ノバレーゼ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ノバレーゼ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ノバレーゼは東京証券取引所スタンダード市場に上場しています。同社はブライダル事業(挙式・披露宴の企画立案・運営、婚礼衣裳のレンタル・販売等)とレストラン特化型事業を主力としています。直近の業績は、婚礼施行にかかる売上や一般飲食の増加等により増収となり、利益面でも大幅な増益のトレンドにあります。


※本記事は、株式会社ノバレーゼの有価証券報告書(第10期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. ノバレーゼってどんな会社?


ノバレーゼは、ゲストハウス・ウエディングを中心としたブライダル事業とレストラン事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


2000年にワーカホリックを設立しブライダル事業を開始、2002年にノバレーゼへ商号変更しました。2003年に直営のゲストハウスを開店して以降、全国へ出店を拡大しています。2017年に現法人が旧法人を吸収合併し、2023年に東証スタンダード市場へ株式を上場しました。

現在の従業員数は連結で1,099名、単体で780名です。筆頭株主は親会社であり事業上の協業を推進しているティーケーピーで、第2位は結婚相談所などを展開するIBJ、第3位は飲料メーカーのアサヒビールとなっています。

氏名 持株比率
ティーケーピー 59.62%
IBJ 3.05%
アサヒビール 1.32%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は荻野洋基氏が務めています。社外取締役は2名選任されています。

氏名 役職 主な経歴
荻野洋基 代表取締役社長 2004年に旧法人へ入社し、各地区のゼネラルマネージャーを歴任。2016年に旧法人の代表取締役社長に就任し、2017年より現職。
増山晃年 取締役執行役員経営戦略本部長 2002年に野村證券へ入社。2009年に旧法人へ入社し、社長室長等を経て、2017年より現職。
小林雄也 取締役執行役員営業本部長 2003年に旧法人へ入社し、各地区のゼネラルマネージャー等を歴任。2023年より現職。
笹岡知寿子 取締役執行役員営業本部副本部長 2003年に旧法人へ入社し、各地区のゼネラルマネージャーや韓国現地法人副社長等を経験。2024年より現職。
横岩利恵 取締役 2001年にイーバンク銀行へ入行。2006年にティーケーピーへ入社し、執行役員を歴任。2025年より現職。
髙木寛 取締役 1989年に日本債券信用銀行へ入行。2011年にティーケーピーへ入社し、執行役員を歴任。2025年より現職。


社外取締役は、橋本眞史氏(元ソニー生命保険執行役員常務)、等健次氏(元大興製紙代表取締役会長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ブライダル事業」および「レストラン特化型事業」を展開しています。

ブライダル事業


都会的な雰囲気や自然に囲まれた開放的な空間を演出する「ゲストハウス・ウエディング」の企画立案・運営を提供しています。また、国内外から買い付けたウエディングドレス等のレンタル・販売を行うほか、一部の婚礼施設を活用して平日にランチやディナーのレストラン営業も行っています。

収益は主に挙式・披露宴を予定している顧客からの企画運営費用や衣裳レンタル・販売料、飲食代金から得ています。運営は主にノバレーゼが担うほか、タイムレスやMARRY MARBLE等の子会社がギフト販売や映像制作などの周辺サービスを展開しています。

レストラン特化型事業


ブライダル事業とは独立して、高級店からカジュアルレストランまで幅広い顧客を対象に飲食サービスを提供しています。本格的な和食から創作和食までを楽しめるブランドや、特注ピザ釜とワインコレクションを特徴とする北イタリア料理のオールデイダイニングを展開しています。

収益は来店した一般の顧客や法人からの飲食代金および宴会代金から得ています。国内での運営は主にブロスダイニングが担っており、海外ではベトナムに設立したNOVARESE VIETNAM CO.,LTDがレストランの運営を行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績を見ると、売上収益は毎期順調に拡大を続けており、成長基調を維持しています。利益面では一時的に減少した時期があったものの、直近の事業年度においては大幅な増益を達成し、収益性の改善が進んでいます。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上収益 112億円 172億円 183億円 193億円 220億円
税引前利益 5億円 25億円 12億円 10億円 18億円
利益率(%) 4.8% 14.4% 6.7% 5.1% 8.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 4億円 17億円 9億円 7億円 13億円

