日本創発グループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

日本創発グループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

日本創発グループは、東京証券取引所スタンダード市場に上場し、「クリエイティブをサポートする企業集団」としてクリエイティブサービス事業を展開しています。直近の連結業績では、印刷需要やM&A等により売上高は増加し、固定資産売却益の計上で最終増益を達成した一方、支払利息等の増加で経常減益となりました。


※本記事は、株式会社日本創発グループの有価証券報告書(第11期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 日本創発グループってどんな会社?


日本創発グループは、多様なクリエイティブサービスを専門的な技術を用いてワンストップで提供する企業集団です。

(1) 会社概要


2015年1月に東京リスマチックが単独株式移転により設立し、JASDAQに上場した純粋持株会社です。同年に関係会社管理事業を承継しました。その後、サカモト、ソニックジャム、クラウドゲートなど多数の専門企業を子会社化し、積極的なM&Aにより事業領域を拡大しています。2022年には東証スタンダード市場へ移行しました。

同社グループは連結で4,038名、単体で74名の従業員を擁しています。筆頭株主は同社の取締役が議決権の全てを所有する資産管理会社のTKOで、第2位は従業員持株会、第3位は個人株主の中田久士氏となっています。

氏名 持株比率
TKO 36.61%
日本創発グループ従業員持株会 7.37%
中田 久士 2.56%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性6名の計13名で構成され、女性役員比率は46.2%です。代表取締役社長は藤田一郎氏が務めています。社外取締役比率は61.5%です。

氏名 役職 主な経歴
藤田 一郎 取締役社長(代表取締役) 野村證券入社後、シダックス取締役、大新東代表取締役副社長、クラウドゲート代表取締役等を経て2016年同社入社。2017年3月より現職。
鈴木 隆一 取締役 東京リスマチック代表取締役社長、TKO代表取締役社長、同社代表取締役社長等を経て、2018年3月より現職。
佐々木 裕彦 取締役 電通国際情報サービス入社後、ネットイヤーグループ代表取締役社長CEO等を経て2025年DNTI代表取締役社長。同年7月より現職。
坂下 毅 取締役 大和証券入社後、マネックス証券、アスキー等を経てアスコム代表取締役社長に就任。2024年11月より現職。
井戸 剛 取締役 三和銀行入行後、不二印刷(現フジプラス)常務取締役を経て2007年同社代表取締役社長に就任。2025年3月より現職。


社外取締役は、瀬島仁志(元みずほリサーチ&テクノロジーズ上席執行役員)、寺田正主(寺田法律事務所代表)、篠﨑祥子(エスヴィータ代表取締役社長)、菅波希衣子(ワッティー代表取締役社長)、儘田佳代子(儘田佳代子税理士事務所所長)、山下あや(アイクリエイト代表取締役)、三好真由美(東京ビザ専門行政書士法人代表)、濵谷美穂(東京ブライト法律事務所)です。

2. 事業内容


同社グループは、「クリエイティブサービス事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) 印刷関連事業分野


多様なクリエイティブ需要に対し、伝統的な印刷製造技術や進化したデジタル技術を駆使して、出版・商業印刷、シール印刷、パッケージ製造等のサービスを提供しています。大手広告代理店や一般企業を顧客とし、高品質な印刷物や環境に配慮した製品を企画から製造・加工までワンストップで展開しています。

顧客からの印刷物の受注や製造等により収益を得ています。運営は主に日経印刷、東京リスマチック、美松堂、フジプラス、サンメックなどのグループ子会社が、それぞれの専門的なインフラ設備やノウハウを活かして担当し、付加価値の高いソリューションを提供しています。

(2) ITメディア セールスプロモーション分野・その他


高度なIT技術を活かし、ビジネスコンサルティングやシステム設計、WEB・インタラクティブコンテンツの企画制作、3D-CG映像、立体音響などのサービスを提供しています。また、カプセルトイやノベルティ製品、イベント企画、クリスタルの贈答記念品、モデルマネジメントなども幅広く手がけています。

システム開発、コンテンツ制作、販促ツールの販売、イベント運営などの対価として顧客から収益を受け取っています。運営はDNTI、FIVESTARinteractive、キャドセンター、funbox、リングストンなどのグループ企業が担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高はM&Aの積極的な推進や広告需要の回復により右肩上がりで拡大を続けています。経常利益は安定して推移していましたが、直近では支払利息等の増加により減益となりました。一方、当期利益は固定資産の売却による特別利益の計上などにより、直近で大幅な増加を記録しています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 546億円 644億円 748億円 801億円 870億円
経常利益 24億円 36億円 40億円 42億円 32億円
利益率(%) 4.4% 5.7% 5.3% 5.2% 3.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 7億円 1億円 3億円 9億円 46億円

