カヤック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

カヤック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース上場のカヤックは、ハイパーカジュアルゲームなどのゲームエンタメ、広告企画の面白プロデュース、eスポーツ、まちづくり支援のちいき資本主義を展開しています。2025年12月期は全社的なサービス伸長により、売上高は前期比増の201億円、経常利益も大幅増の9億円となり、増収増益を達成しました。


記事タイトル:「カヤック転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態」

※本記事は、株式会社カヤックの有価証券報告書(第21期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. カヤックってどんな会社?


カヤックは「面白法人」を掲げ、ゲーム、広告プロデュース、地方創生など多様なデジタル事業を展開しています。

(1) 会社概要


1998年8月に合資会社として創業し、2005年1月にカヤックを設立しました。2014年12月に株式上場を果たしています。近年はM&Aを積極的に推進しており、2020年にはeスポーツ事業の強化を目的に関連会社を子会社化しました。2024年には英治出版やアニメ制作関連会社などをグループに迎え入れています。

従業員数は連結で618名、単体で222名です。筆頭株主は代表取締役CEOの柳澤大輔氏で、第2位は代表取締役CTOの貝畑政徳氏、第3位は代表取締役CBOの久場智喜氏となっており、創業メンバーである役員3名が上位を占めています。

氏名 持株比率
柳澤 大輔 23.01%
貝畑 政徳 19.46%
久場 智喜 16.30%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役CEOは柳澤大輔氏です。社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
柳澤 大輔 代表取締役CEO ソニー・ミュージックエンタテインメントを経て、1998年に同社を創業し代表取締役に就任。複数社の社外取締役を歴任し、琉球フットボールクラブ代表取締役などを兼務。
貝畑 政徳 代表取締役CTO 1998年に同社を創業し、代表取締役に就任。カヤックアキバスタジオやカヤックボンドなどのグループ会社の代表取締役や取締役会長などを歴任。
久場 智喜 代表取締役CBO 1998年に同社を創業し、代表取締役に就任。KAYAC SANKOの取締役なども兼務。


社外取締役は、森川徹治(アバントグループ社長)、北川徹(元スターバックスコーヒージャパンCFO)、佐渡島庸平(コルク社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ゲームエンタメ」「面白プロデュース」「eスポーツ」「ちいき資本主義」「その他サービス」の事業を展開しています。

(1) ゲームエンタメ


ハイパーカジュアルゲームの提供や、ゲーム・デジタルコンテンツの受託開発を行っています。年齢や国籍を問わず世界中の人々をターゲットにしたゲームは高い評価を得ており、世界のアプリダウンロード数ランキングで日本企業1位を維持しています。

収益源は、自社タイトルにおいてはアドネットワーク事業者を通じたゲーム内広告による広告収益が主となります。受託開発領域では、クライアントから開発を受託し、その対価を得ています。運営はカヤックやカヤックアキバスタジオなどが担っています。

(2) 面白プロデュース


既成概念をぶち壊すアイデアと先端テクノロジーを武器に、クライアントのマーケティングやブランディングに資する広告コンテンツを提供しています。デジタル広告領域にとどまらず、新製品開発を支援する高付加価値な案件も増加しています。

収益源は、クライアントから直接、あるいは広告代理店を介して、各種コンテンツやサービスの企画・開発を受託し、その制作費や運用費を受け取っています。運営は主にカヤックが担当しています。

(3) eスポーツ


ゲームコンテンツに関連するコミュニティ形成や活性化を支援するサービスを展開しています。eスポーツ大会の企画・運営、タレントマネジメントを行うほか、大会管理システム「Tonamel(トナメル)」の開発・運営などを行っています。

収益構造としては、イベントの企画や運営受託による収益のほか、プラットフォーム「Tonamel」における一部の大会主催者からのシステム利用料などから構成されています。運営は主にGLOEが担っています。

(4) ちいき資本主義


地方公共団体や地域企業に対して、まちづくりに関するコンテンツの開発とサービスを提供しています。移住プラットフォーム「スマウト」やコミュニティ通貨「まちのコイン」、地域プロモーションの受託などが主な事業です。

収益源は、「スマウト」および「まちのコイン」のシステム導入費や月額利用料、地域プロモーションの制作費などを、地方自治体や地域企業から受け取っています。運営は主にカヤックが行っています。

(5) その他サービス


特定の重点地域でのエリアコンテンツ開発や新規サービスへの投資を行っています。ブライダルプラットフォーム「プラコレWedding」や湘南エリアの不動産セレクトショップ、出版事業などを展開しています。

収益源は、プラットフォームの利用料収入や、書籍の出版売上、不動産関連の収入など多岐にわたります。運営はプラコレ、鎌倉R不動産、英治出版などの各グループ会社が担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績を見ると、M&Aや既存サービスの拡大により売上高は概ね拡大傾向にあります。2024年12月期は一時的に減益となりましたが、2025年12月期は全社的なサービス伸長が寄与し、売上高・利益ともに大幅な回復を見せています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 126億円 165億円 175億円 167億円 201億円
経常利益 13億円 12億円 10億円 4億円 9億円
利益率(%) 10.1% 7.4% 5.9% 2.4% 4.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 5億円 5億円 7億円 1億円 7億円