(2) 損益計算書


売上収益の拡大に伴い、売上総利益も順調に増加しています。売上総利益率は微減となったものの、販売費及び一般管理費のコントロールが機能したことで、営業利益は前期から大きく伸長し、営業利益率も改善しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 193億円 220億円
売上総利益 92億円 103億円
売上総利益率(%) 47.6% 46.8%
営業利益 13億円 22億円
営業利益率(%) 6.9% 10.2%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給与が19億円(構成比19%)、広告宣伝費が12億円(同12%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力であるブライダル事業は、施行組数および施行単価の増加や一般飲食の需要回復により増収増益を牽引しました。レストラン特化型事業も新規出店やインバウンド需要の増加により大幅な増収となりましたが、開業費用の増加等により営業損失を計上しています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期) 利益(2024年12月期) 利益(2025年12月期) 利益率
ブライダル事業 182億円 205億円 26億円 38億円 18.6%
レストラン特化型事業 12億円 16億円 0.4億円 -0.2億円 -1.1%
調整額 -0.2億円 -0.2億円 -13億円 -15億円 -
連結(合計) 193億円 220億円 13億円 22億円 10.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」のキャッシュ・フロー状況です。
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は27.5%で市場平均を下回っています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 39億円 48億円
投資CF -15億円 -27億円
財務CF -6億円 -22億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「Rock your life 世の中に元気を与え続ける会社でありたい」という企業理念を掲げています。激変する世の中にあっても自己改革を続け、新しい価値を創造し続けることを目指しています。熱く仕事に熱中し、スタッフがいきいきと輝くことが顧客の幸せに繋がるという好循環の創出を志向しています。

(2) 企業文化


同社は、スタッフ一人一人が自分自身や自分の仕事に対してプライドを持てる会社であることを重視しています。性別や国籍にとらわれず、すべてのスタッフが安心して働き、働きがいを持てる環境をつくり上げるため、「スタッフの幸福の最大化の追求」を人事基本方針として定めています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、継続的かつ安定的な収益の確保を目的として、新規出店に係る設備投資と多店舗化による経営効率の改善のバランスを保ちながら収益拡大を図る「拡大均衡政策」をとっています。重視する経営指標として、売上収益、営業利益、営業活動によるキャッシュ・フローを掲げて業績の進捗を管理しています。

(4) 成長戦略と重点施策


今後の成長に向けて、他社との差別化を図るための「出店戦略」と「人事戦略」を中長期的な事業戦略に掲げています。地域特性に合わせた挙式・披露宴会場の戦略的な出店や、多店舗展開のスケールメリットを活用した効率的経営を推進します。また、エスクリとの経営統合を通じた国内最大級のネットワーク構築や内製化の拡大も図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、人的資本に関する取組みを経営の最重要課題に位置づけています。新規出店に伴う計画採用とジョブローテーションによる組織の活性化を図るほか、100を超える研修プログラムを内製化し、階層別・職種別の教育を徹底しています。多様な価値観や働き方を尊重し、スタッフと会社が共に成長する環境構築を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 33.7歳 6.7年 4,303,186円


※平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 42.9%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 71.8%
男女賃金差異(正規雇用) 82.3%
男女賃金差異(パート・有期) 87.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性育児休暇復帰率(94.7%)、年次有給休暇取得率(80.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) ブライダル市場の縮小


少子化や未婚率の上昇により、結婚適齢期の人口が減少し、ブライダルマーケット全体が縮小する懸念があります。市場規模の縮小が進行した場合、国内市場における同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 競合の激化と新規参入


ホテルや専門式場が既存施設のリニューアルを通じてゲストハウス・ウエディングへ進出する動きや、異業種からの新規参入などが増加しています。業界における競争や価格競争が一段と激化した場合、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 人材の確保と育成


継続的な出店とサービスの充実には、専門的な商品知識と熟練した技術を持つ優秀な人材の確保と育成が不可欠です。人材の採用や教育が同社グループの出店計画に追いつかない場合、計画通りの出店やサービスレベルの維持が困難になる可能性があります。

(4) 業績の季節変動


挙式・披露宴は4・5月および10・11月に集中する傾向があるため、同社の売上収益も同時期に偏重します。これらの時期における婚礼施行組数が低迷した場合には、同社グループの業績に大きな影響を及ぼすリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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