(2) 損益計算書


直近2期間のコスト構造と利益の状況を見ると、売上高の拡大に伴い売上総利益も増加し、売上総利益率は改善しています。一方で、人件費や地代家賃などの増加により販売費及び一般管理費が拡大したため、営業利益及び営業利益率は低下する結果となりました。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 801億円 870億円
売上総利益 234億円 278億円
売上総利益率(%) 29.3% 31.9%
営業利益 44億円 30億円
営業利益率(%) 5.4% 3.5%


販売費及び一般管理費のうち、給与及び手当が81億円(構成比33%)、運搬費が26億円(同10%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社はクリエイティブサービス事業の単一セグメントです。当期は、インバウンド需要やサービス消費の回復を背景に企業広告活動が活性化し、各種販促ツールの需要が増加しました。また、M&Aによる複数の新規子会社が連結の範囲に加わったことも寄与し、売上高は前期を上回って推移しました。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
クリエイティブサービス事業 801億円 870億円
連結(合計) 801億円 870億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、営業活動で得た資金と借入による調達資金を活用し、将来に向けた投資を積極的に行う「積極型」の状況にあります。企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は36.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は24.4%で市場平均を下回っています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 67億円 39億円
投資CF -25億円 -79億円
財務CF -65億円 30億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、グループ共通の中核概念として「We craft your imagination.」というビジョンを掲げています。顧客が思い描くイマジネーションに対し、多様なリソースと先進技術を駆使して確かなカタチにする手伝いを行うことを使命としており、「クリエイティブをサポートする企業集団」として顧客に必要不可欠な存在となり、企業価値を向上させることを目指しています。

(2) 企業文化


同社は「多様性の価値を創造する」「想いを込め、つくる責任を果たす」「公平で平等なダイバーシティの中で新しい価値を生む」というSDGsポリシーを掲げています。専門性の高い個性豊かなグループ各社がユニークな発想でアイデアを持ち寄り、社会課題の解決を通して新たな価値創造に挑む文化を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


同社は中期経営計画において、安定的な成長と企業経営基盤の強化を目指しています。企業の持続的な成長と企業価値の向上を図るため、以下の財務指標を重視した経営を推進しています。

* 営業利益、経常利益
* 親会社株主に帰属する当期純利益
* EBITDA、自己資本比率、キャッシュ・フロー

(4) 成長戦略と重点施策


主力事業領域でのシェア拡大と新規事業領域への挑戦を進め、M&Aを含めた機動的な取り組みで安定的な事業ポートフォリオの形成を図ります。また、各社の事業責任を明確化して経営機動性を向上させるとともに、専門技術とノウハウの連携を強化し、付加価値の高いソリューションを開発して顧客満足度の向上を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


持続的な成長と社会課題解決事業の創出のため、「能力の可視化」「成長意欲を刺激」「活発な交流」「知見の共有」からなる「創発エンゲージメント」を方針として策定しています。グループ各社独自の研修や合同研修を通じた情報交換を促進し、新卒社員にはグループ間の出向を伴うOJTを実施して横断的な企画営業人材を育成しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 47.3歳 15.5年 7,261,000円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 6.9%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 71.1%
男女賃金差異(正規) 75.4%
男女賃金差異(非正規) 75.2%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 国内広告・販促需要への依存


同社グループの営業収入は、国内市場における企業の販売促進活動の動向に大きく影響を受けます。景気低迷の長期化に伴い企業の広告宣伝活動が縮小された場合、業績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。対策として、市場予測に基づく事業戦略の策定を通じてリスクの軽減に努めています。

(2) 価格競争の激化リスク


同社グループの製品・サービスが競合他社との激しい価格競争にさらされた場合、価格面での優位性を維持できず収益性が低下するリスクがあります。対策として、専門的な技術や最新の生産設備を導入し、M&Aも活用しながら付加価値の高いサービスをワンストップで提供する体制を強化しています。

(3) 情報システムとセキュリティリスク


事業活動においてコンピュータネットワークや情報システムへの依存が高まる中、サイバー攻撃やシステムの不具合によって顧客情報が漏洩するリスクがあります。万が一漏洩が発生した場合、社会的信用が低下し業績に多大な影響を与える可能性があるため、情報セキュリティポリシーを制定し厳重な管理を行っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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