(2) 損益計算書


売上規模の拡大に伴い、売上総利益も増加しています。売上総利益率は安定して50%台半ばを維持しており、2025年12月期は増収効果により営業利益率も改善傾向にあります。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 167億円 201億円
売上総利益 90億円 109億円
売上総利益率(%) 53.9% 54.2%
営業利益 4億円 11億円
営業利益率(%) 2.1% 5.3%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が71億円(構成比72%)、給料及び手当が8億円(同8%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社は単一セグメントですが、主要サービス別に売上高を開示しています。ゲームエンタメやeスポーツが堅調に推移したほか、ちいき資本主義やその他サービスが大幅な増収となり、全体の成長を牽引しています。面白プロデュースは季節要因などにより微減となりました。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
ゲームエンタメ 92億円 112億円
面白プロデュース 23億円 22億円
eスポーツ 29億円 32億円
ちいき資本主義 10億円 15億円
その他サービス 13億円 20億円
連結(合計) 167億円 201億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

カヤックは、関係会社株式の売却益やゲームエンタメ事業の好調な販売実績などを背景に、営業活動によるキャッシュ・フローを大幅に増加させました。投資活動では、連結の範囲の変更を伴う関係会社株式の売却による収入が主な要因となり、前年とは対照的に収入超過となりました。財務活動では、長期借入金の返済や自己株式の取得による支出が主な要因となり、前年と比較して支出超過となりました。これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は増加しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF -2億円 9億円
投資CF -10億円 1億円
財務CF 9億円 -6億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「つくる人を増やす」という経営理念のもと事業を展開しています。「面白法人」を標榜し、社員自身が主体的に物事を面白がり、周囲から面白いと評価され、ひいては社会全体を面白くしていくことを使命としています。目の前の状況に能動的に関わり、自らの創意工夫により新たな価値を創出する姿勢を持つ人材の育成と社会への普及を目指しています。

(2) 企業文化


「何をするかより誰とするか」や「サイコロ給」といった独自の価値観を共有・実践しています。社員が主体的に面白がる姿勢を重視し、「ブレインストーミング(ブレスト)」を定常的に活用して新しいアイデアを生み出しやすい環境を構築しています。新しいことに常に挑戦する風土が根付いています。

(3) 経営計画・目標


クリエイターを中心とした経営アセットを活用し、持続的な成長を実現する方針です。同社が重視する経営指標として、以下の数値を掲げています。

・売上高
・売上高営業利益率
・クリエイター数(従業員数のうち90%以上を目標)

(4) 成長戦略と重点施策


既存事業の深化と新規サービスの創出を両立する経営を志向し、持続的に成長する事業ポートフォリオの構築を進めます。「面白法人」ブランドを活かした各事業領域への戦略的投資や、M&Aによる経営資源の獲得を通じて事業領域を拡張します。今後は「ブランド&マーケティング」「ゲーム・アニメ」「ちいき資本主義」「その他」の4セグメント体制へ移行し、成長を加速させます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


クリエイターを中心とした組織体制を重視し、優秀な人材の確保と育成に向けた環境整備に取り組んでいます。「面白法人」のブランド価値を向上させることで理念に共感する人材の採用を強化しています。また、社員が組織の垣根を超えてプロジェクトに参画しやすいアサインシステムを構築し、リソースの最適化と個人の成長を促進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 37.0歳 7.5年 6,652,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、面白NPS(15.3%)、クリエイターの比率(93.2%)、職住近接をしている社員の割合(53.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) ユーザー嗜好の変化と競合他社の存在


デジタルコンテンツ市場はユーザー嗜好の変化が激しく、多数の競合が存在します。新規コンテンツの開発ラインの維持やライフサイクルの適正化に努めていますが、ユーザーニーズと乖離した場合や優位性を保てなくなった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 新技術への対応遅れ


AIやクラウド技術など、インターネット関連分野の技術革新は非常に速いスピードで進んでいます。クリエイターの育成や新技術のノウハウ獲得に注力していますが、対応が遅れた場合や追加的なシステム投資が拡大した場合、競争力の低下や収益性の悪化を招く恐れがあります。

(3) 短い収益寿命を伴うゲーム事業の不確実性


主力の一つであるハイパーカジュアルゲームはタイトルごとの収益寿命が短く、継続的な新規タイルの投入が求められます。開発遅延などにより多数のユーザーを獲得できるタイトルを継続提供できなかった場合や、プラットフォームの仕様変更が生じた場合、事業に影響を与える可能性があります。

(4) 特定人物への依存リスク


同社は、代表取締役CEOの柳澤大輔氏をはじめとする創業メンバー3名に経営の重要な部分を依存しています。権限委譲や幹部育成により経営組織の強化を図っていますが、何らかの理由でこれらの人物が業務執行できなくなった場合、事業運営に重大な支障をきたすリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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