ジャパンインベストメントアドバイザー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ジャパンインベストメントアドバイザー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場上場。主力の航空機等オペレーティング・リース事業を中心に、不動産、環境エネルギー、プライベート・エクイティ投資などの金融ソリューション事業を展開しています。当期は投資家の旺盛な需要を背景に主力事業の組成・販売が好調に推移し、大幅な増収増益を達成して成長を続けています。


**株式会社ジャパンインベストメントアドバイザー転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態**

※本記事は、株式会社ジャパンインベストメントアドバイザーの有価証券報告書(第20期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ジャパンインベストメントアドバイザーってどんな会社?


航空機等のオペレーティング・リースを中心とした金融ソリューションを提供する企業です。

(1) 会社概要


2006年に設立され、海運コンテナリース事業を開始しました。2011年に航空機のオペレーティング・リース事業へ参入し、2014年にはマザーズ上場を果たしました。その後、不動産事業、環境エネルギー事業、プライベート・エクイティ投資事業などへと領域を広げ、近年は証券事業や信託事業への参入など多角化を進めています。

従業員数は連結で343名、単体で231名です。筆頭株主は創業者の資産管理会社であるこうどうホールディングスで、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は創業者の白岩直人氏となっています。

氏名 持株比率
こうどうホールディングス 35.81%
日本カストディ銀行(信託口) 10.70%
白岩直人 7.32%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.0%です。代表取締役社長は白岩直人氏が務めています。社外取締役は5名選任されています。

氏名 役職 主な経歴
白岩直人 代表取締役社長 1985年三和銀行入行。2006年同社を設立し代表取締役社長に就任。JPリースプロダクツ&サービシイズ代表取締役会長などを歴任し現職。
石川禎二 取締役航空機ファイナンス事業部管掌 1985年三和銀行入行。2010年アビエーション・プラス設立。JPリースプロダクツ&サービシイズ社長を経て、2011年同社入社。2014年より現職。
杉本健 取締役管理本部長 1987年日興証券入社。フィンテックグローバル取締役等を経て、2014年同社入社。経営企画部長、執行役員管理本部長を歴任し、2018年より現職。
村上満保 取締役事業開発本部長 1985年三和銀行入行。藤田観光執行役員等を経て、2019年同社入社。新規事業開発部長、パイオニアエース航空取締役などを経て現職。


社外取締役は、森嶬(元三和銀行専務執行役員)、柳井俊二(元駐米大使)、前川晶(弁護士)、井戸清人(元大蔵省国際局長)、鞠子千春(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「オペレーティング・リース事業」「不動産事業」「環境エネルギー事業」「プライベート・エクイティ投資事業」および「その他事業」を展開しています。

オペレーティング・リース事業


航空機や船舶、コンテナなどを対象とした日本型オペレーティング・リース投資商品を提供しています。投資家に対して節税効果や資金の効率的活用メリットを提供し、航空会社等の賃借人には資金調達コストを低減するメリットを提供します。

投資家への匿名組合出資持分の販売や案件組成、管理業務などの各種手数料を収益源としています。同事業の運営および管理は、主にJPリースプロダクツ&サービシイズが行っています。

不動産事業


資産運用や資産承継を検討する個人および法人投資家向けに、国内不動産を対象とした不動産信託受益権小口化商品の組成および販売を行っています。また、不動産仲介事業等もあわせて展開しています。

小口化商品の組成や販売に係るアレンジメントフィー、信託報酬、委託者報酬などを収益源としています。受託者としての信託業務はJIA信託が担い、商品の販売はJPリースプロダクツ&サービシイズやJIA証券が行っています。

環境エネルギー事業


主に太陽光発電所の開発や運営業務の受託、および自社で保有する発電所からの売電を目的とした事業です。投資家向けに匿名組合出資持分の販売を通じた投資機会の提供も行っています。

プロジェクト開発報酬や発電設備運営業務の手数料、電力会社からの売電収入などが主な収益源です。同社がプロジェクト開発やアセットマネジメントを担い、JPリースプロダクツ&サービシイズが販売や管理を受託しています。

プライベート・エクイティ投資事業


未上場企業に対して出資を行い、IPOやM&Aなどによる株式譲渡を通じたキャピタルゲインの獲得を目的としています。同社が直接出資するプリンシパル投資と、募集ファンドを組成して投資家を募るファンド運営の2つの形態があります。

投資先企業の株式売却益やファンド運営に係るマネジメント業務の手数料を収益源としており、同社グループ内で投資先の選定からバリューアップ支援までを一貫して行っています。

