社外取締役は、鬼澤盛夫(元オートデスク社長)、高田坦史(元トヨタ自動車専務)、山口畝誉(U・アカデミー代表)です。

2. 事業内容


同社グループはITサービス事業の単一セグメントですが、「クラウドサービス」「パッケージシステム」および「その他」の区分でビジネスを展開しています。

(1) クラウドサービス


自動車整備業や部品商向けのクラウドソフトウェア「.cシリーズ」や、自動車補修部品の受発注プラットフォームなどを提供しています。主にモビリティ産業に従事する事業者が顧客となります。

ソフトウェアの月額または従量課金による利用料や、プラットフォームでの決済代行サービス等の対価として継続的な収益を得ています。運営は主にブロードリーフが行っています。

(2) パッケージシステム


自動車アフターマーケットをはじめ、機械工具商や携帯電話販売店向けに、業種に特化した業務アプリケーションや、作業現場の改善を支援する作業分析・業務最適化ソフトウェア「OTRS」を販売しています。

ソフトウェアの販売代金に加え、導入後に付帯する保守・サポートサービスによるストック収益を得ています。運営は主にブロードリーフおよび子会社のタジマ等が行っています。

(3) その他


システムの運用に必要となるPC、モニター、プリンターなどの周辺機器ハードウェアや、専用帳票、トナー等のサプライ品を提供しています。

ハードウェア機器やサプライ品の販売代金を一過性の収益源として得ています。運営は主にブロードリーフが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2022年12月期以降はクラウドシフトに向けた先行投資等の影響で一時的に赤字を計上しましたが、直近の2025年12月期はクラウドサービスの売上拡大が牽引し、売上収益が208.2億円に達するとともに、税引前利益も18.5億円へと大幅な増益を達成しました。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上収益 206.5億円 138.3億円 153.8億円 180.5億円 208.2億円
税引前利益 32.3億円 -30.1億円 -19.2億円 5.4億円 18.5億円
利益率(%) 15.7% -21.7% -12.5% 3.0% 8.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 21.7億円 -24.3億円 -14.9億円 3.4億円 12.4億円

(2) 損益計算書


クラウドサービスの浸透により売上収益が約28億円増加し、売上総利益も順調に拡大しています。それに伴い営業利益は前期の約3倍となる20.6億円へ飛躍的に増加しました。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 180.5億円 208.2億円
売上総利益 104.1億円 120.0億円
売上総利益率(%) 57.7% 57.6%
営業利益 6.7億円 20.6億円
営業利益率(%) 3.7% 9.9%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が32.1億円(構成比28.2%)、支払手数料が15.8億円(同13.9%)を占めています。売上原価は73.0億円で、商品仕入やソフトウェア償却費が主な内訳となっています。

(3) セグメント収益


各区分別の売上推移を見ると、パッケージシステムからの計画的な切り替えが進み、クラウドサービスが前期比で36.2億円増と大きく成長を牽引しています。パッケージシステムは減少傾向ですが、全体としては増収に大きく貢献しています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
クラウドサービス 82.1億円 118.3億円
パッケージシステム 74.5億円 57.0億円
その他 23.9億円 32.8億円
連結(合計) 180.5億円 208.2億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動で得た潤沢な資金をクラウド基盤や新規サービス開発への投資へ振り向けつつ、借入金の返済にも充てており、健全な財務運営が行われている優良な状態(健全型)と言えます。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 65.3億円 69.0億円
投資CF -43.1億円 -44.1億円
財務CF -18.3億円 -26.9億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は50.7%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「感謝と喜び」を企業理念に掲げ、人や企業が深く結びつくために欠かせない心を大切にしています。お客様の事業創造に貢献するとともに、ITサービスを通じて環境や社会課題を解決し、持続可能な社会の実現と企業価値の増大を目指しています。

(2) 企業文化


幅広い業種・業界により良い製品やサービスを提供し、お客様とともに繁盛するビジネスを進める文化が根付いています。また、多様性とインクルージョン(D&I)を重視し、社員の相互理解と多様性を尊重する風土を醸成しています。

(3) 経営計画・目標


2022年から2028年までの長期的な中期経営計画を策定しています。クラウドモデルへの本格転換を進め、最終年度となる2028年12月期には以下の目標を掲げています。

* 連結売上収益:320億円
* 営業利益:130億円
* 親会社の所有者に帰属する当期利益:85億円

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営計画に基づき「クラウドの浸透」と「サービスの拡張」という2つの成長戦略を推進しています。パッケージソフト利用者のクラウドソフトへの切り替えを計画的に進めるとともに、同社が保有する膨大な独自データとAI技術を掛け合わせた新たなプラットフォーム型サービスの研究開発に注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「成長の源泉は、ヒトづくりである」との考えのもと、組織・人材の強化を目指しています。長時間労働の削減や育児短時間勤務の拡大など働きやすい環境づくりを進めるとともに、役割等級に基づく新人事制度の導入や教育研修の強化を実施しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 46.6歳 13.4年 6,471,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 5.6%
男性育児休業取得率 22.0%
男女賃金差異(全労働者) 66.6%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 74.3%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 56.7%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 市場環境の変化と技術革新


同社はモビリティ産業向けにサービスを提供しているため、車検制度等の法規制変更やAI・自動運転などの急速な技術革新が想定以上に進展した場合、システム改修費用の増加や新商品の投入遅延により業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) システム基盤とネットワークの障害


サービス提供の一部を第三者のクラウド基盤に依存しているほか、自社システムもネットワークに依拠しています。自然災害やサイバー攻撃、提供元の障害などでシステムが停止した場合や、利用料金が高騰した場合には、サービスの低下やコスト増を招くおそれがあります。

(3) 情報管理とサイバーセキュリティ


事業活動において機密情報や顧客の個人情報を取り扱っています。外部からの不正アクセスや従業員の過誤等により情報漏洩が発生した場合、損害賠償や社会的信用の失墜を招き、業績および財務状況に重大な影響を与えるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


関連記事

ブロードリーフの転職研究 2025年12月期3Q決算に見るキャリア機会

ブロードリーフの2025年12月期3Q決算は、クラウド移行の進展とAI活用による効率化で営業利益が前年同期比約5.2倍と爆発的に成長。「なぜ今ブロードリーフなのか?」、SaaS企業への完全転換とモビリティプラットフォーム戦略がもたらす、エンジニアや営業職向けの新たなキャリア機会を整理します。


【面接対策】ブロードリーフの中途採用面接では何を聞かれるのか

主に自動車アフターマーケットの事業者に向けて、事業創造を支援する業務アプリケーションの開発・提供をおこなうブロードリーフへの転職。中途採用面接では、これまでの仕事内容や成果、今後のキャリアビジョンを具体的に問われるほか、「人となり」も評価されます。事前対策をしっかりして自分を出し切り、転職を成功させましょう。