その他事業


証券事業をはじめとした各種金融ソリューションサービスを展開しています。グループが保有する顧客基盤と専門性を生かしたサービス提供を行っています。

金融ソリューションサービスに係る各種手数料収入等を得ています。主な事業運営はJIA証券等のグループ子会社が担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の売上高は右肩上がりで拡大を続けており、特に直近2期間は大幅な成長を見せています。利益面では一時的な落ち込みがあったものの、当期は経常利益率が大きく向上して過去最高益を更新し、収益性の高さがうかがえます。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 141.1億円 180.5億円 218.2億円 311.3億円 387.4億円
経常利益 47.0億円 59.0億円 36.7億円 116.4億円 166.3億円
利益率(%) 33.3% 32.7% 16.8% 37.4% 42.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 36.0億円 35.2億円 21.4億円 32.7億円 17.5億円

(2) 損益計算書


売上高の拡大とともに売上総利益率が大きく向上しており、高付加価値な商品・サービスの提供が進んでいることがわかります。営業利益率も約10ポイント改善し、本業の稼ぐ力が飛躍的に高まっています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 311.3億円 387.4億円
売上総利益 208.3億円 291.4億円
売上総利益率(%) 66.9% 75.2%
営業利益 121.1億円 188.8億円
営業利益率(%) 38.9% 48.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が27.7億円(構成比27.0%)、賞与が13.2億円(同12.9%)、租税公課が11.3億円(同11.0%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力であるオペレーティング・リース事業が売上の大部分を占めて成長を牽引していますが、周辺事業である不動産、環境エネルギー、プライベート・エクイティ投資などもすべて前期比でプラス成長を遂げており、事業ポートフォリオの拡充が着実に進んでいます。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
オペレーティング・リース事業 282.6億円 329.7億円
不動産事業 2.8億円 5.2億円
環境エネルギー事業 10.5億円 12.6億円
プライベート・エクイティ投資事業 1.1億円 7.1億円
その他事業 14.3億円 32.8億円
連結(合計) 311.3億円 387.4億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ジャパンインベストメントアドバイザーは、オペレーティング・リース事業などを展開しており、そのキャッシュ・フローの状況は以下の通りです。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上等により資金を獲得したものの、商品出資金や棚卸資産の増加により資金を使用しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、貸付けや投資有価証券の取得により資金を使用しましたが、貸付金の回収により一部資金を獲得しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入による収入が返済を上回ったため、大幅に資金を獲得しました。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF -101.1億円 -85.2億円
投資CF 134.9億円 -97.5億円
財務CF 194.2億円 303.7億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「金融を通じて社会に貢献する企業でありつづける」を掲げています。金融力を活用して日本経済を支える中堅・中小企業の秘めた潜在力を引き出し、事業継続のサポートを行うことを使命としています。確実な成長による企業価値の増大や、ビジネスパートナーとともに社会的責任を果たすことを目指しています。

(2) 企業文化


役職員一人ひとりがプロ意識を持ち、持てる力をフルに発揮できる環境作りに取り組んでいます。「自由闊達」で「クリエイティブ」であり、新しいことにチャレンジすることを重視する組織・企業風土を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


中期経営計画(2024年〜2026年)において、以下の目標値を設定し、収益性の向上と株主還元の強化を目指しています。

* 2026年当期純利益:130億円
* ROE:16.9%(2026年修正計画)
* 配当性向:50.3%(2026年修正計画)

(4) 成長戦略と重点施策


コア事業であるオペレーティング・リース事業の持続的な成長を図るため、商品組成力や資金調達力の向上、キャッシュ・コンバージョン・サイクルの短縮化に取り組んでいます。同時に、事業ポートフォリオを拡充し、ワンストップのソリューション提供体制を強化する方針です。また、再生可能エネルギー事業の拡大などを通じてサステナビリティ経営を推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


最も重要な資本である従業員の育成と、身につけた能力を最大限発揮できる職場の実現を目指しています。役職に応じた研修により、向上心を持ち主体性のある人材を育成する方針です。また、多様な個性を尊重し合うダイバーシティ&インクルージョンを推進し、働きがいあふれる社内環境を整備しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 48.1歳 3.6年 9,575,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.2%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 52.6%
男女賃金差異(正規雇用) 41.5%
男女賃金差異(非正規雇用) 53.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性取締役比率(12.5%)、離職率(9.6%)、障がい者雇用率(1.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) オペレーティング・リース事業への依存リスク


同社グループの売上高の大半はオペレーティング・リース事業が占めており、特に対象資産として航空機の割合が大きくなっています。世界情勢の悪化による航空会社の経営不振や、競合環境の変化がリース需要に影響を与え、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 為替変動に関するリスク


リース期間満了時の物件売却や投資家が出資金を受け取る際、主に外貨建てで行われるため、想定以上の円高が進行した場合、円換算後の損益が悪化します。これにより投資家の需要が減退し、新規の案件組成や商品の販売に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 法的規制や税制変更に係るリスク


金融商品取引法や信託業法などの関連法規に準拠して事業を運営しています。また、現行の税務や会計ルールに基づいて商品を組成しているため、将来的な法令改正や課税の取り扱いに変更が行われた場合、投資意欲の減退を招き、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。